否定ばかりする夫の理由・夫の混乱が招く夫婦のすれ違い

夫に否定ばかりされて、うんざりする妻の話をよく聞きます。

現在は良好な関係を築いている私の夫も、かつて否定的な発言ばかりを繰り返したことがありました。

なぜ否定的な発言を繰り返すのかについて、検証します。

妻の言動を否定し続ける、夫の言動実例

夫が、私の言動を否定ばかりしていた時の一部様子が、こちらです。

・近所に安価で美味しい寿司屋があると知り、夫を誘った際
「行かない。本当に美味いかなんてわからない」と言われる。
・ブランド掃除機が煙を出し、修理代も高額だったために別の掃除機を購入したいと伝えた際
「拭き掃除すれば。どうしても必要なら勝手にして」と言われる。
・結婚して5年の時。新婚旅行以来一度も旅行をしていなかったので、家族で行きたいと言った際
「疲れてる。子ども小さいし大変。仕事入るかも」と言われる。夫は会社の同僚と旅行や泊りがけのゴルフに頻繁に出かけていたが、家族のためには仕事を休めないらしかった。
・私の出身高校の美術棟(美術科卒)がテレビで特集されていた。見てみてと夫に声をかけた際
「観ない。興味ない」と言われる。
・子どもの幼稚園を検討中、各幼稚園の評判や情報を伝えてどこがいいか相談した際
「どこでもいいよ」と言われたので、後に「ここに決めた」と報告をしたところ、「本当にそこで大丈夫なの」と苦言を呈される。
・出産をしてから一度も友人と飲みに行けておらず、ママ友に「一度は旦那さんに子守をさせるべき」と言われたこともあり、夜に子どもを数時間みていてほしいとお願いした際
「無理」と言われる。(単に面倒臭がっていただけ)
・知人から車を譲り受けることになり、もともと乗っていた車をどこに売るかの検討をしたところ、夫が知人に紹介された人物(会ったことがない、どこかの業者の代表)に売ると言い出した。買い取り額を聞くと安かったので、車を他社に持ち込んで査定を受けたところ、5万以上の差額をつけて高値がついた。そこに売ったらどうかと夫に報告した際
「知人に紹介された業者の方がいいはずだ」と言い張り、悪い条件で売ってしまった。

これはモラハラと化していた当時の、夫の発言です。

今はこのような発言は一切ありません。
私が離婚を求めてから、人が変わったようになくなりました。

夫がこのような発言をするようになったのは、生活のなかでうまくいかないことを、妻である私のせいにしていた影響があります。

どうして私のせいにするようになったのかは、別の記事に書いています。

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夫が私の発言を否定ばかりしていたのは、私の存在を軽んじて、自分が優位に立ったつもりになっていたからです。

しかし最近ある番組を見て、「それだけではない」のだと気が付きました。

高円寺薔薇亭・嘉村夫妻が陥った不仲の理由

2022年4月3日。フジテレビ系列で放映されたザ・ノンフィクションで、高円寺で薔薇亭を営んでいた嘉村夫妻が取り上げられました。

夫婦はもらい火により、長く営んだ食堂「薔薇亭」を失うことになりました。
妻は「生きがいを失った」と泣きました。

夫婦は店の再建を希望しました。しかし賃料が倍以上に上がってしまうことがわかり、別の物件を探すことになります。適した不動産が見つからず、計画は全く進みませんでした。

そんな中、夫は肩の調子が悪いと言い出しました。以前肩の神経を悪くしたことがあり、「いつ再発するしかわからない、このまま店を再建しても、いい加減な仕事をすることになる。それなら店を諦める」と言うのです。

再建を諦められない妻に、夫は苛立ちを募らせるようになります。
夫がやる気をなくしては仕方ないと、妻も店の再建を諦めました。火事から3か月が経つ頃でした。

子どもがいない夫妻は店の常連を「子ども」として愛してきました。自宅は寝に帰るだけで、ほぼ店で過ごしてきたのです。夫婦は店の再建を諦めると同時に、心の拠り所を失いました。

妻は馴染みの商店街で、関わりがあった人と会話をしては、泣きました。そして店の再建をしたいという思いを、新たにします。
しかし夫は「80歳という年齢的にも、ゆっくりするべきだ」と、反対をしました。

夫はカメラに向かって、「(みんな焼けた店の跡地が何になるかを気にしている)先に先に進むからね、人間てね」と他人事のように話しました。そして妻に隠れて酒を飲み、仕事に関わるものは全て捨ててしまいました。

