深夜の役所に離婚届をもらいに行った話

既婚の主婦です。
12年弱の結婚生活の中で一度だけ離婚届を取りに行ったことがあります。

その時の話しです。

夫の裏切りと離婚

ワンオペ育児と夫婦のすれ違い

結婚して5年ほど経った時のことです。
二人目の子どもが産まれ、癇癪の激しい長女の世話と、生まれたばかりの次女の世話をワンオペでこなしていました。

不仲な両親の元育った私は夫と喧嘩をしたくなくて、私が我慢すれば丸く収まるのだと思い、家事育児をこなしていました。

その頃、夫は不遇が重なり精神的に不安定でした。

それまでは私がストレスを溜めがちな夫の愚痴を聞きだしていたのですが、育児で余裕をなくしていて、気持ちのすれ違いが起きていました。

夫は家族を負担に思うようになり、態度がぞんざいになっていきました。
私は何度か話をしようと持ち掛けましたが、拒絶されました。

夫の異変

数ヶ月の間、夫は休日に外出ばかりするようになり、さらに私や子どもに冷たく当たるようになっていました。

私が何を言っても取り付く島がなく、ああ、これが続いて仮面夫婦が出来上がっていくのだなと、寂しい気持ちが限界に近づいたとき、夫のさらなる変化に気が付きます。

スマートフォンを肌身離さず持ち歩いているのです。

これはおかしい。
そう思い、夫が風呂に入っている間に初めてスマートフォンを盗み見しました。

夫の裏切り

そこで仕事と嘘をついて出かけていた時間に、女性と会っていたらしいやり取りを見つけます。
食事に行こうなどのやり取りもありました。

散々私に偉そうに講釈を述べておきながら、怪しんでいた通り浮気かよ。

産まれてこの方味わったことのない猛烈な怒りが湧きおこり、風呂にいる夫に「バカにするなよ!」と突撃します。

その時の詳しい話がこちら☟

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夫の自白

驚いた夫は体を拭きもせず、真っ青な顔をして素っ裸のまま追いかけてきました。
スマホを見られたことを察した夫は、あっさり白状します。
キャバと風俗に通っていたことを。
女性とのやり取りは、キャバ嬢や風俗嬢とのものでした。
風俗が離婚案件でないと思われる方は男女ともにいるようです。
夫もまさか離婚なんて揉めることになるとは思っていなかったと言います。
実際私も、男ばかりの会社に勤めていた時に、散々既婚者や彼女持ちの男たちが風俗に行く話を聞いてきました。
風俗に行かれたら嫌だけど、男性にとっては浮気というよりアミューズメントなのだなと感じていたんです。
でも実際我が身となったら、全っっっったく許せませんでした。
本番アリも問題だし、オーラルも問題だし、何より嬢となんで連絡とってんだよ!! という怒りが全く持っておさまらないのです。
精神的な繋がりを求めているのか? あわよくば付き合いたいとでも思っているのか?
想像するだけで吐き気がします。
嬢とやり取りをしていた時間帯、わが家が食事中だったにも関わらず、スマホを触っていたのを覚えていました。
着信音がなる度にいそいそとスマホを見て返信を打つ姿を思い出し、吐き気がしました。

夫への嫌悪感

その後、パチンコ中毒になっていて、仕事と嘘をついてパチンコに行っていたこと、その送迎を嘘をついて私にさせていたこと。
パチンコに行く後ろめたさから、私や子どもたちを蔑ろにしていたこと。
仕事で二週間ほど遠方に行っていた際にも、水商売の子と個人的なやり取りをしていい気になっていたこと。
パチンコに嵌り、借金をしていたこと。
月に6万も8万も小遣いを渡しても、足りないと言って私を責めていた理由が借金にあったこと(飲み代は別に渡し、弁当を持たせているにも関わらず)。
※しかし驚くべきことに、借金はその後パチンコで勝ち続けてほぼ完済に近い状態となっていました。稼げてしまったので、より憑りつかれるようにパチンコに嵌っていました。
パチンコで勝った金で風俗やキャバに行き、仕事をしていた体で帰宅し、私に悪態をついていたことがわかりました。
私は子どもの世話をしていて、ほとんど眠れていませんでした。誰よりも夫に助けてもらいたかったのに、その間夫は私を裏切っていた……。
心底腹が立ち、「こんな男は要らない。養育費をもらって別に生活した方が心の安泰が図れる」と思い至りました。

