江戸の幕末に幕府の洋式軍隊が使用した布製の背のうを、オランダ語の「ランセル」と呼んだことが「ランドセル」の起源とされています。
明治時代に入り、創立間もない学習院で布製のリュックサックのようなランドセルが使用されるようになりました。その後、当時皇太子だった大正天皇が学習院入学の際、伊東博文が箱型のランドセルを贈ったのが、現在の形の原型です。
当時ランドセルは高級品だったため、一般家庭では風呂敷や安価なショルダーバッグが主流でした。昭和30年以降の高度経済成長期を迎えたあたりから徐々に広まりを見せ、1950年の戦後に全国的に広まりました。
大正3年(1914年)のランドセルの値段は1円50銭、昭和16年(1941年)には9円80銭前後でした。(参考)
大正時代の小学校教諭の初任給が50円、現在は20万として現在の価値に換算すると、大正時代のランドセルの価格は6000円、昭和初期は9500円程度だったことがわかります。
因みに昭和後期生まれの私が小学校に入学するときの価格は、2万円台前半が主流でした。
2020年、未だ公立小学校の多くが、ランドセル通学です。
ランドセルは年々高額化が進んでおり、SEIBANのアンケート調査によると、5万円から7万円程度が主流となっています。
正直、高い!!
下手をすると、人生で一番高い鞄を使っていた時期が小学校時代だった、という人も出てくるのでは? と長女のランドセル選びをしているときに思ったものです。
ランドセルのカラー、大きさ、素材の幅が広く、何がどういいのかよくわかりませんでした。
こんなに高価な買い物を失敗したくない! その一心で情報を探しました。
ランドセル選びに悩んだこと、先輩ママから聞いた注意点、入学後の子どもの好みの変化等についてお知らせします。
ランドセル購入月
SEIBANのアンケート調査によると、5月~6月が購入のピークで、8月までに70%が購入を終えています。(SEIBAN)
8月までに70%が購入しているとは驚きます。
私は三姉妹を育てる母で、上二人は小学生ですが、二人とも秋から年末までに購入をしています。
周囲のママたちに購入時期を聞いてみました。
因みに我が家は秋頃にネットで注文し、年始から3月ころに届くスケジュールでした。
価格帯
5万円から7万円の価格帯を選ぶ方が半数をしめています。
我が家は5、5万円程度のランドセルを選びました。5万円台からデザインや素材の幅が広がるということと、それ以下だと6年間保証がない場合があるからです。
ブランド物を8万から10万程度で購入した知り合いもいますし、2万~3万円程度のランドセルを購入し、痛んだり飽きた場合に買いなおすという方もいました。
因みに2万円台は店舗での取り扱いが少ないのですが、インターネット上では多数出ています。
活発な子は扱い方が荒く、傷みやすい場合があります。買い替えを想定しながら価格帯を選ぶのはいい案だと感じました。6年保証のあるランドセルは補修してくれますが、発送や代替品を使う手間があります。買い換えた方が早い、もし6年間壊れなければラッキーと考えるケースもあります。
カラー
男の子は圧倒的に黒、女の子はピンク、ブラウン、パープル系の人気が高くなっています。
初めてランドセル選びをしたとき、長女は幼稚園児でした。年長さんくらいの年の女の子は、ピンクやパープルを好む子が多くいます。
子どもの好みに合わせると、このような結果になるのではないでしょうか。
因みに長女のランドセルはキャメルなのでブラウン系です。
ブラウン系の人気が高いのは、保護者の誘導があるからと推測します。
なぜなら我が家がそうだから!! なぜブラウン系に誘導したのかは後述します。
素材
雨に強くて軽い、人工皮革が人気です。
人工皮革とは、革に似せた人工の素材を差します。特殊な不織布に樹脂を塗布したり浸透させたものなどがあります。代表的な名称はクラリーノ、エクセーヌなどがあります。水に強く変形や経年劣化が少なく、丈夫な特徴があります。
牛革とは、牛の革を差します。
コードバンとは農耕用馬の臀部から採れる皮革です。非常に頑丈で、牛革の2倍から3倍の強度を持っているといわれています。シミ、汚れ、傷に強く、長期にわたり使用できる素材です。
私は使うごとに味わいが増す革製品が好みですが、革は水に濡れると染みになりやすく、重さもあるため、子どもには不向きだと考え、クラリーノを選びました。
大きさ
ランドセルの外径、内径は製品ごとに異なります。
我が家はA4フラットファイルが入る、内径が大きいものを選びました。
A4フラットファイルとはこんなものです☟
A4フラットファイルの寸法はタテ307mm、ヨコ231mm、背幅20mm程度です。
ファイルを曲げながら入れるのは嫌だろうと、内径が大きいものを選びましたが、学年が上がってもA4フラットファイルを使う機会がありませんでした。
娘の学校ではA4のクリアファイルをよく使用しています。A4クリアファイルの寸法タテ310、横220mmが入れば問題ありませんでした。
A4フラットファイルは使用しませんでしたが、大きいサイズを選んだ利点はありました。
コロナ禍でマスクの着用が基本となり、熱中症予防のために水筒を持っていくようになりました。
細めの水筒であれば教科書と一緒にランドセルに入れられて便利です。小さめのランドセルを選んでいたら入らなかったでしょう。
長女と次女は体が大き目なので、外寸が大きいランドセルでも問題ありませんでした。しかし低学年の華奢な子の中には、重そうにとぼとぼ歩いている姿が見られます。ファイルが入らない寸法でも、曲げれば入るのだから、体に合わせたサイズがいいのかもしれませんね。
優先順位をつけて選ぶことをお勧めします。
いつまで使う?
