夫の不倫が発覚し、苦しんでいる妻がいます。
全てを知ってからでないと再構築に挑めないという妻に、夫は嘘をつき続けました。
結果的に嘘の辻褄が合わなくなり、白状するに至ります。
なぜ嘘を言い続けたのかの問いに、夫は「妻をこれ以上傷つけたくなかった」と答えました。
妻のために嘘をついたという、夫の言葉について考察する記事です。
※私は夫婦の友人です。双方から相談を受けていました。それを元にまとめた記事です。
嘘と白状のきっかけ
不倫発覚
妻が夫のLINEや写真を見たことで、不倫が発覚しています。
妻が問い詰めるまで、夫は妻に当たり前にキスやハグを求めていました。
妻は夫が何を考えているかわからず混乱し、怒りました。
夫は不貞はしてないと否定しました。
真実を隠す夫
夫は絶対に離婚したくないと言って、必死に謝りました。
不倫相手との関係はあっさり切りました。
妻が見たやり取りは恋愛そのものでしたので、夫の気持ちが別の女性にあるのだと思い、酷く落ち込みました。
「恋愛をしているんだから、不倫相手と一緒になったらいい。離婚する」と妻が言い、夫は焦りました。
熱烈なやり取りをしていたのに、「離婚したくない」と繰り返す夫を、妻は理解できませんでした。
本当に好きなら、相手と一緒になればいいと思ったからです。
「妻が好き。別れたくない」と言い続ける夫の姿を見て、やはり不貞はあったのではないか、と疑いを持ちました。
体目的の恋愛ごっこだったのなら、納得がいくからです。
真実を知りたい妻と、隠したい夫
「全てを知ってからでないと、再構築に挑めない。本当に不貞はなかったの? ちゃんと教えてほしい。」と何度も聞きました。
夫は不貞は絶対にないと否定し続けました。
細かなエピソードを話し、何とか妻を納得させようとしました。
不倫相手と密室で何度も二人きりになり、仲睦まじい写真も残っているのに、不貞がないのは考えにくいことでした。
体の浮気と心の浮気、どちらが重い
本当に不貞がないなら、体目的でもないのに恋愛をしていたことになります。
つまり心が完全に不倫相手に向かっているということだと、妻はかえって傷つきました。
体目的のために恋愛ごっこをしていたと言われる方が、ずっと楽だったのです。
「体の関係はなかったが、恋愛ごっこを楽しんでいた。本当に好きだったわけではない」と繰り返す夫を信じられず、妻は苦しみました。
日々酷いフラッシュバックが繰り返され、夫を責め続けました。
そんな中でも信じてほしいと言い続ける夫の言葉を、何とか信じたいと思うようになっていきます。
でも夫の説明には矛盾がありました。
納得できる説明がないと前に進めないと思った妻は、夫に「ちゃんと説明して欲しい」と頼みました。
嘘の綻び
発覚から一か月以上が経過していました。
自業自得ですが、夫は責められ続ける日々に疲れていました。
咄嗟についた細かな嘘の辻褄が合わなくなり、妻の混乱は進むばかりでした。
嘘だと白状しないと、妻は納得しない。妻が納得しないと再構築は叶わないと夫はやっと気が付きました。
発覚から二か月に満たない頃に、ついに夫は嘘をついていたことを認めます。
不貞はありました。
夫の嘘は妻の心を壊す
妻は「やっぱり」と思うと同時に、あれだけ「嘘じゃない」と言い続けた夫に絶望しました。
せめて発覚したときに正直に言ってくれていればこれほど苦しまずに済んだのに。
再構築に挑むために本当のことを聞きたかっただけなのに、また裏切られたことが、妻をさらに追い詰めました。
不倫中も騙し、不倫発覚後も騙していた。
そんな人と結婚してしまったのかと、自分さえ信じられなくなりました。
妻はショックで抜け殻のようになりました。
眠れず、食べられず、水さえ満足に飲めなくなりました。下痢や吐き気に悩まされ、ベッドから起き上がるのも難しくなります。
なぜ最初から正直に話さなかったのか? と夫に聞くとこう答えました。
「妻をこれ以上傷つけたくなかったから」
これ以上傷つけたくないという“詭弁”
思いやりのある嘘の真実
「これ以上傷つけたくなかったから嘘をついた」と言われて、夫の思いやりを感じる妻は、果たしているのでしょうか。
不倫中から既に、嘘にまみれた生活を送ってきていました。
こちらがどれだけ聞いても、嘘をつき続けた。
再構築を望んだのは夫なのに、その間も私を騙そうとした。
この絶望感が、このような思考に繋がります。
信用できなければ、夫婦の再構築はあり得ない。
保身のための嘘・夫の言い分
耳障りのいいことを言って、「夫が自分を守っている」ことは明らかでした。
妻のせいにして、嘘を正当化していました。
それを夫に指摘しました。
すると夫はこんなことを言いました。
でも再構築を目指すには、嘘をつき続けてはいけないと分かった。真実を伝えることで話の矛盾が無くなり、自分のことを多少は理解してもらえると思った。
いつかバレてまた傷付けるなら早くにちゃんと伝えなきゃいけないと思った。言うタイミングを逃し、いつ言おうかと迷っていた。