離婚一択

しょっぱなから離婚一択しかないことをつきつけました。
夫が主に風俗による不貞を反省していたこともあり、養育費などの条件を提示し、飲ませました。
散々暴れた後、夫と改めて話し合いを持ちました。

遅すぎた夫婦の話し合い

夫は離婚を拒否しましたが、有責側に拒否権がないことを伝え、攻防となりました。(終始私が優勢)
私がいかに夫を愛して必要としていたか、具体的な夫の態度をあげ、どれだけ傷ついてきたかを切々と、時に激しく語りました。
夫は「仕事や人間関係が上手く行かないことを妻のせいにしていた。愛されていることも分かってなかった。俺は何もわかってなかった」と涙して反省を述べました。
話し合いの中で、お互いの言動を勘違いして受け取っていたことがわかるなどして、新たな気づきがありました。

夫の反省と努力

夫が全て素直に吐いたことや、翌日私が怒りのまま電話した友人宅に一人で菓子折りを持って謝りに行ったこと、家族への対応が180度変わったことなどから、一旦離婚を推し進めることをやめました。
夫が努力をしているうちは、様子を見ようと思いました。

フラッシュバック

しかし次なる障害は、フラッシュバックでした。
発覚当初はショックや怒りが頭から離れず、連日怒りや混乱に苛まれました。
夫自身も自分がしでかしておきながら私が離婚一択だったことにショックを受け、すっかりやつれたことや、私を放っておけないということで、一週間ほど仕事を休みました。
不貞や家族よりパチンコを優先していたこと、何度も嘘をつかれ騙されていたこと、何より私の存在を疎ましく思っているような態度だったことを思い出し、怒りと悔しさで一杯でした。
夫婦が対等でいるためには、一定の自尊心が必要だと思いました。
そうでなければ、どこまでも夫の言いなりになってしまいかねない。
自尊心を保つには、プライドも大事にしなければならない。
そう考えたら、離婚以外にあり得ないという結論に至るのが常でした。
暴れる私の思考を、夫が謝ったり愛情を伝えてきたりして宥めてきました。
私にずっと嘘をつき、騙してきた夫の言葉を信用しなければならないことに、さらに苦しくなりました。
そして発覚当夜のように時間をかけて話し合いをして、落ち着く。
それを繰り返して少しずつ落ち着いていきました。

サレ妻の感情ジェットコースター

発覚から数週間経つと、常に考えているわけではないものの、落ち着いている時と思い出した時の精神的落差が大きくなり、それはそれでかなり辛くなりました。
夫が仕事に復帰してからは、私を安心させるために頻繁にLINEを送ってきました。
私はそれが嬉しいと感じることもあれば、白々しいと腹が立ち、ブロックしたり着信拒否をしては思い直し、解除するを繰り返していました。
ほぼ毎日のように寝る時間を数時間削って、話し合いをしました。
主に事実のすり合わせや、互いの感情、愛情の確かめ合いのような内容でした。
今思えば夫は夜勤がある仕事にも関わらず、よく向き合っていたと思います。
有責ですから、当たり前と言えば当たり前なのですが。
話し合いは神経をすり減らし、傷つけあっているような感覚に陥ります。

自傷なのか?真実を知る行為

私は真実を詳細に聞きたいと思いました。
過去の夫とのLINEのやり取りと日付などを照らし合わせ、あの日は仕事だったのか、嘘をついていたのか。
どこのキャバクラに行き、誰を指名していたのか。その回数や滞在時間はどれくらいだったのか。
風俗はいつどの店に、何のコースで入ったのか。
衛生面や避妊はどうしていたのかなど、とにかく詳細に聞きました。
時に、これは自傷行為なのではないかと疑うこともあるくらい、傷つくこともありました。

