小学生の登校拒否は連鎖する?実例「学校行かないあの子はズルい」と言う子どもに親の私が話したこと

3姉妹を育てる母です。

長女は小学校高学年です。
一学年が50人~60人程度の、小規模な小学校に通っています。

ある女子生徒が徐々に登校拒否状態となって行きました。

数年後、彼女と仲の良かった女子生徒2名も休みがちになり、内一名は登校拒否状態となりました。

これらについて記します。

嫌いな授業を受けたくないから学校に行かない、という同級生の登校拒否

長女の同級生の女子生徒Aが、小学生低学年で徐々に登校拒否気味となりました。

低学年から中学年までは徐々に休む日が増えて行ったものの、放課後にAと同級生たちで集まって遊ぶなどして、コミュニケーションをとっていました。

Aには姉兄がいます。一番上の姉も小学生の時から登校拒否状態にありました。
それに倣うように兄も小学生で登校拒否となり、末っ子のAも小学校高学年になる現在、全く学校に来なくなり、登校拒否状態が続いています。

Aは登校拒否になりかけの時期に、同級生達から「なんで学校に来ないの?」と聞かれていました。同級生たちは単純に疑問だったようです。
Aは「〇〇の教科が嫌いだから」「〇〇の行事をやりたくないから」と、自身の意思や選り好みで学校を休むのだと説明しました。

同級生たちは、「私だって嫌なことあるけど、頑張って学校に行っているのに。Aはズルい」と口にするようになります。
Aは楽しい行事には参加するものの、普段学校に来ないので、行事内で誰もが担当するはずの「係の仕事」は免除されました。当初は係の仕事をあてがわれていたのですが、「係の仕事をしなきゃいけないなら行かない」とAが言ったことで、担任教師が免除した経緯がありました。

楽しいことばかりで義務を負わない様子に、同級生の間で「Aはズルい」という印象が強くなっていきました。

長女は私に、「〇〇ちゃんも〇〇君も『Aが嫌なことから逃げてばかりでズルい』って言ってる。私もちょっとそう思う。ママはどう思う?」と聞いてきました。

私はかつて、長女が登校拒否になるかもしれないと覚悟した経験があります。

長女が小学一年生の時の担任教師が、少々問題のある人でした。その教師は前年度に受け持ったクラスでも保護者から問題視されており、長女の時も、長女やある一部の生徒を極端に冷遇し、暴力的な言動が認められました。思い詰めた長女は心因性の腹痛と発熱を繰り返したのです。

朝は元気に学校に行くのですが、昼前に腹痛を訴え、保健室で熱を測ると38度近くの発熱が認められるのが常でした。学校から連絡を受けて迎えに行き、早退すると、家に着くころにはすっかり回復しました。

早退をした翌朝は大抵腹痛を訴えるので、休ませます。すると欠席が確定した時点で回復するのです。

数日休ませると体調不良が出なくなるため、元気に学校に行くのですが、数日すると腹痛と発熱が認められて早退、翌日欠席、という流れが続きました。

担任教師に問題があることがわかり、状況からも心因性であることが明らかでしたので、当時は登校拒否になるかもしれないと覚悟しました。

面談時に担任に相談を試みたことがありましたが、全く取り合われませんでした。無理に学校に行かせても長女の精神を悪化させかねませんでしたので、登校拒否になっても仕方ないと覚悟して、十分に学校を休ませました。

幸い、担任以外の職員に相談をしたところすぐに校長先生に繋げていただくことができ、担任教師に指導が入りました。

問題が全て解決したわけではありませんでしたが、担任が態度を粗方改めたことで長女の心因性の体調不良が減り、その後は通学できるようになりました。(数人の保護者から問題教師として訴えられたことで、翌年その教師は別の学校に移動となりました)

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長女は精神面の不調が明らかな体調不良として表れていました。

