私は三姉妹を育てる母です。
子どもから大人になるまでの間に、望まぬ妊娠で心身ともに傷ついた友人達を見てきました。
女性が男性に避妊をしてと言えなかったり、言っても「外だしすれば大丈夫」とか、「今まで子どもができたことがないから大丈夫」「子どもができたら結婚しよう(実際は妊娠したと分かると堕胎を求められる。又は逃げられる)」と押し切られて妊娠に到るケースが多くありました。
女性が断固として避妊がない性行為を断らないこと、何より、性行為についての知識が圧倒的に不足している男性が多いことが問題でした。
私は子どもたちに悲しい思いをしてほしくありません。
長女が初潮を迎えた時に、娘と向き合って性についてじっくりと、かなり具体的に話しをしました。
これが正解なのかはわかりませんが、後悔はありません。
長女が真剣に聞き入っていたことも印象的でした。
わが家の性教育をお伝えします。
三姉妹母の性教育・幼少期
性教育の必要性が訴えられています。
しかし日本では「性」をタブー視する傾向があり、海外に比べて性教育が遅れているとも言われています。
実際私は、親と性について話しをしたことがありません。
暗黙の了解で「触れてはいけないもの」とされてきました。
学校でも卵子と精子の結合といった受精卵の作られ方や着床の仕組みについては学びましたが、実生活に役立つ話を聞いた覚えはありません。
私が娘たちに伝えたいのは、体内で起こる妊娠の仕組みだけではなく、家族や恋人、他人との人間関係を築く上で性をどう考えるかや、自分や他人のアイデンティティともなり得る性的な部分をどう守るか、尊重するかでした。
漠然とした言い方では伝わらないと感じました。
私が経験したエピソードを話す方が印象に残り、今後娘が自身を守ることができると考え、年齢が上がるにつれて体験談を交えて話すようにしました。
性教育を指南するサイトをいくつも見て、年齢ごとに伝えるべきことを大まかに分けて伝えました。
幼稚園
子どもが幼稚園に入るころから、以下のように伝えていました。
・知っている人でも、簡単について行ってはいけない
・プライベートゾーン(水着で隠れる場所)は、家族であっても勝手に触ってはいけない
・強制的に見せられること(露出狂など)も許してはいけない
おかしいなと思ったり、気になることがあったらパパかママに伝えてね、と話していました。
当時は子どもだけで行動することがありませんでしたから、言い聞かせるだけでした。
小学校低学年
小学校に入ると、放課後に子どもだけで遊びに行くようになりました。
キッズ携帯を持たせて、不審なことがあったら連絡するように教えました。
実際、「公園のベンチに大人の男の人が座ってて、子どもたちの写真を撮っている」「鬼ごっこをしていたら後をつけるようについてきた」等の連絡をもらい、公園に駆け付けたことがあります。
出先のショッピングセンター等では、一人で手洗いに入らないよう伝えました。
家族で出かける時は親の私がついていけるので良いのですが、3年生、4年生頃になると友達と約束をして、お小遣いを持って子どもだけで出かけるようになりましたので、実際に起きた事件等の話しをして、一人にはならないよう念を押しました。
また痴漢等の被害に遭ったとしても、被害者が悪いということはなく全て加害者が悪いので、一人で抱え込まずに周囲に話してほしいとも伝えました。
こう書いていると性教育というより防犯対策のように感じられますが、実際、性教育は防犯対策でもあるのだと感じています。
同意がない性的な加害行為を許さず身を守る意識を持つことは、後に「性行為の相手、方法は自分で選ぶ」ことに少なからず繋がるからです。
姉妹の年齢差
第一子である長女は、ある程度年齢に合わせた話ができていたと思います。
しかし2~5歳後に産まれた次女、三女も、話しをしている場に居合わせることが多くありました。
長女に初潮が来る頃には、長女の反応を見ながら性行為の注意点を含めた具体的な話をしようと思っていましたが、まだ幼稚園か、小学校に入ったばかりの三女に聞かせるには早い話です。
決して広くない家の中で、どう長女と話すべきか悩みました。
小学校で教える性教育
迷っているうちに、小学校高学年となった長女に初潮が来ました。
先に生理を体験した友人達がいたため、長女は「自分にも来た!」といった感じで最初は喜んでいました。
しかし一日も経たずに、生理の煩わしさや腹痛、不快感に悩まされるようになり、すっかり意気消沈していきます。
初潮を迎えたということは、妊娠する体になったという事です。
「もう先延ばしにできない」と感じ、「大事な話がある」と切り出しました。
それは休日の朝で、次女も三女もまだ眠っていました。
「学校で性教育の授業はあった?」と聞きました。
学校でしっかり教えてくれているのなら、助かる、と思ったのです。
長女は「性教育授業あったよ! 卵子と精子が結びつくと赤ちゃんができるって習った。それで生理が起こるんでしょ?」
「精子はどこで作られるかわかる? 精子はどうやって女の人の身体に入ってくるの?」と聞くと、「よくわかんない」と言います。
学校で習った性教育の内容は、私が子どもだった30年前と変わっていないようでした。
初潮を迎えた娘に性教育をした話
男性の睾丸で精子が作られて、ペニスから放出されること。
ペニスを女性の膣に入れる行為等を「性行為」と呼び、つまりそれが「セックス」であることを話しました。
およそ一か月に一度程度女性の卵巣から卵子が出てくるが、卵子が元気な時間は長くないこと。
精子が卵子に入り受精すると時間をかけて子宮に移動し、着床するが、順調に育つとは限らないこと。
受精から妊娠、出産は幸せなことだけれど、女性にとって命がけの行為でもあること。
