サレ妻が不倫相手に慰謝料請求「金の亡者。性格悪い」非難は正しいのか

不倫によるサレ妻の体験談がSNSやyoutubeで注目を集めています。

視聴者の求める結末は「スカッとする復讐劇」です。
そのため、注目を集めているアカウントは、大抵が離婚し、慰謝料請求する流れとなっています。

しかしコメント欄やネット上のスレッドでは「血眼になって慰謝料請求するのは金の亡者」「性格が悪い」と非難されることが多々あります。

サレ妻の報復感情について、個人的見解を記します。

サレ妻体験談に興味を引かれる人々と、慰謝料請求への非難

不倫によるサレ妻の体験談がSNSやyoutubeで注目を集めています。

未婚で不倫の経験がない視聴者も多くいるようです。
発信者に感情移入して応援している姿がよく見られますので、怖いもの見たさや他人の不幸を蜜に感じるのと同時に、女性として「同士」に感じることがあるのかもしれません。

私は「人の思考」に興味があります。精神的に不安定だった両親との関係に悩んだ経験から、両親の思考を知りたいと思い、心理学や虐待の実例の書物を読み漁ってきました。

家庭内のゴタゴタが詳細に描かれる不倫体験談は「人間」を知る上で興味深く、また男性の思考の参考になると思い、たまに見ています。大抵はサレ妻の視点からのみ描かれていますし、脚色も大いにあると思われますので、話半分に捉えるようにしています。

そんな中、あるyoutubeチャンネルで気になることがありました。

youtubeの不倫体験談は、発信者による料理動画を元に作られることが多くあります。

流行りなのか発信者の意図があるのかはわかりませんが、料理の動画を観ていると、手順や要領の悪さが気になってしまうことがあります。

・根菜を切ってから皮を剥く。(剝きにくく効率が悪い)
・土がついた食材をまな板で切り、洗わずに、生ものを同じまな板で切る。(衛生面への意識)
・やたら食材をみじん切りにする。(衛生面に無頓着のわりに、切り方が執拗)
・フライパンが温まっていないのに食材を入れるため、毎度のようにこびりついている。(わが道を行く人なのか)
・フライパンの食材を延々と触り続けているのが気になる。(触り方が執拗)

初めは「教科書通りの手順である必要はない。やり方は人それぞれ」と思いながら観ていました。

しかしシタ夫への慰謝料請求が終わり、離婚が成立したあともなお夫の動向を調べて、複数いた不倫相手への慰謝料請求に動いている内容を見て、「もともとしつこい性格の方なのかもしれない」と想像してしまいました。下世話ですね。

ある時youtubeチャンネルのコメント欄に発信者に向けて「ネット上に色々と書かれていますよ」と書き込まれているのをみて、下品だと承知の上で検索してしまいました。

すぐに「色々と」書かれているサイトが見つかりました。
私と似たような感想が書き込まれてるのを見て、料理から性格を垣間見ることがあるのだと思いました。

そのサイトにはさらに、「一度慰謝料を受け取っているのに、離婚後も夫の動向を伺い、さらに慰謝料請求するのは金の亡者」「性格が悪い」などといった意味の書き込みが一部に見られました。

これには同意できませんでした。

なぜなら、私にはこんな経験があったからです。

カップル・夫婦関係の金絡みトラブル

私の身近で起きた、カップル間の金銭トラブルの一部を紹介します。

大怪我の痛みと、罪の意識の軽さによる慰謝料

ある女性は、彼氏の運転するバイクの後ろに乗っていました。

彼氏の不注意で転んだ拍子に、彼女だけが大怪我を負いました。
入院や手術、リハビリと再手術を経て、全治までに数年かかりました。

医療費は保険でまかなえましたが、彼氏に「俺は軽傷だったのに、なんでお前が大怪我してるんだよ」と軽口を言われるたびに体の痛みが増し、愛情が薄れて行きました。

退院から程なくして別れました。
その時まだ彼女は身体的に不自由な生活をしていて、「彼に慰謝料を払わせたい」と度々口にしました。

医療費や手当、規定の慰謝料は保険会社から支払われるので、彼氏の懐が直接痛むことはありません。
それが悔しく、自分が味わった痛みをわかってほしいと思ってのことでした。

