こどものおもちゃ・ネタバレから最終回・続編まで・心の深さを学ぶ漫画

「こどものおもちゃ」という漫画をご存じでしょうか。

集英社発行の月刊少女漫画雑誌「りぼん」にて連載されていました。
単行本は第一巻が1995年4月に発売され、1999年に発売された10巻で完結しています。

1996年~1998年にテレビ東京にてアニメ化されました。

ギャグが多く、展開の速さやリズムの良さから非常に人気が高い漫画でしたが、テーマは「心の闇」という重いものでした。

産後すぐに親に捨てられた主人公「倉田紗南」。
出生時に母親が死に、家族に蔑ろに育てられて暴力沙汰を繰り返すようになった同級生「羽山秋人」。

この二人が織りなす精神の成長の物語です。

☟こちらで読めます

「こどものおもちゃ」の連載当時、私は小学生でした。
単行本を買ってから今まで、30年近くの間持ち続けています。

親になって読み返すと、より、心に響くものがありました。

小学生の娘たちにも読んでほしい漫画です。
「こどものおもちゃ」を懐かしいと思う方にも、知らない方にも作品の魅力を知っていただくべく、詳細をお伝えします。

こどものおもちゃ作者・小花美穂

「こどものおもちゃ」の作者は小花美穂さんです。

小花美穂さんは1990年にデビューした漫画家です。

さくらももこのアシスタントをしていました。
夫はアニメ「こどものおもちゃ」の音楽担当者です。

代表作は以下の作品です。

こどものおもちゃ
パートナー
アンダンテ
Honey Bitter
現在(2020年)も活動されています。

こどものおもちゃ・あらすじ

学級崩壊

私立神保小学校6年3組は学級崩壊をしていました。

崩壊の主犯は羽山秋人です。
飄々としたボスざる的な秋人に憧れたクラスメイトの男子たちが、秋人に気に入られようと教師への嫌がらせや授業妨害を繰り返していました。

主人公の倉田紗南は劇団こまわりに所属して芸能活動をしています。
秋人にイライラを募らせながらも、面倒なことは避けたいと見て見ぬフリをしてきました。

しかしある時我慢の限界を迎え、秋人を叱ります。紗南に乗じて女子生徒たちも参戦し、秋人に文句を言いました。

秋人一味にやり返されるのではないかと心配しましたが、秋人は紗南ではなく別の女子生徒をターゲットにして池で溺れさせました。
女子生徒を救出し、紗南は秋人に怒りをぶつけます。

羽山秋人の家庭

秋人が教師の弱みを握っていることを知り、秋人の恥ずかしい写真を撮って大人しくさせる作戦を思いつきます。
作戦は成功しますが、同時に秋人が家庭で居場所がないことを知り、心配するようになりました。

秋人の出生時に母親が死に、姉から責められ続けて育ったこと、自分を悪魔だと責め続けていたこと、父親と全くコミュニケーションが取れていないことがわかります。孤独感とストレスを溜め続けていたのです。

紗南が出演するドラマが秋人の境遇と似ていたため、作品を通して、そして直接話すことで羽山家にメッセージを送りました。

紗南が秋人に伝えたかったのは「母親は子どもが産まれる前から子どもを愛していること。産むことが母の幸せであること。母の分も生きて」でした。

紗南が羽山家を引っ掻き回したことで、羽山家はコミュニケーションを取るようになり、関係が回復していきます。

秋人は学校で暴れることがなくなり、平和が訪れました。
相変わらず捻くれた発言が多い秋人ですが、紗南を好きだと自覚するようになります。

紗南の初恋は元ホームレス

紗南は紗南のマネージャーを勤める同居人、「相模玲」を自分の“ヒモ”だと公言して、玲に小遣いを与えていました。
玲は不幸が続き、ホームレスをしていた時に紗南と出会い、拾われてマネージャーとなったのでした。

