妻の家事に怒る夫と、結婚後片づけられなくなった妻が抱える問題

内情を知っている2つの家庭があります。

どちらも妻が片付けられず、日常的に激しい夫婦喧嘩が起こっています。

夫は普段家事をしません。

夫は妻に片づけをするよう怒り、妻はそんな夫に怒ります。

妻は、「結婚前は片づけられていた。生活に追われてできないのだ」と主張します。

しかし夫が片づけようと物を触ると、妻は非常に怒ります。

なぜこんな事態が起こるのか、考察します。

片づけられない妻の例①捨てられない買い物好きの家庭

一例目は小学生二人を育てる家庭です。

一年ほど前まで、妻は専業主婦でした。

専業主婦時代、雨戸を閉めっぱなしになる日が少なくありませんでした。
必然的に窓もカーテンも開けないので、部屋に匂いが籠りがちでした。

夫は買い物依存症と思えるほど装飾品を購入していますが、開封もせずに箱のまま玄関付近に積むことが珍しくありません。

妻は金遣いの荒い夫に文句を言いますが、私には妻もとても買い物好きに見えました。

部屋は物で溢れていました。
たまに招待してもらった時は部屋の臭いを気にしながら、物が置かれていない床を探して足を進めました。

ブランド物の掃除機が何台もある割に、家の中は髪の毛やほこりが多くありました。
床に物が置かれているので掃除機をかけにくいのだろうと想像しました。

テーブルや棚には書類や郵便物が溢れ、おもちゃ屋が開けるのでは? と思うほど多くのおもちゃで溢れていました。

扉付きの収納はその前に物が積み上げられていて、活用できていません。
部屋の至る所に開封されていない収納グッズが置かれていました。

散らかった部屋に苛ついた夫は、片づけない妻に怒りをぶつけました。
喧嘩が激しいときは取っ組み合いになることもありました。

さらに夫は、妻の人権を否定するような酷い言葉をぶつけるのが常でした。

妻は度々泣きながら私に電話をかけて来たり、家に来るなどしました。

問題の半分が夫の性格にあるのはわかっていましたが、片付けが好きな私は彼女の家の散らかり具合が非常に気になっていたので、「一緒に片づけよう」と何度か持ち掛けました。

しかしなんだかんだと理由をつけて断られることを、何年も繰り返しました。

そのうち一家が近場に引っ越すことになり、家の片付けが必要となりました。

引っ越しの日が数日後に近づいているにも関わらず、片付けが進んでいないと言います。
そしてついに、片づけの手伝いを頼まれました。

家に入ると、一体どこを片づけたのかわからないほど、以前と変わらない状態がありました。
引っ越しに間に合わないのでは? と焦ります。

窓を開け、掃除機と雑巾、ゴミ袋を用意しました。

早速、必要な物と不要な物の分別に取り掛かりました。

家主の確認泣く破棄するわけにいかないので、私がその家庭の子どもと一緒におもちゃの分別をして箱に分け、不要な物を入れた箱を後に妻に見てもらって必要な物を戻し、不要なものを破棄してもらうことにしました。

同じおもちゃが5~10個ダブっていることが珍しくありませんでした。
殆どは夫が子どもの意思を確認せずに、買って帰ったものだと言います。

その中のいくつかは、割れて使えなくなっているものもありました。

子どもに「これはいる? 要らない? これは同じものがこれだけあるけど、全部取っておく? これは壊れていて使えないけどどうする?」と掃除をしながら一つ一つ確認していきました。

順調に不要BOXに物が入っていきました。
ダイレクトメールに同封されていた紙の工作が破れたものや、壊れて修復が不可能なもの、多くのダブりがあるうえに破損しているものなどでした。

妻は「そうやって分別すればいいんだ!」と感激しながら見ていました。

細かいおもちゃをジャンルごとに分別するために、必要な物を目の細かい洗濯ネットに収納し、片付いていきました。

粗方おもちゃの分別を終えたところで不要ボックスの確認をお願いすると、彼女は箱のまま全て必要BOXに入れてしまいました。

私は妻の頑なな判断に驚き、言葉に詰まりました。

壊れて使えないものも入っていると説明しましたが「なんだかんだまた使うかもしれない」と彼女は言いました。

子どもは「ママ、それもう使わないよ」と横で呟いていました。

片付けは妻の仕事だと思っている夫

彼女の夫は、専業主婦の妻が家を片づけるのが当然だと主張しました。

夫はアスペルガー症候群の診断を受けていることもあり、妻につける注文が要領を得ず、また妻の立場に寄り添うこともできていませんでした。

さらに妻についても、妻と同じ年に役員に就いた方の話では、妻は言う事に矛盾があり、話が通じないことがあると聞くことがありました。
私も彼女から理屈が通らない、大きく矛盾した発言を聞くことがあったので、納得しました。