別れる際、「私の体を傷つけた慰謝料が欲しいくらいだわ」と言うと、彼氏は「結局金かよ。金に汚い奴だな」と言い捨てました。

結果的に金銭を受け取ることなく別れましたが、遺恨が残りました。

フラれた悔しさを晴らすための、金銭請求

私が、ある男性と別れた時の話です。

彼の猛烈なアプローチで付き合い始めましたが、好きになれませんでした。

彼について書いた記事はこちら

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付き合っている間は、基本割り勘でした。
互いに学生でしたし、私は奢られると引け目を感じてしまうためです。

彼は度々、進んで多めに支払いをしました。
私が断っても、「いいから」と笑い、譲りませんでした。

私が別れたいと告げて、別れました。

何度か連絡が来ましたが、返信をすると期待を持たせると思い無視しました。

しばらく経ったある日、「お金を返してほしい」とメールが届きました。

お金を借りた覚えはありません。
無心したこともありません。

あるのは、断ったにも関わらず数百円から千円程度多めに支払われたことが度々あったこと、私のノートPCが壊れて就職活動に困っていた時に、買い換えで不要になったノートPCを譲り受けたこと。遠距離恋愛になった時に交通費を片道負担してくれたことくらいです。

何のお金を返すのか聞いてみると、ノートPC代だと言います。
譲り受けたノートPCは数ヶ月使用しましたが、すぐに壊れていました。もともと調子が悪かったので買い換えたと聞いていましたので、壊れるのも時間の問題でした。

そのPCの金を要求されるとは。

「譲り受けたものなので、あとから支払いを要求される意味が分からない」と返信をすると、それ以降要求されることはありませんでした。

気を引くための手段であり、悔しさも相まって金銭の要求に到ったのだと感じました。

この時思ったのは、「小さい男」です。

男なら金を負担して当然という、理不尽

共に20代中盤だったあるカップルに、同棲の話が持ち上がりました。
同棲を持ち掛けたのは彼女です。

彼氏は一人暮らしをしていて、彼女は実家暮らしでした。彼の部屋は二人で住むには手狭だったため、家賃を折半する前提で広めの部屋を探しました。少し高めの家賃の部屋を彼女が気に入り、彼の親に保証人になってもらって契約を済ませました。

家電や家具は彼が使っていたものを中心に使い、足りないものを後に折半する約束で彼が立て替えて購入をしました。

彼は賃貸を引き払う都合上、一か月早く新居に移り住むことになりました。
その間の家賃は、彼が全額負担しています。

彼女が引っ越してくるのを待つだけの状態になると、彼女からの連絡が激減しました。
あれだけ同棲したいと盛り上がっていたのに、引っ越しの日程を詰めることもしません。

彼はゆくゆく結婚もあり得ると思っていましたので、以前から彼女の両親に挨拶をしたいと話していました。しかし彼女は「挨拶は必要ない」と断っていました。

やはり挨拶がなかったから実家を出られないのではないかと考えた彼は、改めて挨拶をしたいと申し出ましたが、彼女は「初めから同棲するつもりはなかった。勝手にあなたが契約してしまっただけ。もう別れる」と言いました。

彼は驚き、落ち込みました。

新たに契約した部屋は、一人で住み続けるには家賃が高すぎます。
彼女と一緒に住まないのであれば、別の部屋を契約して引っ越さなければなりません。

住んでいた部屋を引き払うためにかかった金、新居を契約する際にかかった金、引っ越し代、買い足した家電家具代、新たに部屋を契約するためにかかる金、そこへの引っ越し代がかかることになり、彼は頭を抱えました。

彼は彼女が支払う約束だった金額に加えて、自分が負った不利益の一部を慰謝料として請求しました。

すると彼女と彼女の父親(初対面)が「女に金を請求するなんて男らしくない。慰謝料を求める人は普通じゃない。あなた(彼)はおかしい」と怒って連絡をしてきました。

悩んだ彼は、職場で同期だった私に愚痴を漏らしました。

彼は個人的に請求をしただけで、弁護士を入れませんでした。
一緒に住む話は口約束でしたので、法的な効力はないと思われました。

彼は今どきな風貌をしていますが中身は乙女チックなところがあり、素直ですし人が良い常識人でもあります。
彼が一人で突っ走って賃貸の契約をしたとは考え難かったので、恐らく面倒な女性に引っかかってしまったのだろうと思いました。

