【税金が高い横浜】街路樹って必要ですか?効果と維持費

横浜に住んでいます。

横浜は海があり山があり、港町で有名で、観光地でもありオフィス街でもある街です。
しかし実は子育て世代に優しくない街でもあります。

不動産価格は都内に負けないですし、物価もガソリン代も住民税も3歳未満の保育料も高いです。
都内ほど電車の路線がなく、車がないと不便な土地が多くあります。

子育て世帯への助成が少ないことや、公立中学校の給食がないこと、横浜市独自の税金(横浜みどり税等)が上乗せされていることから、「横浜に住むよりその他の地域の方が得だよね。」と働く世代が流入しずらい地域となっています。
税収が減る一方でありながら、高齢者の居住率が高いために社会保障費が増加し、苦しい状況です。


そんな横浜で年中と言っていいほどよく見る光景が、街路樹や道路際の林や崖の剪定です。私は関東の他県出身で、都内や地方都市にも各5年ほど住んでいました。その中で、ダントツで横浜の剪定が多く感じます。
街路樹がない街は味気ないけど、そこに費用をかける必要がある?

財政圧迫の一つの要因ではないかと疑問に思い、調べました。

横浜市の街路樹の概要


横浜市のホームページによると、横浜市が管理する街路樹(歩道や中央分離帯等含む)は現在13万本を超えています。そのうち歩道並木は約8万7千本で、100種類を超える樹木が植えられています。

神奈川県内の街路樹密度


神奈川県全体の面積に対する街路樹本数は134本/km2となります。横浜市では266 本/km2となり、県全体の約2倍の密度となっています。(参考横浜市における街路樹の現況と課題 – JST

 

 

面積当たりの街路樹本数は、横浜市より川崎市の方が多いという事実……。
川崎や横浜以外の地域は街路樹は少ないですが、森や山が多いので環境はいいですね。

 


横浜市は266 本/km2に対し、川崎は282.3本/km2となっています。確かに川崎の道路は街路樹の印象があります。

 

川崎はかつて大気汚染が問題視されたことがありましたので、その影響があるのかな?

 

 

街路樹の種類


街路樹として植えられている樹木上位10種類が、横浜市の市内街路樹(歩道並木)の70%以上を占めています。下記表は、横浜市ホームページ「街路樹の種類」と庭木図鑑を元に、作成したものです。

横浜市街路樹TOP15(本数は2020年3月31日現在)

順位123456789101112131415
樹木名イチョウユリノキサクラ(類)ケヤキハナミズキトウカエデハナノキクスノキアキニレプラタナスモミジバフウシラカシヤマボウシカツラクロガネモチ
本数1578890767854628858215078325131092929262025532374200719741878
種別落葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹常緑広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹常緑広葉樹落葉広葉樹落葉広葉樹常緑広葉樹
特徴黄葉が美しく、病害虫や大気汚染、せん定に強い。雌木には「銀杏(ぎんなん)」がなりますが、最近は実のならない雄木を植えるようにしています。成長が早く大木になる。ソメイヨシノのほか、多種あります。せん定や病害虫に弱いのが難点。狭くて環境の厳しい街路樹には向いていない。大木になるので、広い場所で大きく育てると美しくなる。花が咲き、秋の赤い実や紅葉も美しいので、全国的に増えているが、乾燥や日本の暑さ、せん定に弱い。カエデの仲間で、紅葉がきれい。春の初め、新葉の前に赤く小さな花を咲かせる。カエデの仲間。冬も葉がある常緑樹で、大木になる。樟脳(しょうのう)がとれ、昔から利用されている。小さく細かい枝葉が軽やかな印象で、乾燥したやせ地にも耐える。世界各地に街路樹として植えられており、昔は市内にもたくさん植えられましたが、成長がとても速いことや害虫が発生しやすいことから、近年はあまり植えられていない。モミジのような葉を持つがモミジの仲間ではない。丈夫な性質を持ち、大気汚染に強いため、環境の悪い場所でも育てられる。高さのわりに幹が太くならず、狭い場所でも圧迫感がない。火に比較的強い新緑、花、実、紅葉とシーズンごとの楽しみがある。あまり背が高くならない。左右対称の樹形。新緑と黄葉が美しい。半日陰でも育てることができる。病害虫の被害が少ない。病害虫、大気汚染に強く、耐煙性、防火性に優れる。日向を好むが、半日陰でも育てることができる。大きな木でも移植が可能。

 

 

横浜で一位になっているイチョウの植樹率は、全国一位の多さです。

 

 

街路樹・緑地地図


平成29年7月1日現在の都市公園や市民の森、街路樹などを記載した地図がこちらです☟

横浜市公園緑地配置図(外部サイト)

 

これは手入れが大変だ。

 

 

街路樹数の全国比較


各市区町村が管理する街路樹に加え、国が管理する国道沿いの街路樹などを含めた植樹数を、都道府県別に表にしました。(参考:国土技術政策総合研究所「道路緑化樹木の現況まとめ」2017年3月31日現在

高木、中低木それぞれのランキングはこちらです☟

高木本数上位都道府県

高木は樹高3m以上の木を指しています。

中低木本数上位都道府県

中低木とは樹高3m未満で、全国の種類別でみるとツツジが45%を占めています。


中低木を含めたランキングはこちらです☟

高木・中低木総数・上位都道府県

 


横浜のある神奈川県は全国4位でした。

 

神奈川県より都内の方がかなり多いことに驚きました。
都内(23区内)に住んでいた時は、皇居付近や大型の公園以外は緑が少ないイメージだったけど、私が見ていなかっただけかな?

