家の金が少しずつなくなる。
どうやら犯人は子どもらしい、と気づいたとき、対処に悩む親は少なくありません。
我が家の長女が小学一年生の時に家の金を盗みました。
そして母親である私も、小学校高学年の時に家の金を盗んだことがあります。
それぞれの盗んだ理由、親の対処、その後の子どもの様子についてお知らせします。
親の金を盗む理由
親の金を盗む理由として以下の理由が挙げられます。
〇 欲しいものがあるが、金が足りないから
〇 親に相談しても金をもらえないのがわかっているから
〇 親の気を引きたい
〇 いじめなどにより金を要求されている
実例・長女の場合
長女が小学校一年生の頃の話です。
友達と遊んだ話をしている中で、長女がジュースやお菓子を買っていることがわかりました。
ん? おやつはいつも持って行ってるよね?
そのお菓子やジュースを買うお金はどうしたの?
長女はしまった! という顔を見せ、言いました。
……ママの財布からこっそりもらった。
どうして黙って持っていったの?
☆☆君がお金持ってきてっていうから。
☆☆君は早くからお小遣いをもらっていて、遊びに出るときは¥3000ほど持ち歩いていると言います。
長女を含めた他の友達はおやつや水筒を持参していて、お金を持っていませんでした。
☆☆君は気前がよく、友達に毎回一本ずつジュースを奢っていたと言います。
後から知って驚き、☆☆君にジュースを買ってお返ししていました。
☆☆君にジュースを買ってお返しするときに、友達が羨ましがる中、自動販売機で買ったことが嬉しかったと言います。その日をきっかけに、☆☆君からお金を持ってきてと言われるようになったとか。
何かを買うことが楽しいこと、ジュースが美味しいがこと、羨ましがられて優越感を感じることも分かるけど、お金を持ってきていない他の友達は楽しくないこと、お金を使うのは月に数回にすると何度も約束したことを再度確認しました。
長女は☆☆君を理由にしていましたが、長女自身がお金を使うことを楽しんでいることを前々から感じていました。
長女のポーチを見せてもらうと、一円玉や百円未満の小銭が多く見られ、レシートもありました。
財布から盗ったのは二回で、百円や二百円ほどと素直に白状しました。
お小遣いの入っている財布から持ち出すとバレるので、人目に付きにくいところに置いてある私の財布から盗ったと言います。
ママはダメって言うと思ったから。
この一件の直前にもお金を持たせており、☆☆君以外の子がお金を使わない遊びをしている中、頻繁に持たせることはしたくありませんでした。
☆☆君は一緒にお金を使って楽しんでくれる友達が欲しかったようです。
どう伝えたらお金の大切さがわかるのか、悩みました。
時間をかけて話しました。
小学一年生であっても、自由に使わせるべきなのかとも考えましたが、このまま金遣いをエスカレートさせることがいいとは思えませんでした。
それとね、家のお金でも、盗んだら窃盗っていう犯罪になるの。
しっかりと目を見て伝えました。
……いけないことだってわかってた。ごめんなさい。
長女はぽろぽろと涙を流して泣き出しました。
嘘をつかずに正直に言えたことを褒め、もうしないって信じることを伝えました。
もうしない!
ハグをしてその話を終えました。
しかしその後も☆☆君からの催促が続き、それは我が家の玄関でも繰り広げられました。
お金持ってきてよ、という☆☆君の言葉に、持っていけないよ、と断る長女のひそひそ話が聴こえました。
少し躊躇いましたが、私から言うことにしました。
たまにならいいんだけど、しょっちゅうお金を使ってほしくないんだ。
パパが頑張って働いて稼いでるお金だから、大事に使ってほしいの。
お祭りのときとかに、みんなでお小遣い持って遊びに行ったらいいんじゃない?
……。
行ってきまーす!
そのまま遊びに行きました。しかし遊びに出た先でも、今度お金を持ってきてと言われたと言います。
仲の良いママ友に相談しました。
長女ちゃん、小学一年生でお金盗むなんて、早いね。
実は私も小学5年生の時に家の金を盗ったことがありました。
ママ友も小学校高学年から中学校の時に盗ったことがあると言います。
ママ友は盗みが発覚すると同時に、話をする間もなく父親に殴られ、もともと上手くいってなかったこともありそのままグレた経歴を持っています。
☆☆君のお母さんは割と放任だから、お金を持ち歩いていることを知らない可能性がある。
☆☆君は一人でバスに乗って習い事に通ってるから、何かあった時のためにってお金を持たせて入るのではないかと教えてもらいました。
親が知らない子どもの行動
☆☆君のお母さんに連絡を取りました。
普段一緒に遊んでくれていること、ジュースを何度も奢ってもらったことに礼を言いました。
え!? ☆☆、そんなことしてるの!?
