モラハラ夫が誕生する経緯。ストレスの矛先が妻に向く理由

この記事はモラハラ夫の一部の実例を元に書いています。

モラハラ夫が誕生する経緯

その夫は、仕事でストレスを抱えていました。

正確には、理想通りに仕事をこなせない自分にストレスを募らせました。
それを職場の環境や、人間のせいにしていたのです。

ストレスは一向に解消されず、怒りや鬱憤が留まり続けました。

夫にとって妻はかけがえのない家族であり、「絶対になくならない存在」でした。
妻の経済力のなさから見ても「夫の稼ぎがないと生きていけない人間」のはずでした。

夫は「ずっとそこにいる妻」を格好のターゲットに、ストレスの発散を企てました。
この時、夫にその自覚はありません。

ストレスにより視野が狭くなり、自身を客観的に見られていないからです。或いはそもそも自分を客観的に見られない人なのかもしれません。

夫は、妻に怒りをぶつけて“よい”理由を探しました。

家事が手抜きだとか、ちょうどよい時間に食事が用意されていないとか、小遣いが少ないのは妻の管理不足だとか、身なりに気を使わないだとか、俺より子どもを優先しているのが嫌だとか、粗を探すのです。

これはギャンブル中毒や、不倫中の行動とも似ています。
罪悪感を消すために相手のせいにして自分を正当化し、上の立場に立つことで自尊心を守る行為です。

妻の粗は簡単に見つかりました。
生活を完璧にこなし続けられる人などまずいません。夫や子どもに振り回されている主婦が、完璧に家事をするのは不可能だからです。

そんなこんなで夫は、見つけた粗を責め立てました。

俺は家族のために仕事を頑張っていると考え、仕事で上手く行かないストレスを家族のせいだと捉えました。さらに妻にあたるために探した粗を再確認して、怒りをつのらせました。

夫は自身で生み出したストレスを「妻のせい」とすり替えました。

妻の粗を責める時、夫は優位に立った錯覚を起こしました。
「妻より“上”の自分」を自覚することで、自尊心を取り戻し、憂さを晴らすのです。

妻が言い返せば喧嘩になりました。
自身の正当性を信じて疑わない夫はいくつも粗を並べて責め立て、親や同僚、友人に話をして仲間を作ろうとしました。いかに悪妻で、いかに自分が“耐える夫”なのかを演出して同情を買ったり、妻の主張を黙らせるために大きな声を出したりものに当たるなどしました。

妻が下手に出るようになると、長い時間をかけて増長していくようになりました。

夫の理屈を妻が一度受け入れたために、「俺は間違っていない」とより頑なになり、ストレスを抱える度に粗を並べ立てるようになりました。

立派なモラハラ夫の誕生でした。

モラハラ夫と妻の思考

指摘された粗を正そうとすればするほど、妻は余裕を失っていきました。

家庭が安らげる場所でなくなり、評価される舞台となって息苦しさを感じるようになります。
夫がいる限り評価が付きまとい、苦しめられると気づいた妻は、夫を排除しようとしました。

夫がいない日を喜び、遅くに帰宅したときは慌てて寝たふりをしました。
そうして生活から夫の存在を消していきました。

次第に「離婚するか否か」を考えるようになります。

経済的な問題が大きい場合は、子どもが自立するまで我慢するケースが珍しくありません。
有利に離婚するために、夫の不倫を好機ととらえることもあります。

妻に十分な経済力がある場合は離婚に踏み切りやすいものの、子育ての分担を目当てに子どもがある程度大きくなるまで待つ場合もあるようです。(子どもが留守番できる程度になったころ、耐えられないほどモラハラが酷くなっているとも言えます)

妻は実家に頼れたため、子どもを連れて実家に帰るかこのまま耐えるか、悩みました。

モラハラ夫と愛想を尽かした妻

例に挙げた夫と妻は激しい喧嘩が続きました。
夫の相手をすることに疲れた妻は夫に無関心になっていきました。

夜の生活を求められると、妻は苦痛を感じました。
応じると娼婦になったような屈辱感があります。

夫の誘いを断り続けると、夫はますます妻に怒りを募らせました。

夫が風俗に行ったことを知った妻は嫌悪感を感じて夫を責めましたが、夫は「お前が悪い」と言いました。妻は夫との営みを拒否するものの、不貞に傷つく自分に戸惑います。

夫との溝はますます深まり、寂しさと孤独感から好意を寄せてきた男性と親密になって行きました。
プラトニックな、限りなく不倫に近い関係でした。

不倫相手は家事や子どもの世話、仕事に励む妻を勇気づけて離婚を勧めました。

夫が風俗や趣味への散財から生活費を出し渋るようになったところで、妻は離婚を求めます。

夫は抵抗して言動を改めると言いましたが、妻の気持ちは変わることなく、離婚が成立しました。

妻にとって不倫相手は、夫に傷つけられた自尊心を取り戻すのに都合がよい相手であり、再婚相手としては考えていませんでした。離婚後にほどなくして別れています。

「男なんて結婚して妻を手に入れたと思ったら、みんな一緒。結婚なんてするもんじゃない」と言いました。

ストレスの矛先が妻に向く理由

私は結婚12年になる主婦です。

結婚5年を迎えるころ、夫が一時期モラハラ発言を繰り返したことがありました。

職場のストレスを発散できず、私に当たり続けたのです。
私は謝り、完璧にできるよう努力をしました。すると夫の帰宅が負担となり、子どもが小さかったこともあって完全なオーバーワークとなりました。

