生前の葬儀費用積立契約に注意・積立していたのに、死後別の葬儀会社に頼んだ理由

生前から費用を積み立て、死後の葬儀費用に役立てる契約が広がりを見せています。

葬祭グループ会社が積極的に売り出しているプランで、契約者は大抵「自分の死後、遺された家族に負担をかけたくない」という思いから契約に到ります。

私は親族の死をきっかけに、その契約に強い疑問を抱きました。
主に費用面においての強い不信感です。

詳細をお伝えします。

生前の葬儀費用積立契約に注意・死後別の葬儀会社に頼んだ理由

2023年に自宅で義父を看取りました。

早朝に訪問医師による死亡確認がなされました。

義母も実子も混乱がありましたので嫁の私がしっかりしなければと思い、各方面への連絡や打ち合わせを積極的に行いました。

季節外れの暖かさが続いていましたので、義父の身体が傷まないよう冷やさなければなりませんでした。
ドライアイス等の処置を生前から世話になっていた訪問看護(死後の処置は保険対象外)にお願いすることもできましたが、葬儀会社に保冷を頼むのが一般的と聞き、死亡確認から1時間後には「葬儀会社をどこにするか」の決定を迫られました。

悲しみで混乱する義母から、義父が葬祭グループの互助会に入り葬儀費用を積み立てていることを聞かされました。月々数万円ずつ積み立てて30万が貯まると満期扱いとなり、45万円分の葬儀費用として使うことができるプランです。

契約に至ったきっかけは、葬儀グループの社員が突然自宅に訪問してきたことだったと言います。斎場の説明を受けた程度で、後は費用を積み立てて満期を待つだけという手軽なものでした。

義両親は「子どもたちに迷惑をかけたくない」と契約に到ったのです。

葬儀費用を積み立てるメリット

義父の病気は発覚時には既に手遅れの状態だったため、亡くなるまでが数ヶ月と短く、あっという間に月日が流れて行きました。

私はその間「亡くなった場合の葬儀はどうするべきか」と頭に浮かぶことがありましたが、家族が「少しでも長く義父に生きてほしい」と思う中で死後の話しをすることは不謹慎なのではという思いがあり、口にしませんでした。また、家族のだれもこの話に触れませんでした。

実際は、義父は病気が発覚するずっと前に葬祭会社と契約をして積み立てていたのですが……。

家族を看取り、親族が悲しみと不安の中にある中で「葬儀会社が決まっている」ことは、「葬儀会社を比べて決定する」という一つのストレスをなくせるという“利点”があります。

しかしただ金を積立させるのは顧客の囲い込みであり、積立金の管理や訪問営業のコストが発生しているはずです。義母から契約の話を聞いた際、少々不安を感じました。

早速、契約している葬儀グループ会社に連絡をしました。
信仰している宗教や希望の葬儀の形について簡単な聞き取りがありました。何も決めていませんでしたので、「これらを決めなければならないのだ」と自覚しました。

1~2時間後に葬儀会社の方が訪れて保冷等の体の処置と、簡易的な焼香台と焼香用具を用意してくれました。義父の横たわる布団には新たに布がかけられ、丁重に扱われている様子に好感が持てました。

葬儀担当者は別にいるとのことで一度帰られ、そこから3時間程して打ち合わせ担当の方が来られました。

家族葬か一般葬か

丁重な挨拶があったあと、火葬場が混んでいる都合で葬儀が一週間後になるとの説明を受けました。その後、家族葬にするか一般葬にするかの希望を聞かれます。

家族葬は極身近な家族や親戚のみを招いて行う葬儀で、一般葬は親族以外の方にも会葬していただく葬儀です。家族葬と一般葬では必要となる会場の大きさに差があるため、会場を“押さえる”ためにまず必要な決断でした。

近年は感染症予防や費用の面から、家族葬の人気が高まっています。
派手なことを好まない義母は当初、家族葬を希望しました。しかし義父は複数の団体の代表を担っていたため顔が広く、亡くなった知らせを受けて即電車を乗り継ぎ、家を訪ねてくる方がいました。訪問医師による死亡診断からわずか数時間後でした。

泣き崩れるその方を見て共に悲しんでくれる存在をありがたく思いましたし、義父の人望の高さを再確認したものの、悲しみと今後の不安でいっぱいの義母は来客に対応できるほどの精神的な余裕がなく、ストレスを感じていました。

