性的に求められると自己肯定感が高まる女性の背景・先天的特性と心の傷

私は女性です。
初めての性体験は高校生の時でした。

正直なところ嫌でした。できれば経験をしたくなかったです。当時の彼氏が性的なことに興味津々で、断れませんでした。断れない自分も嫌でした。

自分が汚れてしまったような感覚になりましたし、避妊をしていても妊娠の可能性があることに恐怖もありました。
“幸せいっぱいの初体験”なんてものは幻想でした。

私は三人の娘を育てています。
子どもが初潮を迎える年ごろになりましたので、学校で教えない性教育をしなければならないと考えているところです。

そんな時に思い出す、ある女の子がいます。

女の子について記します。

性的に求められることで自己肯定感を養う危険

2019年に発刊された「ケーキの切れない非行少年たち」が話題です。

NHKの衛星放送で、少女の妊娠をテーマにドラマ化もされました。

少女は知的障害まではいかないものの知的なハンデがあり、友達に喜ばれたいという思いで万引きを繰り返したり、男性達に性行為を求められると簡単に応じてしまうなどの行動がありました。

結果として妊娠に到りますが、胎児を遺棄してしまい、少年院に入ることになるというストーリーです。

「必要とされている」とか「私にはこれしかできない」と捉えてしまい、男性の誘いに応じてしまう実話をもとにした人物像は、私が知るある女の子に通じるものがありました。

ある女子中学生の話

彼女は私の中学校の同級生でした。

身長が低めで、丸みのある体型をしていました。
ボブヘアはいつもあまり整えられておらず、バサッとした印象でした。前髪は目にかかるくらい。

いつも自信がなさそうで、顔を髪に隠すようにして上目遣いで人を見る癖がありました。

彼女は特定の仲の良い友達がいないようでした。女子達に避けられている印象がありました。男子には「菌がつく」と言われたり、容姿を弄られることがあったようです。

彼女は勉強が苦手らしいという噂を聞いたことがありました。口の悪い男子達は、「あいつ、バカでしょ」と言います。
テストでは平均を大幅に下回る点数しか取れていないようだという目撃証言が、多数出回っていました。

また、話す内容が少し「ズレている」とも言われていました。

私は彼女と同じクラスになったことがありませんでしたが、家の方向が同じだったこともあり、道で会えば話すことがありました。

確かに彼女と話をしていると、聞いたこととは違う内容が返ってくることが多々ありましたが、私の母親もよく話しをすり替える人でしたので、彼女の話に乗ったり、会話の中で話しを戻したりして、特に気にせず会話をしました。

私が彼女と話している様子を見た同級生に「あの子となにを話してたの。あんまり関わらないほうがいいんじゃない?」と言われたこともありました。私は色々な人と話すことに抵抗がなかったので、変わることはなかったのですが。

機会は多くはなかったのですが、話す度に彼女は同級生の悪口を言いました。
粘着質な言い方で、根に持つタイプだとは感じましたが、そもそも同級生たちが彼女をよく思わない発言をしていたようでしたので、彼女がそうなるのも仕方ないように感じていました。

彼女の家は中学校から200mも離れていない本屋の裏にありました。
私はそこからさらに数百メートルの距離を歩いて自宅に帰ります。

中学2年生か、3年生だったある日の夕方、私は文房具を買いに本屋に行きました。

本屋の脇に置かれたベンチに、彼女が座っていました。
ピンクのモヘア素材のトップスに、茶色っぽいミニスカート、ブーツらしき靴を履いていました。

肩が出ていて胸元も開いている、田舎の中学生にしてはちょっと刺激的な格好でした。
荒れている中学校に通っていましたので、やんちゃな生徒がそういった格好をすることはありますが、彼女がそのような格好をするのは意外でした。

しかし頭髪はいつもとあまり変わらず、手を入れていないようです。

「どうしたの」と聞くと、彼女は普段見せることがない笑顔で、「待ち合わせしてるの」と言いました。

夏の終わりか、秋ごろだったと思うのですが、ほどなくして陽が落ちる時間にも関わらず、「これから遊びに行く」と付け加えました。

「もう遅いのに、帰らなくて大丈夫なの?」と聞きました。25年以上前の話なので具体的に何と言われたのか思い出せませんが、とにかく家に人がいないだったか何だかの理由で「問題ない」と言います。

彼女は手にPHSを持っていました。PHSはスマートフォン等携帯電話が広く出回るより少し前に流行した、携帯電話に似た端末です。

なんとなく不思議に思い、「誰と遊びに行くの」と聞くと、PHSのメール機能で流行っていた「メル友募集」で知り合った20代中盤から後半の男性達が車で迎えに来るので、そのあとどこかに行くのだと言います。行き先は彼女も知らないとか。

「大丈夫なの? 変なことされないの?」と聞くと、彼女は笑って「私がいいんだって。みんな私を必要としている。今日が初めてじゃないよ。もう何回もしてる」と、体の関係があることをほのめかして嬉しそうに答えました。