自律神経のバランスを崩して精神的な不調を来しました。

夫は私に当たるだけではストレスが解消できず、パチンコ中毒に陥りました。
隠れて借金をして返済のストレスを抱え、またパチンコが打ちたいという中毒者のストレスも抱えました。

ギャンブルをしなければ十分貯金ができる小遣いがありながら、金がないのは妻(私)のせい。パチンコを打ちたいのに仕事に行かなければならないのは家族(妻)のせい。家に帰って子どもがうるさいのは妻のせいと、ありとあらゆることを私のせいにしていきました。

食事が帰宅時間に合わせて温かい状態で出されなければ怒って外出し、夜遅くまで帰ってこない。休日も一人で外出。仕事と嘘を言ってパチンコに通うようになります。
私が何かを相談したり、世間話をしても、「わからない。興味ない」と繰り返しました。

そのうちパチンコで勝った日には風俗やキャバクラに行って、嬢と連絡をとるようになりました。

気に入った嬢と連絡をとるようになり、スマホを持ち歩くようになったことで私が気づき、発覚。
離婚を突きつけ、夫が慌てふためくという離婚危機がありました。

従順だった私が精神的な爆発をしたことで夫は大いに驚き、話し合いができるようになりました。

話し合いを重ねていくと、夫は「俺は何もわかっていなかった」と言うようになりました。自分を省みて「仕事のストレスを妻(私)のせいにしていた。何でかはわからない」と言うのです。

夫は大きく変わりました。
「妻に愛想を尽かされたら、家庭を失う」と知ったことが、大きな効果をもたらしたようです。

驚くほど夫婦仲がよくなり家庭が安定したのですが、6年が経ったつい先日のこと。
夫が不機嫌で帰宅し、私を嫌悪するような態度を続けた日がありました。

思い当たることがなく、何があったのか聞きましたが、一向に返事がありません。

夫に従順に従うと、つけあがってさらに裏切られかねないと経験していた私は、少々強気の態度に出ました。

「私に何か言いたいことがあるんじゃないの? ちゃんと言ってくれないと分からないよ」と言いました。

暫く私を無視していた夫でしたが、数時間して、「小遣いが振り込まれていない」と言いました。夫の会社は年に二度ほど給料日が変わる月があり、イレギュラーだったこともあって夫の口座に振り込むのを忘れていたのです。

謝ってその場でネットを繋ぎ振り込みを完了したのですが、夫は私の振り込みが遅れたために職場で食事がとれなかったと言いました。

夫の財布には少ないながらも現金が入っており、クレジットカードも持っていました。
実は給料を振り込んだかどうかは、食事の購入には関係がありませんでした。

また、振り込みがされていないと気づいたときに連絡をくれれば、その場で振り込むことができる状態でした。

不可解な夫の話に、私はストレスを感じました。

詳しく話を聞いていくと、夫は職場の人間関係で腹が立つことがあり、機嫌を損ねていたことがわかりました。イライラしたままネット上で口座を確認したところ、給料日なのに小遣いが振り込まれてないことがわかってさらに怒りを募らせたのです。

食事を買えるだけの現金もクレジットも持っていたし、私に連絡をとって即振り込みを受けることもできたのに、「食事を買えないのは妻のせい」とすり替えて私に当たったという事がわかりました。

全貌を知った私の心は、一挙に霧に覆われました。モヤモヤです。

イライラで一杯でしたが、「振り込みを忘れていたのはごめん」と謝り、今後同じことがあったら教えてほしいとお願いしました。

こんなことが続くと、また以前のような離婚危機に陥るのではないかと不安になりました。

しかし夫は、「わかってる。色んな事が重なっただけで、仕事のストレスが原因なんだ」と呟きました。

……わかってるなら、私に当たるなよ!! と思いましたが、私もPMSで当たってしまうことがあります。赤の他人に「当たる」かと言えばそうではありません。夫が私に当たるのも、私が夫に当たるのも家族という「甘え」があるのですよね。

当たる行為が一方的になればモラハラになります。
相互であっても頻繁になるようでは、健全な付き合いとは言えないでしょう。たまに当たってしまう程度は、仕方がないのかもしれません。

モラハラとそうでない境界はあいまいです。

パワーバランスが偏ると、家庭の崩壊を招きます。
経験から、離婚を辞さない精神的な自立が、モラハラ夫の芽をつぶすように思います。

また、伴侶にモラハラと言われてしまった夫や妻は、今一度自身の感情の経緯を辿り、見つめ直してはいかがでしょうか。

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