嘘を真実で修正する

しかし少しでも疑問が残ると、また嘘をついているんじゃないかと想像が膨らんで、思考が暴れまわって苦しくなり、結局離婚して解決したいという結論に至ってしまいます。
真実を聞いても、「なんでそんなことをしたのか」「わたしに何が足りなかったのか」「あれだけ家族に尽くしていたのに」という疑問と自虐からやはり離婚したくなりましたが、疑問から膨らんだ時の思考より、真実を聞いて嘘ではないと思える方が安心できました。
「この人はもう私に嘘は言わないだろう」と思える誠実さ(今更だけど)が必要でした。

離婚には離婚届が必要だ

夫がそばにいて、愛情を感じるときは安心できるのですが、仕事などで離れると一転して不安と怒りが湧きあがることが数ヶ月続きました。
それは夫が眠っているときも同様でした。
私がフラッシュバックで苦しんでいる間に横で眠られていると「何呑気に寝てるんだよ!」という怒りが湧きあがりました。
あの時夫は私に嘘をつき、子どもたちを欺いて他の女性の元に行っていた。
私を責めておきながら、パチンコに通い借金までしていた。
ある晩、膨らみあがった感情が抑えられなくなり、養育費の算定表と公正証書の作り方を調べた後、いつものように離婚しかないと思い至りました。
そして離婚届が必要だと思いました。

離婚届の受け取り方法

時間は23時頃か、日付が変わるころだったと思います。

離婚届について調べました。

今はインターネットで離婚届のデータをダウンロードして印刷して使用することができます。

プリントアウトした離婚届の受理が可能かどうかは、市区町村によって変わるそうです。
ダウンロードは市区町村役場等の公式サイトからするよう、呼びかけられています。
しかしA3用紙で印刷しなければなりません。
A4二枚では受け取ってもらえません。
コンビニで印刷することができますが、どうせ家を出るなら、役所までもらいに行っても同じなように感じられます。
コンビニも人目に触れることがありますし、役所も人目に触れる点で同じです。
役所は深夜でも、夜間受付があります。
婚姻や離婚などといった戸籍に関わる届け出は常に受付されているため、深夜でも書類をもらうことができるのです。
ちょうど夜間受付の時間でした。
夜間受付なら、受付の人のみと会話するだけで済み、他の人の目がありません。
子どもたちは夫の横で眠りについていました。
仮に私が出かけている間に次女が起きたとしても、夫がいるので何とかするでしょう。
これは、行くしかないと思い立ちました。
授乳期で酒を飲んでいない時期だったため、夜でも運転ができました。
車に乗り、役所に向かいました。

夜間受付で離婚届を受け取る

人気のない役所の駐車場に車を停めました。

夜間受付はどこかと一瞬迷いましたが、きちんと入口外に設けられた看板に夜間受付の場所が図解されていました。

夜間受付は銀行のATM派出所のような小さなスペースの中にありました。
中にはマンションの管理人室のような小窓があり、カーテンが引かれていて中の様子を窺うことができません。

小窓前に「御用の方はベルを鳴らしてください」と書かれた札とボタンがありましたので、押しました。

ブーと音がしました。
しかし返答がありません。

もう一度鳴らすと、カーテンが開きました。

眠そうにした男性警備員が顔を出し、「はい」と弱弱しく言いました。
どうやらすぐ裏のスペースで仮眠を取っていたようです。

私は静かに興奮していました。

「離婚届を下さい」とだけ言いました。
「はい」と警備員が返答し、ガサゴソと何やら探りました。

「書き損じ用の離婚届2枚と、記入例が入っていますから」

そう言ってA4サイズの封筒を差し出されました。
そこには何の感情もありませんでした。

「ありがとうございました」

私も興奮していたのものの、何の感情も感じずに受け取り、その場を去りました。

道は空いていて、昼間であれば片道20分以上かかるだろう道のりを、往復で30分もかからずに家に着きました。

相変わらず夫も子どもたちも静かに寝ていました。
その晩は、私だけが興奮して眠れませんでした。

離婚届に記入する

翌日は夫の仕事が休みの日でした。

不安定な精神状態だった私の顔色を窺う夫に、離婚届を出して記入するように迫りました。
夫は真っ青な表情になり嫌だと言いましたが、有無を言わせぬ私の態度を見て、黙って記入をしました。

