・結婚したら子どもを作らないと、身内がうるさい。
日本では「結婚」と「子ども」が同一視されやすい現状があります。
「子どもを作らない」と決めて、結婚をしたある夫婦がいます。
夫婦が普段感じている世間への引け目と、親の気持ち。
親戚間の付き合い方の実例をお伝えします。
子どもを作らない夫婦の結婚
身内に子どもを作らないと決めて結婚した夫婦がいます。
妻を春子さん。
夫を秋人さんとします。
春子さんは将来への懸念から、子どもを育てられないと思っていました。
そのため妊娠、出産はしたくありませんでした。
春子さんは秋人さんと付き合い始めて程なくして、その思いを打ち明けました。
秋人さんは不仲の両親に育てられていたことや、起業の夢があったことから「子どもは作らない」ことを約束して結婚に至りました。
春子さんは誰にでも率直な意見を述べる、嘘がない人です。
秋人さんもまた社交的で頭もよく、起業に向けて着実にスキルを磨いていました。
秋人さんは結婚を前に、仲が良かった姉に報告をしました。
「春子は子どもが欲しくないと言っている。自分も子どもはいてもいなくてもいいと思っている。子どもを作らない約束で結婚しようと思う」
姉は結婚して、子どもを二人育てていました。
「子どもがいない結婚生活だからこそ得られることがあると思う。でも私は、これまでに感じたことがない幸せを出産で感じた。本当に子どもを作らないと決めて大丈夫なの? あとから欲しいと思ってしまったら、春子さんが傷つくんだよ」
姉は念を押して確認をしました。
「大丈夫」
秋人さんはそう答えました。
「親は子どもを作らない結婚であることを知ってるの? 後から知って、春子さんが責められることはない?」
これについても、「大丈夫。もう話した」と秋人さんが言いました。
後日姉が母親に確認をすると、母親はこう言いました。
「今は春子さんが子どもを欲しくないと言ってるらしいけど、そのうち欲しくなるわよ。そうなったら作るでしょ」
子どもを作らない夫婦の世間への気遣い
秋人さんと春子さんの結婚生活は順調でした。
共働きで子どもがいないこともあり、経済的に余裕がありました。
職業柄二人の休日が重なることはあまりありませんでしたが、二人で共通の趣味を作り、楽しむなどして過ごしました。
親戚付き合いが薄い家系でしたので、親戚に子どもについて問われる機会はあまりありません。
正月になると、秋人の姉の子どもや春子の兄弟の子どもに、お年玉を送りました。
秋人の姉は「こちらがもらう一方になってしまうから」と断りましたが、秋人さん春子さんはそれほど負担に思っておらず、何かと理由をつけて年に一度ほど贈り物をしました。
春子さんは自分が望んで子どもを持たない選択をしているという、責任を感じていました。
子育ては大変。
お金もかかる。
そんな家庭に助成があるべきだと語りました。
子どもを持たない選択をした自分が、将来年金を支えてくれる子どもたちのために税金をたくさん払うのは、当然だと言いました。
子どもを作らない夫婦へ・姑の本音
結婚生活が3年を迎えるころ、秋人さんの母親は
「秋人は本当に子どもを作らないのかしら。もう若くないのに。早くしないと子どもが作れなくなる。春子さんは子育てを神経質に考えすぎなのではないか」
と、秋人さんの姉に愚痴をこぼしました。
姉は「やはり言い出したか」と思いました。
母親がこういった不満を持つことは、結婚前からわかっていました。
「春子さんが考えすぎでもそうでなくても、子どもを作らないという希望を了承したのは秋人だ。結婚前からそう聞いていたのに、今更春子さんに不満を言うのは違う」
姉はそう説明しました。
すると母親は、「でも結婚したら、子どもを持つのが普通でしょう? 子どもを作らないなら、結婚しなくてもいいじゃない」と言います。
秋人さんの姉は母親を説得しました。
「私は出産して、これ以上の幸せはないと思った。自分の子どもはとてつもなく可愛い。そういう話しを秋人にしたけど、それでも春子さんがいいと言って結婚したんだよ。子どもは可愛いけど、可愛いだけで子どもが育てられないことも知っている。子どもを作るかどうかは、二人の問題。結婚は子どもを持つか持たないかは関係なく、一生一緒にいる約束みたいなものだし、私は春子さんが好きで、秋人の奥さんになってくれてよかったと思ってる」
