我が家は高気密高断熱住宅に住んでいます。
家を建て替えるまで、隙間風の多い古い木造に住んでいたので、差を強く感じました。
高気密高断熱住宅の冷暖房の効き方と、過信したためにやらかした件についてお知らせします。
気密性能C値と断熱性能UA値(Q値)
冷暖房の効率には、気密性能と断熱性能が深く関わります。
気密性能の感想の前に、まずは我が家の気密値(C値)と断熱性能(UA値)についてお知らせします。
気密性能C値
C値とは、建物の延べ床面積に対する隙間の面積の割合です。
数値が小さいほど気密性能が高くなります。
我が家は在来工法の木造住宅です。
吹付断熱、外壁は本物のレンガに鉄筋を通し積み上げていて、コンクリート造に近い材質となっています。レンガ積みの家と言われるものです。
我が家のC値の測定は外壁が出来上がる前、吹付断熱の施工が終わり、タイベックという防水シートが貼られた状態で行われました。
我が家のC値は0.2㎠/㎡でした。
結構いい数値なようです。
1999年に次世代省エネ基準では、以下の図の数値をクリアすれば、当時の最高等級を得られるとされていました。
しかし2012年に制定された改正省エネ基準では、C値の規定が削除されています。
つまり今は、何をもって高気密とするかの基準がない、ということです。
因みにC値5.0というのはハガキ5枚分の隙間だそうです。(参考一条工務店HP)
かなり隙間が多いことがわかります。
カナダでは省エネ住宅の基準は1.0。ドイツでは0.2とされているそうですから、日本はかなり緩い。(参考HP)
日本は木造住宅が主流で、湿気を含む季節と乾燥する季節とで木材が伸び縮みするため、それを見越した構造とされていたからでしょうか。
海外で主流のレンガやコンクリート造とは根本的な構造が違いますので、隙間ができやすいのは確かです。
2012年の改正では基準が厳しくされると思いきや撤廃されてしまったのには、多くの噂があります。
大手ハウスメーカーが手間がかかるのを嫌い圧力をかけたとか、役人がチェックするのに書類だけの判断が難しくなって難色を示したとか……。
本当のところはわかりませんが、現状、巷には根拠のない「高気密住宅」を名乗るホームメーカーが溢れています。
高気密住宅を希望するなら、気密測定をしているかどうかの確認と、平均気密値を確認の上、ホームメーカーを決定されるといいようです。
断熱性能UA値(Q値)
UA値とは、床や外壁、天井などの熱の損失量を計算し、外皮面積で割って熱の損失量を計算した数値です。
かつてはQ値で出されていました。
Q値は床や外壁、天井などの熱の損失量を計算し、床面積で割った数値です。
建物の形状によって熱の損失量は変わりますので、床面積で割るQ値ではなく、外皮面積で割るUA値の方を採用するよう変わっています。
断熱性能を表すUA値の我が家の数値は、0.55でした。
UA値の基準はいくつかあり、C値と同じように地域によっても分けられています。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
省エネ基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 |
ZEH基準 | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
HEAT20 G1 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 |
HEAT20 G2 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
省エネ基準はC値同様に非常に低い値となっています。
ZEHとは、省エネ効果が高く、再生エネルギーを用いて生活できる住宅を増やすことを目的に国が求めたものです。数値をクリアし規定の設備を整えて申請し、認定されれば、補助金を受け取ることができます。
HEAT20は住宅・建材生産者団体の有志と研究者によって作られた団体が求めている基準です。
我が家は横浜なので、地域6に当たります。
0.55だとHEAT20 G1までクリアしているようです。
……よくわからないけど、まあまあいいようです。
高気密高断熱を過信した失敗談