私が育った一都三県の某県では、6年間ランドセルを使用しました。
しかし地域によっては、公立であっても2、3年生までしか使用せず、その後は好みのリュックサックを使う学校もあります。
ある小学校では6年間使用するのに、隣の学校では途中から使わなくなるなど、「そんなことあるの!?」と思うようなケースがあります。
最初の数年使うか、6年間使うかで、6年保証が必要なのかや、価格帯の考え方が変わって来るでしょう。
お子さんが通う学校はどうなっているか、確認してから選ぶことをお勧めします。
子どもが選ぶか、親が選ぶか!?
私は三姉妹を育てる母で、上二人が小学生です。
ランドセルを選ぶ前に、長女に好みを聞きました。
希望はパールの入ったパステルカラーで、可愛らしい刺繍が沢山あるものでした。
子どもの好みに合わせてランドセルを購入すると、ものの一、二年で好みが変わって、「この色(柄)嫌」と言い出すよ、と先輩ママ数人から聞いていました。
長女が「子どもっぽいからイヤ!」と言い出す姿が容易に想像できました。
「好みが大人っぽく変わっていくんだって。そのときに違うのが欲しいと言われても、買い替えはできないよ。」と言い聞かせますが、本人はイマイチピンときていません。
それはそうです。幼稚園児が数年先の未来を想像するのは難しいのです。
希望通りの物を買うべきなのか。それとも誘導するべきなのか迷います。
近所に非常に大人っぽいカラーや玄人好みの形のランドセルを使っている子どもがいて、素敵だと思って本人達に聞いてみたところ、「お母さんがこれがいいって言ったから。」と、好みではないと言うのです。その母親達は「うまく誘導して買った。」と言っていましたが、本人達には多少不満が残っていたようです。
ランドセルの種類が増え、子どもを飾るファッションのようになっているのではないか。誘導するのは親の自己満足なのか、子どもが後に後悔したとしても、本人に選ばせるべきなのかと悩みます。
「子どもが使うものだから、子どもが選ぶものを買うのが当たり前でしょ!?」と話すママさんもいました。「自分が選べば納得するだろうし、好みが変わっても、自分で選んだんだから責任もって使いなさいって言うよ。」と言います。
なるほど。
子どもの性格にもよるのだと思いますが、長女は勢いで突っ走り、あとから別のものを欲しがることが多くありました。買いなおすことはしませんが、不満をしつこく言われることが多いのです。
長女が使うものだから、長女の好みに任せるべきなのはもっともです。でもあとからやっぱり違うのがいいと言われたら、高価なものだけにガッカリしてしまいます。
沢山の現物を見せると、金額や大きさなど考慮することなくその場の勢いで「これが欲しい!」と決めてしまうことが分かっていましたので、やはり本人に全ての判断を委ねるのは危険だと思いました。賛否あると思います。
インターネットで毎年ランドセルを販売しているショップを探しました。その中でレビューのいいショップを選び、素材や形、色、柄を吟味して候補を多数挙げました。その中から選んでもらう方法をとりました。
子どもの好みは小学校低学年で大きくかわる
落ち着いたカラーで、学年が上がっても恥ずかしくないけれど、さり気なく可愛い刺繍が入ったものや、好みのカラーで形や柄がシンプルなものなどをピックアップし、長女に見せて選んでもらいました。
長女が選んだのは、キャメルカラーでクラシックな刺繍が入ったものでした。
届いたものを見て、可愛い! と喜んでいましたが、学校に通うようになると、パールのパステルカラーのランドセルを背負っている友達を羨ましいと言い出します。
一年生が終わるまで、何度も恨み言を言われました。
そんなに羨ましがるなら、本人の希望通りの物を買うべきだったと後悔しました。
「好みが変わると思ってたから、可愛すぎるのは良くないと思たんだ。ごめん。」と謝りました。
しかし二年生に入る頃になると、服装や筆箱、鉛筆の好みがガラッと変わりました。
「可愛すぎるのはイヤ。大人っぽくシックなのがいい!」ランドセルも、「パールじゃなくてよかったー! このカラー気に入ってるの。」と一転しました。
なんだ、その変わり様!!
絵の具セットや書道セットも可愛らしいのは嫌だと言います。
こ、こんなに変わるのか!! これが先輩ママが言っていたことか。恐ろしい!!
一時は誘導して申し訳ないと思いましたが、結果的に正解でした。
これは我が家の例であって、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。
ずっと可愛らしいものが好きなお子さんも居れば、後に好みが変わったとしても、その時に希望した物を買ってもらったことに満足する子もいるでしょう。お子さんごとに正解は変わります。
次女のランドセルもネットで購入しました。次女は姉を見ているからか、初めから落ち着いたカラーを選んでいました。その上、長女からも「大人っぽい方が絶対いいよ。」とレクチャーされていて、すんなり決まりました。
我が家のランドセル問題はこうやって幕を閉じました。まだ三女の入学があるけど。
正解は家庭によって変わります。
参考になれば幸いです。