生きていると、納得がいかないことがたくさんあります。
世の中理不尽なことが多いのです。
ここで挙げるのは、「ちょっと笑える!? 納得がいかないこと」です。
私の人生で「何だか納得がいかなかったこと」をお知らせします。
納得がいかない理不尽なエピソード
探偵事務所の合格基準
就職活動をしていた頃の話しです。
不景気で、就職難と言われていた時代でした。
私はイベントの企画職を中心に就職活動をしていました。
求人を探すうちに「私は何者にもなれる」と面白くなっていきました。
その流れで、興味があった探偵事務所の面接を受けました。
新卒向けの募集ではありませんでしたので、大掛かりな筆記試験などはありませんでした。
大手の探偵事務所でもなかったので、書類審査を通るとすぐに面接試験となりました。
約束の時間に探偵事務所に行くと、恰幅のいい男性が出迎えてくれました。
志望動機を聞かれ、その後探偵事務所の主な仕事について話しをされました。
〇 深夜に草木に隠れてターゲットを待つことがあること。
〇 その際は女性探偵自身が危険にさらされることがあること。(痴漢などに遭う可能性があるということです)
〇 夜通し起きていなければならないので、体力に自信がなければ務まらないこと。
一通り説明をされ、務まるかどうかの意思確認をされました。
私は昼間大学に通い、夜はビジネスホテルのフロントアルバイトをして、講義の空き時間に仮眠を取る生活を送っていましたので、体力に自信があることを伝えました。
面接は好感触でした。
案の定、内定をいただきました。
後日再度事務所を訪ねました。前回と同様に、恰幅のいい男性が対応してくれます。
「探偵はね、地味な子がいいんだよ。その他大勢に溶け込まなきゃいけないからね。変装もするし。きみはとても合っていると思う」
「……。」
確かに私は地味です。
もともと地味なのに、就活のために黒髪にして、パーマも取りました。化粧も最低限です。
スーツを着たら印象に残らない風貌です。
「……そうですか。それはよかったです」
「じゃあ、承諾書にサインして後日持ってきてね。俺は出なきゃいけないから」
と言って、男性は高級外車の鍵をチラつかせました。
「あ、これ? 探偵ってさ、いろんな現場に入らなきゃいけないから、高い車が必要になることもあるのよ」
鍵のついたキーホルダーを指に嵌め、クルクルと回しながら、恰幅のいい男性はにこやかに出ていきました。
男性の風貌は、金髪の短髪。赤と白のボーダーのTシャツにジーンズ、つま先が上に向いた革靴。
太い金のチェーン型のネックレスとごつい指輪を数個嵌めていました。
そう言えば面接で会った時も男性はラフなTシャツと高そうなジーンズ、ごついネックレスでした。
事務所には退屈で眠たそうにしている事務職らしい女性が一人いるだけです。
電話が鳴ったところを見たことがありません。
狭い事務所には応接セットが一組と、デスクが3台ほどあるだけでした。
何が入っているのか、段ボールが所狭しと積み上げられています。
「……。」
内定はお断りしました。
地味だと言われたことを根に持っているのではなく、バックに危険な方たちがいそうな香りがしたからです。
念のため。
ディズニーシーのタダ券
社会人になり少ししたころ、4歳年下の男の子に「ディズニーシーのチケットをもらったけど行く人がいないので、よかったら一緒に行きませんか」と誘われました。
私はディズニーシーに行ったことがありませんでした。
「え、私でいいの!?」
「行く人がいないので、よかったら」
「行く行くー!」
とノリノリでOKしました。
当日、ディズニーシーではパーク内で酒が飲めることを知り感動しました。飲み歩きながらテンションが上がっていきます。
昼を過ぎた頃、水辺にある見晴らしのいいベンチに座るよう促されました。
もじもじし出した彼を見て、なんとなくまずい予感がしました。
予感は的中し、愛の告白を受けました。
彼をそういう対象として見ていなかったため、直前まで気がつかず、驚きました。
そして変に期待を持たせるのは良くないと思い、その場で断りました。
そこからは彼のテンションがダダ下がりになり、ほどなくしてお開きとなりました。
せっかくのディズニーだったのに、非常に後味の悪いものとなりました。
「ディズニーのチケットが余るわけないじゃん。誘われた時点で気づきなよ!」と友人達に叱られました。
好きなら最初からそう言えばいいのに、なぜわざわざディズニーで告白しようと思うのでしょう。
元々ディズニー好きのカップルがプロポーズに使うならわかりますが、私は特別ディズニー好きなわけじゃありません。
よく相談を持ち掛けられるなと思っていましたが、友人として接していたに過ぎず、カップル同然の付き合いをしていたわけでもありません。親密さは皆無でした。
そもそも私の好みに合わせるなら、高架下の飲み屋で十分です。
「夢を持ってたんでしょ。男の子もかわいそうに。せめてその場で断らずに、その日一日は楽しめばよかったのに」
気を持たせておいた方がよかったの?
なぜ私が悪いことになってるんだ!
気のない相手にディズニーに誘われても、行ってはいけないということを学びました。
せっかく学んだけど、それ以降ディズニーに誘われたことはありません。
あれから一度もディズニーシーに足を踏み入れることもしていません。
今度家族で行こうと思います。
祖父母の交通事故
約一年ぶりに祖父母宅を訪れたある日。
祖母がおもむろに「心配させたくなくて言わなかったんだけど、数か月前に車に轢かれたの」と話しだしました。
「え!? 大丈夫なの!? どういうこと?」
驚いて聞き返すと、年老いた祖父母が手を繋いで横断歩道を渡っている最中に、わき見運転をしていた軽自動車が突っ込んできたのだと言います。
祖父母は揃って転びました。
祖父は捻挫、祖母は骨折の診断を受けました。
車の運転手は中年の女性でした。
すぐに車を停めて降りて安否を確認したものの、動揺しっぱなしだったのだそうです。
警察や保険会社への連絡はスムーズに行われました。
怪我はリハビリを含めて数ヶ月で完治しました。
「あんたたちに知らせたら、心配すると思って言わなかったの。もう治ったし、大丈夫だから心配しないで」
「そうなんだ。今度何かあったら、ちゃんと知らせてね。手伝えることもあるだろうし」
「大丈夫よ。ありがとう」
祖母は満足そうに言いました。
怪我が完治し、保険会社との話もついているというので、別の話題に移りました。
話し続けていると、祖母が表情を硬くしたまま、全く口を開かなくなりました。
「どうしたの、おばあちゃん?」
すると、
「あんたは薄情だね! 事故に遭ったって言ってるのに! もっと心配するのが普通でしょう?」
と言って怒り出しました。
「……もう治ったんだよね?」
「治ったけど、そういう問題じゃないでしょう!? 心配するのが普通でしょうが!」
……心配かけたくないと言いながら、めちゃくちゃ心配されたがっていました。
「……体大丈夫? おばあちゃん」
「大丈夫よ。もう治ったんだから!」
「……そう。よかった」
人の理不尽さを感じた一件でした。
人は理不尽な生き物
人つきあいは理不尽の連続です。
私も理不尽なことをすることがありますしね。
人は面白い生き物です。