家族葬にした場合、葬儀に参列できなかった方が「自宅を訪れたい」と希望することで、遺族が忙しくなるケースがあります。義父の場合もそうなる可能性が大いにありました。義母は高齢で体の不自由もあるため、来客をもてなすのは簡単ではありません。

では一般葬にしようかと検討しますが、義父を慕う人たちは高齢化が進み、なおかつ日本全国に散らばっているため、どれだけの方が参列されるか全く見当がつきませんでした。そうなると式場にどこを選ぶかで迷いが出てしまいます。式場の広さや駅からの距離などに差があるからです。

また一般参列者への十分なもてなしができる体力がないと、義母は気にしていました。実際はもてなす機会はあまりないのですが、それが失礼に当たるのではと心配していました。

義父の死で混乱している義母は中々決断ができず、「家族葬にする」と言ったり「一般葬にする」など二転三転しました。

仏教葬か無宗教葬か・僧侶へのお布施額

結論が出なかったので一旦後回しにし、信仰宗教と墓の有無の確認がされました。

義父も義母の家系も一応は主流の仏教の信仰がありましたが家に仏壇はなく、それらしい行事もしていません。「名ばかり仏教徒」です。墓も持っておらず、ゆくゆくは樹木葬にしようかと生前の義父と義母は検討していました。

すると次に決断しなければならないのが、仏教葬、無宗教葬のどちらで執り行うかです。

仏教葬なら僧侶(坊さん)を呼び、お経をあげてもらいます。付き合いのある寺があればそちらに声をかけますし、なければ葬儀会社を通して来てもらうことができます。

その際、戒名は必要か、戒名をつけてもらうなら戒名の“ランク”も決めなければなりません。それにより費用がかなり変わるからです。

葬祭グループを通して僧侶を手配した場合、戒名をつけないケース(葬儀のお経込)で最低40万から。一般的なランクの戒名をつけると60万。最上級の戒名をつけると100万円~と説明されました。これはあくまで「お布施」であり、葬儀費用には含まれません。

通夜をするか一日葬か

さらに通夜をするか、一日葬にするかも決めます。
僧侶を呼ぶ場合はそれによってお布施額も変わります。

義父母は経済的に裕福ですが、必要がないことへの出費を好みません。
義母は「坊さん……必要かな?」「戒名なんている??」と繰り返し呟きました。

ここで義母は疲れが極限に達したのか、「わからない。決めてほしい」と私に言ってきました。

嫁である私は無宗教徒です。

神道も仏教も信じていないわけではないのですが、父方の実家が宗教を嫌っており、親族の葬式は坊さんを呼ばずに無宗教葬で行うのが普通でした。私は結婚式も宗教を軸としない人前式で行っています。神様に誓うより、身近にいる人に見守ってもらいたいという思いがありました。葬儀についても同様の考えです。

これは一般的ではないという自覚があります。そこで義母には、「私は無宗教葬で参列者に献花を手向けてもらって、たくさんの花で見送る式が好きなのですが、お経と共に送るのが一般的なので、坊さんを呼んで仏教式を行うのが無難かもしれません」と答えました。

判断能力が落ちている義母を無宗教葬に誘導してしまうのは、良くないと思ったのです。

義母は「坊さん呼んだ方がいいのかねぇ? うーん……」と煮え切りません。

葬儀担当者は、「仏教家系の方は信仰心がほぼなくても僧侶を呼ぶケースが多く、仏教徒なのに無宗教葬をあげるケースは殆どと言っていいほどありません」と教えてくれました。

それでも義母は悩みました。

葬儀費用パックは僧侶代、食事代、供花代、エバーミング代、返礼品を含まない

何も決まらないまま時間だけが経っていました。

そこで葬儀担当者は、祭壇の価格がわかるカタログを出しました。葬儀の予算で何をするかを決めるのも、一つの方法なのでしょう。

葬儀代はどの祭壇を選ぶかで大きく価格が変わります。お焼香用具や遺影のプリント代、看板代や司会費用などのアイテムがパックになっていますが、僧侶へのお布施、供花代、飲食代、エバーミング代(死化粧)、返礼品(香典返し)、火葬場までの移動費が別途かかります。

また都市部は火葬場が混んでおり、火葬まで一週間を見なければなりません。一週間もの間自宅で義父の身体を冷やし続けるには、エアコンなどを回し続けなければなりません。さらに保冷機でなくドライアイスを使用する場合には、二酸化炭素中毒への注意も必要となります。

身体が傷まないよう、火葬まで保冷施設に預かってもらうこともできます。自宅で保冷する場合も預かってもらう場合も、既定(3日)を超える日数については一日単位で別途費用が発生する旨の説明がありました。

