周囲の傍観、迎合がいじめを悪化させた実例・加害者の被害者意識とは

小学3年生の娘が、あるクラスメイトにいじめを受けました。

主犯は1人。
しかし娘と仲が良い女子一名が主犯に迎合してしまい、事態が悪化しました。

親である私が納得いかなかったのは、その女子と母親が「自分は被害者である」と思っていることでした。

いじめを傍観、あるいは加害者を迎合することがどれだけいじめ被害者を追い詰めることになるのか、実例をお知らせします。

周囲の傍観、迎合がいじめを悪化させた実例

私は三姉妹を育てています。
この記事は、次女が3年生の時の話です。

娘が通う小学校は、一学年に2クラス、全員で50名ほどしかいない小規模校です。
一クラスは25名ほどで、女子は10人強です。

学校の周辺に住む高齢者から苦情が寄せられたことがきっかけで、チャイムは鳴りません。
そのため授業が延びて、休み時間が取れないことがあります。

また帰宅時も安全面への配慮から学年ごとに先生の引率があるため、他クラスの生徒と話す時間はあまりありません。

次女は幼稚園生から小学3年生になるまで、友人間で問題が起こったことがありませんでした。適度に協調性があり、主張はしますが譲ることもできるので、健全な友人関係を築いていました。

ところが小学3年生の5月になった時に、状況が大きく変わりました。
それまで毎日のように放課後遊びに出かけていたのに、全く出かけなくなったのです。

少しの間見守っていたのですが、放課後に閉じこもる生活が1か月、また1か月と続くと「ただ見守っていてよいものか」と心配になりました。

小学生女子の微妙な変化

次女に「最近遊びに出ないけど、何かあったの?」と聞いてみました。すると「みんな遊んでないみたい。それまではみんな学校で遊ぶ約束してたのに、最近は約束してる子を見ないんだよね」と言いました。

私:「Aちゃんとは毎日遊んでたよね。Aちゃんは一緒に遊べないの?」
次女:「Aちゃんに遊ぼうって誘っても、遊べないって言われる」

妙だな、と感じました。

Aちゃんとは小学校入学前からの知り合いです。
1~2年生では別のクラスでしたが家が近所で通学路が同じなため遊ぶ約束を取り付けやすく、習い事がない日は毎日のように一緒に遊んでいました。

1年生の頃のAちゃんは友達に命令をして従わせようとする癖があり、従わないと不機嫌になりました。
その様子を目の当たりにした高学年女子に頻繁に注意されたことから、Aちゃんは「高学年女子にいじめられている」と認識して親に訴え、学校に対処を願い出る事態となりました。

次女は理不尽な目に遭うとすぐに泣く癖がありましたので、私は「涙は時に脅迫となるため言葉で主張するよう」話して聞かせました。Aちゃんと次女はそれぞれちょっとした問題がありましたが、互いを“仲が良い友達”と言って遊びたがりましたので、見守っていました。

子どもは時に喧嘩をして、「これじゃいけないんだ」と対処を学び、社交性を養っていきます。全く何の問題もない子どもはいないので、子ども間で解決できる問題に親が口出しをするべきではないと思い、子育てをしてきました。

そんな次女が数ヶ月もの間、Aとも他の友達とも遊んでいません。

次女は「みんな約束していない様子だから、遊んでいないみたい。遊ぼうと言っても、用事があるって言われる」と言います。しかし私は次女と同じ学年の女子達が放課後一緒に居る姿を見かけることがありましたし、近所の公園で遊んでいる長女も、次女の友達が集まって遊んでいるのを見ていました。

次女は仲間外れにされているのでは、という疑問が頭に浮かびます。

思い返してみれば、次女が遊びに行かなくなる直前にこんなことがありました。

3年生になって初めて同じクラスになった数人の女子生徒とAちゃんと次女は、公園で遊びました。何の遊びをするかという話しになった際、みんながBちゃんの提案に賛同しました。その遊びが一段落した後もBちゃんの提案が採用され、それが終わっても同じことが続きました。そこで次女が「バドミントンをしよう」と持ち掛けると、Bちゃんは次女を無視して、自分のやりたい遊びを始めました。周囲の友達もBちゃんに習い、「バドミントンなんてやらない!」と言って次女を非難しました。

