妻に弱音が言えない夫は少なくありません。
言わない、言えない理由は様々です。
〇 男らしくいたいから
〇 妻に聞き入れてもらえる気がしないから
〇 言っても無駄だから
〇 妻と会話をしないから言う機会がない
夫が弱音や愚痴を“言いたいのに言えない”場合、不義理に繋がる可能性があるので早めに潰しておくことをお勧めします。
男の弱音とはけ口について、個人的見解を記します。
夫の弱音を聞いてますか?
周囲の既婚子持ちの女性達に「夫の愚痴を聞くか」を聞きました。その結果がこちらです☟
この質問をした時点から、厳しい意見が多く飛び出しました。
特に「仕事の話しをしない」「会話自体がない」家庭の妻からはこんな厳しい意見がありました。
・「普段見下したようなことばかり言われる。それで弱音なんて言われたら冗談じゃないと発狂必至。離婚するかも」
・「出産や、子育てと仕事の両立で死にそうになっても、『女の仕事』とか『俺の方が辛い』と言って全く聞いてくれなかった。今更夫の弱音なんて聞けない。言ってきたら、『お前の仕事だろ。私の方が辛い』って一刀両断する。」
・「助けてほしいときに助けてくれなかった人とは会話をしたくない」
「最近顔を合わせていない」家庭からは、「いない人だと思っているから、弱音を聞くとか以前の問題」と聞きました。
しかしこんな意見もあります。
「言われるまでは普段通りに生活する。言われたらそれほど辛い時だと思って、しっかり聞くと思う」
因みに私は結婚10年を超える既婚女性です。
夫と出会った当初から、弱音を聞いていました。
しかし聞けない時期がありました。
その時期に事件は起こります。
弱音を言えない夫の弱さ
これは私と夫の実例です。
夫は人に注意をしたり、意見するのが苦手です。
性格もありますが、先天性の難病を持って産まれ、身体的特徴が現れるため、コンプレックスにまみれて育ったことが影響しています。
小学生のころ、コンプレックスを母親にぶつけたことがありました。母親の涙を見て、「本心を言葉にすると碌なことにならない。誰かを悲しませてしまう」と思ったと言います。
夫は周囲に口数が少ないと思われていますが、実はそうではなく、ため込みやすいだけでした。
私が夫の身体的特徴を自然に受け入れたことから、夫は出会った当初から私にはよく喋りました。
しかし第二子を出産後、子育てと家事で手一杯になり夫の話しを満足に聞けなくなりました。
その頃夫は職場の同僚一人に、虐めのような嫌がらせを受けていました。
重なるように、夫が独身時代から飼っていた猫が病気で他界し、その後すぐに、職場で相談相手だった先輩が事故で亡くなりました。
私は夫がイライラしているのを感じていました。しかし次女の産後で睡眠がとれず、長女にもとても手がかかっていたため、全く余裕がありませんでした。
外でも家でも弱音や愚痴を言えなくなった夫は、パチンコ中毒に陥りました。
私と出会うまではため込んで時たま爆発させたり、たまに体を動かすことで発散していましたが、仕事の忙しさもあり叶いませんでした。
パチンコをはじめとしたギャンブルでは、根本となっているストレスを解消することはできません。
パチンコをして晴らせるストレスは「パチンコをしたい」という欲だけでした。
パチンコで負ければさらにストレスを抱え、勝てばその金を持って、おだててくれるキャバクラや風俗に行きました。
事態が発覚後、大揉めに揉めて離婚の危機に陥りました。
再構築に臨む間、夫婦でたくさんの話しをしました。
私は子育ての辛さと夫の態度で傷ついたことを話しました。
夫からは、人間関係で追い詰められていたことを聞きました。
