見知らぬ小学生を怖いと思ったことはありますか?子どもに恐怖を感じた実体験・子どもと犯罪

犯罪とは、法によって禁じられ刑罰が科される行為を指します。

14歳未満の者は刑事責任能力に欠けるとされているため、犯罪と同等の行為を働いても、「犯罪に該当する行為」という言い方をされます。事件は不可罰となり少年事件として処理されます。

14歳未満とは中学二年生までの年齢です。

小、中学生の犯罪に該当する行為と言えば、何が思い出されるでしょうか。
万引き、自転車やバイクの窃盗、学校や商店のガラスの破損、虐めや仲間内の暴力行為、シンナーなどの薬物の吸引あたりでしょうか。

少年事件は環境の影響が強いケースがあることから、同情をされやすい一面があります。
大人が犯したのであれば大きな事件になることでも、「子どもだから仕方ない」とみなされ、被害者の傷ついた心が置いてきぼりになることも。

私は一人の男子小学生の行動に、恐怖を感じたことがあります。
翌日、あるものが盗まれたことに気が付きました。

小学生の闇を小学生だからといって見逃していいものなのか、親になった今改めて考えます。

小学生の狂気

ある地方都市に住んでいた時のことです。
勤務地に近いという理由から、あまり治安が良くない土地に住んでいました。(治安が悪いことで有名までは行かないけれど、あまり良くないといった程度です)

平日のある日、仕事が休みだった私は食材の買い出しに出ました。
マウンテンバイクで最寄り駅近くのスーパーマーケットに行き、マウンテンバイクの両方のハンドルに袋を下げて帰る予定でした。

当時同棲をしていて、二人の食材を一週間分まとめ買いするため、物量がありました。

異様な小学生

買い物袋は重く、マウンテンバイクのハンドルにかけると自転車が倒れそうになりました。

買い過ぎたと後悔をしながら、マウンテンバイクを自転車置き場から出しました。
自転車置き場といっても、商店街にならんだスーパーの前に煩雑に並べているだけでしたので、往来の客と自転車が入り混じってゴミゴミとしていました。

自転車を動かす際、子ども用の自転車に乗った小学生らしき男の子が、すぐ近くで私をみていることに気が付きました。男の子と私の距離は2m程度でした。

母親が買い物を終えるのを待っているのだろうか、と特に気に留めず、自転車を押して数メートル歩きました。

人気が引いたところまで出てマウンテンバイクに乗り、ペダルを漕ぎ出そうとしたところ、すぐ後ろに先ほどの男の子がついて来ていることに気が付きました。

小学生の視線

あら、もしかして母親と私を間違えてついてきちゃったのかな? と思いました。

私は男の子の顔をしっかりと見ました。
男の子は先ほどと同様に私を凝視していました。

男の子は私の顔を改めて見ましたので、これで私と母親が別人だとわかるだろうと思いました。
そして重さで不安定なマウンテンバイクのペダルを漕ぎだしました。

高架下を通り商店街から離れると、人目が全くなくなりました。

自宅は自転車で3分ほどの距離にありました。

静かな小学生

視界に影が見えてふと振り返ると、男の子がすぐ背後について来ているのが見えました。

車輪が触れて倒れるのではないかと思うほどの至近距離でした。
パーソナルスペースを無視した、親子でもあり得ない近さです。

私の後輪と男の子の前輪が重なり、間の距離は30cm程度しかないように感じられました。
マウンテンバイクを漕ぎながら男の子の顔を見ると、変わらず男の子は私の目をじっと見ながら自転車を漕いでいました。

何この子、怖い!

この時初めて恐怖を感じました。

ついてくる理由

私が母親ではないことをわかってついて来ていると、確信しました。

何で。何のためについてくるの?

そこは住宅街の直線道路でした。
人は一人も歩いておらず、私と男の子しかいませんでした。

男の子は小学校3年生か4年生くらいに見えました。
痩せすぎでもなく太っているわけでもなく、服装も一般的な小学生が着そうなTシャツとカーゴパンツを履いていました。

行動だけが異様に感じられました。

私はブレーキをかけ、マウンテンバイクを止めました。
すると男の子もブレーキをかけて、車輪が重なる距離で止まりました。

私は首を後方に向けて、「なに?」と聞きました。
男の子は無言のまま私の目をじっと見ていました。

「今日平日だよね。学校は?」

男の子は唇を結んだまま私を凝視し続けました。

怖い。

男の子の行動は普通ではないように感じました。
目線のブレもなく、ただただ異様でした。

私を転ばせたいのだろうか。
もしかして買い物袋が欲しいの?