 


調べてみると、東京都が緑化に力を入れて街路樹が増えたのは、2006年に開始した「街路樹の倍増計画」がきっかけでした。そこから10年弱の時間をかけて、現在の本数まで増やしています。

私は2010年まで都内に住んでいましたが、その後横浜に移り住んで以降、都内を回る機会が少なくなっていたので、実感できなかったようです。

横浜市の剪定費用


横浜市のみどり保全創造事業費会計(2020年度)によると、「街路樹による良好な景観の創出・育成。良好な維持管理:18区で推進」として58200万円が計上されていて、全額みどり税が充てられています。

 

58200万円が横浜市の街路樹の管理費に充てられているということですね。(横浜市管理街路樹に限る)

 


横浜市では2009年より独自の税金である「横浜みどり税」900円/年を徴収しています。
横浜みどり税は「横浜みどりアップ計画」の一部に充当されていて、街路樹の管理もこれに含まれています。

横浜みどりアップ計画とは


緑を次世代に引き継ぐため、「横浜市水と緑の基本計画」を策定し、「多様なライフスタイルを実現できる水・緑豊かな都市環境」を目標像に掲げて様々な取組を展開しています。

3つの柱を元に進められているのが「横浜みどりアップ計画」です。

① 市民とともに次世代につなぐ森を育む
② 市民が身近に農を感じる場をつくる
③ 市民が実感できる緑や花をつくる

 


「横浜みどりアップ計画」に基づいて始まった、街路樹(高木)のせん定頻度を上げる「いきいき街路樹事業」の説明において、市のホームページではこのように説明されています☟

今までの「街路樹管理事業」予算の中では、複数年に一度(市域全体を平均すると5年に1度程度)しか、高木のせん定を行う事ができない状況でした。このため、強いせん定をせざるを得ない事が多く、その結果、見苦しい樹形と景観になるだけでなく、太く育った枝を切るため樹木が傷ついて弱ってしまうことがありました。

 この事業では、区ごとに選定した路線について、せん定間隔を短くすることで、樹形をととのえ、美しい並木と街並みをつくり出します。また、樹木をきめ細やかに管理できるので、より健康な樹木にする事ができます。

街路樹による良好な景観の創出・育成事業

 

 

なるほど。それで頻繁に剪定しているのですね。

我が家の近くにも街路樹があり、四季が感じられて綺麗なのですが、草木が伸び放題だと蜂が巣を作ったり、視線が遮られて不審者の出没があったりと困りものです。年に2回~3回剪定してくれているのでとても助かっています。

 


ちょうど横浜市で剪定が増えた頃に、私が横浜市に移り住んだので、「剪定が多い街だな」という印象に繋がったようです。

街路樹の効果

 

 

そもそも街路樹は必要? 二酸化炭素を吸収して酸素にしたり、環境にいいことはわかるけど、あまりに予算を食いすぎじゃない?

 

という疑問から、街路樹の果たす役目について調べました。

街路樹の役割

【交通の安全について】

  • 走行路線に沿った運転手の視線を誘導する
  • トンネル出入り口の明暗差を緩和する
  • 対向車のライトの眩光を防止する
  • 中央分離帯や歩道と車道の交通を分離し、安全を図る
  • 防風林や防雪林で風の軽減や吹きだまりを解消する

【景観について】

  • 景観を向上させる
  • 自然の再現、回復を図る
  • 地域の風土性の発現とともに季節の美しさを表す

【環境について】

  • 自動車などの騒音を軽減する
  • 二酸化炭素を吸収し、酸素を供給する
  • 緑陰を提供し、気温や路面温度の上昇を防ぐ
  • 火災の延焼を防止する効果がある
  • 根や幹に炭素を蓄積し、温暖化を防止する効果がある
  • 地震や災害時に火事の延焼や家屋の倒壊を防ぐなど、防災の助けになる

(参考地方独立行政法人 北海道立総合研究機構、横浜市HP)

 

想像していたより利点がたくさんあるんだな。

 


何より、日本は二酸化炭素排出量が世界全体の約3.4%で、世界5位の排出量となっています。地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの削減をするため、自治体に策定が求められていることも大きな理由となっています。

 

温暖化は困る。これ以上暑くなったら夏場、外に出られない!!

 

 

横浜の今後

 

 

無駄を省くために街路樹を減らしてもいいんじゃない? と思って調べてみたけど、必要だったわ。

 


林市長が市長選挙で当選後、一転してIR事業を推進したものだから、市の政治に失望しました。

市に失望すると、財政にも疑問を持ち始めてしまうのですが、街路樹の管理はとてもありがたいことでした。

 

独自の「みどり税」を設けているのは全国でも横浜だけなので、もっと削れるところはないのかな?

 

とも思うのですが。


不満を抱えながらなぜ横浜に住んでいるのかというと、職場が横浜のため便利がいいからにつきます。それ以外に理由はありません。夫は生粋の浜っこですが、通勤先が横浜でなければ離れていたでしょう。
家を建ててしまったのでもう引っ越せません。横浜市に頑張ってもらうしかないのです!




来年2021年令和3年8月21日に林市長は任期満了を迎えます。

次の市長が誰になるのか、どのような選挙になるのか、期待したいと思います。



 

 

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