しまむらで出会った「マウント母」に驚いた話/子どもを使った顕示欲と承認欲求、母親の闇

未婚か既婚か。
子持ちかどうか。
生活レベルの違い。
学歴の違いなどなど。

様々な場面で「マウント」を取ろうとする人がいる、と聞いていました。

私はこれまで、マウントを取られたこともなければ、取ったこともありませんでした。

未婚か既婚かは個人の選択の結果ですし、子どもを持つかどうかも人生設計や身体的問題によって変わります。
学力や生活レベルの違いは、育った環境の経済力や考え方によって変わるものであり、高学歴や、逆に早くに社会に出て切磋琢磨する姿に憧れることはあっても、人としての優劣を決めるものではありません。

“私とは違う道を生きてきた人”の価値観を面白いと感じることがあっても、優劣をつけてマウントを取ろうとすることはありませんでした。ですからマウントを取られることも、取ることもなかったのです。

しかしある日突然、「これが世に聞く、母親同士のマウントか!」という場面に巻き込まれました。

それは低価格な衣料品販売店として有名な「しまむら」で、偶然起こりました。

面白かったので記事にします。

しまむらで「高い物を選びなさい」という母親マウント

私は三姉妹の母です。
末っ子は幼稚園生。長女と次女は小学生です。

靴下が破けたり、下着が小さくなったと言われたので、新調しようとしまむらを訪れました。

長女の習い事の送迎の通り道にしまむらがあるため、「ちょっと寄ってみる」には良いお店でした。

しまむらで出会った母娘

早速キッズからティーン向けの肌着コーナーに向かうと、次女と同じくらいの背丈の女の子と、母親と思われる女性がいました。

母親は恰幅が良く、髪は根元が黒く、毛先に行くにしたがって金に近い茶髪。ヘアセットはしておらず、化粧っ気もありませんでした。黒くダボっとしたシルエットで薄めの綿が入ったジャンパー(今はブルゾンと言うのでしょうか。スカジャンの刺繍がないバージョンのようなデザイン)と、緩いパンツを履いていました。娘も黒っぽいジャンパーを着て、小学生らしいチェックの可愛いスカートを履いています。

因みに私も髪の根元は白っぽくなっており(20代から白髪が多く、月に一度白髪染めをしています)、アクセサリーはつけていますが化粧はしていませんでした。服装も適当に、タイトなパンツに白シャツ、やはりタイトなショート丈のダウンを着ていました。

(現在の流行りはダボっとしたデザインだそうで、タイトなデザインは「古い」とのこと。私はまるっきりオバサンスタイルだったと言えます)

ふふ。
気負わずに行けるのがしまむらの魅力の一つ。

と思いながら、子どもたちと肌着や靴下を選びだしました。

すると女の子の母親が、こちらを直視こそしないけれども、明らかに意識しているのがわかりました。
視線を感じるというか、バシバシと強い「意識」を感じたのです。

しまむらで意識し合う、2組の母娘

初対面の人に話しかけることに抵抗がない私は、いっちょ話しかけてみようかと母親を見ますが、「話しかけないで」というオーラに満ちていたのでやめました。

また目線の動きから、少々警戒心が強そうな方にも見えたので、無理にコミュニケーションを取るのは得策ではないと直感しました。

狭い売り場に他の親子がいると選びにくいのかもしれないと思い、パパっと選んでその場を去ることにしました。

三姉妹に「ほらほら、どれにするか選んで~」と声をかけました。それぞれに好みの靴下や下着を手に取り、「ママ、これがいい」と見せてきます。

私がサイズの確認をしていると、女の子が母親に「これがいい」と下着を見せたのがわかりました。母親は「もっと(価格が)高いのにしなさい」と強い口調で言いました。

……高いの……?

その時私の三女が、キャラクターがプリントされた靴下を差し出し、「これがいい」と言いました。私は貧乏育ちなので、キャラクター物はキャラクターの使用料が金額に含まれている分高価だったり、素材の質が下げられていることがあるのではと想像してしまい、若干抵抗があります。

子どもにどうしてもと求められれば購入しますが、できれば他の服にも合わせやすい、キャラクター物ではないデザインに誘導したいところ。

「なるほど。こっちの靴下も可愛いよ」などと言って、他の靴下を見ていました。

その間、女の子が母親に「高いのってどれ? こういうのとか?」と聞いています。母親は「もっと高いのにしなさい!」と半ば怒りながら繰り返しました。母親は女の子の腕を引っ張ったり背中や肩を押しながら移動し、周辺を動き回りました。