「俺、男らしくないのかな。でもおかしいよね? 約束していた金額の負担を求めるのも払うのも、人として当たり前のことでしょ? 俺すげぇストレス与えられて、金も払ってるし時間も無駄にしてるのに、貯金もなくなって、どうしたらいいんだよ……」

彼の言うことは最もでしたが、支払わせるのは難しいように思われました。
かと言って、泣き寝入りするべきとも思えません。

「あなたの主張は正しいと思う。相手は質が悪い。請求が聞き入れられなくてあまりに辛くなったら、その時にその後どうするか考えたらいいと思う」と話しました。

その後半年近く揉めていましたが、金銭の回収が叶わないまま、彼が諦める形で関係が絶たれました。

「慰謝料を求める人は普通じゃない」と言いますが、いたずらに人を傷つけて約束を反故にする人の方が「普通」ではないと感じた一件でした。

前述したように私もかつて元カレに「男らしくない(小さい男)」と思ったことがあります。
見る方向が違うとここまで事態が変わるものなのでしょうか。

夫の不倫相手に痛い目を見せたい妻の葛藤

夫の不倫によってサレ妻となった友人Aの話です。

記事でも紹介したAは、夫の決死の努力により再構築を選びました。

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不倫が発覚した時点で、夫と不倫相手の女性(以降シタ女)との関係は終わっていました。

しかしシタ女に何かしらの制裁を与えたかったAは、夫の証言とSNSを辿った情報を元に弁護士に依頼。慰謝料請求に踏み切りました。

シタ女は結婚と離婚を繰り返しているシングルマザーで、貧困家庭でした。
彼氏がいるにも関わらず、初めから既婚者と知っていてAの夫と不倫をしただけあって、罪悪感が薄いようです。

手始めに内容証明が送られると、関係はなかったと主張してきました。Aの夫のスマホには、慰謝料を請求するAに向けた非難の言葉が送られてきました。

関係がないという主張は簡単に覆されましたが、その後も“行為の回数”について争うことになります。

不倫当時、Aは妊娠中でした。
幸せだったはずなのに、不倫の事実がわかってから全てが嫌な記憶に変わってしまいました。Aは怒り、苦しみました。

「私と子どもたちに、面と向かって頭を下げてほしい」とAは言いました。
Aの上の子は、両親に何があったかを察して体調不良になっていたからです。

しかしシタ女は決して謝りませんでした。

Aは益々シタ女に怒りを募らせました。

謝らないのなら金で痛い目を見せるしかないと、150万の請求をしました。
するとシタ女も弁護士をつけました。

シタ女の弁護士からの返答は、「子どもを抱えて生活が苦しいため、20万の支払いが限界」といったものでした。Aと夫が離婚をしないのは不倫の影響が少ない証拠だから、慰謝料も少額で問題がないという主張でした。

Aは身を切られるような痛みを感じながら死ぬ思いで再構築に挑んだのに、「再構築をするなら慰謝料は少なくて問題ない」と言われる意味が分かりませんでした。

夫は不倫発覚当初こそ自分の面子を保つために慰謝料請求に消極的でしたが、再構築に臨めることがわかると、Aと一緒になってシタ女に文句を言うようになっていきました。

Aは夫が言える立場ではないと思い、Aにも夫にも怒りを募らせました。反面、夫がシタ女に全く未練がないことがわかり、安心する気持ちもありました。

何とかして慰謝料の額を上げようとするAに、「離婚しないから、夫への怒りをシタ女に向けるしかないのは気の毒」や「Aは報復感情が強い人なのか」と噂する人が現れました。

罪を憎んで人を憎まずだとか、我慢は美徳といった自己犠牲、金銭の要求は品がないといった日本の文化が、慰謝料請求の精神的障害になるのでしょう。

しかし理不尽な目に遭って深く傷ついたとき、加害者がいるのなら「自分が犯した罪がいかに辛いものか、同じ目に遭って実感してほしい」という感情が生まれるのは自然です。それが叶わないから、代わりに謝罪を欲したり、後悔して欲しくて痛い目を見せられる手段「痛手に感じる額の慰謝料」を求めるのです。