同級生達も長女の体調不良を見ていましたので、「なんで学校休んでるの?」とは聞いてきませんでした。友達との関係は良好でしたので、気晴らしになればと思い、学校を休んだ日でも誘われたら遊びに行かせることもありました。

長女はたまたま体調に出やすいタイプでした。
対して、同じようにストレスを感じても、目に見える症状には現れないケースもあるでしょう。

そんな経緯がありましたので、仮に本人が「〇〇の授業が嫌いだから学校に行かない」と言っていたり、楽しい行事の時だけ参加するという事実があったとしても、「学校に行かない本当の原因は、詳細に聞かない限りわからない」ものです。

ですから長女には「みんな色んな事情がある。人より少し敏感で、学校生活に疲れやすい子もいるし、発達の障がいなどで集団生活が苦手な子もいる。何かきっかけがあって一時的に心のバランスがとりにくくなることもある。Aちゃんも実際どうなのかわからないから、ズルいって一言でまとめてしまうのは、良くないかもよ」と答えました。

長女は「そっかー」と言っていましたが、度々「Aちゃんのお母さん、すっごい優しくて、子どもの言う事なんでも聞くんだって」などと同級生から聞いてきたことを私に伝えてきました。

Aちゃんの姉兄が登校拒否状態なのは、子どもの言うことを何でも聞いてしまう優しすぎる母親のせいではないかと、子どもたちの間で噂となっているのだとか。

私は答えに窮しました。

Aちゃんが小学校に入った時には、既に登校拒否となり家に居続ける姉と兄がいる状況だったはずです。低学年の時は元気に学校に通っていたAちゃんでしたが、学校は楽しいこともあれば嫌なこともあります。学校に行きたくないと思った時に、家にいる姉や兄を羨ましいと思うことがあるかもしれません。

上の子が何かしらの事情で登校拒否とならざるを得なかった場合、後に下の子が登校を渋ったら、親は下の子をどう説得できるだろうと想像しました。

「優しい母親」が「優しくならざるを得なかった理由」があるかもしれないのです。

引きずってでも子どもを学校に行かせる親もいますが、それが正しいかは、考え方やケースによるでしょう。親として何が正しいかは結果論であり、とても難しいと感じました。

私は長女にどう伝えるべきか悩みましたが、上手くまとめることも難しかったので、これら思ったことをそのまま伝えました。

長女は「そっかー……」と言いましたが、その後も度々「Aちゃんのお母さんは子どもに甘いんだって」と言うことがありましたので、「Aちゃんのお母さんが甘い」という話しに納得しているのかもしれません。

不登校と心のバランス

ある時、長女は同級生のBちゃんから相談を受けました。

Bちゃんはオンラインゲーム上で、Aちゃんと一緒に遊ぶことがありました。

そのオンラインゲームには、ゲーム内にいる不特定多数が見られる掲示板があります。
Aちゃんはそこに、小学校名、クラス、フルネームを名指しして、同級生の悪口を書き込みました。

Bちゃんは驚きました。

コメントを見た時はAちゃんがゲーム上に居ませんでしたので、書き込んだ意図を聞くことができませんでした。いえ、仮にAちゃんとゲーム上で会うことができても、聞けなかったかもしれません。

Aちゃんは学校を休みがちになったころから、同級生の悪口を言うことが増えていました。悪口の内容が加速度的に酷くなっていったのです。意見されることを嫌い、友達と遊ぶ際に主張が通らないと悪口を言ったり、周囲を巻き込んで仲間外れにしようとしました。

小学生女子には度々見られることではあるのですが、大抵は毎日学校で顔を合わせるうちに仲直りするなどして円滑な関係の築き方を学んでいきます。しかし学校を休みがちなAちゃんは誰かと揉めると暫く学校に来なくなってしまい、関係の修復ができませんでした。さらには、揉めた相手と会わない間に、憎悪を募らせてしまっているようでした。