玲は紗南が自分を助けてくれたのだと感謝していました。紗南が望むならと、恋人役を演じていたのです。
そんな中、玲の元カノが現れて事態が一変します。

紗南は玲をおもちゃ扱いしている子どもなのだと、母親の実紗子に諭されます。
恥ずかしさを感じるとともに、玲離れをしてひとつ大人になったのでした。

子どものうちは夢を見ていい

そんな中、秋人が隙をついて紗南にキスをします。秋人の愛情表現なのですが、鈍い紗南には通じませんでした。

クラスメイトの剛の妹が無精卵の卵を孵化させようと温めていることを知った紗南は、卵とヒヨコをすり替えて、妹を喜ばせようとします。
間違った知識を植え付けさせる行為に、秋人は反対します。
紗南は「現実は大きくなれば嫌でも知るから、子どものうちは夢を見ていていい。子どもはそれでいいんだ」と母親に言われたことを理由に、ひよこにすり替え、妹を喜ばせました。

秋人の父親が吐血して倒れました。
秋人に紗南が寄り添い、子どもの無力さを実感します。

紗南が仕事で疲れて眠ってしまい、約束を破って友達を怒らせてしまいました。
孤立した紗南を気にかけ、紗南を虐めようとした男子と喧嘩をするなどして、秋人なりに紗南を守ろうとします。そうして少しずつ二人の絆が深まっていきました。

林間学校

林間学校の前日、紗南は小説家の母実紗子に、「約束だったエッセイ出版の準備を始める」と伝えられます。
エッセイ集の発売は、紗南が5歳のころに実紗子と約束をしていたことでした。

林間学校中、紗南が何かに悩んでいることに気付いた秋人は紗南を問い詰めます。

紗南の普段の明るさは演技なのではないかと話す秋人に、紗南は「誰でも少しは演技をしている。元気がないと紗南らしくないと言われてしまう」と答えます。また「エッセイの発売は昔からの約束だったからやめることはできない。エッセイが発売されたら、ママとの関係が変わってしまうかもしれない。ママは私を好きじゃないのかもしれない」と秋人に泣いて話しました。
「紗南は俺を救ってくれた。紗南の力になりたい。泣きたくなったら俺のところに来い」と紗南を勇気づけました。

養護施設で育った直澄

紗南は芸能界で人気急上昇中で同学年の「加村直澄」と出会います。
直澄は紗南に「君と僕は同じ秘密を持つ子どもだ」と意味深なことを伝えます。
直澄について調べると、加村学園という養護施設出身であることがわかりました。

紗南は生まれたばかりのころ、一か月だけ加村学園で世話になったことがありました。そのころに紗南と直澄は出会っていたのでした。

エッセイ「娘と私」発売・紗南の出生

エッセイが発売されました。

エッセイには、実紗子が不妊に悩み、絶望した過去があったこと。紗南が産後間もなく公園のベンチに捨てられていたこと。赤ん坊を実紗子が保護して届けた末に、周囲の反対を押し切って引き取っていたことが詳細に記されていました。

エッセイ出版の目的は、本当の母親に名乗り出るよう求めることでした。
そのために実紗子は有名な作家になり、紗南には普通の子どもよりちょっと有名になるよう芸能活動をさせていたのです。

倉田家はマスコミに囲まれます。
家では詳細を知らなかった玲が、「紗南の気持ちを考えていない」と実紗子を責めて険悪な空気になっていました。

秋人は紗南を心配し、自転車で倉田家に突っ込みます。そのまま紗南をささらって羽山家に連れ帰りました。
数日羽山家で世話になることになりました。その間に直澄が養護施設で育ったことを公表し、世間の目を紗南から引き離そうとします。

周囲に迷惑をかけていると思い、紗南は沈んだ気持ちが続いていました。

血縁上の母親現る

間もなく、紗南の産みの母が加村学園を通じて倉田家に連絡してきました。

母親はネグレクトを受けて育っていました。14歳の時に叔父との間に子どもができ、一人で出産し、怖くて捨てたと話しました。
その後別の男性と結婚して新たに出産しており、紗南に妹がいることを知ります。

秋人と妹に会いに行きますが、そこで母親に「あなたを母親だと思えない。二度と会わない。産んでくれたことには感謝している」と泣きながら伝えて別れました。

紗南は実紗子に母親とは二度と会わないと伝えます。すると実紗子は「いつか本当の母親に紗南を連れて行かれるんじゃないかと怖かった。母親に、紗南は私の娘だと示したかった」と言いました。「私はずっとここにいていいんでしょ?」と聞く紗南に「当たり前でしょ」と実紗子がはっきりと答え、母娘の関係がより深まりました。