私は妻に離婚を勧めたことがありました。
妻が夫を心底憎んでいたからです。

しかし彼女は家庭の継続を希望しました。

妻が離婚を望んでいないことを夫はわかっていました。
月日が経つにつれて、夫の発言はより酷くなっていっているように感じられました。

夫が強行-片づけた結果

引っ越しが決まる前の話しです。

夫は購入した物を積み上げていたものの、自分の部屋だけは片づけていました。

しかしリビングやキッチンを自分で片づけることはしませんでした。

家族が使う場所は妻が片付けや掃除をするべき。
片づけない=家事をしていない=妻として主婦として失格、と認識していました。

妻が実家に帰っていたある日。
夫は無断で業者に依頼し、リビングにあった子どものおもちゃを以外の物の多くを処分しました。

実家から自宅に戻った妻は言葉を失い、怒り泣きました。
捨てられたものは殆どが妻の物だったからです。

必要な書類や、買ったきり一度も着ていない洋服も処分されていました。

リビングを片づけた夫は満足げでした。
そして妻が片づけないから悪いのだと妻を責めました。

妻は自分の存在が否定されたように感じ、しばらく落ち込みました。

物がなくなったところには夫が買ったものが置かれてすぐに埋まり、妻も捨てられたものの書類を取り寄せたり買いなおしたりして、少し経つと以前と変わらない状態に戻りました。

夫婦喧嘩も変わらず繰り返されました。

物が捨てられない原因

私が引っ越しの手伝いをしている間、妻は別の場所の片付けに取り掛かろうとしました。

しかし10分から15分おきに電話やインターフォンが鳴り、その対応で手を取られていました。

彼女の夫は自営業です。
車で送迎をさせたり用事を頼んだりと、妻を小間使いのように扱っていました。

また引っ越し間際だというのに夫はいつもと変わらず通販で買い物をするので、一日に各宅配業者からいくつもの荷物が届きました。

さらに自営業に関わっている義母と夫の仲が悪いために、彼女を経由して情報を伝える必要があり、妻は人の予定に振り回されて非常に忙しくしていました。

彼女が大きく矛盾した発言をするのは、大抵が家族に関わる事でした。

夫との不仲によるフラストレーションから思考が回らなくなっているのだと感じました。
そして物理的にも多くの用事に振り回され、忙殺されていることがより思考を混乱させているように感じられました。

振り回され続けている彼女を目の当たりにし、こんな中で片付けをするのは片付けが得意な私でも厳しいと感じました。

「彼女が片づけられないのは彼女のせいではない」と痛感したのです。

引っ越しについての余談:
結果的に荷造りが引っ越しに間に合わず、急遽荷造りを引っ越し業者に頼むことにしました。
しかし荷物が多すぎたために、多くの物を旧宅に置いた状態で引っ越ししました。
後日分別することなく箱詰めをして、新居に持ち込むことになりました。

片づけられない妻の例②消費以上に買い込む家庭

二例目は私の実家です。

私の両親は毎日、朝から晩まで飽きずに喧嘩をしています。

父は癇癪、怒号、物に当たる、家族への暴力が度々ありました。

母は何事にも焦りがちで、ヒステリーをよく起こしました。
思考が整理されていないのか無駄な動きが多く、やりかけの家事や趣味のものがそこら中に置きっぱなしになっていました。

20年以上前に壊れたっきり放置され、埃が被っているモビールも捨てられることなく置きっぱなしになっています。

私が捨てていい? と聞くと、やろうと思っていたんだ、だから置いておいてと言います。
数年後に同じように声をかけても捨てることを良しとしません。しつこく言うと怒りだします。

