俳優の渡辺謙さんの不倫が報道された際、ワイドショーのある男性キャスターが「あの夫婦は信頼関係が厚いから大丈夫」(このような意味)と発言しました。
「絆がありますもんね」と、さらに別の男性タレントが被せて答えました。
渡辺謙さんはその後、キャスターの予想に反して、当時の妻南果歩さんと離婚されました。
キャスターが発言した「あの夫婦は信頼関係が厚いから大丈夫」の、「大丈夫」は何が大丈夫だったのか。
考察します。
夫の不倫発覚に「あの夫婦は絆があるから大丈夫」と言った男性の真意
男性キャスターは夫婦と面識があり、仲睦まじい様子を見ていたと話します。
だからこそ「あの夫婦は信頼関係が厚いから大丈夫」という発言をしたのでした。
私はテレビの前で、「は?」と思わず突っ込みました。
数年来続く不倫が発覚したというのに、「信頼関係がある」とはどういうことなのか、意味が分かりませんでした。
「信頼関係があれば、不倫は許されること」と思っているのでしょうか。
……思っているのでしょう。
信頼関係があるからこそ不倫は許されないというのに、何を言っているのか?
圧倒的な不倫に対する男女の意識の違いを感じました。
(※男は不倫をするものと肯定する男性について書いています。誠実な男性はこれに当てはまりません)
男は不倫をするものと考えている夫
妻は別格。
不倫を軽んじている。
妻は不倫を許すものという前提がある。
夫は裏切らないという前提に信頼を築いている。
裏切りがあった時点で、関係が根底から崩壊するケースがほとんど。
女性の信頼が何を基準に築かれているか全くわかっていない男性が、不倫を肯定するのだと感じました。
妻への完全な甘えです。
発言のように信頼や絆があるからこそ不倫が許されるというなら、それが妻の精神的犠牲の上に成り立つという事がわかっているのでしょうか。
支えあえている。
だから多少傷つくことをされても、許してくれる。それが愛情。
そう驕っているようでした。
不倫相手の女性や、なにより妻を深く深く傷つけている自覚が全くないのだとしか思えません。
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だからこそ、妻が夫の不倫に怒り狂ったり、フラッシュバックで責めることがあると「俺を愛していないのか」と逆ギレする例があるのでしょう。
不倫に対する罪の意識の差を感じます。
夫を愛していたから不倫にショックを受け、愛されているか不安だから責めるのに、逆ギレする夫が理解できずに悩む妻が少なくありません。
そのすれ違いに絶望するサレ妻が多くいるのです。
夫から見た夫婦の絆とは
「あの夫婦は信頼関係が厚いから大丈夫」に憤慨しましたが、私の解釈とは違う受け取り方があるのではないかと思い、夫にどう思うかを聞いてみました。
すると、「大御所だし。仲がいい姿を多くの人が見ているし。離れる姿を想像できなくて、離婚を選ばないだろうといったんじゃない?」と答えました。
私:「信頼や絆って、“この人は私を裏切らない”という地盤があってこそ築けるものだけど、それはどう思っているんだろう?」
夫:「何も考えてないよ。多分何もわかってない」
私:「彼らの言う信頼や絆って、サレ妻の我慢の上に成り立ってるってことになるけど、どう思っているんだろう?」
夫:「多分何も想像できてない。本気で自分の立場がヤバくなるとわかってたら、浮気なんてしない」
なるほど。
やはり妻の身に立って考えることができない身勝手さと、自身の立場が確立されている余裕の表れ(非難されることの恐れのなさ)が、「あの夫婦は信頼関係が厚いから大丈夫」に繋がったのだと思い至りました。
シタ夫の身勝手さを育てたのは
男性キャスターは高齢の方で、この発言の後暫くしてキャスターを引退されました。
彼が育った時代は今よりさらに男尊女卑で、妻は夫の仕打ちに耐えるしか生きる道がありませんでした。
夫の裏切りに心を痛めても、妻たちは「男は浮気するもの」と言って慰め合うしかない時代だったのです。
時代の流れに気が付かず、現代にいたっても「許されるもの」と勘違いしたままだったのがこの男性キャスターなのでしょう。
そしてある高齢女性のコメンテータは「その時(夫の不倫発覚時)は(妻は)嫌でも、時が経てば(忘れる)」と“夫婦継続が普通”とでもいうような発言をするのも聞きました。
夫の不倫を忘れる? そんなことあるわけねーだろ。
あるとしたら夫が生まれ変わったように変わり、妻に尽くし続けた時のみ。
これが男性キャスターの意見に配慮するものだったのか、本当にそう思っていたのかは定かではありません。
世間で言われていることを鵜呑みにし、迎合するしかなかった女性の事なかれ主義が、サレ妻に我慢を強いる発言をしたのだと受け取りました。
残念な文化です。
これからは時代が違うという事を、誰もが意識しておく必要があるでしょう。
信頼や絆を、簡単に壊すのが不倫です。
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