中学校進学

小学生生活最後のクリスマスに秋人は紗南に二度目のキスをしました。微妙な関係のまま神保中学校に進学しました。

中学校で紗南に「松井風花」という友達ができます。風花は容姿や性格が紗南と似ていました。

秋人と紗南は別のクラスになりました。秋人の担任「千石」は生意気な秋人をあからさまに攻撃しましたが、空手を始めたり少しずつ大人になったことで、怒りをそれなりに抑えられるようになっていました。

秋人は紗南に気持ちを伝えようとしますが、伝えられないまま紗南は長期の映画撮影に入りました。

映画・水の館撮影

映画の撮影で紗南と秋人を含む友人達の連絡が取れない中、風花と秋人が急接近します。

映画の撮影中、共演している直澄と紗南が交際しているという嘘の記事が出回りました。秋人が紗南を好きなことは、紗南以外は気が付いていました。
秋人や風花たちは記事や噂を信じてしまいます。落ち込む秋人に同情し、風花は付き合おうと持ち掛けました。

撮影中、直澄の熱狂的なファンのリンチに遭い、紗南は足を骨折します。
身体をかばいながらも強い気持ちで撮影を続けていましたが、秋人と風花が付き合い始めたことを知った紗南は、大きなショックを受けて心が挫けてしまいます。

駆けつけた実紗子が「忘れて逃げようとせず、徹底的に悩みなさい」と激励します。
悩みを書き出して心の整理をつけた紗南は、秋人が好きだと自覚します。直澄の告白を断り、自分の失恋も確定した紗南でした。

気まずい学校生活

学校生活に戻ると、風花と秋人にどこか気まずさを感じるようになっていました。

直澄は学校での紗南の状況を知り、紗南を助けるために「紗南の好きな人は羽山秋人である」と名前を伏せてテレビ番組で発言します。
秋人はその番組を観ており、紗南が自分を好きなことを知り衝撃を受けました。

秋人は紗南を問い詰めます。
紗南は秋人が好きなことを認め、秋人も紗南が好きだったと話しているところを風花に聞かれてしまいました。

秋人は風花を無下にできず、紗南と付き合うことを選びませんでした。
ますます二人と気まずくなった紗南は、芸能活動に力を入れることで学校から逃避します。
紗南と会わなくなり、少しずつ秋人は荒れていくようになりました。

ある時千石に嫌味を言われた秋人は、千石がカツラを被っていることをばらしてしまいます。
怒った千石は二人きりの時に秋人の腹を殴りました。さらに殴られそうになった時に空手で鍛えた身のこなしで避けて、つい殴ってしまいます。
千石は自分が先に殴ったことを隠して学校に報告し、秋人は10日間の停学処分を受けました。

千石は過去に自分を虐めていた同級生を秋人に重ねて、憎んでいました。

停学

停学中もゲームセンターで絡んできた男たちと喧嘩になり、益々秋人は荒れていきました。

風花は小学生時代の秋人の暴れっぷりを知らないため、驚き悩みました。
紗南は剛から秋人が荒れていることを聞き、秋人を心配すると同時に好きだという気持ちが高まっていきました。

停学中、走りまくって体力を消耗させていた秋人に街で偶然会います。
紗南とハグすることで、秋人の目つきが和らぎました。

小森和之

秋人の停学が明けるころ、紗南は久しぶりに学校に登校しました。
風花は紗南と秋人をめぐってライバルであることを認め合いました。

ちょうどその日、秋人のクラスメイトの「小森和之」が「羽山君に傷つけられたから自殺する」と書き置きを残して行方不明になったことがわかりました。秋人は小森の名前も知らないほど付き合いがなく、身に覚えがありませんでした。

職員や小森の母親、生徒たちの前で千石が「お前を恨んでいる者はたくさんいる。子どもだから見逃されているだけで、お前は犯罪者だ」と秋人を責めました。

自宅待機を言い渡され帰宅しようとした秋人は、和之が秋人のロッカーにノートを残していることに気が付きます。
中には人目を気にせず傍若無人に振る舞う秋人への憧れと、死に場所にF湖の樹海を選んだことが書かれていました。

ちょうどその頃、風花は昔の秋人の話しを、剛から聞き出していました。
暴れていた秋人を紗南が止めていたことや、二人の強い結びつきを聞き、風花の表情は曇っていきました。