「春子さんはいい人だと思うけど……」母親は納得が行かないようでした。
「子どもについてどうしても納得いかないなら、秋人に聞くのはいいけど、春子さんに直接子どもを求めたりしないでね」と念を押しました。
子どもを作らない夫婦の引け目・介護問題
秋人さんの母親は、秋人さんに気を使っていることもあり、秋人さんにも春子さんにも本心を話しませんでした。
姉はホッとしました。
しかし姉には別の心配がありました。
それは春子さんが、いい人過ぎることでした。
秋人さんが忙しい事業の合間を縫って、姉と連絡を取った時のことです。
秋人さんの仕事の関係で、実家のある県に引っ越しをするという内容でした。
その際に、「姉さんは実家から離れた都道府県に住んでいるし、子どもがいて大変だから、親の介護は俺と春子でやるから」と言いました。
「秋人は仕事が忙しいでしょ。介護なんてできるの?」
「俺が仕事の時は、春子がやる」
秋人さんが介護をできないだろうことは、簡単に予想ができました。
「義両親の介護なんて、気を遣うよ。春子さんだって仕事をしているのに、子どもがいないからって簡単にできることじゃないよ。春子さんの負担になる」
「春子が『私がやる』って言うんだよ。子どもを作らないことを了承してもらった恩があるからって」
(ちなみに秋人さんの実家は経済的余裕がないので、遺産を受け取る見込みはありません)
「私は確かに距離があるから、介護が必要となった時にどの程度できるかわからない。でも子どもを作らなかったからって、春子さんの負担ありきで考えるのはおかしい。秋人は春子さんに任せて親の面倒を見た気になったらダメだよ。介護は必要になった時に、どうするか一緒に考えよう。」
子どもがいないと、介護もしなければならないのか? と姉は不思議に思いました。
子どもを作らないことはわがままなのか
ある日、春子さんから秋人さんの姉にLINEが届きました。
SNSでごくたまにコメントのやり取りをすることがありますが、連絡は年に一、二度あるかどうかです。
秋人さんの新事業の手伝いのため、ある場所に来ているという内容でした。
春子さんは秋人さんの晴れ舞台の報告を、秋人さんの両親や姉に伝えようと連絡をしたのです。
秋人さんの姉は連絡を喜びながらも、普段仕事をして、休日に秋人さんの事業を手伝い、義家族に気を遣う春子さんが心配になりました。
「弟を支えてくれてありがとう。でも春子さんも自分がやりたいことや、体を休めることを優先する時があっていいと思う。無理はしないでね」
と返信をしました。すると、「秋人さんは優しいいい人です。私が子どもを作らないわがままを了承してくれた。だから助けたいんです」と返信がありました。
確かに秋人さんは優しいですし傍若無人ではありませんが、人間ですから偏ったことを言ったり、理屈っぽかったり面倒な部分も持ち合わせています。
春子さんが子どもを持たないことに引け目を感じすぎているように、感じられました。
子持ち家庭もそうでない家庭も、引け目のない社会に
秋人さんと春子さんは現在、バリバリと働いて生活を充実させています。
両親は健在で、介護はもう少し先の話です。
秋人さんの姉は、「実際に両親の介護が必要となったら、春子さんの手を借りることが出てくるかもしれない。しかし子どもがいないから介護をメインで担うという申し出に、子持ちの私が甘えてしまうのはおかしいと思う」と話しました。
・体調不良や産休による人員不足を、一時的ならまだしも、特定の誰かに負担させ続けるのと同じではないか。
と身近な例を挙げて語りました。
家庭でも社会でも、役割分担をして負担を軽減し合うのが理想です。
子育ての負担は大きく、介護の負担も非常に大きいものです。
しかし子どもを持たないからといって、介護を一手に担わなければならないことでしょうか。
考えさせられた一件でした。
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