決して広いとはいえない、しまむらの陳列棚の間で繰り広げられる異様な光景に、私は若干の緊張を感じました。

低価格が売りのしまむらで、価格が高いものを探すのは難しいでしょう。
高価な衣類が欲しいなら、なぜしまむらに足を踏み入れたのか……。

「高いのにしなさい!」と何度も何度も繰り返していることや、妙に大きな声だということに異様さを感じ、周辺を動き回りながらも明らかに私を意識していることが分かったことで、緊張はさらに高まりました。

……なぜだかわからないけれど、もしや張り合われてる? 価格で張り合ってきてるよね? え、なぜ?
私はしまむらでもなお、得な買い物をしようという貧乏根性の持ち主なのだけど……。

そこで気が付きました。

これが噂のマウントか!!

マウントは、

・狭い世界→しまむら店内の子ども用売り場
・似た環境→母と小学生の娘

といった、実に比べやすい状況下で、突如として起こるのかもしれないと感じました。

ちょっとした意地や虚勢からくる張り合いが、源になるのでしょう。

張り合いたい母親と、逃げたい母親

母親は女の子を連れて、近くにある大人用の肌着の陳列棚に行ったようでした。

小学生サイズではない明らかに大きく見える下着を、なぜか私のすぐ近くまで持ってきてから女の子に、「これが高いから、これにしなさい」と言いました。

チラッとしか見えませんでしたが、サイズ感としては165くらいのかなり大きなサイズの物を持っていました。
小学校3年生かそこらの女の子(私の目測では、140程度の子でした)には、あまりに大きすぎるように思えます。

女の子は案の定「そんな大きなの履けないよ」と言います。母親は「これが高いから、これがいいの。うちは安物なんて買わないんだから!」と怒ったように繰り返しました。

なぜか母親に意識されていた私ですが、私もこの時にはもう、その母親が気になって仕方がなくなっていました。(こっそりと観察しまくり)

そのサイズは、その女の子には大きすぎて脱げるよ。パンツを押さえながら生活することになるよ。
お母さんに心境を聞きたいけれど、下手に話しかけたら絶対拗れそうだ。
触らぬ神に祟りなしか……。ここは聞いてないフリをするのが得策。

と心で思いながら、三姉妹の相手をしていました。

念のため「私は張り合う気はないよ」という意思表示をかねて、三女に「キャラクター物は高いから、安いのから選んでよ」と言いました。

すると母親は女の子に向かって、「あんた、キャラクターの買ったら? ほら、これとか」と言い出しました。女の子は「えー」と嫌そうに答えます。小学生も中学年になってくると、キャラクターではなくティーン向けのデザインを好む子が多くなるからでしょう。

「高いのがいいんだから。うちは高いのしか買わないの!」と言い、母親は明らかに大きな下着とキャラクター物の下着を持って、レジに向かって行きました。女の子の意向は受け入れられることはありませんでした。

母親同士のマウントのストレス

どうやら戦い(?)は終わったようでした。

まさか突如マウント合戦に巻き込まれることになるとは、全く思っていませんでした。

女の子はキャラクター物の下着を嫌がっていましたが、女の子に合ったサイズを母親が持って行ったので“履ける下着がない”という状況にはならないでしょう。

半ば呆然とする私に、小学校高学年の長女が、「なんか、凄いお母さんだったね」と私に小さな声で言いました。

小学生も気が付くくらいですから、余程あからさまだったのでしょう。

マウントは降って湧くように巻き込まれるものなのだと、知りました。

マウントを取りたがる母親が抱えているもの

しまむらのマウント合戦に巻き込まれた後、私はある一件を思い出しました。

私と仲の良いママ友Aが、ママ友Bに「日々マウントを取られてストレスだ」と相談してきたことから、話は始まります。

幼稚園で起こる、子どもの発達マウント

私とママ友A、Bは、同じ幼稚園に子どもを通わせていました。
小規模な幼稚園で、クラスは学年に一クラスしかありません。子どもは同じ年でしたので、皆が同じクラスでした。

私の子どもは女の子。
ママ友AとBの子どもは男の子でした。

Aの子どもは言葉が遅く、年長になるまではお遊戯会や運動会にほとんど参加できず、立ち尽くすことが多くありました。
外遊びは好きで、クラスの友達と一緒に遊ぶなどのコミュニケーションは取れていました。