F湖に一人で向かうことにした秋人は、出発前に紗南を呼び出します。
そこで和之から受け取ったノートのことや、紗南や風花との関係を「ちゃんとする」ことを告げて向かいました。

F湖樹海

秋人は目印をつけながら樹海の中を進み、和之を見つけました。

和之はナイフを持ちながら、秋人が来てくれたことを喜びました。
なぜ今回の騒動を起こしたのかを問うと、和之は秋人を「強い人」と言い、やはり憧れを抱いているようでした。秋人を友達だと思っていたのに素っ気ない態度を取られて、裏切られたと思い込んでいたのです。

二人が仲がいいという証拠を残すために、一緒に首を吊ってほしいと和之が頼みました。

秋人は「母親がオレを命がけで産んだから」と心中を断ります。
そして「オレに死んでほしければ、小森がナイフで刺せ」と挑発しました。

和之は憎しみの感情を昂らせ、秋人の腕を刺しました。
多量の出血に驚いた和之は、叫んでしゃがみ込みます。

秋人は腕を縛り「帰るぞ」と帰路につきました。和之は怒りっぽく支配欲が強い母親の話しや、秋人と友達になりたいことなど様々な話をして地元の駅に戻りました。

出血性ショックによる危篤

地元の駅では紗南の情報により、警察や関係者が待機していました。
紗南は生放送の司会の仕事が迫っていましたが、ぎりぎりまで秋人を待っていました。

秋人は和之と皆の前に現れます。小森母は和之を省みることなく、秋人の頬を叩きました。秋人は紗南の顔を見ると意識を失ってそのまま倒れ込みました。
秋人の腕の傷は深く、動脈性出血による出血性ショックで心肺停止となります。
緊急手術となりました。

秋人の容体が危険な中、病院で警察が「殺人未遂の可能性がある」と小森母に事情を聴き始めました。
息子をかばい続ける小森母と警察に、紗南は「今話すことではない」と怒りをぶつけます。
風花を含め同級生たち「子ども」が紗南に賛同し、大人を黙らせました。

秋人は死んでもいいと思っていましたが、秋人の母親の精神が現れ、秋人を止めました。
脈と呼吸が回復し、秋人は助かりました。

生放送遅刻

生放送の司会の仕事に大幅に遅刻することになりました。
遅刻した穴は、事情を知った直澄が埋めてくれていました。紗南はそのテレビ局での活動を自粛することになりました。

マスコミに遅刻の理由を問いただされましたが、和之や秋人を守るため一切話すことはしませんでした。
紗南は世間からバッシングを受けました。

傷つけてきた罪悪感・心因性呼吸困難・心因性嘔吐

秋人は風花と別れました。風花は「傷ついた心にも時効はある」と励ましました。

秋人は風花や、これまで傷つけた人たちへの罪悪感を募らせていきました。
呼吸困難や嘔吐を伴う心因性の発作を繰り返すようになります。

秋人の腕は麻痺が残り、感覚を失って動かなくなっていました。それでも秋人は自分の体より、傷つけてきた人たちの心を救いたいと思っていました。それは紗南が秋人の心を救ってくれた過去があるからでした。

13歳の殺傷事件

和之は14歳未満だったため、刑罰を受けませんでした。

和之はカウンセリングにかかり、心と向き合うことになりました。追い詰められた背景には、母親とのコミュニケーションの問題があるようでした。秋人とたくさん話をしてから、精神的な雑音がなくなったと話しました。

風花から秋人の発作の話しを聞いた紗南は、病院に向かいました。
「苦しいことがあっても逃げないで受け止めて。私も一緒に耐えてあげるから」と伝えると、発作が起こることはなくなりました。

小森母もカウンセリングを受けていました。そこで単身赴任中と聞いていた小森父が、過失で事故を起こし交通刑務所で服役中であることがわかります。小森母は和之を傷つけないために必死で隠してきました。

和之は全て知っていました。母親が隠したがっていることを知って、知らないフリをしていたのです。

カウンセラーは「子どもは大人が思うほど子どもではありません。大人も自分で思うほど大人ではありません。息子と一人の人間として向き合い話しをしてください。大丈夫。やり直せます」と告げました。小森母は泣きました。