色々な思考が巡りましたが、今よりずっと若かった私は、男の子の素性を探るより早くこの恐怖から逃れたいと思いました。

このままではすぐに家に着いてしまう。
この異様な男の子に家を知られたら、何をされるかわからない。

この子をまこう。そう思いました。

異様な小学生と自転車レース

家を知られたくない私は、家とは別方向の幹線道路に出ました。
当時は今ほど自転車の走行が厳しくありませんでしたので、歩道を走って商店街に戻る方向に向かいました。

男の子は変わらず異様な近さでついてきました。

どうしたらいいんだろう。
交番はどこにあったっけ?

引っ越して間がなく、土地に詳しくありませんでした。
同棲している彼氏は仕事中で連絡がとれません。

自分でどうにかするしかありませんでした。

幹線道路から、先ほど走った住宅街の道に戻りました。

変わらず男の子はついてきます。

また幹線道路に出て商店街方面に戻り、再度住宅街の道に戻ります。
つまり同じ道を2周回った形となりました。

止まっても道を回っても、男の子はぴったりついてきます。

どうしよう、怖い!!

荷物を捨てて、全力疾走しようかと考えました。
でも重い荷物をハンドルから降ろしている間に、何をされるかわからない恐怖心がありました。背後をとられることが、こんなに怖いものなのだと知りました。

イチかバチかを賭け、住宅街の直線に戻った時に全力でペダルを漕ぎました。
男の子は当たり前のように全力でついてきました。

愉快犯なのだろうか、怖い。

そう思いながら全力で漕ぎ続け、急ブレーキをかけて止まりました。
男の子は驚いてブレーキをかけましたが間に合わず、私の5mくらい前に出て止まりました。

男の子は自転車にまたがったまま、黙って私を振り返り凝視してきました。
私もにらみ返し、「何? 君の家について行こうか」と言って強気を装いました。

数十秒それが続き、男の子は先ほどの幹線道路方面に去っていきました。

尾行の恐怖

男の子が諦めたとは思えませんでした。
どこかで私の動向を伺って、またついてくるつもりではないかと疑いました。

少しの間そこに留まり、後ろからついてこないかを確認しました。

怖さから、すぐに家に帰りたくて仕方ありませんでしたが、住宅街の細道をぐるぐると回り、背後を気にしながら家に帰りました。

小学生の素性

夜、帰宅した彼氏に男の子のことを話すと、激高しました。
彼氏の地元だったこともあり、周辺の小学校が開校記念日などで休みではないことを知っていました。

平日に登校していないなら、生徒が絞られるはずだ。小学校に怒鳴り込むと息巻いていました。

当時の彼氏は血の気が多い人でしたので、事態がややこしくなると思い止めました。

男の子にされたのは、目的がわからない尾行だけでした。
明確な被害があったわけではありません。どう被害を訴えるべきなのかわかりませんでした。

また、異様な男の子に関わりたくないと思い、学校や警察に報告することはしませんでした。

盗まれたマウンテンバイク

翌日、仕事に行こうとマンションを出ました。

男の子の尾行をまいてから初めての外出でした。
あの男の子がいる気がして、怖く感じました。

マンション前の自転車置き場に向かうと、私のマウンテンバイクがありませんでした。
チェーンロックを二本かけていたにも関わらず、盗まれていたのです。

ああ、マウンテンバイクが欲しかったのか。

マウンテンバイクを盗んだのがあの男の子なのかは確認のしようがないのですが、男の子が盗ったように思えてなりませんでした。

ロックは工具を使ったとしても、子どもの手で簡単に切れるとは思えないものでした。
前後の車輪がロックされた大人用のマウンテンバイクを、子どもが一人で運べるとも思えません。

大人の指示があったのか、それとも別に犯人がいるのか。

男の子が盗んだのであれば、これで私に興味を持つことはないだろうと思い、ホッとしました。

子どもの犯罪行為

数か月して、私は都内に引っ越しました。
自転車の盗難届の結果が知らされることはありませんでした。

ある邦画を観ていたら、少年が万引きをするシーンがありました。
少年は確か7歳くらいの、幼い設定でした。

万引きをしようとしたところを店員二人が目撃し、少年に声をかけます。

「それをしたら、あなたは犯罪者になるのよ」

結局少年は窃盗をして逃げ、警察に追われることになります。

幼くても罪は罪。
子どもだから見逃されるのではなく、犯罪を犯すのは本人の性質の問題であるという文化が描かれていました。

私は子どもの行為は、性質に加え、環境の影響が強いと考えています。
それは環境が性格にも影響することが医学的にも認められているからです。(下記記事内、「虐待という第四の発達障がい」参照)

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