Aとシタ女は半年以上争いました。
150万には至りませんでしたが、平均的な額の慰謝料を受け取ることができました。

弁護士へ支払いをするとAの手元に残る額は微々たるものでしたが、「シタ女に痛い目を見せて後悔をさせる」という目的は少し果たされました。

決着がついてもなお、「心からの謝罪があれば。そして後悔が感じられれば、それでよかったのに」とAは言いました。

傷ついた心と言動の関係

youtubeの不倫体験談動画を見て、調理方法と度重なる慰謝料請求という内容から「しつこい人なのかも」と感じた私ですが、知人たちの経験を思い出し、考えを改めました。

私は夫の不貞やその他の不義理で深く傷つき、荒れた時期がありました。
あれから7年が経った今振り返ると、発覚前同等まで精神が落ち着いたのは、発覚から4年~5年経った頃だったと思います。

特に夫の不義理が発覚して一年は、自分で制御できないほど心が荒れてしまうことがありました。

追い詰められたときほど「人の本質」が出ると言われます。
しかし一生のうち、あれほど荒れたのは発覚当初だけでした。

限られた条件の元、一時期しか現れない反応が本性なのでしょうか。

人は深く傷ついたとき、自分を守るために過剰に反応してしまいます。混乱期ともいえるでしょう。
ある程度「本質」が作用するのは確かですが、“混乱期のその人”そのものが本質ではないと考えます。

そう考えるのは、あるママ友の影響があります。

不妊治療中、子持ちを妬む女性の本性

ママ友として知り合った女性Bは、朗らかで豪快で、優しい人でした。

いわゆる八方美人とは違います。
良いことも悪いことも厭わず、言いたいことを言います。

良い意味で、人付き合いにおいて計算ができない人です。

私はBをお人好しだと感じていました。
現に、ママ友間や親族間で少々利用されやすい一面があったからです。
同時に、心が清い人だとも思いました。

私は度々Bの相談に乗っていましたので、裏がない人であるとよく感じていました。
いい人であることを装う人は多いけど、深く話をすると本質が見えてくるものです。

ある時、Bから不妊治療をしていた時の話しを聞きました。

Bは初めての妊娠で死産を経験して以降、夫と性行為をする頻度が減りました。
自然妊娠が難しくなり、不妊治療を始めます。

それから約5年以上治療をして、体外受精にステップアップしても中々妊娠に到りませんでした。

Bは悩み、悲しみました。

虐待の事件を聞くたび、堕胎した話を聞くたび、子育てが辛いとSNSで嘆く言葉を聞くたび(※)に、「私なら子どもを大事にするのに。何で私の元には赤ちゃんが来ないのか」と悲しみ、羨み、妬んでばかりだったと話しました。当時の自分が嫌いだったとも。

真っ直ぐな性格のBでも、辛い環境下では羨んだり妬むのだと驚きました。
妬むのがBの本質だとは、とても思えません。

不妊治療はその過酷さから、精神的に不安定になることが知られています。
それを「不妊様」を揶揄する声も聴かれます。

傷つき長く悩んだ時には、普段の性格がどうであれ多くが「負」の感情を抱くのだと知りました。

※出産後は子育ての辛さがわかるようになり、大いに愚痴を吐き出すべきだと認識を変えています。

混乱期の言動

混乱期の私の暴れっぷりは、酷いものでした。

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あの時期だけを見て「あなたはこういう人」と捉えられたくありません。

では冒頭に挙げたyoutubeの女性はどうなのでしょう。

サレ妻が不倫相手に慰謝料請求「金の亡者。性格悪い」は正しいのか

やたらと食材を刻んだり、フライパンや揚げ物鍋の中の食材をいじり続ける彼女を「執拗な人」と捉えてしまった私ですが、それが女性の「本当の姿」なのかはわかりません。

彼女がまだ混乱期ならば、そもそも平静ではないでしょう。
普段は落ち着いていたとしても、彼女が動画を撮影している時に過去を思い出すことは、容易に想像ができます。

今はすっかり落ち着いている私も、過去を記事にするときはその時の感情が少なからず蘇ります。
悲しみや怒りが呼び起こされて、気持ちが揺さぶられることがありますから。

気持ちが落ち着かない時に、普段と違う行動をとることは珍しくありません。

不倫相手に慰謝料請求をする妻が「金の亡者」であり「性格が悪い」のかは、その時期だけを見ていても分からない。

決めつけは先入観を植え付けるため、危険です。

自戒を込めて。

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