夫は油絵を、妻は書道を始めました。

火事から7ヶ月経つ頃、夫婦の仲が拗れ始めました。

妻は、これまで寝に帰るだけだった家の冷蔵庫が小さく不便なため、新しく大きいものを買おうと夫に持ち掛けますが、「余分なことはしないでくれ」と止められました。電子レンジを買いたいと言っても、「俺は使ったことがないから」と提案を否定しました。

店で厨房を守っていた夫は、自宅の狭い台所に苛立ちながら、「店での習慣はもう思い出せない」と言います。

妻は何を言っても否定してくる夫を、腫れものに触るように扱いました。
食卓に会話はなく、食べ終わると夫はすぐに席を立ちました。

夫は「妻とはプライベートは別。何十年も付き合ってるから。ああじゃないこうじゃないと言っても始まらない」と煙草を吸いながらカメラに話しました。

妻は夫について、「(ずっと店をやって来たから)夫婦二人の過ごし方がわからない(のだろう)。喋らないほうがいい」と結論付けました。

夫が出かけると、ホッとする妻。

火事から9か月が経つ頃、夫は油絵をやめてしまいます。

夫は妻を避けるように部屋に籠り、ただラジオを聴いて過ごしていました。そして妻が出かけるのを待って、不在の間に食事を済ませるようになります。

妻は「(夫は)自分が大事。だから私はいつも独りぼっち。夫は私を包んでくれない。安心できる夫の行動が一つでもあれば生きていけるのに(という意味の言葉)」と話しました。

妻は薔薇亭の常連客の一人を呼び、「みんな私から離れていく」と言って泣きました。

夫については、「泣いて泣いて、諦めたのだ。あんなバカヤローに私を病気にさせられたらたまらない」と怒りを込めて語るようになっていました。

火事から10ヶ月経った頃、常連客が妻の誕生日パーティを開きました。常連たちは、また二人が作ったご飯が食べたいと伝えました。

夫は常連たちに、「これまでのことを支えてくれて、ありがとう」と感謝の言葉を述べました。

これは妻に対する言葉ではありませんでした。加えて、夫はパーティが終わるとさっさと先を歩いて行ってしまいます。しかし妻は、夫が周囲に礼を言ったことに新鮮な驚きを感じていました。それまで夫が礼を言ったのを聞いたことがなかったからです。

それから一週間後、夫は妻に頼まれて自宅の台所に立っていました。

二人暮らしには多い食材を使い、料理をします。店で使って板秘伝のたれを入れ、見た目も豪華。その腕はさすがのプロの味でした。

夫婦で囲んだ食卓で、妻は手抜きをしない夫を褒めました。

夫は楽しそうに料理をするようになりました。それを見た妻は、この人はやはり料理がしたいのだと感じます。

妻はますます夫の料理を褒めるようになりました。
夫は嬉しそうに笑い、妻の誉め言葉が嬉しいと話しました。食卓に夫婦の笑い声が戻ってきました。

夫はかつての馴染みの精肉店に出向き、厨房を借りて、プロの設備で揚げ物を揚げさせてもらうようになります。
プロとしての意識が戻ってきている証でした。

スタッフが薔薇亭を思い出すのでは? と話しかけると、思い出すと答えました。

妻が褒める度、夫は料理にやる気を出していきます。

火事から一年。
夫婦は薔薇亭の再建のため、改めて物件探しを始めました。

ザ・ノンフィクションおわり

否定ばかりする夫の理由・夫の混乱が招く夫婦のすれ違い

薔薇亭の夫が妻を否定していた時、夫は妻ではなく、自分自身を否定していたように感じられました。

年齢などの状況から店の再建を諦めるべきだと頭ではわかっていて、自ら妻を説得しておきながら、実は夫自身の心の整理がついていないように見えました。

一生懸命自分を納得させようとして、腕の痛みが再発するかもといった、それほど大きな問題ではないことまで持ち出して、自分や妻を納得させる条件を増やしていました。

しかし、心は依然としてついてきません。

対して妻は、現状の問題を解決すべく、大きな冷蔵庫や電子レンジの購入を考えていました。店の再建を望むなど気持ちの整理がつかないように見えながらも、それが叶わないのなら、今ある生活を少しでも快適にと、先を見据えていたのです。

心が止まったまま混乱している夫は、妻の提案を理解できません。「ちょっと待って。わからない」という感情が生まれますが、素直にわからないとは言えません。

妻の要望は正論だと分かっています。しかし妻の提案をのんでしまったら、何かが勝手に変わって行ってしまうという怖さのようなものを感じているように見えました。夫は混乱しているので、決断ができません。動きたくもないのです。