和之はやり直すために母親と引っ越し、転校することになりました。
入院している病院を抜け出した秋人と紗南は見送りに行きます。

和之は以前より母親と話せるようになったこと、秋人と話しをして心が軽くなったことを伝えて出発しました。
秋人と和之はアドレスを交換し、友達になりました。

風花と別れたことを紗南に話し、紗南と秋人は付き合うことになりました。

退院

秋人が退院しました。利き手の右手が使えず不便でストレスが溜まりましたが、紗南と接することで和らぎました。

相変わらず担任教師の千石の態度は冷たく、紗南は怒り狂いました。
しかし秋人は「オレもああいうやつになっていたかもしれない。紗南に出会わなかったら小森のようになっていたかもしれない。たった一人の理解者もいないのかもしれない。オレはツイてる」と言いました。

紗南は荒れていた頃の秋人との違いを実感しました。

浮かれて落ち込むを繰り返す

初めての彼氏ができたことで、紗南は浮かれました。
反面、風花に悪いと思う気持ちがありました。また、秋人が樹海に行くのを止めていれば、腕が麻痺することはなかったと自分を責めていました。浮かれては落ち込むを繰り返していました。

秋人は空手を止めず、道場に通い続けました。
秋人の父は、腕を治して空手をやらせてあげたいと思っていました。

直澄は秋人に「紗南を泣かすな」と伝えました。秋人は直澄の紗南への愛情の深さを感じました。

転勤

秋人父がロスに2年間転勤することになりました。
過去の転勤では親戚の家に預けられていましたが、今回は秋人も秋人姉も連れて行くと断言されます。

秋人は紗南のことが気がかりでしたが、かつては置いて行かれたのに一緒に行こうと言ってくれる父親に嬉しい気持ちもありました。

紗南は笑って受け入れるだろうと思っていましたが、予想に反して「行かないで」と秋人を止めました。
秋人は驚き、残れるよう頼んでみると答えました。

紗南は動揺が続きました。秋人と離れずに済むかもしれないと自分を落ち着かせます。
紗南の表情がこわばる一瞬を見て、実紗子は不安を感じました。

秋人父は頑としてロス移住を強行しようとしました。
日本に残れないと紗南に告げると、紗南は「うそつき」と秋人を責めました。

翌日、紗南は仕事中に病気を発症しました。

人形病

紗南は表情を作れなくなる人形病という精神的病を発症しました。
紗南は過去にも人形病になったことがありました。

実紗子が当時5歳だった紗南に血が繋がっていないと伝えた後、7歳の時に「血が繋がっていないと本当のお母さんではない。本当のお母さんではないと、よそにもらわれる」と聞いたことがきっかけで発症しました。

あまりに辛い目に合わせたと実紗子は自分を責め、エッセイ本「娘と私」ではその時期の話しを削除していました。
過去の人形病は15日間で突然治りました。本人も自覚がない病気だったために、治った理由は不明のままでした。

紗南は疲れやすく、眠りにつく時間が長くなっていました。食が細り、嘔吐することが増えてやつれて行きました。
実紗子は「心を無理やりこじ開けようとしないで」と秋人に頼みました。また、「逃げ場がない人間は壊れやすい」とも呟きました。

秋人は紗南のためにロス行きを止めたいと、何度も父に頭を下げましたが、頑として受け入れられませんでした。
この時は確定ではなかったため伏せていましたが、秋人父は、ロスで最高の手術と空手ができる環境を準備していたのです。

過去に突然病気が治った時に、紗南は直澄と会っていたことがわかりました。
直澄が「血なんて関係ないんだよ」と伝えたことで紗南の病気が治ったのでした。

しかし今回の症状は過去よりも重く、どうしていいかわからない状況が続きました。
秋人が焦りを募らせる中、紗南が秋人の存在を忘れることがありました。秋人と離れるのが辛いあまり、記憶から消して直澄に頼ろうとしました。直澄との会話で秋人を思い出した紗南は、自分がおかしいことを自覚しました。

秋人と友人たちは紗南と普通に接して紗南の心を軽くしようとしました。その姿は実紗子にとってカウンセラーよりも頼もしいものでした。

親しい人との別れを極端に怖がる紗南の根本には、産まれた直後に捨てられた、あまりにも辛い体験がありました。それが今に影響していたのです。

駆け落ち

紗南と秋人は離れずに済む方法を考え、子どもなりに手を尽くしましたが叶いませんでした。そして離れ離れになる前に期間限定の駆け落ちをすることにしました。
紗南は秋人と遊園地に行き、ホテルを取って泊まりました。そこで自分の写真を見た紗南は、表情がないことに気が付きます。

