子どもの送迎がしんどい・子どもを対象にした犯罪件数と少子化の関係

子どもの環境が、治安の悪化や少子化により変わってきています。

今は保育園に始まり、習い事や子ども同士の遊びにさえ、送迎することが珍しくなくなりました。
親は日々、家事や仕事、子育て、子どもの送迎に追われ、気がつけば送迎の車の中でしか座っていないなんてことも。

昔に比べ増えている子どもの送迎の理由、子どもを対象にした犯罪数、少子化の影響や親の負担についてお知らせします。

子どもの送迎の今と昔


20年から30年ほど昔、今の子育て世代が子どもだったころ、親に送迎してもらい、習い事や遊びに行くことはあったでしょうか。

少なくとも、一都三県で育ったアラフォーの私は、親に送迎してもらった覚えが一度もありません。周囲にも送迎をしてもらっている家庭はほとんどありませんでした。

自然豊かな地方で育った友人は、友達と遊ぶときは自力で向かい、習い事は送迎をしてもらっていたと言います。習い事の教室が自力でいける距離になかったからだとか。
地域柄によって環境は違いますが、子どもが多かった時代は子どもを外で遊ばせることが基本にあり、親が手助けをすることは多くありませんでした。


私は現在横浜に住んでいます。周囲の子育て世帯を見てみると、余程近所でない限り習い事の送迎を当たり前に行っています。それに加え、子どもたちが近所の公園に遊びに行くための送迎も珍しくありません。


送迎を頻繁に行っているママさん達に理由を聞くと、

子どもを狙った犯罪が増えていて危険だから。

という声が多く聞かれました。

子どもを狙った犯罪件数


警察の不審者情報を確認すると、頻繁に「知らない男に声をかけられ、腕を引っ張られた」「こっちにおいでと声をかけられた」「体を触られた」「局部を見せてきた」など近所で起きた事案を知ることができます。

これがいつ凶悪犯罪になるか、と心配するのは当然のことと言えます。

不審者情報をメールで知ることができます

各都道府県で警察が不審者情報をメールで配信しています。
利用には登録が必要です。例えば神奈川県ならこちら☟

https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesd5010.htm


実際、私の子どもを通わせていた幼稚園では不審な男性が度々現れ、園庭で遊ぶ子どもたちを見て回る姿が目撃されました。話しかけると逃げていくため、そのたびに警察に連絡し、巡回をお願いしていました。
園門にはIDカードの開錠が必要なシステムが採用されていましたが、門を乗り越えて侵入することが可能だったため、保護者の心配は続きました。

また、新型コロナで休校が明けた時にも、子どもたちが一人になるところを狙った不審者が全国で多発しニュースとなりました。



警視庁が発表している子どもの被害件数状況はこちらです。

子供(13歳未満)の被害件数及び罪種別被害状況の推移(2010~2016)

  2010  2011  2012  2013  2014  2015  2016 
子供の被害件数32,89729,78426,79126,78324,70720,10617,252
うち殺人77766768838274
うち強盗714119634
うち強姦55657669776469
うち暴行707710846882858886906
うち傷害467493495548539557631
うち強制わいせつ1,0701,0271,0661,1161,095881893
うち公然わいせつ10983139136133140109
うち逮捕・監禁9779121021
うち略取誘拐9186959410984106


統計をもとに、グラフにしたものがこちらです。


意外にも、子どもを対象とした犯罪は減少傾向であることがわかります。

しかし総数が減少傾向にもかかわらず、強制わいせつや略取誘拐などの性的な被害の可能性がある分野ではその傾向が見られません。

割合で見ると、横ばいから増加傾向にありました。


送迎の理由


私は小学生から幼稚園生の三姉妹を育てている母親です。

上二人が習い事をしているため、それぞれ週に1~2回ほど車で送迎をしています。週に3~4日は送迎をしているということです。
子どもだけで通える範囲に子どもが希望した教室がなかったため、車で送迎することを覚悟のうえで決めました。

習い事は覚悟をしていたのでいいのです。想定外だったのが、小学校に上がると“友達と遊ぶ際に送迎する親が珍しくない”ということでした。


小学校に上がると、子どもたちが自主的に遊ぶ約束を取り付けてくるようになります。

最近まで保育園児や幼稚園児で親の目の届くところで遊んでいた子どもたちが、自主的に出かけていくようになるのです。心配が大きかったものの、いつまでもついて行くわけにはいかない、子どもが自立する第一歩なのだと自分に言い聞かせ、送り出していました。


しかし早々に、

ママ、3時に☆☆ちゃんと三角公園で約束したから、車で送って。

と言われるようになります。


聞けば、お友達が何人も車で送迎をしてもらっているというのです。

それは小学校で学年が上がっても続きました。


名前が挙がった何人もの友達の母親を知っていました。
そのママさんたちに、遊びの送迎をする理由を聞きました。

送迎をする理由
  • 不審者が怖いから
  • 送迎をした方が子どもの行動範囲や交友関係を知ることができるから
  • 小学校低学年のうちは体力や安定感がないので、自転車で行かせるのに心配があるから
  • 不審者に連れ去られやすいから、徒歩で遊びに行かせるのは避けたい
  • 子どもが減っていて、遊びに向かう途中に人の目がなく心配だから