花いっぱいの祭壇の魅力

義母は「花がいっぱいなのがいいの?」と私に聞きました。

私の祖父が亡くなった際は家族葬で、花いっぱいの祭壇にしました。祖母たっての希望です。

祭壇の花や供花(祭壇の両脇に備えられる生花で、親族や訃報を聞いた関係者により提供されるもの)は出棺前に花の部分だけを切って親族や会葬者の手により棺に入れられるのが一般的です。棺の中の祖父は綺麗な花に囲まれ、賑やかで楽しそうで、素敵だと思ったことを話しました。

義母は「花いっぱいなのいいわね」と弱弱しくも、惹かれている様子がわかりました。

花の祭壇は高額になりやすい

斎場費用は家族葬(25名程度)で30万円~となりますが、実際は供花や食事代、火葬場までのバス代等が別途かかりますので、最低60万円程度かかることが多いと思われます。

この安価のプランは祭壇に花がないプランですので、花の祭壇にする場合には最低90万円以上が追加でかかるとのことでした。坊さんを呼ぶ場合は、さらに前述の費用がかかります。

葬儀会社を変えれば、費用は大幅に変わる?

葬儀の打ち合わせは2時間ほどが経過していました。

普段は気持ちが良いほどの“即決”をする義母が決めきらず、私に「決めて」と言うのだから、無難な選択で決めてしまおうかと思いました。(故人の長男である私の夫も同席していますが、人前で発言することが苦手なので沈黙していました)

そんな時に、葬儀担当者が意外なことを口にしました。

「花いっぱいの祭壇にしたいのなら、別の会社に頼んだ方が安価で希望通りのお式ができると思います」

その言葉に驚きました。

あまりに話しが進まないので痺れを切らして「キレた(怒った)」のか? と思ったら、そうではないようです。

「B社は自社の斎場を持たない葬儀会社なので公営斎場で執り行うことになりますが、市営斎場は火葬場と隣り合わせの斎場という意味で便利が良いですし、価格が半分以下に抑えられます。僧侶を手配する場合もずっと安価です。経験も豊富な方が担当してくれるので、安いから悪い式になるということは全くありません」

私も夫も義母も驚きました。

「互助会で積み立てた分は手数料として数万円(確か5万円ほどだったと記憶)引かれますが、返金されます。それを差し引いてもB社の方がきっと理想のお式ができます」

私が「……別会社を勧めて大丈夫なんですか」と聞くと、「もともと同じ職場で働いていた方がB社に移り仕事をしています。腕は確かですし、花の価格が当社とは全く違います。サービスの内容も引け目はありません。理想のお式をしてほしいので……。でも私がB社を勧めたことは私の会社には秘密にしてください」と言います。

公営斎場は簡素過ぎたりしないのかと聞きましたが、葬儀グループ会社の持っている古めの斎場とそれほど大きな違いはないようです。新しい斎場と比べれば印象は劣るけれども……と印象を教えてくれました。

日が傾き、暗くなり始める時間になっていました。

葬儀グループの葬儀担当者は、「奥様(喪主の義母)がお疲れですので、詳細を決めるのは明日にしましょう。明日B社の担当者も呼びますので、話しを聞いてみてどちらにするか検討してください」と言い、帰りました。

家族それぞれの「理想の葬儀」

私と夫は子どもたちの世話があるため、一旦自宅に帰りました。
自宅は義実家と同じ市内にあり、近居です。

夫に葬儀の希望を聞いてみると、「俺も(私)と一緒の考えで坊さんは必要ないと思うし、戒名もスピリチュアル好きの知人が不要と言っていたので要らないと思う。父さんの信仰心を聞いたことがないので無宗教葬で葬儀を行って、来た人たちに献花してもらって、花で父さんを送ってもらうのがいいんじゃないかな」と言います。

「義母が納得いく形で執り行うのが一番」という意見も、私と夫で一致していました。

翌朝義母宅に向かい、葬儀会社が来る前に義母の意向を再度確認しました。

義母は義父が亡くなったことを知った方達から、複数の連絡を受けていました。(私と義母で対応していましたが、私が帰宅後は義母一人で対応)義母は当初家族葬を希望していましたが「葬儀の予定が決まったら教えてほしい」という連絡が多数あったことから、一般葬で行うことに決めました。