秋人は「優しくしても治らない。お前が壊れたらオレも責任もって壊れてやる」と紗南に迫ります。紗南は怖がりましたが、「本当はオレの方が寂しいんだ。離れたらダメになるのはオレの方だ」と泣きながら訴えました。

初めて秋人の涙を見た紗南は、秋人の気持ちを考えられていなかったことや、秋人も同じ気持ちであることに気が付きました。
翌朝起きると、人形病が治っていました。

駆け落ちの間、実紗子や秋人父に見守られていたことが分かりました。そこでロス行きの本当の目的を知らされます。
右手が治るかもしれない期待に、紗南はロス行きを応援しました。

紗南は自分の根本になる弱さをカウンセラーと見つめることになりました。弱さから誰かを頼りたくなる思いが増していたこと、秋人の涙を見て母性を取り戻したことで快方に向かったのだろうと分析されました。

秋人はロスに旅立っていきました。

最終回

秋人の手術は成功しました。

紗南は病気により仕事をキャンセルしていたため、ラジオの仕事だけを続けていました。ラジオでは悩み相談室をしており、好評でした。
中にはシビアな相談もあり、専用の携帯電話を使って時間外の相談を受け付けるようになっていました。

相談を受けるうちに、自分が恵まれていることに気が付きます。
実紗子は「周りにいい人が集まったっていうあなた自身を、自分をもっと信じなさい」と伝えました。

紗南は自分の幸せを知り、人の幸せを願うことで人形病を克服し、芸能活動を再開させました。

秋人とは電話やFAXのやり取りが続いていました。
秋人はロスの空手の大会で優勝し、紗南は仕事が忙しく、少しずつ連絡が減って行きました。

このまま別の世界でやっていくのではないかと実紗子は思っていましたが、二人の結びつきは固いものでした。

秋人は高校から紗南と同じ神保高校に通うことになりました。
準備のために一時帰国した秋人と紗南は愛情を確かめ合いますが、紗南の時間外相談室の電話が鳴ります。

「私たちは強さと弱さを両方抱えて支えあっている。これからも落ち込むことはあると思う。悩むだけ悩んで乗り越えてみせる」そう心に強く思い、秋人や風花、剛たちと相談者の元に駆け付けました。

 

終わり

感想

……凄くないですか?

これ、小学生向けの漫画ですよ。
今回読み返して感じたのは、私の根本にこの漫画が深く入り込んでいるということでした。

私は不仲の両親のもとで育ち、精神的に不安定な時期が長くありました。

辛くて仕方なくて、飼い猫の首を絞めたいと思ったこともあります。
ヤバいですよね。当然実行することはありませんでしたが、いつ私が小森和之になるかわからない状況だったのだと思います。
今思い返しても、当時の自分が怖くなります。
精神科医の本を読んだり、虐待のノンフィクション本を読み漁り、両親の精神分析をしたり自分の感情の糸を辿り続けました。
そして私を支えたのが、同じように苦しんでいる友人の存在でした。
友人に頼られることが私の存在意義になりました。友人の心をどうにか軽くしたいと考えることが、自分の精神分析にも役立ったのです。
同士がいる、支えあえることの“強さ”を感じました。
精神的な物は完全に分かり合うことは不可能です。正解がなくデリケートで非常に難しいものですが、自分の精神を救うのは自分の思考しかありません。
自分で自分を救うしかないんです。
自分を救うために自分を奮い立たせる存在が必要です。
愛情をくれる人だったり、同士だったり、支えあえる人だったりという「一人ではない」っていう安心感が必要だと感じています。
それをこの漫画が教えてくれたのだと感じています。