「なんで?」と次女は聞きましたが、みなに無視されたと言います。帰宅後、次女は悲しかったと漏らして、少し泣きました。

そういえばあれ以来遊びに行っていない……と気が付きました。

グループ行動をしたがる子の人間関係

次女に「Bちゃんたちと学校の休み時間に遊んだりするの?」と聞くと、「休み時間は遊ぶ時間がないことが多いけど、遊ぶ時間があってもBちゃんやAちゃんたちはグループになってて、仲間に入れてもらえない」という答えが返ってきました。

Bちゃんが中心となっているグループにはAちゃんとCちゃん、Dちゃんが居り、みながBちゃんに従っているようです。彼女たちは1年生の時に同じクラスになり、このような形ができたようでした。

小学生女子の一部には「グループに属していないと不安」な子がいますので、私はその集まりなのかと想像しました。

次女は仲の良い友達がいますがグループを作ることはなく、色々な子に声をかけて遊ぶ子です。BちゃんやAちゃんたちと“友達との付き合い方”が違うのだと分かりました。

同じクラスの女子は人数が少ないため、Bちゃんたちの他には5~6名ほどしかいません。親が働いている子は放課後に学童に入るので、他に遊べる子は殆どいませんでした。

それにしても、Bちゃんたちは他クラスの子達に混ざって遊ぶことがあるようです。これだけ人数が少ない学校で、遊ぶ約束をする様子が誰にも見られないなんてことがあるでしょうか。

次女が他のクラスの子と遊ぶ約束をして帰宅した日は、大喜びで出かけて行きました。その他は長女の友達と遊んだり、男子達に混ざって遊ぶようになりました。

次女が他クラスの子と遊ぶ際にあとからBちゃんが混ざってくることがあったのですが、Bちゃんは露骨に次女に命令をしてきました。

鬼ごっこで逃げる際の囮になるよう指示をして来たり、延々と鬼役をするよう求めるのです。次女が「なんで」と聞くと、無視をしたり他の子達に「別の場所に行こう」と声をかけて、その場を去ってしまうことがありました。

その際に他クラスの子が「Bちゃんの言っていることはおかしい」と次女の味方をしてくれることが何度かありましたが、Bちゃんは取り合いませんでした。次女の味方をした子は首を傾げ、自宅で親に報告することがありました。

私が知り合いのママ友達に子どもたちの様子を聞いて回ったため、その状況が耳に入ってきました。

いじめ加害者の仲間は、元いじめられっ子

私はAちゃんの母親と付き合いがあるため、Bちゃんについて聞きました。

するとAちゃんは、1年生の時にBちゃんにいじめられていたということがわかりました。次女がそうであったようにBちゃんに意見してしまい、以来無視をされたり嫌がらせをされたのです。先生のいない場所でするため、先生は全く気が付かなかったのだとか。

直接的な暴力等がないため先生に対処を求めるには“いじめの要素”が足りず、Aの母親はヤキモキしたと赤裸々に語りました。しばらくいじめが続いたと思ったら突然普通の友達のように接してくるようになり、ホッとしたのも束の間、ほどなくしてまたいじめが再開しました。

どう対処するべきか悩んだものの、いつの間にかAちゃんとBちゃんは仲良くなり、一緒の習い事を初めて関係が落ち着いたとのことでした。

AとBが同じ習い事を始めたことで、Aの母親はBの母と接するようになりました。

B母は特定の人には愛想がよいが人を選別する傾向があり、気分にムラもあるので付き合いに気を使うといいます。また、Bちゃんは母親の前ではよい子なので、Bちゃんが特定の友達に嫌がらせをしていることは気が付いていないだろうと話しました。

Aちゃんが1年生の時に友達に命令をして従わせようとする癖があったのは、Bちゃんの影響だったのかもしれません。当時AちゃんはBちゃんから嫌がらせをされて、同じクラスの子と遊べませんでした。別のクラスだった次女と毎日のように一緒に遊んでいましたが、Bちゃんとのトラブルについて話したことはありませんでした。

AちゃんはBちゃんとの接し方に悩みながら、次女に対してBちゃんのように振る舞ったのです。前述したように居合わせた上級生に強く叱られて、その行動はなくなっていきます。

