サレ妻の夫への当たり方・実例から考える越えてはいけないライン

信頼していた夫の裏切りがわかった時、何を信じてきたのか、これから何を信じればいいのか、わからなくなります。

二度と立ち上がれないんじゃないかと思うほど心に大きな傷を負い、絶望の底に沈みます

再構築に挑もうとした時、多くの疑念が膨らんで、何度も責めてしまうのは珍しいことではありません。

裏切りが発覚したときのショックが、悔しい、悲しいといった負の感情を生み出し、混乱を生じさせます。
信じたいけど信じられない混乱の中、藁をも掴む思いで、夫に多くのことをぶつけるでしょう。

不倫中、多くの嘘をついてきた夫を信じられるわけがありません。
そのため、混乱の中多くの感情をぶつけ、夫の返答や反応を見て、なにが真実だったのかを確かめていくのです。

有責者の夫は、地獄を味わうでしょう。しかしサレ妻となった妻ほどの地獄ではありません。

夫と衝突を繰り返す間、妻はもう一つの大きな変化を抱えています。
これ以上傷つかないために、心を守ろうとする反応です。

これを自覚している妻は珍しいでしょう。
気が付くのはもっとずっと後か、延々と気づかない場合もあります。

最悪の事態を真実であるかのように錯覚し、きっとそうだったはず、きっとそうなるはずと思い込みます。

それをぶつけられた夫は困惑します。

何度否定しても決めつけられることで、再構築への希望を失っていきます。

責め方は選ばなければなりません。
なぜ裏切られ、辛い思いをしているのに、被害者である妻がさらに努力しなければならないのか、納得がいかないかもしれません。

しかし再構築をするのなら、超えてはいけないラインがあります。

サレ妻の当たり方

発覚当初は強い精神的ショックから、普段は考えられないような激しい言動をする妻は少なくありません。

徐々に落ち着いてくると、感情のぶつけ方に変化が出てきます。
妻が心身ともに疲れて来るからです。
激しい感情の波に呑まれ、興奮状態から一気に降下しますので、鬱状態に陥ります。
感情のドン底で、「なぜこうなってしまったのか」と自分を責め、相手を責める感情が渦巻きます。
理不尽が混乱を呼び、感情の整理がつかない状態が続きます。
思うように睡眠がとれないと思考の整理がつかず、混乱はさらに続きます。
感情の波がそのまま落ち着くことは、まずありません。
あるとしたらもともと夫に失望している、愛情がない場合でしょうか。
新たな波が来ると、再度感情を抑え込むのが難しくなり、原因となった夫にぶつけることになります。

実例

サレ妻の混乱

夫が不倫相手と連絡を取っている後ろ姿を見たことがきっかけで、妻は夫の不倫に気が付きました。
発覚当初は泣いて叫び、平手打ちを繰り返すなどの行動をしました。

平手打ちはその後二か月続いています。

詳しくはこちら☝の記事に書いていますが、夫は「体目的で恋愛ごっこをしていた」ことを隠すために、「不倫相手を好きだった」と嘘をつきました。
妻は夫が別の女性と心が繋がっていたのだと思い、大きなショックを受けました。
夫は不倫相手と完全に切れており、妻を愛している、離婚はしたくないと言いました。
妻は離婚したいと言いながら、心の底では離婚を望んでいませんでした。
嘘があったら不信感が残り続け、再構築に挑めないと気づいた夫は、「本当は体目的だった」と嘘を認めました。

サレ妻の思考

〇 夫と不倫相手のラブラブなやり取りに、愛情がなかったとは思えない。
〇 不倫相手が好きだったのに、事態を軽くするために「好きじゃなかった」と嘘を言っているのではないか。
〇 信じていた夫は、どこまでも嘘を重ねる男なのではないか
こういった思考が巡り、妻は一つの結果を出しました。
〇 夫はやはり不倫相手を好きだった。
これはもともと夫が最初にそう言っていましたので、夫がどれだけ本当は違うんだと言ったところで、簡単に塗り替えることはできません。
さらに妻はこう思いました。
〇 不倫相手を好きだったうえに、不貞行為もあった。夫と不倫相手は完全な恋人同士だった。
妻は夫を信じ、夫との間に2人の子どもを産んだことを嘆きました。
二人の子どもはいずれも夫が不倫をした後にできた子どもでした。
妻はますます混乱し、嘆き、自死を図りました。