圧倒的に、話しをしてお互いを理解する時間が足りていなかったことに気が付きました。
寝不足でしたし、長女は延々と癇癪を起し続けていました。あの時期は本当に時間がないと思っていました。
しかし再構築をする間は少しの時間も惜しんで話し合いをしましたので、会話をする時間を作るのは無理なことではなかったのです。
「男らしさ」の呪縛
夫は人間関係のストレスを、麒麟のせいにしていたと謝りました。
私が夫を褒めるので、褒められる人間でいなければならないと思い込んでいたと言います。
「夫は褒めて育てろ」と世間でよく聞きましたので、いいと思うところを褒めていただけでした。正直なところ、不満はたくさんありました。
そういって夫は泣きました。
誰が男、父親、夫は弱音を言ってはいけないと言ったのか!? 少なくとも私は言っていない! と腹が立ちました。
私は男の涙に抵抗がありません。むしろ好物と言ってもいいくらいです。
しかし夫は「男は泣くな」「男はつよくあれ」「男だろ!?」と育てられた世代でした。価値観が刷り込まれていたのかもしれません。
また私が産後で余裕がなかったのも確かでした。私の余裕のない態度に夫の先入観が重なって、すれ違いが続いたことがわかりました。
出会ってから出産するまでさんざん夫の弱音や愚痴を聞いて来ていましたし、結婚直前から直後には夫が騙されて作った借金の返済をしてきました。「情けない姿を見せられない」意味が分かりませんでした。
夫と暫く話し合いをしていく中で気づいたのは、「妻と子どもがいる一家を男の俺が支えなきゃ。理想の父親、夫にならなきゃ」と思っていることでした。子どもが一人増え、二人増えてプレッシャーが増していたのです。
それは、私が結婚や出産後に「いい妻、母親にならなきゃ」と思い込んでいたことと同じでした。
いい父親いい母親が夫婦を壊すことがある
世間が求める“いい父親、いい母親”という価値観に縛られ、夫婦仲が冷め、冷ややかな夫婦を見て子どもが育つとしたら、果たしてそれは「いい父親、いい母親」なのでしょうか。
揉めて離婚を考えた時に、全てがバカらしくなりました。
誰のために、何のために頑張っていたのだろうと考えると、そこには家族ではなく世間が言う「理想」「普通はこうあるべきもの」という固定概念しかなかったことに気が付きました。
それからは子ども優先ではなく夫と自分を優先することにしました。
もちろん、子どもは大切です。しかし夫と私が話しをしていたら、急を要しない場合は子どもに待たせるなどをするようになりました。
食事なども適度(?)に手抜きをするようになります。
夫婦仲がよくなると、子どもたちは喜びました。
家族の雰囲気がよくなると、夫は何よりも家族といる時間を優先するようになり、自然と子育ての相談もしやすくなりました。
子どもたちものびのびと育っています。
「弱さ」が溜まるとはけ口を探す
「いい夫、いい父親」や、「男はこうあるもの」という価値観を守るために、妻や家族に弱音を言えない男性は少なくないように感じました。
妻も夫にそれを求めている場合がありますね。
理想を守り、その裏で弱い自分を支えるために、ギャンブルや異性をはけ口にするケースがあります。
「不倫相手との関係は“責任”がないので楽で楽しめた」
こう言っておきながら、「妻や子どもたちと離れたくない」「別物」ということこそが心理と言えます。
生物学的な性欲の違いもあるのでしょうが、「世間が求める男性の姿」と実際のギャップが息苦しいのだと感じました。
……だからって不義理が許されるわけではありませんけどね!!