そんなAちゃんの様子を知っているBちゃんは、Aちゃんを問いただすことができず、学校で長女に相談してきました。

長女はそのゲームを持っていないため、直接書き込みを見ていません。しかしBちゃんはコメント欄をスクリーンショットで記録していました。

悪口の内容はかなり過激なものでした。名指しされた同級生はそのゲームを持っていませんので、直接目にする可能性は低いものの、学校名やクラスまで書かれているので、書き込みを目にしたユーザーが検索すれば、大体の居住地が分かってしまう状態です。

私はAちゃんの保護者と関わりが一切ありません。顔も知らなければ連絡先も分かりません。ゲーム内とはいえネット上に個人名を晒したままなのは問題だと思いましたので、担任教師に相談してみてはと長女に伝えました。

Bちゃんと長女は担任教師に相談しました。その後どうなったのかはわかりません。

ネットの、しかもゲーム内の書き込みまで教師に相談せざるを得ないことを実感し、教師の負担の大きさを感じました。

小学生の登校拒否は連鎖する? 実例

長女が小学校高学年になったころ、Aちゃんは完全に登校拒否となり、全く学校に来なくなりました。

そして、同級生の女子生徒2名が、特別な理由がなく学校を休むようになりました。

少子化が進む現代では小児性愛者や不審者から子どもを守るために、放課後に同級生と遊ぶ子どもの送迎をする保護者が珍しくありません。私は横浜在住で坂が多い地域のため、日常的に車で送迎をしている家庭もあります。

頻繁に送迎をしてもらっていた子の一人は、学校に登校する際も「送迎して欲しい」と願うようになりました。特に天候が悪い日や暑い日、寒い日に重いランドセルを背負って歩くのは負担なので、車で送迎してもらった方が楽だ、と思ったようです。

保護者は登校班で集団登校するように求めますが、子どもが「送ってくれないなら学校行かない」と言い出すことがありました。揉めているうちに始業時間に間に合わなくなり、根負けして送迎をしたり、試しに休ませるなどして、「明らかな理由がなく休む」日が出てきました。

高学年になってくるとスマートフォンを持っている生徒が多いので、「今日なんで休んだの?」と同級生たちに聞かれることがあります。そこで「雨が降ってたから学校に行きたくなかった」と返事をすると、同級生の間で「ズルい」という意識が生まれていきました。

「学校に行かない」と子どもが言う背景には、「学校に通っていない同級生がいる」という事実と「多様性」を認める風潮が影響している場合もあります。

また、感染症対策で長期にわたり学校が休みになったり、学級閉鎖などを繰り返したり会話を制限されたりして、同級生とコミュニケーションを取りにくくなったことや、家に籠る時間が増えた分、親との距離がより密接になったことも影響しているでしょう。

一律に管理されがちな日本ですから、多様性が認められ、のびのびと生きられる世の中になってほしいと願います。

しかし嫌なことがあったとしても、コミュニケーションを学び学力を伸ばし、挑戦するといった、集団でしか得られない経験が確かにあります。生まれて数年の子どもは、自分の状況や今後の展望をわかっていません。

子どもとどう向き合うか、子どもにとってどうすることが良いのか悩む親が少なくありません。

この子は「友達にズルいと言われたくない」と思うようになり、たまに送迎をしてもらいながらですが、休まずに通うようになりました。

私も学校を休みたいと言う子どもへの接し方

高学年になり休みがちになった2名の内の一名、Cちゃんは、週に2日、多いときは一週間通して学校を休むようになっていきました。

休みがちになる少し前に、Cちゃんはクラスメイトの男子達から「Cは菌を持っている」と揶揄われ、ばい菌扱いをされたことがありました。

長女を含めた女子達は散々男子に注意をしましたが、ほとんど改善が見られなかったので担任教師に訴えました。
担任教師はきつく男子達に注意をしましたがすぐには終わらず、教師のいないところで2~3週間ほど続きました。女子対男子の構図が出来上がります。