やはりお母さんは知りませんでした。
毎回お金を持ってきていること、友達数人に遊ぶたびに奢っていること、長女にお金を使って遊ぼうと声をかけていること。他の友達の手前、お金を持たせずにいたら、長女が私の財布から数百円盗る事件が発生したことを伝えました。
長女がきっぱり断ればいいだけの話なので☆☆君は何も悪くないのだけど、根気よく誘ってくれているので、お金を使って遊ぶのは月に1、2回程度に減らしてもらうよう、伝えてほしいとお願いしました。
☆☆君のお母さんからしたら、気分のいい話ではなかったでしょう。
私も親として出しゃばりすぎかもしれないと迷いがありましたが、伝えました。
知らなかった。
小学生でもお金を使って覚えていくことがあると思うけど、友達が持ってきてないのに見せびらかすのは良くないね。言い聞かせておくね。
今後ともよろしくお願いします。
☆☆君は相変わらずお金を持ち歩いていたものの、お金の催促はなくなりました。
その後は☆☆君を含めお祭りやショッピングモールに出かける時に、自由にお小遣いを使ってもらっています。
実例・私の場合
私は小学校5年生の時に家のお金を盗んだことがあります。
母の財布、家の貯金箱、祖父母宅の貯金箱から盗みました。
理由は、自由になるお金が欲しかったからです。
お小遣いは貰えませんでした。
たまにもらう、ということも、弟はありましたが私は許されませんでした。
おやつも母のこだわりで限られており、友人宅で出されると貪り食べていました。
友達の誕生日会も参加費があったり、プレゼントを持っていかなければならない時は参加できませんでした。
友人の母親が憐れんでお菓子を買ってくれることが多々ありました。
しかしそれを母に言うと怒り出し、その子と遊んではいけないというので隠していました。
毎年祖父母からお年玉をもらっていましたが、お年玉を使うことも禁止されていました。小学校高学年になって買い食いする友達が増える中、私は眺めて待っていることしかできませんでした。
ある時、お年玉を入れていた財布から、百円を取り出して遊びに行きました。
当時は今ほど物価が高くありませんでしたので、百円でも駄菓子を数個買うことができました。
友達に混ざってお菓子を買って食べることが、こんなに楽しいことなのだと初めて知りました。
しかしすぐに百円を持ち出したことが母にバレ、叩かれて叱られました。
母によれば、お金を使うことは“悪”だそうで、子どもは使わずに遊ぶものだと言います。
弟は友達と温水プールに行くのに五百円渡されていても、私が温水プールに行くのは許されませんでした。
ただただ、友達と混ざって遊びたくて、家の貯金箱から百円を取り出しました。
貯金箱は中が見えないもので、いくら入っているか親はわかっていませんでしたので、しばらくバレませんでした。
そのうち百円が五百円になり、少しずつ貯金箱が軽くなりました。
長期休みで祖父母宅に行ったときにも貯金箱から数百円盗り、鞄に忍ばせて持って帰りました。
そのうち両親が貯金箱の軽さに気が付いたため、貯金箱ではなく札を盗ることにしました。
生活費を現金で降ろし、封筒に入れて引き出しにしまわれているのを知っていたからです。
千円を盗ってもばれませんでした。
そのうち五千円を盗るようになりました。
友達は大金を持ってくる私に驚きました。
奢ってと言い出し、一緒に楽しむために奢りました。
そしてついに両親にバレました。
鞄を漁られ、お金を持っていなければ買えないはずの小物が見つかり、何度も叩かれました。
しかし私は友達にもらったと言い張り、最後まで盗ったことを認めませんでした。
お小遣いが欲しかったと正直に言っても、絶対にもらえないことがわかっていたからです。それどころか、罰と言ってさらに締め付けが強くなることがわかっていました。罰は与えられても、褒美をもらったことはなく、親は絶対に意見を変えることはありませんでした。
母は私の友達の家に電話をかけ、話を聞いて回りました。
学校に行くと友達が心配して話を聞いてきました。当時仲良くしていた友達は私を庇うことを親に話してくれていて、私の両親は詳しい話を知ることができませんでした。
両親は警察に相談しました。
盗んだ総額は恐らく7、8万円になっていたと思います。
少額を盗るのは子どもによくある手口だと警察は言いました。
子どもが認めないのなら、指紋を取って犯人を確定することもできると言われたと言います。
そうなれば、警察に捕まると母親から言われました。
捕まるのは嫌。
そう思い盗みをやめました。
母は私が友達と遊びに行くのを良しと思わず、外出を制限される日々となりました。
10年以上のちにわかったことですが、両親は私が友達に虐められて金をせびられていたと思い込んでいました。弟は「姉ちゃんはやってない。」と最後まで信じてくれていました。弟には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
両親とは距離を置いていますので、今後一生、白状するつもりはありません。
盗んだ私が親になる
罪悪感はずっと持ち続けていました。
しかし、親のせいにして正当化する気持ちが今でもあります。
長女が財布から金を盗った時、自分のしたことが返って来たのだと思いました。
私の行動が両親を悩ませた分、私も長女に悩まなければいけないと思いました。
そして両親に話を聞いてもらえず苦しかった分、長女の気持ちを聞こうと思いました。
子どもは気持ちを言葉にすることが下手な場合があったり、子どもの要望通りにするのが子どものためにならないことが往々にしてあります。
どう気持ちを聞き出し、親の気持ちを伝えるかが非常に難しいと感じました。
解決法
子どもがお金を盗んだ時、怒って言うことを聞かせるのが一番簡単で手っ取り早いです。
しかしそこで生まれた気持ちの捻じれは、子どもの心に大きく影響し、長く引きずる原因となりますので、お勧めできません。
なぜしてしまったのか、どうして欲しかったのかを聞き、子どもの気持ちを理解することが重要だと考えます。
子どもの言う通りにできない時には理由を話し、親が譲歩できる案を出します。親と子で折り合いをつけることで、子どもは「希望の通りではなくても、気持ちをわかってくれた。」と信頼の気持ちを持つことができます。
信頼の気持ちは、子どもが行き詰った時に大きな心の支えとなります。
特別な理由がなく、単純な物欲である場合は、警察に相談したと脅したり、交番のおまわりさんに協力してもらって叱ってもらうのも効果的な方法なようですね。
まずは子どもの気持ちを否定せず、じっくり聞くことをお勧めします。