受精や着床に到らなかった場合に、妊娠に備えて子宮に準備されていたものを一掃するために生理が起こること。
妊娠期間を「十月十日」と表現するが、実際の暦とは違い、一月を4週間と数えること。
妊娠0週0日は最終月経の開始日を指し、排卵が約2週間後。受精し着床するまで1~2週間かかるため、検査薬や病院で妊娠が最短でわかったとしても、その時既に妊娠4週目となり、赤ちゃんの心拍が確認されるのはさらに3週間後くらいになること。
妊娠検査薬で陽性が出ても子宮に着床しているとは限らず、場合によっては命にかかることもあるので、妊娠を侮らず病院にかかることなどをザっと説明しました。
娘は、女性の股には生理の血が出てくる穴と、うんちが出るお尻の穴の2つがあることも知りませんでした。
しかしセックスに関してはドラマや友達との話などの影響で、ある程度の知識を持っていたようです。
「裸でHなことをすること」と認識していて、Hが具体的にどんな行為なのか、どうしたら妊娠に繋がるのかはよくわかっていませんでした。
ここからが私が伝えたかったことです。
家庭によっては、「教育的にどうなの?」と思われる方がいるかもしれませんが、必要なことだと思ったので敢えて伝えました。
性行為をしたいという欲求は人により異なるので、一概には言えないのだけど、私の経験上、性行為を覚えたての男性は特に欲求が高まりやすいよう。年齢を重ねても欲求に駆られて、後先考えずに行為に到る人がいる。(男女問わず)
「外だしすれば妊娠しない」といってコンドームなどの避妊具を使わずに性行為をしたがる人が少なくない。そういう男性は射精時だけ女性の体外に出せばいいと思っている。
射精する前にがまん汁(カウパー)と呼ばれる液体が出て、それには精子が含まれないと言われているけど、がまん汁だけで妊娠した知り合いが複数人いるし、膣内で何も出していないと男性が言っていても実際は出ていて、妊娠した知り合いもいる。
「子どもができたら結婚しよう」といっていても、いざ妊娠したら逃げる男性は多い。心身ともに深く傷つくのは女性。ある男性は彼女を本当に愛していたし、結婚しようと思って妊娠させたけれど、現実味を帯びてきたら「今は結婚ができない」と気づいて堕胎させることになり後悔しているケースも知っている。
責任が取れる年齢、立場になって子どもが欲しいと思う時以外は、必ず避妊具をつけること。
性行為を強要したり、避妊に協力的でない男性は、あなたを愛していない証拠。
意思をしっかり持って、自分の身体は自分で守ってほしい。
それでももし将来、性的なこと、妊娠等で悩むことがあったら、一人で悩まずに親や信頼できる人に必ず相談をすること。
私が知る堕胎経験者は一人残らず深く傷ついていたから、同じ目に遭ってほしくない。
子どもはとても可愛いけれど、育てるのは簡単ではない。女性が一人で出産し子どもを育てるのはかなりの資産家でないと難しい。性行為の先には妊娠、出産や子育てがあることを忘れないでほしい。
最近は女性がピルを飲めば避妊できるという人もいるけど、ピルだけでは性病を防げない。
性病は進行すると命を落とすものもある。甘く見ないこと。
途中、娘に質問されたことに答えながら、こんなことを話しました。
また、性と心は密接に関係していると感じること。男女問わず、相手の同意なしに性的な行為をすることは、相手の心を踏みにじることになるんだよ、とも言いました。
娘は「ママはいつも『対話ができる人を選べ』って言ってるもんね。ちゃんと話せる人を彼氏にする」と軽く答えていました。
頭でっかちになって選り好みしていると経験を積めないまま大人になることもあるので、「ダメ男に引っかかるなら若いうちがいい。男女ともに痛い目にあって学んでいくし、伝え方や距離感もわかるようになると思うよ」と付け足したのですが……、伝え方が難しいですね。
性行為を「怖いもの」とか「イヤなもの」と思わせすぎないように注意して話しましたが、娘はまだ小学生ですので「皆がするもの」「愛情のこもったコミュニケーション」と話すと性行為の“用心すべき点”が伝わらない恐れがあるため、避けています。
生理の低年齢化と性教育の難しさ
話していて難しいと感じたのは、妊娠できる体であっても精神的には子どもである娘に対し、どこまで伝えるべきかという点でした。
今の子どもは小さい頃からネットで検索ができる環境にいますから、フィルターをかけてアダルトサイトにアクセスできなくさせていても、大人が発信しているSNSや卑猥を含む漫画広告などで意図せず性的な知識をもちます。
同意を得ない性行為を喜んで受け入れるような描写も少なくありません。
フィクションを「正しい」と勘違いしないよう、また、嫌なものは嫌とはっきり言えるように、早くから教えておくべきだと思っていても、具体的に何をどこまで話すのかの線引きが難しいと感じました。
周囲の保護者の話を聞く限り、私はかなり詳しく話をした方だと思われます。
私と夫が揃って話すのが理想でした。しかし話す機会を伺ったまま先延ばしにしてしまい初潮を迎えてしまったこと、下の子達に邪魔をされずに長女とじっくり話ができたのが夫が出勤後だったため、私と娘だけの話の場になりました。
男児を育てる母親たちからは、性について息子と話しをしたことがない、という話しをよく聞きます。
彼女ができると「彼女泣かせるようなことはするなよ!」と釘を刺すことはよくあるようです。父親が息子と話をしているケースもあるのかもしれません。
娘さん、息子さんにこんな性教育をした、というエピソードをお持ちの方、是非教えてください。
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