長女たちは度々担任教師に訴え、担任教師からの激しい雷が3、4度落ちたところでやっと終わりました。

そのあたりから、Cちゃんはポツポツと学校を休むようになりました。

初めはお腹が痛かったとか、頭が痛かったから休んだと同級生に説明しました。そのうち家族で出かけるために休んだ、と説明する日が増えて行きました。

家族で出かけるために学校を休むことが決して悪いことだとは思いませんが、週に数日となると、少々多く感じられます。休むのは決まってCちゃんが嫌いな教科のある日でもありましたので、休みの理由は「嘘だ」と囁かれるようになりました。

Aちゃん同様に、放課後は体調不良が治ったと言って友達と遊ぶこともありました。
しかし学校を休む日が多くなると、友達と遊ぶ機会も、連絡を取る機会も減って行きました。

Cちゃんは長女がとても仲良くしている友人の一人でした。
そのためか、長女は私に「私も学校休んで家族で遊びに行きたい」と言うようになります。

海外では平日に学校を休んで旅行をすることがあると言います。長女が一年生の時、登校拒否になりかけた時は平日でも気分転換にと出かけたことがありましたが、体調が戻ってからは休んだことがありません。

たまには平日に出かけるのも良いと思いますが、現状は休日に出かけられているために必要を感じません。

「Aちゃんのお母さんと一緒で、Cちゃんのお母さんやお父さんもすごく優しいんだよ。だから学校に行かなくてもいいって言うんだと思う」と長女は言いました。「うちはママ(私のこと)が優しくないから、理由がないと休ませてくれない……」とも。

「学校に行かない自由はある。でも親には子どもに教育の機会を与える義務がある。ママは自宅でしっかり勉強を教えられるだけのノウハウがない。学力をつけることで新たな興味が生まれたり、視野を広げるきっかけにもなる。学校に行かないなら行かないなりの、生き方の難しさがあるんだよ」と言いました。

また、Cちゃんはばい菌扱いされた時期があり、休み始めた時期とも一致していることから、ばい菌扱いされたストレスと嫌いな授業を受けるストレスが重なった時に、心を休ませるために登校を拒否したくなる気持ちが想像できます。ただ遊ぶために休んでいたわけではないのでは、と話すと、長女は何かを考えているようでした。

数ヶ月の不登校が終わるきっかけ

Cちゃんは数ヶ月の間登校拒否気味となっていましたが、ある時期以降、登校する日が増えて行きました。

きっかけはバレンタインです。

長女は毎年、仲の良い友人間で、手作りのお菓子を交換していました。

友人達と「今年もお菓子を交換しようね」と約束しましたが、その場にCちゃんはいませんでした。しかし長女を始め、友人達がそれぞれCちゃんの自宅にお菓子を届けました。

Cちゃんにも渡そう、と友人達と示し合わせたわけではなく、自然と「Cちゃんにも食べてもらいたい」と自宅に届けたのです。

お菓子を届けた日、間もなく、長女のスマートフォンにCちゃんから「美味しい! ありがとう!」と嬉しそうなLINEのメッセージが届きました。

その日以来、徐々にCちゃんの登校する日が増えて行きました。

三週間が経った今ではほぼ毎日通い、放課後は以前のように友達と遊ぶようになっています。

 

不登校になる理由は様々です。

虐めや発達障がいなどの生きずらさ、心身の問題でやむを得ず不登校になるケースもあれば、環境や心の成長の一端で一時的に登校拒否となることがあります。或いは強い信念の元、学校に通わない選択をするケースもあるでしょう。

この記事では身近にいた、一時的に学校を休みがちになった例を取り上げていますが、ネット上で度々見ることがある「登校拒否は甘えである」とか「不登校は簡単に解決できる」とは全く思っていません。

長女から「友達が休みがち」と聞くたびに、難しい問題だと感じます。

不登校には子どもの「心」がよく表れていると感じた一件でした。

 

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