出産の痛み、子どもや夫にどう伝える?陣痛が痛すぎて世の中全てにムカついた話

小学生の娘に「赤ちゃんを産むときってどれくらい痛いの?」と聞かれました。

「痛いなんてもんじゃない」というのが本音ですが、痛みを詳細に伝えすぎても将来「痛いのが嫌だから出産したくない」と思いかねません。
しかし「痛くないよ」というのは嘘ですし、出産のありがたみを感じてほしいという邪な気持ちもあります。

結局は真実のままに伝えることにしました。

出産の痛み

分娩室の戦い

「ママは出産のとき、どれくらい痛かった? どんな風に耐えたの?」

と聞かれたので、

麒麟
麒麟
とにかく痛かった。
どんな体勢が痛みが少ないかを模索して、
結果的にうつぶせになった

と話しました。

痛みが5分間隔くらいまでは、陣痛室で立ち合う夫を多少気遣う余裕がありました。
それが3分間隔になると、息を吐く声が殺せなくなってきます。
痛みで呼吸を止めると赤ちゃんに酸素が行かなくなるので、しっかり息を吐き切るのが重要だそうです。
意識をしなくても身体が勝手に空気を吸いますので、ゆっくりと吐き切るのを意識するとよいのだとか。
二分間隔になると、痛みで世の中のすべてに腹が立ってきます。
初めての出産に挑む前、痛みを逃すために「イルカが優雅に泳いでいるのを想像し、子宮から出てくることを想像すると良い」とするネットの記事を読んでいました。
私はクジラが好きなのでクジラを想像するようにしていたのですが、痛みが強くなってくると、「なんでクジラなんか想像したんだ!! クジラなんてデカいもんが、出て来れるわけねーだろ!!」と自分にも大好きなクジラにも腹が立って仕方がありませんでした。
痛みが来るたびに大地(ベッド)を蹴り、怒りをぶつけます。
そして痛みが引くと、気絶するように眠ります。
☟この体勢のまま眠ります。
波が来ると途端に目が覚め、大地に怒りをぶつけます。
マックスの状態がコレ☟
麒麟
麒麟
ママはね、痛みで世の中の全てにムカついて、ベッドを蹴りまくったんだ
「出産怖い!」と娘が言いました。

子宮口全開

私はかなり静かな妊婦だったようです。
「痛い」と言わないので、助産師は「まだ大丈夫」だと思い、ほとんどの時間を放っておかれました。
陣痛が一分間隔になり“気絶→痛みで起きる→足蹴りをする”を繰り返していたらついに助産師が「子宮口を確認してみましょう」と言いました。
子宮口は全開になっていました。
慌ただしく分娩室の準備がされていきます。
歩いて分娩室に向かうと聞いていたので覚悟していましたが、全開では赤ちゃんが落下する危険があるということで車いすを用意されました。

分娩室

分娩室で味わう痛みより、陣痛室で味わった痛みの方が強かったように思います。

分娩室に移った時には、「やっと会える!」という期待の方が大きかったです。

しかし私は産後にトラブりやすい体質らしく、その後いろいろありました。
それはこちらの記事に書いています☟

因みに私は子どもを三人出産しましたが、三人とも陣痛時にはベッドを蹴りました。

妻の出産の痛み、夫知らず

私が静かに出産をしたため、夫は「痛いんだろうけど、よくわからない」という状態だったようです。

第二子の出産は破水から始まりました。

陣痛室に入った時の話しです。
その時は5分~7分間隔くらいで陣痛が来ていましたが、まだスマホを見られましたし、夫とある程度話ができていました。

すると隣の陣痛室から、別の妊婦さんの叫ぶ声が聴こえました。

「きゃああぁぁあああー!!
痛いーーーー!
痛い痛い!
助けて!」
その声を聞いた夫は、あまりに差し迫った声にフリーズしました。
「痛いー!
もうヤダー!!
切って! お腹切って!!」

叫ぶ声の間に、旦那さんらしき声が聴こえます。

「大丈夫。
頑張ろう。
大丈夫」

「大丈夫じゃないわよ!!
痛いの!!!」

「だ、大丈夫。
大丈夫……」

旦那さんは大丈夫しか言葉がないのでしょう。

奥さんの叫びと怒りを受け止めながら耐えているようでした。

夫は「出産て大変なんだね……」と言いました。

麒麟
麒麟
そうよ。
大変なのよ

他の妊婦の声を聞いて痛感するとは……。
夫にどれほどの痛みかわからせるためには、叫ぶのも一つの手だなと思いました。

隣の妊婦が分娩室に移ったらしき後も、叫び声が聞こえていました。

そしてフッと静かになりました。

助産師さんに「隣の陣痛室にいた方、産まれたみたいですね?」と聞くと、ニコッと笑顔で答えてくれました。

出産の痛みで死ぬことはない

「赤ちゃん産むとき怖くなかったの?」と娘が聞きました。

初産に挑む前、出産で不安なことはありますか? と助産師に聞かれた時のことを思い出しました。

麒麟
麒麟
出産の痛みでショック死することがありますか?

「出産はすごく痛いけど、アドレナリンが出るから死ぬことはまずないよ」

笑顔でそう言われ、安心したのを覚えています。

命の危機にはアドレナリンが出ますから、やはり大変な事態ということには変わりないですし、出産は今も昔も命がけですので楽観視はできません。
しかし痛みでショック死することはないそうです。よかったよかった。

無痛分娩が“特別”でなくなる世の中に

「そんなに痛いなら、赤ちゃん産みたくない」と娘が言いました。

麒麟
麒麟
娘が大きくなるころには日本でも無痛分娩が増えているだろうから、
怖かったら無痛分娩を選んだらいいよ

と話しました。

私が普通分娩を選択したのには、特別な理由があったわけではありませんでした。

陣痛の痛みを経験してみたかった。
普通分娩が主流だった。
無痛分娩の事故が報道されていて怖かった。
無痛分娩は余計に費用がかかる。
どれが一番の理由かと言われたら、費用でしょうか。
第一子の出産時は産院の予約が取れなくて、提携クリニックに滑り込んで産院の枠を抑えました。
そのクリニックが非常に高くて、健診の補助券を使っても毎回五千円以上の出費、検査時には二万五千円以上かかりました。
検診だけで優に10万円を超えていました。
分娩費用についても横浜市は出産一時金の42万円では足りず、十万円以上手出しする必要がありました。
無痛分娩を選択するとさらに15万前後かかりますので、子育てにお金がかかることを考え、できるだけ費用を抑えたいと思いました。
総合病院で出産したため、大部屋には無痛分娩後のママさんが多数いました。
無痛でも痛みを感じることが少なくないようですが、私が話しをしたママさんは計画的な無痛分娩で、痛みはなかったと笑っていました。
「分娩の痛みを感じなければ母性が生まれない」というのは100%嘘ですし、むしろ無痛分娩でできるだけ体力を消耗しないよう努め、その後の赤ちゃんの世話に挑む方が、母胎のためにも赤ちゃんのためにも、夫婦仲を保つためにもいいように感じました。
無痛分娩による事故は、産科医や麻酔の技術が原因であることが殆どです。
普通分娩でも事故は起こりますから、病院選びを慎重にすれば避けられる可能性もあるのではないかと思います。
今小学生の娘が大きくなるころには技術がある病院が増え、無痛分娩がもっと気軽に選べるようになっていることを願います。
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