関連漫画

こどものおもちゃには関連する漫画があります。

漫画・水の館

「水の館」は1999年に発表されました。
紗南と直澄が長期撮影をした映画を漫画にしたものです。

☟こちらで読めます

映画の内容に限定されていますので(確か)、秋人達は登場しません。
漫画を持っていましたが、本編とは別のストーリーだったため手放しています。

漫画・Deep Clear

「Deep Clear」は作者小花美穂作品の「Honey Bitter」と「こどものおもちゃ」の合同特別番外編です。

☟こちらで読めます

2010年12月に単行本が発売されました。
紗南と秋人が結婚したあとの話が描かれています。あらすじは下記にあります。

こどものおもちゃファンとしては見逃せない続編になります。

Misty Blueも収巻されています。こちらは加村直澄のその後の話しです。

漫画・こどものおもちゃ・なんにもない日々

2015年に番外編として「なんにもない日々」が発表されました。

一話完結の番外編で、りぼん創刊60周年記念、描きおろし読み切り集として発刊されています。

☟こちらで読めます

内容は小学生時代の紗南と秋人を、紗南の飼い犬の目線で見た物語です。
特に新しいストーリーはありません。

続編・Deep Clearあらすじ

心の声が見える特殊な能力を持った珠里が経営する調査事務所に、飛び込みの依頼が舞い込みます。
訪れたのは25歳の倉田紗南とマネージャーの相模玲でした。

紗南は女優の仕事を続けており、探偵の役作りのために取材したいという依頼でした。
善人の気を感じた珠里は取材を受けることにします。

取材とは別に、玲はある調査を依頼しました。
紗南の夫である羽山秋人の浮気調査の依頼でした。

紗南と秋人は3年前に結婚しましたが、最近別居していました。玲は理由を知らされていなかったため、秋人が浮気をしたのではないかと疑っていました。

取材を受けている間に、珠里は紗南が妊娠していることに気が付きます。妊娠中に別居する理由が分からず、秋人の調査を始めました。

秋人は空手の師範と、鍼灸マッサージ師を兼業していました。
秋人は相変わらず不愛想でしたが腕は確かでした。そして浮気の兆候は見られませんでした。

珠里は紗南の心の声を読み、二人が別居した理由を知ります。

紗南の妊娠を知った秋人は、出産を反対しました。産むなら別れるとまで言っていたのです。

珠里は秋人に近づき、心の声を読みました。
秋人の心の中は出産への恐れと、紗南への心配で満ちていました。
秋人は母親を出産で失っているため、トラウマになっていたのです。

紗南は秋人がトラウマを抱えていることをわかっていました。
だからこそ、健康に産んで安心させるしかないのだとポジティブに考えて期間限定の別居をしたのでした。

珠里と一緒にいる時に紗南は破水し、お産することになりました。

珠里が秋人に知らせると、秋人は病院にやって来ます。マイナス思考に囚われる中、秋人は分娩室の扉越しに紗南を思います。
それは「紗南が死んだらオレも死ぬ」という強い愛情の気でした。

出産は無事に終わりました。秋人は足りないながらも育児に参加していました。
産まれた女の子は「紗里」と名付けられました。

Misty Blueあらすじ

珠里は紗南に呼び出されてテレビ局にいました。

そこで加村直澄と出会います。

直澄は少し前に男性と同棲していることが週刊誌で報じられていました。
誰もがその話題に触れたくても触れられない中、紗南がサラっと報道が本当なのかを聞きます。

直澄は本当だと認めました。幸せだという直澄を、紗南は応援します。

珠里は直澄に占いを頼まれて心を読みますが、そこには紗南への深い愛情が溢れていました。
紗南を愛しているために他の女性を愛することができず、声をかけてきた男性と付き合ってみたところ、案外うまくいっているようでした。

直澄の切なく強い想いと深い霧は、せつないほど美しいブルーでした。

子どもにも大人にもすすめるこどものおもちゃ

こどものおもちゃは大人にも子どもにも読んでほしい漫画です。

電子書籍も便利ですが、いつも近くにあると子どもが読みたいときに手に取りやすく、抵抗なく読めるように思います。
私がアナログな人間だからでしょうか。

古い漫画ですので単行本は古本で探して集めるしかないのですが、文庫本は新書で購入できます。

日本は自分の考えや感情をディベートする機会があまりありません。
親子や親しい間柄であっても、心を掘り下げて話すことがなく、自分で自分を理解する機会が少ないように思います。

自分の感情を自分で紐解くことは、人生に必ず役に立ちます。
紐解くとはどういうことなのかを、こどものおもちゃが教えてくれます。

興味がある方は、是非読んでみてください。

おすすめです。

 

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