実両親、または義両親に預けている間に、勝手に子どもの髪の毛を切られた。
七五三に向けて大事に伸ばしていると説明しているのに、子どもの髪を切れとうるさく言われる。
子どもは短い方が可愛い、長いのは邪魔になってかわいそうだ。と切ることを迫られる話が珍しくありません。子どもの髪を勝手に切られたことで疎遠になるケースも聞かれます。
なぜ祖父母に当たる彼らは、親の意向を無視してやたらと孫の髪の毛を切りたがるのでしょうか。
時代背景
祖父母に当たる年代が生まれたのは、昭和前半から中盤頃に当たります。
そのころの時代背景から、祖父母の年代の価値観を検証します。
環境① シラミ
昭和前半は虱(シラミ)が流行する時代でした。
シラミは人の髪の毛に卵を産み付けます。
卵は7日~10日ほどで孵化し、約二週間ほどで成虫となります。
シラミの寿命は一か月から二か月と短いですが、成虫になると一日に複数の卵を産みつけます。
そのため一気に増え続けます。(参考)
一度根付くと取りにくく、吸血による湿疹が発生するなど、痒みとの戦いとなる厄介な虫でした。
家族が頭を突き合わせ寝ていると、シラミが飛んで他の人の頭に移ったり、押し入れにしまわれた布団から布団へシラミが移り、夜、別の人間の頭に入り込んで卵を生むなどして感染が広がって行きました。
シラミは長い髪の毛ほど生息しやすい特徴があり、短くカットする方が清潔感を感じられました。
環境② 洗髪
各家庭に風呂があり、シャワー設備ができたのは昭和40年~50年ころのことでした。
それまでは地方ほど各家庭に風呂が完備されておりましたが、都市部は銭湯の利用が多く、家庭に風呂があってもシャワーがないことが珍しくありませんでした。
シャワーがない中で長い髪を洗うのは手間がかかります。
ドライヤーを持つ家庭も少なかったため、乾かすのに手間がかかる長さを嫌いました。
環境③ 先入観
時代を遡ればのぼるほど、他人と違うことを嫌う傾向がありました。
髪を長くしているのは裕福な家庭の子や、非常にお洒落な家庭に限られていました。
祖父母の時代は「子どもはこうあるべき」という先入観をもって育てられていることから、シラミや洗髪環境の違いも相まって、「短い頭髪は清潔感があり、子どものためによい」という価値観がより強く根付いたと言えます。
親の許可なく勝手に孫の髪を切る
親の許可を取らずに孫の髪を切るなんて非常識だ! という声が聞こえてきます。
祖父母の年代はなぜ、無断で孫の髪を切るのでしょうか。
悪いことだと思っていない
祖父母の価値観では、子どもの髪を切ることは日常茶飯事であり、特別なことではありません。
祖父母の立場からしたら、なぜ親は孫の髪を切らないのか疑問に思います。
長い髪は清潔感がないし、引っかかったら危ない、洗ったり乾かす手間もかかる。子どものためを思うなら切るべき、と考えているからです。
勝手に髪を切ることは親切であり、悪気はないのです。
邪魔、暑いという思い込み
髪を短くする子ども時代を送ってきたので、長い髪は邪魔だろう、暑いだろうという思い込みがあります。
坊主頭と比べると暑いのですが、頭皮に熱がこもりやすいショートカットより、長く伸ばして結ぶ方が涼しく感じられることを知らない場合があります。
先入観は大敵
「こうあるべき」と植え付けられた先入観を取っ払うのは非常に難しいことです。
今はダンスやバレエで前髪を伸ばす子が多いですが、目的があると知らせても、勝手に切る強者がいます。
子どもが話せる年齢であれば、子どもから「伸ばしてるの。切ったら悲しい。」と断ることが効果的です。
それでも無理やり切ったのなら、昔と今の環境が違うこと。価値観を押し付けはストレスになると伝え、今後の付き合いを考える姿勢を見せるといいでしょう。
まとめ
それにしても、祖父母たちは「孫の髪を切れ切れ」と、なぜあれほどまでにしつこいのでしょうか。時代背景を見ても、その執拗さにため息が出ます。
元々髪の毛が少ないなか、七五三を目指して伸ばしている。ダンスのために前髪を伸ばしているから、ピンで留めている、と伝えても、なぜか「切った方がいい」と言い続けるのですよね。
こちらの話を聞いていましたか? と疑います。
植え付けられた先入観や価値観は本当に恐ろしいものです。