責め方ー①

憎しみは不倫相手にも及びました。
妻帯者だと知っていて関係を持っていたからです。
不倫相手の知っている情報の一切を聞き出し、不倫相手を訴えるために弁護士に依頼しました。
依頼の電話は夫の目の前でかけました。
離婚の手続きも合わせて依頼しました。
夫は妻が電話をしている前で頭を抱えました。
費用は全て夫が支払うよう要望し、夫は離婚を拒みながらも支払いを聞き入れました。
不倫相手との思い出の品を取っておいた夫を責めましたが、夫が捨てようとすると「大事にとっていたくせになぜ捨てるのか」と夫を責めました。
捨てる捨てないの攻防になりました。
捨てれば捨てたで「これまで大事にとっておいて、バレなければずっと取っておいたであろう物をなぜ捨てるのか」と責め、「取っておいたことに意味はない。不要だし、妻が悲しむから捨てるだけ」と夫が言っても「これ以上傷つくことはない。取っておけばいい」と捨てないよう求めました。
ゴミ箱から拾い上げる妻を見て、物を捨てずにそのままにしておけば「やっぱり思い出の品が大切なんだ」と責められました。
妻が面倒な言動をしているように見えるでしょうか。
確かにその通りなのですが、私は彼女の痛々しい気持ちが理解できました。

憔悴

私は妻の聞き役をしていました。
泣きながら弱り、「信用していたのに、愛されていると思っていたのに、なぜこんなことになったのか。腹が立って仕方がない。居なくなってくれたら楽なのにと思う」と話す言葉を聞いていました。
根底には、夫に愛されたい。夫の愛情を感じたい。
知らなかった頃に戻りたい。なぜ私は愛されないのだろう。という思いが溢れていました。
妻は憔悴しきって、ベッドから起き上がれなくなりました。
手洗いさえ、夫の介助が必要になりました。
妻は夫に触れられるのが嫌だと言いながらも、介助を受けました。
ストレスが体に出て、膀胱炎や喉の痛みを訴えました。
食事は数日まともに取れていませんでした。
私は夫からも相談を受けていました。
「どうすればいいかわからない」と言う夫に「自分が蒔いた種だろう」と呆れましたが、妻が夫を求めているうちは、二人を応援しようと思っていました。
夫には「『離婚したくない。相手に愛情はない。体だけが目的だった。愛してる』と言い続ける他ない」と伝えました。
私が夫本人から聞いた限り、不倫相手とゲーム感覚の恋愛ごっこを楽しんだのは確かなものの、本当に好きではなかったことがわかりました。
「伝えているけど何度も同じことを聞かれる。辛い」そう言って夫は私の目の前で簡単に泣きだしました。
バカな男だと思いました。
「何度も妻に愛情を伝え続けるしかない。否定されても言い続ける。しんどいことを言われても言い続けるしかない。繰り返して、『これだけのことをしても、私を愛してるんだ』って確認していく作業なんだから、試されていると思って耐えて」と伝えました。
「どうしてあんなことをしたのかわからない。後悔しかない。本当にいなくなりたい。でも妻が一番大事で、失いたくないから頑張る」と言いました。
妻が責める度、夫は黙ってしまうようでした。
妻はそんな夫に不満を感じていました。
妻と夫の間に挟まれていた私は、夫から相談されるたびに「妻に責められても黙るな。不倫相手に愛情がないことを言い続けて」と同じことを伝えました。
ある時妻と電話をしていると「麒麟さんが夫にアドバイスするから、夫は愛情を伝えて来るだけで、本当はそう思っていないんだ」と言い出しました。
これ以上妻に疑心暗鬼を生ませてはいけないと思い、夫からの相談はもう受けないことを妻に約束し、夫にも説明しました。

