【子どもの習い事トラブル】揉め事の原因は“親”の実例

三人の子どもを育てる親です。

最近、小学生の娘があるトラブルに巻き込まれました。
それは習い事として通っているダンスサークルで起こりました。

一部の保護者の「熱心」さが、周囲を困惑させていくことになります。

私はその保護者が非常識だと感じましたが、その後彼らよりさらに「熱心な保護者」の存在を知り、保護者の正しい姿勢とは何なのかを考えるきっかけとなりました。

その実例を下記に記します。

(個人の特定を防ぐために、一部フィクションを加えています)

習い事トラブル・子どもより熱心になる親の暴走・実例

全国にいくつものスタジオを抱える、大規模なダンスサークルでのことです。

各スタジオにいくつものクラスがあり、年齢や実力に合わせて子どもたちが振り分けられています。
娘がいるクラスは、そのスタジオで一番上のクラスでした。

一か月後にダンスの大会が控えていました。大会はクラスごとに踊る団体競技が主です。
先生がつけた振り付けを練習し、メンバーのポジション決めまで終わっていました。

私の娘は以前より「この先生の振り付け格好いい。好き」と絶賛していました。その後、先生に指名されてソロパートを踊ることが決まり、喜んで、自宅でも常に練習をしていました。

それから丸一週間以上経って、メンバーの一人であるAが「私もソロパートを踊りたい」と発言しました。
先生は返答に困りながら、「オーディション選考にしてもいいけれど……」と言葉を濁しました。

この場合のオーディションとは、娘とAがそれぞれ振り付けを踊り、先生が良いと感じた方がソロパートを踊ることを指します。

娘は「なぜ今頃言い出すのだろう」と驚きましたが、オーディションになってもソロを任命される自信があると言い、自分を鼓舞しました。なぜならAはここ数ヶ月もの間、週に3日あるレッスンに集中しておらず、洗練さが足りない動きをしていたからです。

先生は結局オーディションをせず、娘の続投を決めました。
Aは先生の悪口を、先生の前でもメンバーに言うようになっていきました。

一週間後、Aの母親がレッスン時に先生の元を訪れました。

Aの母は、Aと仲の良いメンバーBの母親を連れていました。この保護者二名は普段から仲が良く、他の保護者がいる場でも他者を会話に入れさせない密接さがありました。

A母、B母のただならぬ雰囲気に、先生もメンバーも委縮しました。AもBも親が来ることを聞いていなかったようで、驚いています。先生はA母、B母と話をするために、別室に移っていきました。

保護者が帰っていき、先生がレッスン室に戻ってきました。
すると先生は子どもたちの前で堪えきれず、涙を流しました。

そして「こんな振り付けをしてごめん。全部考え直す」と言い出したのです。

A母、B母から強く非難されたであろうことは、明らかでした。
しかし振り付けを一から変えるには、時間が足りません。

娘はソロパートもなくなるのかと不安になり、先生に聞くと、「ソロパートを無くすとメリハリがなくなるので残したいが、どうなるか……」と言葉を濁しました。

娘はショックを受けて帰宅しました。

「先生は凄く責められたんだと思う。先生は何も悪くないにの可哀そうだし、これまで練習してきたことがひっくり返されるっておかしいと思う」と言いました。

A母が以前より、何やら先生たちに注文を付けていることは知っていました。
当時は娘とAが違うクラスにいましたので、小耳に挟む程度だったのですが、ついに目の当たりにすることになったのです。

つい数か月前には、その保護者二人が別の先生についての苦情をダンスサークルの経営本部に寄せて、退職させたばかりです。Aが今の先生についての苦情も本部に言いつけると息巻いていましたので、娘は先生を心配しました。

私は、保護者が振り付けに口を出すべきではないと考えていました。
ダンスで表現しようとしている世界観を崩しかねませんし、また、予期せぬタイミングで部外者が口出しすると、今回のようにメンバーが動揺します。

言動に明らかに問題がある先生でない限りは、見守るのが親の役目だと思っていました。

娘と相談し、A母とB母が先生の苦情を本部に報告した際に先生が不利にならないよう、先生が保護者から強い非難を受けているらしい状況を伝えた上で、わが家は先生に問題がないと考えていること、保護者の一方的な振り付け変更指示には賛同しないが、先生が変更した場合は従う旨をメールで本部に報告しました。

次のレッスン時。先生はメンバーに、振り付けを変更しないと伝えました。前回とは打って変わって、毅然とした態度でした。メールを見た本部が、先生を後押ししているのだろうと感じました。