Bの子どもは平均的な発語があるものの、加害が多く、問題視されていました。

友達を突き飛ばす、引き倒す、遊具の上から落とす、乱暴な言葉遣い、高いところに隠していたハサミやカッターを探し出し、刃を出して振り回す等々、先生たちが対処に手を焼いていました。

Aは見た目は強そうに見えますが、実は繊細で、気を使い過ぎるところがあります。私とは幼稚園入園前からの知り合いで、深い話をしたり相談に乗ったり酒を飲んだりと、仲良くしていました。

Bは恰幅が良く、見た目はやんちゃですが、ギャルではありません。恐らくヤンキーでもなかったと思われます。物言いは強いですが、どこか不安定な印象がある人でした。噂話が好きで、誰かの悪口とも感じられる話を楽しそうにしていました。

Bはクラスのママ達とあまり馴染まず、Aとばかり話しました。幼稚園の行事の時も降園後の公園遊びも、休日も、毎日のようにAと連絡を取って会い、子どもたちを遊ばせていました。

AはBに頼まれて、Bの子どもたちを数時間預かることがありました。Aは子どもが好きでしたので、最初は抵抗がなかったようですが、度重なるうちに「負担だ」と私に漏らすようになりました。

Bの息子とその弟は、二人とも加害がありました。公園で遊ばせようにも他の子どもたちを傷つける可能性があるので、家で面倒を見るようになります。それでも、室内用のジャングルジムなどでAの子どもが突き落とされて、怪我をすることがありました。

Bの息子たちに注意しても、全く聞く耳を持ちません。Bに報告をしますが、「こいつら全然話しを聞かないんだよ。夜も朝方まで寝ないから大変」と、逆に愚痴を聞かされました。

預からずに済むよう、理由をつけて断るようになりました。しかし依然として「遊ぼう」という誘いが多いので、同じ幼稚園に通わせている手前断り続けるのも難しく、一週間に2~3回は親同伴で遊んでいました。

AはBと公園で子どもたちを遊ばせる際、新しく購入したおもちゃは持って行かせないようにしていました。皆で同時に遊べるおもちゃであればいいのですが、そうでないことが大半だったからです。

しかしBの息子二人は、頻繁に新しいおもちゃを公園に持ってきました。Aの息子がおもちゃを貸してとお願いしても、絶対に貸しません。Aの息子は一人で公園で遊び、Bの息子たちは新しいおもちゃを披露しながら別々に遊んでいました。

Bは「家に置いていけって言ったんだけど、新しいおもちゃが嬉しいみたいで、持っていくって言って聞かなくて。ごめんね」と毎回Aに謝りました。

この状況が頻繁に起こるので、Aも新しいおもちゃを持って行ったことがあるのですが、Bの息子にあっという間に奪われて乱暴に扱われ、悲しい思いをしました。また、なぜかBが不機嫌になるため、持っていくのをやめました。

そんな中、断れずにBの息子たちを預かった際、AはBの息子たちの口から「ママがおもちゃを公園に持って行けって言うんだ。新しいおもちゃを(A息子)君に見せてあげなって言うから、持っていくことにしている」と聞きました。

AはBに一層、不信感を募らせるようになりました。

発達の不安とマウント

BがAにする会話は、子どもの発達や新しいおもちゃについて、誰かの噂話が殆どでした。

「(A息子)君は、〇〇ができないでしょ? うちの子達は〇〇が簡単にできるんだよ」
「(A息子)君は年中のお遊戯会でセリフを言えなかったけど、うちの子達は口が達者だから~」
「うちの子達には新しいおもちゃ沢山買ってるから、贅沢に育っちゃってるみたい。Aの家ではそんなに買えないでしょ?」

と、Aの息子とBの息子を比べることを頻繁に言うようになっていきました。

Aの息子が既にできるようになっていることでも、過去の話を持ち出して、Bの息子の方が早くできるようになったと暗に匂わせたり、時に直接的に話してきました。

Aは息子の言葉が遅いことや、遊戯に参加できていないことをとても気に病んでいましたので、表には出さないものの、Bの言葉に酷く動揺しました。

その頃幼稚園では、Bの息子と弟の加害が、大きな問題となっていました。
いつか大きな事故になるのでは、と多くの保護者が心配していたのです。

補助の先生を一人付けただけでは加害が止まらず、刃物も振り回すため、先生たちが2~3人かかりでBとその弟を止めていて、疲労がたまっていました。

園がBを呼び止め、Bの息子たちの発達状況について相談を持ち掛けると、Bは激しく怒りました。そしてBの夫と園長の立ち合いの元、話し合いの場が設けられることになりました。