私の欄は記入しませんでした。

いつ勢いで出してしまうかわからなかったからです。

この時の私は、本当に離婚したい気持ちより、夫を試したい気持ちの方が大きかったように思います。
記入をした夫に「ほんとうに書くんだね」と言いました。

「どうしたらいいの。俺は試されてる気になるよ」といって泣きました。
「試してるんだと思う」

そう言って、何度も嵌めたり外したりを繰り返した指輪を改めて外し、夫に投げつけました。

離婚届と証人

荒れまくっていた私ですが、一年経つ頃には表向きには大方落ち着きました。

内面は度々荒れていましたが、表に出しているつもりがないのに夫が気が付き、私をケアするようになっていました。
発覚前は私の変化などまるで見ていなかったのですが、夫は大きく変わったのです。

根気よく夫が寄り添おうとしていることに、私も応えなければと努力しました。反面、二年半経った時点にも「夫が少しでも家族をぞんざいに扱ったら即離婚してやる」と思っていました。

夫は話し合いで私の愛情を知ってから、以前よりずっと好きになったといい、家庭を第一にするようになっていました。

当初は数ヶ月で元に戻るだろうと思っていましたが、6年経つ今も戻っていません。

3年が経つ頃には「もう信用してもいいかな」と思うようになりました。私も以前よりずっと夫を好きになりました。
だからといってまた同じことがあったら、次は離婚を思いとどまることはないでしょう。

夫もそれをよくわかっています。

だからこそ、一方的な悪い甘えがない関係が築けているのだと思います。

離婚届と証人

婚姻届けには古くから証人欄がありますが、離婚届に証人欄ができたのは割と新しいと記憶しています。

離婚届に証人欄ができてよかったです。
そうでなければ、怒りのジェットコースターが最高値に到達したときに、勢いで出しかねませんでした。

友人夫婦の夫の不倫が発覚したとき、妻は私と同じような行動をとって行きました。

暴れてぶつけて、地獄のような苦しみを味わう感情のジェットコースターに乗り続けなければなりませんでした。
友人の場合は不倫でしたので、より苦しかったと思います。

私は妻と夫、双方と付き合いがありましたので、双方から話を聞いていました。

妻は私と同様に、夫に離婚届の記入を迫りました。

そのことに夫はショックを受け、私に相談してきました。

夫は自業自得でしたが、妻が心のどこかで夫への愛情を捨てきらず、だからこそ苦しんでいるのがわかりました。

双方が了承の元、私が記入済みの離婚届を預かることになりました。
妻が心底離婚を決意したら、私が証人欄を埋めて妻に渡すと、事前に夫に伝えました。

不倫発覚から8か月が経つ今も、預かったままです。

妻は今でも苦しんでいますし、やはり手元に離婚届を持っていたら勢いで出しかねなかったと話しています。

夫婦間で決定的な揉め事があると、“お守りとして離婚届を持っておく”という方がいますが、まだ夫に少しでも気持ちが残っている場合は、取扱いに注意してください。

また、離婚の意思が固まっていたとしても、慰謝料や養育費等の取り決めが決まる前に出してしまうと不利になる場合があるので、注意が必要です。

不要になった離婚届その後

私と夫は再構築をして、現在は自他共に認める仲良し夫婦となりました。

深夜に役所に取りに行き、夫に記入させた離婚届は一年以上持っていました。

ある時夫がそれを発見し、心底傷ついた様子で「これ、まだ持ってたの? 必要ないよね?」と聞いてきました。

「何かあった時のお守りだったから」と言いましたが、夫が変わったことを実感していましたしあまりに傷ついた顔をするので(しかも離婚関係の話しを思い出すと、青ざめる夫)、「もう必要ないね」といって夫の前で破いてゴミ箱に捨てました。

正直私は、捨てるのが惜しく感じました。
まだ気持ちの整理がつき切っていませんでしたから。

でも今思えば、この時捨てておいてよかったです。

夫婦の関係に保険をかけると、投げやりになっていたかもしれません。

 

深夜の役所に離婚届をもらいに行った話でした。

 

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