決断を迫られて追い詰められた夫は、咄嗟に「不要」と答えてしまいます。自分の返答に納得はしていないので、いたたまれなくて妻の前から離れてしまいます。夫にとって妻は“決断を迫る”存在になり、ストレスの元になってしまったのです。

妻を否定する時、その根底に、自分自身を否定する夫のやるせない心が感じられました。

妻は夫の思考がわかりません。言葉通りに受け入れたのに、なぜ夫が苛ついているのか理解できません。夫は話してもくれないので、妻は自分なりの思考を巡らせるしかありませんでした。

提案をことごとく否定する夫について、私を愛していないのだと解釈しました。そして「夫は自分だけが好きなのだ」と結論付けます。妻の結論は、妻自身を傷つけました。夫に愛されていない自分が惨めで、寂しいものに感じられ、孤独感を募らせます。

対して夫は、妻を避けていましたので、妻の寂しさに気が付きませんでした。
夫婦は互いに誤った見方をして、すれ違って行きました。

これは番組が夫と妻それぞれに密着していたからこそ、私なりの解釈で気づいたことです。妻の立場であれば妻の目線からしか知る由がありませんから、夫が抱えていたものに気づかなかったでしょう。

妻は「夫は自分ばかり見ている人」と思いこんでいましたが、常連客に礼を言う姿を見たことで、「私の勘違いかもしれない」と気が付きました。そして夫は、薔薇亭が忘れ去られているものと思っていたのに、「また食べたい」と常連に言われたことで、自分の存在価値を取り戻しました。

震災で家が壊れるなどした際に、立ち直れないのは男性が多いと言われています。
目に見える功績や評価が、そのまま自分の価値に置き換わりやすいのが男性の思考と言えるのかもしれません。

薔薇亭は、夫の人生の功績そのものだったのかもしれません。それをもらい火という不幸でなくしたのですから、心に混乱が生じて当然です。

作った料理を褒め千切る妻の存在は、自分の存在を肯定する最上の味方であると、夫は思い出したのではないでしょうか。また妻は、自分のために料理を腕を振るう夫に、愛情と安心感を得たでしょう。

そうして二人に笑顔が戻ったのだと、私には感じられました。

 

私の夫が否定ばかりしていた時、夫は明らかに私の存在を軽んじていました。
夫婦の気持ちがすれ違った末に軽んじられるようになったのですが、すれ違いの主な原因は、夫が職場の人間関係に悩んだことにありました。

解決できないストレスにさらされて心の整理がつかない夫に、妊娠出産で手いっぱいだった私は気がつきませんでした。

私と子どもたちがいることで、夫は仕事を辞められないという思考に陥り、私の存在が疎ましくなったのだと思います。(そのほかの理由もあるのですが、本記事に関係がないので割愛します)

薔薇亭の夫婦に似た擦れ違いだったのかもしれないと、今は思います。

私は理由が分からないまま夫に否定され続けた挙句、裏切りも発覚したため、怒りを爆発させて離婚を求めました。

ですからこんな言い方は少々癪ですが、「不器用な夫なりに一生懸命悩み、藻掻いていた」のだと今は思います。(※夫の裏切りは一生許すことはありませんけどね)

妻が欲しいのは夫に愛されている“実感”

人生は色々なことが起こります。

夫婦の関係性も、少しずつ変わることがあります。

結婚から死ぬまで変わらず仲睦まじい夫婦は、恐らくいないでしょう。

私が女性だからなのか、それとも私特有のものなのかわかりませんが、一時夫を嫌いになったとしても、夫の疑いない愛情を感じることができたらきっと愛情は戻ります。(不倫等の心の殺人は論外)夫に心底愛想を尽かしたら、取り戻せませんけどね。その前に渾身の愛情を注がれたら、きっと戻ります。

薔薇亭の妻が夫に怒りを募らせていたのは、夫を嫌いになりたかったからでしょう。
嫌いになって、興味を無くせたら孤独感から解放されます。

愛している人の側にいるのに愛されず、感じる孤独程、辛いものはありません。

夫婦再構築に成功をした今だから、言えることかもしれません。
だからもし何かがあって一時的にすれ違っている夫婦がいたとして、関係を修復したいのなら、その夫は妻に存分に愛情を伝えてほしいと願います。

妻は妻で、夫がやたら妻の提案を否定するときは、私のことが気に食わないのだと決めつけずに、夫が抱えている別の問題に原因があるかもしれないと気にかけることも必要だと学びました。

夫自身が問題を把握していない可能性が高いので、直球で聞いても解決しないでしょうし、むしろ不満の原因を妻のせいにされかねないので難しいですけどね。

夫婦は、「究極の人間関係」と語ったのは、以下の記事に出てくる妻ですが、私もそう思います。

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