何度か聞かれるなかで今言うべきだと思って言った。
もっともらしく聞こえるでしょうか。
嘘の本音
詳しく聞いたところ、つまりこういうことでした。
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離婚は絶対にしたくないが、これ以上真実がわかってしまうと、離婚を回避できなくなるかもしれない。
妻も辛そうだから、これ以上知ってもいいことはないと考えた。
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妻のためになると思い、嘘を重ねた。
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何度も問い詰められるたびに、嘘の矛盾が出てきた。
毎回痛いところを突かれて、いい加減苦しい。
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どんなに相手に気持ちがないと伝えても、理解してもらえない。
妻のためを思って隠したが、俺を疑い続けて溝が広がるだけだ。
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理解してもらうためには真実を言うしかない。でも言ったら今度こそ離婚されるかも。
迷っている間も何度も問い詰められた。
⇓
同じことの繰り返しで状況が悪くなるばかりだ。このままでは再構築ができない。
先々でわかってしまったら、どちらにしろまた妻を傷つける。
⇓
これ以上妻を傷つけたくないから、妻のために勇気をもって言おう。
不倫の理由も嘘も、人のせい
不倫の理由・認知の歪み
夫の言い分には認知の歪みがありました。
夫のこれまでの言動に、度々保身を感じていました。
妻に最初に不倫を問いただされた時、不倫した理由を「妻に不満があったから」と話しました。
鬱憤を発散させるために不倫したというのです。
しかし夫は妻にベタ惚れで、妻に滅多に不満を言ったことはありませんでした。
不倫をしたのは妻のせい
夫の不倫は単身赴任がきっかけでした。
赴任後間もなく、現地で出会った女性と関係を持ちます。
夫は単身赴任が決まった時から、その間は「遊ぼう」と決めていたと証言しています。
性欲処理のためでした。
短い単身赴任で、10ヶ月ほどで終わり帰宅しました。思いのほか恋愛ごっこが楽しかったようで、女性との思い出の品を「戦利品」として持ってはいましたが、女性との関係は清算して帰りました。それほど夫としては割り切った付き合いだったのです。
不倫がバレたのは、相手女性から久しぶりに何気ない連絡が来たことがきっかけでした。
妻はスマートフォンを握る夫の態度がいつもと違うことに勘付き、怪しんでLINEを見て発覚。
妻が夫を怪しんだのはこの時が初めてでした。
夫は不倫した理由について「妻に不満があったから」と言いましたが、妻への不満は解消されていないはずなのに、単身赴任期間限定で不倫を終える道理が通りません。
後に夫は、単に性欲を解消するための不倫だったと認めました。
「性欲のためだけに不倫をしたら、心がない人だと妻に嫌われると思った」のです。
それを隠すために妻への不満を作り出していました。
真実を全て知りたいと訴える妻を退けたのは、「離婚されたくない」という思いからでした。
妻が「知りたい」と訴えているのに、「知りたくないはずだ」と結論付けて、「妻のため」と思い込み、夫は嘘をつき続けました。
しかしいよいよ立場が危うくなると、「妻を傷つけたくないから」と理由づけて白状しています。
都合のいい言い分
不倫は夫婦の問題ですので、私は妻の友人として聞き役に徹していましたが、夫とも付き合いがありましたので、夫からも相談を受けるようになりました。
※妻の心境を考え、妻に予め「夫から相談を受けている」ことを伝えています。
夫から「妻をこれ以上傷つけたくなかったから嘘をついて隠していた」と聞かされた時、「詭弁」だと思いました。
夫の「保身」以外の何物でもありません。
この時ばかりは「もの申したい!」という欲が抑えられず、このように返答しました。
リスク回避を図って、自分がしでかした代償を軽くしたかっただけでは?
妻のためになると都合よく結論付けただけ。保身ばかり考えていては再構築はできない。正直に面と向かって向き合うほかない。
夫は「どうしていいかわからない。妻が好き。別れたくない。軽い気持ちだった。バレなきゃ大丈夫だし、バレないと思っていた。バカだった」と言って泣きました。
有責者が再構築をしたいなら、白状しろ
夫婦の再構築を望むなら、有責者は決して嘘を言ってはいけません。
嘘はいつか必ずバレます。
バレた時には取り返しがつかなくなることが多くあるのです。
悪いことは先に白状して、誠実でいなければなりません。
裏切ってしまったにも関わらず再構築を望むなら、それしか道はありません。