我が家の旧宅が壊されたのが5月のGWあたりでした。
そこから施工が進められ、7月に上棟。
防水シートが貼られ、外壁の工事が少しずつ始まりました。
暑い時期の工事でしたので、吹付断熱の施工がされた後は棟梁や作業者用にエアコンが設置されました。
家庭用の6畳用一基でした。
入居後に設置する予定だった、階段上に設置されました。
物がない状態とは言え、6畳用一台で家中が快適な温度となり、感心しました。
その時仮住まいに移っていた我が家には、購入して三年未満の10畳用と6畳用のエアコンが計二台ありました。
捨てるには忍びなく、出費を抑えたかった、そしてドアが少なく34坪という決して大きくはない広さというのもあり、10畳用を階段上に設置し、二階の主寝室に6畳用を設置することにしました。
階段を上り、
すぐ上のここです。
因みにもう一台は、エアコンを背に振り返り、
廊下を進んだ突き当りの主寝室☟
☝ここについています。
引渡は11月でした。
冬は一階の収納を覗いた全面にガスの床暖房が入っていて、弱い運転でも家中が温まり、非常に快適でした。
雪が降るなどの、とても寒い日に、たまに二階のエアコンを弱く回すだけで、家中どこでも快適に過ごせました。
問題は夏でした。
熱気は二階に上がるので、二階を冷やせば何とかなると思って設置したエアコンでした。
しかし新居に移り住んで一年目の夏、階段上の10畳用エアコンは、頑張って家中を冷やそうとし、頑張って、頑張りすぎて、大汗をかいてしまいました。
大汗をかいた当時の10畳用エアコン君☟
ドレン管の詰まりもなく、業者に掃除をしてもらったにも関わらず、フル回転で頑張り過ぎた10畳用君は、本体からダラダラと結露をしまくり、水が壁を伝って床に落ち、
カ!
カビた!!!
高気密高断熱は冷暖房効率が高いけど、それでもエアコンに無理をさせると負荷がかかって壊れやすくなる。その場所にあった大きさのものを使い、余力を持って数台回す方が電気代を抑えられるよ。
とホームメーカーの担当さんに言われていたのに、
工事中は6畳用で涼しかったし、壁や物が増えたとはいえ、10畳用と6畳用である程度いけるでしょ。
一年目は様子を見て、具合を見て一階に一台足せばいいよね。
と安易に考えていた私のバカバカ!!
確かに一年目、一階に一台もエアコンがない割には涼しく過ごせました。
でもやっぱり動くと暑い。
しかも我が家は二階もそうですが一階にも殆どドアがないのです。
洗面所とトイレくらい。
つまり、玄関ドアが開くと冷たい空気が逃げてしまいます。
我が家には元気な子どもが三人もいて、ガッチャンガッチャン玄関を開けたり閉めたり……。
友達が来たり、遊びに行くときも、庭で遊んでいるときも、まあ、開けたり閉めたり大変な騒ぎです。
そのたびに10畳君は頑張ってフル稼働をし続けました。
10畳君を購入してから4年半となる今年の6月末。新居に引っ越して1年半。
冷房のはずが、温かい空気しか排出しなくなりました。
酷使してごめん、10畳君……。
昨年の夏の電気代のMAXは¥18000でした。
ホームメーカーのお祭りで担当さんに会った時に話をしたら、一台をフル稼働するより、大きいエアコンで余力ある動きをさせた方が安く済むと改めて優しく教えてもらいました。だから言ったのに、と思われているでしょう。
一階に新設し、二階の階段上のエアコンを場所にあった大きさの、新しいものに換えました。
どちらも同じもので、富士通のノクリアです。
高気密高断熱の家は熱をため込んでいるので、梅雨あたりから冷房で家全体を冷やしていくとよいと教えられました。
今年は6月から暑い日が多く、計三台を24度から25度設定でほぼ常時回していましたが、6月の電気代は¥10000でした。
真夏はまだこれからですが、昨年と比べて安い!!
まとめ
私が今回のことで得られた教訓は三つです。
プロの言うことは素直に聞け。
エアコンの使い方や設置について担当の言うことを素直に聞かなかった後悔。
エアコンなどの冷暖房設備をケチるな。
高気密高断熱を求める人は、大抵が快適に過ごせることを目的としています。
その要ともいえる冷暖房設備をケチると快適に過ごせないかもよ? ということです。もったいない。
電化製品に負荷をかけるな。
10畳君を弔う気持ちです。
つまり、冷暖房設備選びは慎重に。
どなたかの参考になれば幸いです。