私は驚きました。当時の私は中学生で未経験でしたし、そういった行為は怖いもの、汚いものだとさえ思っていました。それを身元が分からないかなり年上の人達として、嬉しそうにしていることに衝撃を受けました。

相手が特定の人なのか、男性“達”を相手にしているのかは聞けませんでした。

「そういうの、やめた方がいいんじゃない?」と何度か言いましたが、「大丈夫だよ。みんな私のこと好きだもん」と全く取り合われなかった印象が強く残っています。

私は子どもで、それが虐待や暴行に当たることをわかっていませんでした。今であれば親や学校に報告するべきだったと分かりますが、当時は親に性的な話をすることに抵抗がありました。

程なくして車で迎えに来るという男性達に会いたくなくて、「危ないと感じたらすぐに帰りなよ。電話で助けも呼びなよ!」とだけ言って、急いで家に帰りました。(今であれば彼女を無理やり引き止めたり、隠れて観察し、車のナンバーを控えるなどしたでしょうがこの時は何もできませんでした)

その晩。彼女は無事に家に帰れただろうかと心配になりましたが、親には言えませんでした。

これが週末だったか平日だったか覚えていないのですが、とにかく次の登校日には、彼女はいつも通り学校に来ていました。

別のクラスでしたから二人で話す機会はもともとあまりなかったのですが、それ以来、偶然彼女に出くわすことはなく、あの日の話を聞くことがないまま卒業を迎えました。

しかし同級生のある女子(上に兄弟がいてませている子)から「あの子は良くない噂がある。ちょっと普通じゃない。よくわからない男と一緒だったって噂がある。体目的の男に利用されてるのかもね」という話しを聞きました。

自己肯定感を性で補う

卒業後、彼女の話は誰からも聞きませんでした。

彼女が実際どんな人だったのか、今どうなっているのかもわかりません。

あの日私は何をしてでも止めるべきだったのか、それとも利用されていたとしてもそれで満足しているなら見守るべきだったのか、と考えます。

……今でもやはり止めるでしょうが……。

ギャンブルなどと同様に、愛のない性行為は一時的な充足感しかありません。体は心と密接なつながりがあり、愛のない性行為は身体と心を「減らすもの」だと私は捉えています。だから止めます。

でも愛があるかないかは当人の捉え方次第なのですよね。

行為自体を愛だと思っているなら、或いは愛があるかどうかなど関係がなく、彼女にとって必要とされること自体が嬉しいなら、それを否定していいものなのかと考えます。

父親からの虐待の傷を他の男性との性交渉で満たす

私が高校で出会った友人は、父親の借金や女性関係で家族が崩壊し、酷く傷ついていました。

その後もうまいことを言って母親や兄弟に取り入ろうとしてくる父親は、その裏で、娘である彼女に金をせびりました。彼女は自分の学用品や生活費を稼ぐためにアルバイトをしていたのですが、その金を狙われたのです。

「返すから貸して」と言われて金を渡したのが始まりでした。しかし何度金を渡しても少しも返ってくることがないため断ると、「お前は父親を殺すのか」となじられました。

彼女は父親に金を渡しているうちに男性不審となり、性依存に陥りました。

彼女を本当に好いている彼氏がいるにも関わらず、並行して数人の男性と付き合いました。また、出会ったばかりの男性とも簡単に関係を持ちました。結果的に妊娠、堕胎を繰り返すことになります。

彼女は私に、それらのことを赤裸々に話しました。
「自分の身体も心も大事にしなよ」「〇〇君(彼氏)を大事にしなよ」と何度言っても、性依存は終わりませんでした。

止めてもどうにもならないことがわかりましたので、避妊だけはするようにと言うようになっていきました。

精神的にどんどんと不安定となり、自殺未遂などもありました。
混乱は15年以上続きましたが、長く付き合っていた彼氏が全てを知った上で、彼女が根底で求めていた「安定」を与えたことで落ち着きました。

性と特性と心の傷

先天的な特性や心の傷などが貞操に影響することが、少なくありません。

中学で出会った彼女は、少なくともあの時点では、求められることで自己肯定感を高めているようでした。
それは先天的な特性のせいなのかもしれませんし、環境がそうさせたのかもしれません。

男性不審から性依存に陥った彼女は、「男がどんなに私を好きだと言っても信用できない。男は嘘をつく生き物だ。保険をかけるために多数の男と付き合う」と豪語していました。求められることで自己肯定感を高めるのだとも言っていましたが、反面、私には自分の身体を軽視した、自傷行為のようにも感じられました。

私は彼女を見て、「心と体の密接な関係」と「身体が減ると、心もすり減る」ということを知りました。

彼女たちの性を軽視した行動は、道徳からは逸脱しているかもしれません。

社会的に言われる「道徳」は理想でしかありません。
それに則って生きる方が、関係が築きやすいというだけです。

実際道徳心は大切なのですが、それだけではどうにもならない問題があります。

性行為は本能的で単純ですが、性(体)に深く関係する人の心(脳)は簡単ではありません。

「ケーキの切れない非行少年たち」を読み、私が感じていたよりもずっと「色々な人がいる」ことを知って、娘たちに性をどう話すべきか、考えています。

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