話し合いの場でBとBの夫は、終始怒り続けました。
「息子はおかしくない。おかしいのは園の対応だ」と主張します。

園が、Bの両親の協力が得られないのであれば退園もやむ無し、と考えていることが分かると、Bは園に「A息子はどうなんだ」と聞きました。Bの息子より、Aの息子の方が問題だろうと言い出したのです。

園はAの息子を全く問題視していませんでした。発語が遅かったり、お遊戯が本番で上手くできないという状況はありますが、加害はありませんし、心優しい子だったからです。

園長はAの息子の名前が出たことに驚きながらも、「今はBさんの息子さんの話をしています」と伝えました。Bは「B息子よりA息子の方が問題だ」と譲らず、話し合いは難航しました。

怒ったB夫婦は、息子たちを転園させることに決めました。そして知人や近所の神社の神主、自治会を回っては、「あの幼稚園はおかしい」と言って回りました。

話し合いの後、BはAに電話をかけて、「園はB息子より、A息子の方が問題だと言っていた。幼稚園をやめて欲しいと言っている。B息子は園の対応に不満があるから転園させるが、A息子も転園すべきだ。転園しなくてもそのうちやめさせられる」と伝えました。

Aは酷く動揺し、私に相談してきました。

実は私は園の関係者と古くから付き合いがあり、Bが話し合いで酷く荒れたことや、なぜかA息子の話しを持ち出したことを聞いていました。(本来外部に漏らしてはいけない話ですが、私は身内に似た立ち位置だったのだと思います)

私は、園がA息子のことを全く問題視していないことを知っていました。
Aが酷く気に病んでいて、その後の園生活に影響しそうだったため、園の了承を得たうえで、園から聞いた話をAに伝え、Aと園関係者が直接話をする場を設けてもらいました。

AはBの話が嘘だったことを知ってホッとしたのと同時に、Bが「A息子より私(B)息子の方が優秀」と思いたいあまり、マウントを取り続けていたのだと確信しました。

マウントはいつまで続くのか

Bの息子たちが転園すると、園の保護者はBの息子たちの行く末を案じながらも、安堵しました。

Bの息子たちは隣の園に転園しました。その後加害がなくなったのかはわかりません。「相変わらずの様子だ」と噂で聞くこともありましたが、B夫婦は転園先の幼稚園の素晴らしさを語り、元居た園の批判を何年も続けていたようなので、新しい園ではそれなりに上手くいっていたのでしょう。

学区内に住んでいましたので同じ小学校に上がるはずでしたが、Bは祖父宅の協力を得た上で、送迎をしてまでして、子どもを隣の小学校に通わせることにしたそうです。

そこまでする理由は、わかりません。

Bは転園後も相変わらず、Aに遊ぼうと持ち掛けました。AはBを避けていましたので、会うことはほぼなくなっていましたが、LINEで「B息子は〇〇ができるようになった。(A息子)君はできないでしょう?」という内容が多々送られてきていました。

Aの息子はBの息子が転園した辺りから一気に言葉が増えて、年長になるとこれまでとは見違えるようにお遊戯会などで活躍するようになっていました。

小学校に上がると、勉強も運動もできて友達付き合いもよく、優しいと評判になり、女の子にモテるようになります。

AはBがマウントを取って来ても傷つかなくなり、「まだこんなことを言っているのか」と返事をしなくなりました。

Bと息子たちが今どうしているのかは、わかりません。

子どもを使った顕示欲と承認欲求、母親の闇

BがAにマウントを取り続けたのは、Bが自分の息子たちの問題から目をそらすためだったのでしょうか。

「私の息子はAの息子よりマシ」と思いたいあまりにマウントに走り、Aを落ち込ませることで、Bが自身の鬱憤を晴らしていたように見えました。

劣等感と子どもの将来への不安を前に、自己肯定感を高めるため、身近な誰かを“落とす”行為です。

しまむらで出会った母親とBは、風貌や目線の動かし方、口調がよく似ていました。

しまむらで出会った女性は、根底に何を抱えていたのでしょうか。

知りたい。
しかし怖くて本人に聞けませんでした。

残念。

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