また、「やっぱり坊さんはいなくていい。戒名も要らない。無宗教葬で献花する形にしよう。たくさんの花で賑やかにお父さん(義父)を送ってあげたい」と義母から言い出し、決定しました。

無宗教葬で執り行うのなら「通夜」の意味がありませんし(無宗教葬でも通夜を行う場合もありますが)、体が不自由な義母の体調を考えても一日葬の方が良いと判断し、一日葬で行うことを決定しました。

実子である義姉は葬儀の打ち合わせに同席できませんでしたが、後日、無宗教葬で献花方式にすることや戒名がないことなど全てにおいて「それがいいと思う。最近は献花式が増えてるっていうよね」と賛同しました。

まだ一般的とまではいえない無宗教葬について家族の意向が一致したことに、少し驚きました。
著名人が亡くなった際に開かれることがある「お別れ会」の「人に温かく見送られるイメージ」が近年浸透してきている背景もあるかもしれません。

家族で葬儀の打ち合わせをしている同じ部屋に、義父は静かに横たわり続けていました。

葬儀会社を比べてわかった違い

葬儀グループ会社とB社の担当が訪れました。
B社の担当も葬儀グループ担当同様に、非常に丁寧な口調です。

二社とも義父の身体が傷まないよう、葬儀までの間に専用の保冷施設で預かってくれることを確認しました。

一週間もの間自宅で遺体を保冷するには寒い季節でもエアコンを16度設定で回し続ける上、ドライアイスを利用する場合は中毒にならないよう注意する必要があります。義父が横たわっている部屋は義母が主として生活している場でしたので、温度を低くし続けることで体調を崩す心配がありました。

また、義父は病気の影響で皮膚の状態がよくないため、これ以上悪くならないために預かってもらえるかどうかが第一条件でした。

この点については二社に違いがありました。

葬儀グループ会社は葬儀を行う斎場に安置し、保冷します。
関係者が義父に会いたいときには、葬儀日でなくても斎場を訪れれば会うことができます。その場に親族が居なくても斎場スタッフが対応してくれるとのこと。

対してB社は、自社の斎場を持ちません。体を適切な温度に保つ保冷施設は別にありますが、基本的に葬儀の日まで面会ができません。どうしてもという場合には事前相談と、親族の立ち合いが必要とのことでした。

「葬儀の前に義父に会いたい」と希望する方が、親族、外部共にいましたが、対応しているときりがなく、また義母の知らぬ間に義父が誰とどう面会しているかわからないことにも不安があったため、関係者には「葬儀まで義父には会えない」と統一して伝えることに決めました。

そのため二社の対応の違いは問題になりませんでした。

・一般葬
・一日葬
・無宗教葬(献花式)
・花いっぱいの祭壇

これらの希望を伝えて、B社に花の祭壇を含めた葬儀費用について聞きました。

花の祭壇と一口に言っても祭壇の大きさやデザインなど様々あります。
花の色は希望に添えるとのことでした。

希望の公営斎場の葬儀場はそれほど大きな部屋ではないため、棺より少し大きい程度の花祭壇を仮に選びました。

公営斎場は葬儀場と同じ施設内に火葬場がありますので、葬儀後の移動費がかかりません。葬儀は一般葬とし、出棺後の立ち合いは親族のみとしました。火葬中に親族で食事を摂り、収骨を終えたら終了となります。

15名ほどの親族の食事代、香典返礼品(多めに見積り)、献花代、エンバーミング代(遺体の状態に合わせて必要とされる処置が違う。義父の場合は一般的な物)等必要と思われるものを一式入れた見積りを出してもらいました。

価格は110万円ほどとなりました。

公営斎場の使用料と喪主の供花代は別にかかりますが、事前に価格の説明があり、それを含めても120万円弱でした。

葬儀グループ会社で同レベルで行った場合は、200万程度かかる(火葬場までの移動費含む)とのことでした。
対応の違いはそれほどないのに価格が二倍近く違う事から、B社にお願いすることに決めました。

※義父の保冷を葬儀グループ会社にお願いした分は、実費で支払いが生じます。3万円程度とのこと。予めB社にお願いしていればかかりませんでした。

葬儀グループ会社に積み立てていた30万円は満期となると45万円分として葬儀費用に充てられますが、それを大幅に上回るほど葬儀グループの葬儀代は高額ということがわかりました。