自己防衛のためにいじめに加担する

Aの母から話しを聞いた後も、私は同じ学校に子どもを通わせている信用のできるママ友数人に話しを聞きました。

証言と状況から、次女を率先して仲間外れにしているのはBではなく、実はAちゃんだということが判明します。

AちゃんはBちゃんの機嫌を損ねていじめの矛先が自分に向かないように、次女を率先して仲間外れにしていたのです。

Aが次女と遊ぶと、どこかでBに目撃される可能性があります。そのためBちゃんが用事がある日以外は、Aちゃんは他の子と遊ぶ際に次女を仲間に入れないよう努めていました。

他の子に声をかける時は「次女ちゃんに内緒で」「次女ちゃんは呼ばないで」と声をかけて誘っていたのです。そのため次女は、友達同士が遊ぶ約束をする姿を見ることがありませんでした。

次女は一度、AちゃんがBちゃんを含めた子達と遊ぶ約束をしている様子に気付き、「私も入れて!」と声をかけたことがありました。Aちゃんは間髪入れずに「嫌。無理」と一刀両断してBちゃんを喜ばせました。次女は帰宅後、涙ぐみながら私に報告をしてきたことがありました。

しかしAちゃんは、次女を嫌っているわけではありませんでした。Bちゃんに目撃される心配がない日には、次女を誘いました。またBちゃんに目撃される可能性がある日は、「夜にオンライン通信ゲーム内で遊ぼう」と言ってくることも良くありました。

そのため次女はAちゃんがいじめに参加していること、むしろ先導していることに気付きませんでした。

いじめ被害者から加害者に変わった娘と母親

Aの母は協調性があり、悪意がない人です。私がBちゃんについて聞いて以降、娘であるAちゃんに様々な聞き取りをしてくれました。

・Bちゃんが「次女ちゃんを遊びに呼ばないで」と求めたのは、5月に2~3回
・Aは次女ちゃんを仲間外れにするのは嫌だったが、自分がいじめられるのが嫌でBちゃんの言うとおりにしていた
・6月以降はBちゃんは何も言わなくなったので、仲間はずれにはしていない
・Aは次女ちゃんを遊びに誘ったが、次女に断られていた(これは事実ですが誘うことはあまりありませんでした)

Aちゃんは母親に泣きながら白状したようですが、実際よりも状況を軽く報告したようです。

Aちゃんは5月から10月ころまで、Bちゃんの機嫌を損ねないよう次女を仲間外れにしたり無視するのを先導して行っていました。Bちゃんが次女を仲間外れにするよう求めたのが5月だけなら、それ以降はAちゃんがいじめの主導者となります。

周囲の聞き込みや次女や長女からの話で大体の事態はわかっていましたが、とても残念に思いました。

次女と一番仲が良かったAちゃんがBちゃんに迎合しなければ、次女は「Bちゃん達からちょっとした嫌がらせを受けた」と思う程度で、「いじめられた」とまで思うことはなかったでしょう。

Aちゃんの気持ちも分からなくはないのです。
子どもはどう振る舞ったらいいのか手探りです。失敗を重ねて学ぶことがあります。でも……。

Aの母は「Aも次女ちゃんに悪いと思いながら、虐められたくなくてBちゃんのやることに従ってしまったみたい。Bちゃんと一緒になって意地悪をしないよう言い聞かせる。ごめんなさい」と言ってくれましたが、「Aがそうしてしまったのは仕方なかった」とAを庇う言葉も繰り返しました。

「Aも被害者である」と思っていることが、よくわかりました。

確かにAの親の立場なら、そう思ってしまうのも分からなくはないのですが……。

当時小学校5年生だった長女は「私ならいじめた子に取り入ろうともしないし、他の子が被害に遭いそうなら加害者は仲間に入れずに被害者と一緒に遊ぶ。実際そうしてる」とAちゃんとAの母の対応を非難しました。私も同意しました。

AちゃんもAの母も悪い人ではないのですが、次女や長女、私とは決定的に考え方が違いました。

Aちゃんの言動は理解できる部分があるけれど、これを許してしまったらいじめを助長させるだけです。
私の立場からは、質が悪いと思わざるを得ませんでした。

いじめ加害者の弱点

Bちゃんは意見されることを嫌い、自分に従わない子は「自分と合わない」とみなして無視をしたり仲間外れにするようです。

年間でターゲットは1人か2人ほどなので、これまで大きな問題になりませんでした。

私がママ友数人に話しを聞いたことで事態を知った他クラスの子が、次女をよく遊びに誘ってくれるようになりました。そこに偶然Bちゃんが混ざると、次女と一緒に行動している子にも指示をする様子が見られました。これらの話は子どもから話しを聞いたママ友が教えてくれました。