母は物をあるべき場所に戻す時間がないと言って、テーブルやカウンター、出窓を物で溢れさせました。

床にはチラシや数か月前に終わった月のカレンダー、ぼろ雑巾用に取っておきたいという古びた下着やTシャツが落ちているのが普通でした。

安売りしていたという米や猫砂、ティッシュ、洗剤、トイレットペーパーなどを大量に買い込むのも日課でした。

夫婦二人暮らしになっても変わらず、10kgの米袋が5袋、洗濯洗剤は30袋、一年以上賞味期限が切れているフルーツグラノーラや乾麺が常時何袋もありました。消費する以上の量を買い足し続けるので、家は常にもので溢れています。

父は片づけろと母に怒りました。

母は私と弟が幼い頃は「子どもがいるから片付かない」といい、子どもが独立してからは「忙しいから片付けられない」と怒りました。

仕事をしているわけでもなく、家には夫婦と猫しかいません。
何が忙しいのかわかりませんでした。

大量のストック品は、父が安いから買ったらと勧めるので買っている。私のせいではないと怒りました。
しかし私は、母が「買っておいた方が安心」と思っている様子を見ています。

物を溜め込むのも、片付けをしないのも理由づけていますが、全て母の心の問題のように感じました。

部屋を片付けられると怒る

喧嘩の多くは、散らかった部屋に苛立った父が癇癪を起すところから始まりました。

物が定位置に戻っていないので、爪切りやハサミなど探さなければならないことが多々あり不便でした。
そのため私が実家にいた頃は私や私の弟が定位置に戻していましたが、母は「これから使うのに戻さないで」と怒りました。

大抵すぐに使うことはありません。
数時間後から翌日でした。

そんな両親に育てられた私と弟は、自分の部屋が散らかっていると落ち着かない性格となりました。
部屋が散らかると家族がぎくしゃくする原因となるからです。

私はいつも家を片づけたいと思っていました。
あらゆるものが点在し、生活導線とも合っておらず効率が悪い配置でした。

もっと使いやすい配置にすればいいのにと思っていましたが、母は何を言っても受け入れませんでしたので諦めました。

時々リビング中に広がっているチラシをまとめたり、書類をジャンルごとにまとめると、母は「触るな」と怒りました。
まさに狂っていると思うほどの昂りでした。

母の片づけられなさは「異常」だと感じました。

母は忙しいから片付けができないのではなく、片づけたくなかったのだと思います。

それは夫への反発心がからくる抵抗でもあり、夫との不仲で溜まった不満が混乱を呼び、心が乱れている表れでもありました。

結婚後に片づけられなくなった妻

母はかつては片付けができていたと主張します。

母は自分に都合のいい嘘をつき信じ込む傾向があるので、どこまで本当なのかは疑わしいところです。

祖母(母の母)から聞いた母の子ども時代の話しでは、あまりに片づけをしないので、祖父(母の父)に荷物を階段から下に放り投げられたことがあると聞きました。

本人が言うほど昔から片付けができていなかったのではないかと想像しています。

それでも祖母が言うには、結婚後して足の踏み場もない状態となった今よりは、片付けができていたようです。

妻の家事に怒る夫と、結婚後片づけられなくなった妻が抱える問題

そして一例目の妻も、片付け上手ではなかったものの、今ほど物を溜め込むことはなかったのだとか。

私はこの二組の夫婦に共通点を感じています。

〇 夫が妄想や幻聴を伴う被害妄想や癇癪、度々の暴力があること。(一例目の夫はアスペルガーの診断を受けています。二例目の私の父は診断を受けていませんが、同じく盗聴を疑う妄想があり、頻繁に手を洗う潔癖、頻繁な癇癪と暴力がありとても似ています)

〇 妻はどちらも理路整然と物事を考えられません。部屋も財布の中も、同様に散らかっています。
夫を強く憎んでいますが離婚は選ばず、子どもに夫婦喧嘩を目の当たりにさせる特徴も似ています。