男性に限らず、女性も「世間が求める女性、妻、嫁、母親の姿」に苦しんでいます。男性の方が声で不満を発しにくい分、行動で出てしまうのでしょうか。
一般論や理想論など、なくしてしまいたいものです。
夫婦の会話の勧め
弱さを共有するには、ただただ、コミュニケーションを取るしかありません。
「言わなくても分かるはず」は幻想です。
私は夫と気持ちがすれ違っていた時、「夫は私をわかってくれている。私も夫をわかっている」と信じていました。
しかし揉めて長い時間話し合いを持ったとき、数々の誤解があったことがわかりました。
深い話し合いをしなければ気がつけないことでした。
例え似た思考の二人であったとしても、違う人間です。思考が全て一致することはあり得ません。
コミュニケーションが不足すれば、どんなに相手の思考を想像したとしても必ずズレが生じます。
話しをしてすり合わせをしなければ、ズレは広がっていく一方です。
夫婦にとって、会話は最重要事項なのです。
夫婦の会話と離婚率
2015年にゲンナイ製薬株式会社が行ったアンケート調査によると、円満夫婦の会話時間が80.4分だったのに対し、不仲夫婦は27.6分という差が見られました。LINEなどのやり取りについても、円満と不仲夫婦では明らかな差が出ています。
「不仲だから会話をしたくない、連絡を取りたくない」という当たり前の結果と思われるかもしれません。
しかし私は自身の経験から、「コミュニケーションを取らないから『不仲』になっていく」ケースが含まれていると想像します。
夫婦の会話によって経験したことアンケート「ちょっとした一言で傷ついたことがある」の質問では、円満夫婦84.7%、不仲夫婦95.3%でした。
しかし「ちょっとした一言で嬉しくなった」では大きな差がありました。
「言いたいことを我慢し過ぎて爆発した」も顕著な違いが見られました。
普段喧嘩がない夫婦でも、不満を溜め込み過ぎると修復が難しくなる場合があります。
言いたいけど言えないセリフ
思っているけど照れくさくてなかなか言えないセリフの質問では、「いつもありがとう・感謝しているよ」が男性47.4%、女性36.0%。「愛している・大好き」が男性40.8%、女性29.0%と、女性よりも男性の方が言いたいけど言えない傾向が見られました。
「男は黙って〇〇しろ!」と昔はよく聞いたものですが、長時間勤務や女性の社会進出、性格、その他要因も相まって、夫婦のコミュニケーションが減り、不器用な男性はより戸惑っているように感じられます。
会話における不満解消の秘訣
「会話をしようとすると面倒くさそうにされるし、何を話せばいいかわからない」という声も多いようです。
NHKのクローズアップ現代で「夫婦の会話」が取り上げられました。
実験では、夫婦に「直してほしいところ」を話し合ってもらうと、互いの脳が共鳴し絆が深まっている様子が見られました。
アメリカの研究では、不満を我慢した夫婦は早く死亡する確率が2倍となる結果が出ています。
例え一時的に喧嘩になったとしても、不満を伝え合うことが夫婦円満にも、長生きにもつながるということです。
私と夫が円満なのは、再構築中からそれ以降、不満点をとことん聞きあって、二人の落としどころを探したからなのかもしれません。
会話がないけれど会話をしたい場合は、「私(俺)に言いたいけど我慢していることある?」と話しかけてみてはいかがでしょうか。「もっと理解し合いたい」を重点に話しを進めるのです。
不満点を言う時は冷静に切り出すことが大切です。
怒ったり泣くのは、段階を踏んでからがお勧めです。
会話って難しいものだっけ?
結婚する前は、互いの気持ちを聞きあっていたのではないでしょうか。
夫と大揉めする前、夫は家族を蔑ろにしていました。(その自覚はなかったようですが)
夫に「寂しい。家族との時間を作ってほしい」と伝えたことがありました。他にも具体的に伝えていましたが、「何が不満なの?これ以上何を求めるの?」と夫は聞き入れませんでした。
子どもの世話をしながら、孤独感で一杯でした。
その上で不義理が発覚したため耐えられませんでした。「夫は不要。離婚一択」という答えしかありませんでした。
一度すれ違ってしまうと、どちらかの努力では修復が難しいのかもしれません。
いい男、いい夫、いい父親を目指すなかで、日本に蔓延る無駄な謙遜文化などから、妻をバカにしたり卑下して妻の心が離れている場合があります。そうなってしまうと修復は難しく、夫が弱音を言おうものなら、一気に離婚を突きつけられる可能性があります。
普段の態度や思いやりの積み重ねが夫婦の仲を作ります。
少しでも危機感や寂しさを感じているのなら、「会話」を大事にしてください。