娘は喜びましたが、その次のレッスン時にまたA母とB母が現れ、先生を呼び出しました。先生はレッスンの時間に保護者対応はしないと突っぱねます。その日は長時間のレッスンが予定されていましたので、保護者は待ちきれず、帰宅して行きました。

本番の一週間前に、A母とB母が声掛けをして、メンバー全員が集まる自主練習が企画されていました。これはA母とB母が先生に苦情を言う前から予定されていたものです。

A母とB母が先生と揉め始めてからは、明らかに、AとBの先生に対する暴言が増えていました。レッスン時にA母とB母の姿が見えると、不快感を表情に出すメンバーが少なくありませんでした。メンバーの雰囲気は明らかに悪くなっています。

自主練習の参加を断ると「やる気がない」と非難されるため、迷いながらも娘は予定通り参加することにしました。

その自主練習で、A母とB母は娘のソロパートを無くす指示をしました。
その他にも、いくつもの振り付けを変更しました。

下のクラスから上がったばかりで、技術的に追いついていないメンバーが一人いるのですが、彼女が得意とする動きのパートのみ、最前列で踊る予定だったところを、Bと配置を変更して最後列に変えました。その子は泣くのを堪えていたと言います。

また最後の見せ場となる部分は全員で踊るはずだったのですが“上手い子”だけに限定すると指示し、A母とB母が採点員となりオーディションを決行。AとBを含めた限られたメンバーに決定されました。

娘も選ばれていましたが、なぜ保護者にここまで変えられなければならないのかと、怒りを抱えて帰宅しました。

当初は子どもたちだけで自主練が行われるはずでした。
しかし蓋を開けてみれば、A母とB母の独壇場となっていたのです。

翌日も自主練が予定されていましたので、私は娘に「参加しなくてよい」と話しました。

そしてA母が中心となっている保護者達のグループLINEに「保護者に振り付けを変える権利はないので、従う意思はない」と送ろうとした(他の保護者にも周知するため、グループLINEでの発言が適当だと考えました)のですが、娘に固く止められました。せめて本番が終わるまでは、これ以上メンバーで揉めたくないといいます。

では自主練習に私も参加すると提案したところ、保護者同士で揉めると本番までの間にクラスが崩壊しかねないと言われ、やはり止められました。

娘は自分で「ソロパートを戻してほしい」と、A母とB母に求めてみると言いました。子どもの手に負える保護者とは思えず、娘が傷つくだけではないかと心配しました。しかし娘は自主練習に行くと言って聞きません。

では耐えられなくなったら、保護者が何を言っても帰宅するようにと約束して、行かせることにしました。

結果的に、二日目の自主練習が始まると同時に、娘はA母とB母に「ソロパートを戻してほしい」と願い出ました。

難色を示す保護者に、代わりに付けられた振り付けが音と合わず、完成度が下がること。配置に無理があること、先生の振り付けを尊重したいことを続けて説明したところ、「うーん、仕方ない。戻すか!」と言われてソロパートが復活することになりました。

娘、強し!

しかしその他の変更点が戻されることはありませんでした。
そうして自主練習の日程は全て終了しました。

こんなことが許されるのか? と娘は強く憤り、涙を見せました。だからと言って、私が問題の保護者に直接物申すことはしてほしくないと言います。私はどうすることが最善なのかわかりませんでした。

次のレッスン時に振り付けが勝手に変えられたことを先生が知ったら傷つくだろうと心配していましたので、娘と話しをして、A母とB母によって振り付けが勝手に変えられていることを本部に連絡することにしました。(先生に直接連絡する手段がないため)

このメールを受けて、次のレッスンまでに先生は、A母とB母が納得するよう一部振り付けを変えたものを用意していました。A母とB母は、振り付けへの不満をパートごとに理由をつけて、先生やメンバーに話していたからです。

しかし次のレッスン時にもスタジオに現れたA母とB母は、先生の考えた振り付けの変更を認めませんでした。つまりA母とB母が言う振り付けへの不満は後付けであり、先生を従わせることが目的となっていたのです。

本部は他の先生を助っ人として追加で参加させていましたが、どちらの先生もA母とB母に責められ続けることになりました。

その日のレッスンはまともに進まず、A母とB母の影響を受けているらしいAとBは、「親の変更を受け入れない先生が悪い」と言って泣きました。それに影響されて、別のメンバー2~3人がAとBに味方し、結果的にその親もA母とB母に賛同して本部に苦情を入れる事態となりました。