妻側はどちらも、夫との不仲から精神的余裕をなくし、思考が混乱している様子が感じられました。

どちらも夫婦仲が非常に悪く、話し合いは一切できていません。

結婚後に酷く片づけられなくなってしまったのには、妻が常時混乱し、孤独を感じているからではないでしょうか。

部屋の乱れは夫婦関係の乱れ

財布の中や鞄の中、部屋の乱れは心を表していると言われます。

上記の二人の妻のケースでは主に夫との不仲が原因でフラストレーションが起こり、思考を混乱させているように感じられました。

混乱が理論的思考を妨げるので、今後何が必要で何が不要なのか判断できないのです。

主婦は家族の意向に振り回されることが多いため、「私は要らないと思っても、もしかしたら必要になるかも」という新たな不安を抱くことがあります。

また経済的不安から物に囲まれることで、安心を獲ようとする働きもあるでしょう。

混乱しているので「ダイレクトメールに同封されていた紙の工作が破れたもの」さえ捨てられない事態に陥るのです。

そんな彼女たちの安心材料を人が勝手に片づけることは、彼女たちを恐怖に陥れる行為なのかもしれません。

片付けと心理学

二人の妻たちに、「片づけろ」と何年言い続けても効果がないのは、心の整理ができていないからだと感じています。

夫たちは「片づけろ」という前に、妻と対話をしてフラストレーションや不安を解消しなければならないのです。

それには夫だけでなく、妻の努力も必要です。
妻二人は現状、夫と対話することから逃げているからです。

長い結婚生活の中で「この人に何を言っても無駄」と学んでしまったからなのですが……。

難しい問題です。

心理学にはアメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した割れ窓理論があります。

軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。

「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方 。(出典:Wikipedia)

煩雑な物を放置していると、周囲に影響が及ぶ現象を指しています。

実際、実家には位置が定まっていない物がたくさんあり、常に散らかっていましたので、私は「(自分の部屋以外)散らかっててもいいんでしょ」と投げやりに思っていた時期もありました。

こうやって家族にも伝染していくのですよね。

潔癖も汚部屋も問題がある

私が片付けが好きな理由は、父と母の喧嘩を見てきて「綺麗でないと争いが起きる」と学んでいたからです。

片付けは喧嘩を起こさないために“しなければならない”ことだったため、かつては追い立てられるように片づけをしていました。

産後も夫が帰宅するときにはほぼ片づけていました。
夫が帰宅するまでに片づけないといけない! と焦っていたのです。

掃除機を毎日きっちりかけ、床の拭き掃除も二日に一度はしていました。

ある時、拭き掃除を終えたばかりの床を、脂がついた手で触って遊ぶ子どもたちが目に入りました。
せっかく掃除したのに汚して! と怒りが湧く自分に気が付きました。

「これはいけない。綺麗にすることばかりに気を取られて、家族が窮屈な思いをしていては意味がない」と学びました。

その裏には、夫に嫌われたくないという強迫観念のようなものがありました。

気にし出すと片付けや掃除がエスカレートしていくので、考え過ぎないように気を付け、掃除機を毎日かけても拭き掃除は毎日家中に行わないなど、意識して変えていきました。

荒れすぎた部屋は思考の混乱が見えますが、綺麗すぎる部屋も何かしらに追い立てられ余裕がない状態なのではないかと思い至りました。

何事も適度が一番だと感じています。

片づけられない妻と夫婦の今後

二人の妻は今後どうなっていくのでしょうね。

母は二年前に引っ越しをしました。

一例目の妻と同様に荷造りが間に合わず、ゴミごと新居に運ぶことになりました。

新居では心機一転片付くと期待していた父は、新居でも旧宅と同様に荒れた光景となったことに怒りを募らせていました。

母は新居に収納が足りないと文句を言っています。(実際は収納は旧宅より増えています)
新たに購入したがっていますが、父は物を減らせと言って延々と喧嘩をしています。

 

この記事を書くにあたり、片付けについて参考になった本がありましたので紹介します。

こちらは発達障がいの人の片付けスキルを伸ばす本です。

本で解決しない方は、夫婦の対話が必要かもしれません。

記事を書くにあたり、Twitterで意見を聞かせていただいた方がいらっしゃいます。
この記事に書いたような詳しい話をお伝えできていなかったのですが、片付けをすることで得られるメリットなどをyoutubeでお話されています。

私とは違った目線で語られていて勉強になりましたので、よかったらご覧になって下さい。

詳しく説明をしていないにも関わらず、内容が当てはまっていて納得します。

二人が互いのせいにして、それなりに落ち着く場にあるというのも頷けます。

 

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