責め方ー②

妻は夫と不倫相手のセックスがどんなものであったかを知りたくなりました。
そのためには不倫相手とのセックスを見たいと思いました。

不倫相手は何かを警戒しているのか、夫と一切連絡が取れなくなっていたので、妻は自分を不倫相手に見立ててセックスするよう夫に求めました。

夫は驚いて「そんなことできない」と断りました。
妻がなぜそんなことを言いだしたのかもわかりませんでした。

「離婚したくないから何でもするって言ったのに、なぜセックスしないのか。約束が違う」と責めました。

夫が何度断っても「自分を不倫相手に見立ててセックスしろ」と求め、「私を愛していて、離婚したくないならやれ」と求めました。

夫は妻の言う通り、妻を不倫相手と思ってした方が、妻のためなのだろうかと悩みました。
そんなことをしたら本当に妻がおかしくなってしまうのではないかと、怖くもありました。

そして夫は私に一部始終を説明するメールを寄こし、やるべきなのかと相談してきました。

私は妻と、夫の相談に乗らないという約束をしていましたので返信はできませんでした。

その後、セックスできないのなら出て行けと、夫は家から追い出されました。
実家に帰れと言われましたが、実家に帰ったら離婚しかないとも言われました。

どうしたらいいのか、何が正解なのかわからず、夫は途方に暮れました。

サレ妻はヒステリック?

翌日、妻は私に連絡をしてきて「不倫相手に見立ててセックスしろと言ったら断られた。なぜやらないのか。腹が立つ」と言いました。

「男は誰が相手だって、やり方は変わらないんじゃない?」と答えると、「そうだと思う」と答えます。

「わかっているなら、そんなことする意味ないよ」

「でも好きじゃない女に手荒なことをする男はいるよ。私は経験がある。すごく乱暴で悲しかった。そうであってほしい。だから確かめたい」

「愛情なんてなくたって、手荒なことをしない男はいる。もしやってみて、自分とするときと変わらなかったらどうするの? もっと傷つくよ。自分でも、男は相手が変わっても大してやり方変わらないのわかってるって言ってるでしょ。夫が断り続けるのは、妻を傷つけたくないからだよ。あなたがやろうとしているのは、自傷行為だよ」

そう言うと妻は泣きました。

妻は、夫が不倫相手よりも自分を大事にしていた証拠が欲しいのだと思いました。

他人が見たら、サレ妻がヒステリックを起こしているのだろうと感じるかもしれません。
しかしただただ苦しくて、愛されている証拠が欲しくて、藻掻いている女性がいるだけでした。

責め方ー③

妻は夫が黙り込む度、腹が立って仕方ありませんでした。

度々夫に実家に帰るよう求めました。
一人で考える時間が欲しいのだと感情的に伝えました。

妻は精神的に不安定で危険なことがわかっていましたので、夫は断りました。
すると妻は夫の兄弟に連絡をして、一時期実家で夫を暮らさせてほしいと求めました。

夫は妻が本気で実家に帰ってほしいと思っているのだと受け取り、荷造りをしましたが、「実家に帰ったら離婚だからな」という妻の言葉で、やはりとどまらなければならないと気が付きました。

家にいると、「実家に帰れ」と何度も言われる繰り返しでした。
「帰らない」と言うと、今度は実家でなくてもいいから外に行けと追い出しました。

夫は行く当てもなく、私の夫に相談してくるようになりました。(私がもう夫側の相談に乗れないと言ったからです)

相変わらず妻は夫の愛情を確かめたがっていること、実際は夫にそばにいてほしいと思っていることも私は知っていました。

「一緒にいると割と落ち着いているんだけど、夫が仕事に行って離れている間にすごく想像が膨らんでおかしくなる」と妻自身が言っていたからです。離れている間に不安が膨らむのは私にも経験がありましたので、よくわかりました。