この日娘は、「先生は何も悪くないのに、責められて辛そうだ」と言って、帰宅後に酷く泣きました。

なんだ、このカオス……というのが私の正直な感想です。

A母とB母が暴走しているだけだと思っていたら、賛同者が数名追加され、親のグループLINEで息巻いています。しかしその中には、表向き賛同しているだけとみられる方もいるようでした。私を含むその他多くの保護者は、一切の沈黙を貫いています。

親が口を出すべきではないと思っている私がおかしいのかと、私は私の考えを疑い始めました。

しかし娘の話では、A母とB母がレッスンに現れたり振り付けを変更することを、明らかに嫌そうな表情で見ているメンバーがいるとか。

そこで娘の許可を得て、問題の保護者を嫌がっているらしいメンバーの親2名に連絡をしてみました。

個人的な連絡したのは初めてでしたので、最初はかなり言葉を濁しつつの返答でしたが、話しをしていくうちに、「A母とB母に傲慢さを感じる」という言葉が出るほど、問題の保護者達に疑問を抱いていることを知りました。

疑問を感じているのは(というよりかなり憤っているのは)私だけではなかったと分かり、少し安心しました。

保護者の一人は、やはり先生が気の毒だと思い、本部に宛てて先生を擁護する連絡を入れたと言います。

本番直前のレッスンにもA母とB母は現れました。予期していた本部はベテランの男性の先生にレッスンを担当させて、振り付けをしていた先生を外しました。振り付けの先生にこれ以上ストレスを感じさせないための配慮だと思われます。

本番直前まで揉めたため、衣装についての細かい打ち合わせが間に合いませんでした。
質素な衣装にはなりましたが、本番はまずまずの仕上がりとなりました。

大会の一回戦を勝ち上がり、A母とB母は満足したのか、スタジオに現れなくなり、嵐は収まりました。

責められ続けた先生の精神面だけが、心配です。

親の立ち位置と、子どもの成長

表現に関わる習い事やスポーツ関係は、親が過熱しやすいようです。

話しを聞いた保護者の一人は、かつて違うダンススタジオに子どもを通わせていた際に、今回のような過激な保護者がいたそうです。その保護者がきっかけとなり、ダンススタジオ自体が解散してしまったのだとか。

個人が経営するスタジオだったのでしょうが、保護者対応がどれだけ難しいものか、考えさせられました。

その保護者は、スタジオが解散して満足したのでしょうか。

娘が巻き込まれたトラブルは、Aが先生に不満を持ったのがきっかけで、A母に不満が伝わり、A母がB母を巻き込む形で暴走が加速しました。AとBは、A母とB母の言動に初めは驚いていたものの、親に影響されるように日に日に先生への非難を過激化させていきました。

先導したのは、A母だと言えるでしょう。

長年、少年野球のコーチをボランティアで務めていた知人男性は、「話が通じない保護者はたまにいる。親目線とコーチ(先生)目線は別物なのに、理解できないらしく非常に質が悪い。文句を言うのは圧倒的に母親が多い。女性指導者は標的になるし、俺の場合は妻が針の筵状態となったから、滅多に現場に顔を出さなかった」と漏らしました。

母親をそこまで駆り立てるのは、何なのでしょうか。

子どもへの愛情ですか?

それとも親の自己満足でしょうか。

親の役目は何なのか

娘の本番のステージを観に行った時のことです。
観客席は満員でした。

私の右隣に座っていた女性は、あるスタジオのクラスのダンスが始まると、私の肩に当たるのではないかと思うほど両手を広げて強く手拍子をしました。

同様の行為をする女性が、数列前の席にも見られました。

どうやら彼女たちは、自分の子どもが通うスタジオのクラスが勝ち進むよう会場を盛り上げるため、示し合わせて手拍子をしているようです。手拍子の代わりに口笛を吹く保護者もいました。

彼らは他のスタジオのダンスで自然と手拍子が起きても、手拍子をすることはありませんでした。

私はどのスタジオのダンスだろうと変わらず盛り上げ、皆が気持ちよく踊って、その上で採点をされるのが理想だと思っていたので驚きました。

しかしサッカーの国際戦で対戦国がPKを蹴る時はプレッシャーをかけるためにブーイングをするのが普通ですね。
ボディビルダーの大会では、応援する選手が出た時には掛け声をかけて盛り上げるのが普通だとか。

それと何が違うのかと聞かれると、わかりません。

理想の保護者の姿勢とは、何なのでしょうね。

考えさせられた一件でした。

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