私はわざとAの母に「Bちゃんのいじめの内容を記録している。今後も続くようなら、学校に報告して対応を頼もうかと思っているんだ」とさり気なく伝えました。

するとAちゃんの仲間外れ行為や、Bちゃんの命令行為等のいじめがピタっと止みました。
つっけんどんではありますが、Bちゃんが次女に普通に話しかけてくるようになりました。

恐らくはAの母から話しを聞いたAちゃんが、Bちゃんに伝えたのでしょう。

Aちゃんは焦ったでしょうし、Bちゃんは親にいい顔をしているという情報がありましたので、学校から親に連絡がいくのを嫌がるのではないかと想定したのが効果てきめんだったようです。

いじめグループの破綻

次女と同じ学年の息子を持つママ友は、「可愛い子をいじめるのは間違いなくブス。Bちゃんてブスでしょ」と持論を展開しました。

そのママ友はとても美人です。小学から中学生になるまで美人であることで妬みを買い、特定の女子に次女と似たいじめを受けたそうです。

次女は派手な顔つきをしているため、ママ友は「次女ちゃんはかなり可愛い」と評価してくれており、「ブスの僻みは厄介。そのうち仲間内で勝手に破綻するはず」と断言しました。

実際にママ友をいじめた女子達は中学生時代に仲間割れをして、主犯格は“ぼっち”になったそうです。ママ友曰く、「顔つきがどうであれ、心がブスな人は結果的に孤立する」と言いました。

別のママ友の子は「Bちゃんみたいな子って、小学校低学年の頃から頭角を現しているんだね」と感心していました。

そのママ友もBちゃんに似たクラスメイトに苦しめられた経験があるそうで、前述したママ友と同じように「グループになりたがるいじめ体質の女の子は、中学生くらいで揉めて崩壊するよね。いたわ、そういう子が。嫌いだった……」としみじみと語りました。

どちらのママ友も、「Bちゃんは恐怖政治で仲間を作っているので、しばらくはこのまま成長してしまうだろう。そして中学生になり友人間の世界が広がったあたりで破綻する」という見通しを示しました。

私も同感です。Aちゃんのように迎合してしまう子も、中学生くらいで「この人の機嫌を取る必要ある?」と気づいて、離れていくのかもしれませんね。

一年生だった当時。BちゃんはAちゃんを同じ習い事に誘い、Aちゃんと一緒に通うことになったのを機に、Aちゃんへのいじめをやめました。

Bちゃんは学校に着くと、Aちゃんにべったりとくっついて行動するようになりました。

しかし習い事にはAちゃんより前から仲良くしている友達が別にいたため、Bちゃんはその子にべったりで、Aちゃんを無視することが多くあったそうです。Aちゃんは3年生の後半になると、度々次女に「Bちゃんが嫌」と愚痴を漏らしました。

なぜかBちゃんも、大して仲がいいわけではない次女に、「Aちゃんて自分勝手だよね」と漏らし、同意を求めてくることがありました。次女は「そう?」と言うに留め、間に挟まれることに苦痛を感じていました。

Bちゃんは半年から一年程度で習い事を変えるのですが、その度にAちゃんにも「一緒に習い事を変えよう」と持ち掛け、Aちゃんも応じました。一年生の頃から3年間で、3回は“一緒に”習い事を変えています。

それでも陰で不満や悪口を言いあう二人に、次女は首を傾げました。

私は次女に「AちゃんとBちゃんのどちらにも同意しないほうが賢明」というアドバイスしかできませんでした。「彼女たちはじきに破綻するだろうが、なるべくしてなること」とやんわりと伝えました。

親が子どもの付き合いに口を出すべきではないのでしょうが、「AちゃんやBちゃんの話には関わらず、他の子と遊んだほうが良い」と言いたくて仕方ありませんでした。

いじめは加害者の対処だけでなく、周囲の傍観者、迎合者が問題だと言われていますが、それを痛感する出来事でした。

 

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