不倫発覚からしばらく仕事を休んでいた夫が職場復帰して間もなかったので、より感情が不安定になっているようでした。

とにかく仕事から帰ってもまともに家に入れない日が続き、シタ夫は毎日のように私の夫にどうしたらいいかの相談をしてくるようになりました。

そんな攻防が何度も繰り返されたある日、シタ夫から「もうダメだ」という連絡が私の夫に届きました。

「もう話しをしたくない。顔も見たくない。家に帰って来るな。後は弁護士を通して離婚の手続きを進める」と言われ、家を追い出されたということでした。

この夫婦の記入済みの離婚届を私が預かっていることもあり(勢いで提出しないよう、妻の依頼で預かっています)本気で離婚を決めたのだろうかと思っていると、妻から私にLINEが届きました。

「離婚するまで家の鍵は開けません」という内容でした。

「離婚することにしたの?」と返信をしたら、「夫に送るつもりが間違えて麒麟に送ってしまった」とのことでした。

「辛い。離婚した方が楽だと思う。本当に私が大事なら、離婚しても努力してくれるんじゃないかって思うから離婚した方がいいように思う。マッチングアプリも登録した。縋られるのをまっているのかも。縋られずに諦めるなら、夫にとって私はその程度だと思う。寂しく感じるんだろう。でも今はこれしかできない」と妻が言いました。

縋ってほしい。
諦めずに愛情を伝えてほしい。
好きだから辛い。
離婚しても努力してくれるかもって期待するから別れたい。

こういった本当の気持ちを、悔しくても悲しくても、プライドを捨てて自分で言わなきゃ伝わらないよと何度も伝えましたが、一度も伝えられていないようでした。

超えてはいけないライン

妻は混乱を極めていました。

どこまでも突き放して、それでも追ってきてほしい気持ちは想像できました。
それでも、弁護士を通すと言ってしまったら、本当の拒絶ととられかねませんでした。

「感情を昂らせて、夫にぶつけるのはいいと思う。それだけのことを夫はしたのだから。

それでも夫の愛情を求めていることを知っているよ。

弁護士を通して話しをするって言ったって聞いたけど、本当に別れたいと思ってるようには思えないよ。
弁護士を通すって言われても縋って来るのを待ってるの? それを言ったら本当に離れていくよ。

相手を尊重するからこそ、諦めなきゃいけないと思うような事を言っているんだよ。
本当にそうしたいの? そうは思えないよ。

自分の気持ちを無下にしないで。素直な気持ちを言いなよ。

拒絶も素直な気持ちだろうけど、離れて行かれたら嫌なのも素直な気持ちでしょ。
両方言いなよ。自分の首を自分で絞めてるよ。」

私が送ったこの長文を最後に、妻からの連絡がなくなりました。

防衛本能による過剰な想像力

信じていた人の裏切りで心が深く深く傷つくと、「もう傷つきたくない」という防衛本能が働きます。

これ以上傷ついたら生きていけないと、脳が心を守ろうとするのだと思っています。

すると事実以上に物事を悪い方向に捉えるようになります。
軽く捉えて良くない結果になった時に、心が傷つくのを防ぐためです。

女性には、子どもを育てるために先々の見通しを立て、危険を回避する能力が備わっています。

回避するために想像力を働かせるのです。

心を守るために、常に最悪の事態を想定するようになると、それが真実であるかのように錯覚します。

そこから抜け出すには、長い時間と思考を整理する精神力が必要です。

実例の彼女の場合は、「夫は不倫相手が好きだった」という最もショッキングだった思考から抜け出せませんでした。
夫が初めにそう嘘をついていたのだから、当然ともいえるのですが、自分で真実だと思い込んでしまった事実が受け入れられず、混乱を極める事態となりました。

この夫婦が今後どうなるかはわかりません。

彼女が私に連絡をしてくることがあるのかもわかりません。

とにかく、夫には罪の意識を感じ続けてほしいと思いますし、不倫をしている方にはやめていただきたいと思います。

 

 

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