避難所の食糧備蓄は少ない!?自治会脱退者が知らない災害時の自治会の重要性

避難所の食糧備蓄は少ない!?自治会脱退者が知らない災害時の自治会の重要性

災害時に避難所となる場所を把握していますか?
その避難所が指定避難所となっている地域の広さと人口、それに対する食糧備蓄数は把握していますか?

自宅地域の指定避難場所は知っていても、そこに最大何人が避難する可能性があるのかや備蓄数までは把握されていない方が多いのではないでしょうか。

私は横浜に住んでいます。
住宅街の自治会の仕事をした際、民生委員の方から次期民生員を引き継いでほしいと打診されました。民生委員を引き継ぐかどうかは別として、それをきっかけに避難所の備蓄内容を詳しく知ることになります。

避難対象地域に住む住民の数十分の一の人数の、一食分しかない備蓄数の少なさにとても驚きました。

これでは「全くあてにできない」と知ったのです。

避難所は、対象地域住民全員が避難することを想定していません。
対象地域内の一部の住民が、一時的に身を寄せることを想定しているのです。

そのため2024年元旦に起きた石川県能登半島の大規模地震では、自宅を失った多くの人々が避難所に押し寄せた結果、優先されるべき子どもであっても「震災発生以来3日、食事ができていない」という事態が起こりました。

備蓄数の少なさが報道された際、石川県知事が災害対策を軽視した結果だと非難する声が聞かれました。

地域差はあるものの、実は横浜も変わりません。人口数で言えば横浜の方が多いですから、横浜で同様の災害が起こると更なる混乱が起こる可能性があります。

自治会で備蓄する重要性

私が住む地域では、避難所の食料備蓄数が少ないことを危険視し、自治会で独自に備蓄しています。

備蓄は2011年の東日本大震災以降に始まりました。避難所の備蓄数の少なさを民生委員が伝え、自治会で議論された結果、「自治会で食料を備蓄」することが決まったのです。

それに伴い、備蓄用の倉庫の購入と、倉庫設置場所の公的な申請が必要となりました。
備蓄品の賞味期限に合わせて入れ替えもしなければなりません。

費用と手間がかかりますが、これにより自治会地域住民の一食分は確保できます。

地域により補助金制度があります。
横浜も制度がありますので、一部に充てられました。

避難所備蓄・自治会備蓄でも足りない

結局一食分にしかならないのなら、そこに費用をかけても意味がないのでは? と思う方がいるかもしれません。

実際は国が呼びかけているように、最低限向こう3日分×家族分の水と食料を、各家庭で備蓄する必要があるからです。

しかし自宅に備蓄していても倒壊して取り出せなかったり、焼失する可能性があります。
自宅とは別の場所に備えがあることが、大きな保険となります。

一方、自治会は今新たな問題に直面しています。

自治会の脱退者が続き、備蓄品の維持に限らず、今後自治会の存続自体が危ぶまれているのです。

自治会脱退問題を軽視してはいけない理由

地域住民の高齢化で、体力的に役員ができないケースが増えました。
若い世帯は共働きばかりになり、子どもの送迎等で時間もないため役員をする余裕がありません。

日々の生活を送ることに精一杯で自治会の仕事が負担となったり、加入するメリットが感じられないため、脱退或いは未加入家庭が増えています。

私が住んでいるのは大半が一軒家の地域です。
バブル期に高級住宅地として売り出され、裕福な高齢家庭が多いという特徴があります。そのためなのか、自治会の仕組みもしっかりしています。

例えば自治会費で懇親会が行われたりお茶代が出されるということはなく、状況に応じて会費の減額がされます。近年は役員の成り手不足で脱退者が増えていることから仕事のスリム化が進められるなど、建設的な運営がされています。

それでも引っ越し以外の理由による脱退者が微増しています。

民生委員は「自治会が『デメリットばかりの団体』と思われている。役員を担うことができなくても、会費だけでも払ってもらえれば備蓄等が維持できるのに」と危機感を表しました。

会費は災害時のための備蓄や、防犯のために自治会で独自に増設した街灯の維持費にも使われています。今後増えるだろう空き巣などの犯罪に備えて防犯カメラ(警察連携あり・犯罪発生時以外に録画確認なし)も設置予定です。

しかし自治会の仕事に興味を持たない方は、この事実を知りません。

自治会加入が一つのセーフティネットになり得ることを知らないのです。

私は避難所の備蓄数の少なさを知らず驚いたので、その事実と、自治会で独自に備蓄していること等を広報し、脱退希望者には会費だけでも協力してもらうよう呼び掛けてはどうかと提案しました。広報のための書面のたたき台を作成して渡し、民生委員が修正した後に地域住民宅に配布されました。

自治会は地域の馴れ合いや親交だけのものではありません。
地域としての「政治」の原点です。本来、意義のあるものなのですよね。

とはいえ、備蓄や街灯の維持をしていると知らなかった時の私は、「自治会の仕事が面倒。脱退できるならしたいな」と思っていたので、脱退者の気持ちはわかります。

自治会や子ども会の役員が回ってきたこと、民生委員から地域の問題点を聞いたことをきっかけに考えが変わりましたが、こういった接触がなければ意義がわからないままだったでしょう。

自治会未加入の方や脱退を考えている方は、今一度地域の取り組みを確認して、再検討してみてはいかがでしょうか。

知らずにいるより、知った上で判断する方が後悔しませんから。

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