なるほど。



フルタイムの共働きで、放課後に子どもの様子を見られない家庭は、学童に入るのが普通でした。
ただでさえ子どもが少なくなっている中、習い事をしている子も多く、学童に入る子もいて、遊べる日も、遊べる相手にも限りがありました。

夕方の公園は子どもたちが集まっていますが、そこを除けば人気が殆どありません。一人で行かせるのが心配という気持ちはよくわかりました。

何かあってから後悔したくないから。


少子化や子どもを性の対象にした犯罪の増加が、保護者に負担としてのしかかっていました。

過保護か甘えか


送迎の実態を聞きました。
母親の予定が埋まっていない限り、子どもが当日取り付けてくる約束の通りに、当たり前に行われていました。

今日はあの施設で○○ちゃんと遊ぶから、○○ちゃんの家に迎えに行ってからその子を乗せて施設に送って。電話をしたら迎えに来て。



……凄いな。アッシーだ。


念のため説明すると、アッシーとは足として使われる人のことを指します。
具体的には、言いつけ通りに車やバイクを出し、送迎する人のことです。


お友達が送迎されているのを見て、長女も羨ましくなったのだと言います。

……自分で行きなよ。

えー!? 坂がきついのに! 汗かいちゃうから嫌。送って!


2~300m先の公園に行くのが辛いなら、遊ぶ資格などないわ。
この時の正直な気持ちは、親を足に使うな(怒)です。

ママは私が心配じゃないの?

心配だよ。不審な人がいるとか、おかしなことがあったら電話して。すぐに行くから。基本は自力で行って。


親の心配に乗っかって、楽をしようとしている長女の姿が垣間見えました。
実際のところ、子どもたちは親がどんなに心配しているのか、実感などないのです。
あるのは、「送ってもらえて楽」ということだけでしょう。


実際に不審な人がいると電話があり、公園に向かったことがありました。子どもたちに一定の距離をとったまま公園内をついてきたのだと言います。私が現地に着いたときには不審者の姿はなく、何もできませんでした。

それは送迎の保護者がいない時間のことでした。結局のところ、常に見張っていなければ、心配が付きまとうのが現状です。

送迎はいつまで


遊びに行くための送迎はいつまで続ける? という問いに、

基本的にはずっと。

という答えが返ってきました。


上の子が大きいママさん達からは、中学校に上がってからも、暗くなる時期には学校帰りに迎えに行くと言います。

それほど子どもが狙われるという危機意識が強いのです。

何より、少子化で子どもの数が減り、帰宅時間に人の目が少なくなっている実感がそうさせているようにも思えました。

私が小学校や中学校の頃は、帰路には大抵別の生徒が視界に入っていたけど、今は少なくなってしまったな。

不審者が現れて、大きな声を出しても、聞こえる距離に人がいないのが怖いよ。


送迎を外注・キッズタクシー


仕事や体調不良などで子どもの送迎を親ができない場合、子どもだけで利用できるタクシーサービスがあります。

☝全国各地ではありませんが、多くの地域で利用できる、全国子育てタクシー協会によるサービスがあります。

我が家の最寄のタクシー会社では、通常料金で利用でき、支払いは子どもに現金を持たせるか、後日一か月分をまとめて請求書を送付する形が選べます。
登録されているタクシー会社によって料金体系が違う場合がありますので、ご確認ください。

☝こちらは日本交通が提供するキッズタクシーです。時間貸し切り制で、最初の一時間が¥5270、距離や時間の超過があれば追加で請求があります。支払いは電子マネーやカード決済が可能です。

その他、各地で独自のキッズタクシーサービスを展開しているタクシー会社があります。

子育ての負担・少子化が進む理由


最後は子育ての愚痴で締められました。

愚痴
  • 昔は子どもが多く、大半が専業主婦だったため人の目がたくさんあり、治安に役立っていた。
  • 怒鳴りつけたり叩いて躾けても、すぐに虐待だ、通報だって言われなかった。
  • 子どもが多かったから、幼稚園の費用が安かった。(今は高度経済成長期に建てられた幼稚園の建替え時期に入っており、負担金として経費が乗せられている場合がある)
  • 給与水準は上がっているが税金が上がっているため手取りが減っている。
  • 終身雇用がなくなり、給与が上がらなくなっている。
  • 高校や大学の学費は増加の一途。


中学校まで子どもたちの送迎をするなら、私はあと12年は送迎を続けるということか。

送迎はやっぱり大変。それに加えて学費や治安の心配があったら、子どもが増えなくて当然だよ。


保育園や幼稚園の無償化は目先の問題の目くらましに過ぎず、堅実な家庭ほど、高校以上の学費がかかり過ぎることで子どもを諦めているという声が聞かれました。

子どもは可愛いけど、手間とお金がかかり過ぎるね。



少子化の闇は深いと感じました。






最新情報をチェックしよう!