自社斎場を持たない葬儀会社の僧侶手配(お布施)代

後日、興味から、B社を通して僧侶を手配した場合にかかる費用を聞きました。

戒名をつけない俗名による一日葬で9万円。
通夜と葬儀の二日で16万円です。

戒名をつける場合は、上記に追加して下記お布施代がかかります。

・戒名(普通ランク)2万円
・中ランク6万円
・高貴ランク20万円

最も高いランクの戒名をつけ、通夜と葬儀を頼んでも36万円です。
葬儀グループ会社に頼む際は100万円~ですから、大幅な違いです。

B社の担当者は「葬儀グループ会社もB社も、宗教法人に所属する寺の僧侶を手配しているので、質が高い」と説明しました。

では葬儀グループ会社は中間マージンを大幅に取っているから高いのかと聞いたところ、「葬儀会社を通さずに、喪主が直接檀家に入っている寺院にお経を依頼すると300万程度かかるケースもあるため、葬儀グループ会社だから高額になるとも限らない。葬儀会社は各々に宗教法人と契約をしていて、檀家が減っている寺院の存続を考えてお布施代を決めている背景がある」と葬儀グループをフォローしました。

葬儀グループ会社の価格が高額なのは自社斎場の維持費や人件費を確保するためであり、お布施代が高額なのも寺を守るためです。引いては「便利な場所で葬儀をあげたい」「檀家には入っていないけど葬儀では僧侶にお経をあげてもらいたい」という故人や喪主、親族の願いを叶えるための仕組みとのことでした。

体のいい説明とも感じられましたし、実際そこで利益を出しているのも確かだと思いますが、実際喪主や親族のニーズを満たす背景があるのも間違いないと感じました。

葬儀グループ会社に頼めば安心?

私は喪主ではありませんが、今回実質的に「葬儀の詳細を決める立場」に立ったことで、学ぶことがたくさんありました。

何も知らなければ「名の知られた葬儀グループ会社に頼めば安心」と思ったことでしょう。

クチコミがない状況でB社に依頼することはなかったと思います。公営斎場を検索すれば上位に表示される会社ですが、初めて見る会社に大切な家族の葬儀を任せてよいのか不安になる方は少なくないでしょう。

実際、私の親族は皆、葬儀グループ会社で葬儀を行っています。

葬儀グループ会社の担当者は、「年に数件、生前契約をしていたのに他社で葬儀をあげる方がいるけれど、非常に少ない」と言っていました。

ではこの担当者は、なぜわが家にB社を紹介したのでしょう。

「希望通りの葬儀をあげてもらいたい」と言っていましたので、金銭的に厳しい家庭と思われたのでしょうか。それとも意気消沈していた喪主の義母に同情したのでしょうか。

私は彼も今後独立を考えていて、B社と連携を取って行こうとしているのかと考えましたが、夫は「葬儀グループ会社の価格設定ややり方に疑問を持っているんじゃないの?」と言いました。

なるほど、そうかもしれません。

彼の本心は推測の域を出ませんが、B社の存在を知らせてくれたことに感謝しています。

葬儀後暫くして、義母は葬儀グループ会社で積み立てていた義父と自身の分の積立契約を破棄し、返金を受けました。解約金として数万円減ってしまいましたが、積み立てたところで他社とそれ以上の葬儀費用の差が出るのなら、意味がないと判断しました。

今後親族の不幸があった際には、B社に依頼するでしょう。

葬儀グループ会社と契約をするメリットはあります。

・葬儀会社選びに迷わない
・斎場の立地の良さ
・名が知れた会社の安心感
・葬儀までに故人を預ける際の面会の手軽さ

デメリットは、「費用が高額になりやすい」。これに尽きます。

因みに葬儀会社のサポート範囲は幅広く、「アフターサービス力」も大きな魅力の一つだと感じました。

弔電をくれた方への一般的な対応を教えてもらったり、後日香典を送って来られた方への香典返しの手配。死後の役所手続きや相続についての説明、位牌や仏壇等の手配なども含まれます。

B社は葬儀担当者とアフターサービス担当者・葬儀会社選びに迷わないが別に居り、葬儀が終わって数日後にアフター担当者が家に来て、死後に必要となる役所手続き等を教えてくれてとても助かりました。

葬儀会社を決める際にはアフターサービスの内容を確認することをお勧めします。

また葬儀グループ会社で積み立てを検討するのなら、それ以外の葬儀会社にも「生前相談」をしたり、複数の葬儀会社のクチコミを調べてみてはいかがでしょうか。その際、お子さんなどのご家族にも相談することをお勧めします。

生前に「どういう最期を迎えたいか」「死後どう扱われたいか」を共有することで、家族の迷いもなくなります。

 

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