新築するときに注意するべき経年劣化とコスト・屋内設備を最小限にする利点

建築物や空間デザイン、インテリアが好きで、装飾屋の仕事をしていた私が結婚後、築40年を超える古家つき物件を購入し、建替えました。

造作好きでありながら、自身の家には凝った装飾をしませんでした。

古家に住んだ経験から、多くのことを学んだからです。

どうしてそのような考えに到ったのか、記します。

経年劣化とこだわり

☟古家つき物件を購入するに至った経緯などを書いています。

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旧宅は築40年を超えていて、非常に不便が多い家でした。

洗面台は新築当時につけられたTOTOのユニット洗面台でした。プラスチック製の洗面ボウル、ボウルの下には観音開きの戸棚があり、ボウル上の正面に鏡、両脇に棚がついている、オーソドックスな形です。

当時にしては珍しかったであろう、収納式のシャワーもついていました。

経年劣化でプラスチックが変色し、ボウルには部分的にヒビが入り、ボウル下の戸棚内にある排水管からはよく水が漏れてカビが生え、水テープなどで補修しながら使っていました。

旧宅の売主は年配の方で、家の手入れをしていませんでした。

売ることを前提にしていたのもあるのでしょうが、金銭的余裕がなかったのも確かだと思います。
家を売り、息子夫婦の暮らす家に世話になると言っていました。

劣化したプラスチックの変色はどれだけ掃除をしても落ちませんでした。
長年蓄積した汚れも落ちません。

私は企業向けに造作やインテリアの提案、施工を行う装飾屋の仕事をしていました。
造作自体が好きなので、自宅をリフォーム、または建替えたら、と夢が膨らみました。

反面、こだわりを持って造作しても経年劣化は必ず起こるということを知っていました。

仕事で凝った洗面台を造作したことがありました。
クライアントは喜び、私も晴々とした気持ちになりました。

家を建て替えるとき、こだわりたい気持ちがなかったわけではありません。
SNSで造作の洗面所がたくさん公開されていて、素敵だと思っていました。

しかし自宅では採用しませんでした

私が仕事で作った洗面台は個人宅で使用されるものではなく、ショールームの一部として利用されるものでした。
使用頻度の問題や使用する人が大人ということ、手入れが業務の一環として行われることから、綺麗な状態を長く保つ傾向にあります。

自宅で使用することを想像した結果、長く美しく保つのは難しいと判断しました。

生活をシミュレーションする

我が家が引っ越しをしたのは、三人目の子どもが産まれた後でした。

子どもがいかに汚すか、水を飛ばすか、洗い物を多く出し、洗面で下洗いがどれだけ必要になるか、使用頻度や使い方がわかっていました。

利用していれば水が滴り、陶器と台の隙間に入り込むなどして素材が少しずつ痛んでいきます。特に土台の方でしょうか。
コーキングしても永遠に劣化しないわけではありません。

洗面ボウルによくある素材の陶器は、一度ヒビが入ると補修は難しく、交換が必要になることが多くあります。

周囲にタイルを貼れば、暴れん坊の第一子が物を投げてぶつけて割る、重いものを落として割る、などが容易に想像できました。

一度タイルを貼ると、剥がすのは大変です。そこだけ貼りなおせばいいと言っても、その工程は簡単ではありません。小さめのタイルだと割れにくいですが、交換の際に一部だけ変えるのは難しいです。目地は汚れが入りやすかったり、カビやすい場合もあります。

タイル同様、陶器の洗面ボウルも同じです。

洗面ボウルが変わると、排水などの配管の長さや、はめ込む台の穴の大きさが変わることが珍しくありません。
劣化して交換する場合には大きな工事になります。

実際、親族の家にユニットではないタイルやボウルを使った洗面がありますが、経年劣化で歪み、取り壊すにもお金がかかるということで数十年放置されています。

頻繁に利用する場所で、汚さないで! 水を飛ばさないで! と子どもに注意し続けるのはストレスです。

何を採用しても三十年もすれば劣化すると考えると、収納が豊富で汚れが付きにくく、掃除のしやすいユニット洗面台が我が家にあっていると考えました。

何の変哲もない、TOTOのオクターブです。

https://jp.toto.com/products/groom/octave/

オーソドックスだけど、使いやすく掃除もしやすいです。
毎朝タオルを取り換えるときに、使用済みのタオルでササっとボウルや鏡を拭いています。

拭く際にも凹凸が少ないので、非常に楽です。

新しい洗面台に交換する際も、全てユニット化されているので工程が少なく、工事代金の目安が付きやすくなるのでメリットの一つと言えるでしょう。

家も年を取る・メンテナンス費用はバカにならない

交換が必要になる30年後は、年金受給世代になっています。 わかっているつもりでも、しっかりと想像できている人はどれくらいいるでしょうか。 私は理解していませんでした。

古い家を手入れしながら住んだ経験のある友人に、「お金がかかるよ」と聞いていたにも関わらず、これほどかかると思っていませんでした。

辛かったのは、お金はどんどん出ていくのに、不便が続くということでした。 築40年を超える古い家は、将来を甘く見たら痛い目を見るよ、と教えてくれました。

詳しくは、「中古住宅をリフォーム! ではなく建替えた理由」に書いています。

痛い目を見た我が家は、予算の範囲内で「できるだけ長く快適に住める家」を第一にホームメーカーを選びました。

家の中の設備は最小限にしました。
外壁にお金がかかったのも一つの理由です。

※床暖房はホームメーカーのウリで、ほぼ基本設備と言える安価だったので採用しています。

https://kirinroom.com/2020/07/15/koukimitukoudannnetu-kashinn/

外壁は本物のレンガを積んだレンガ積みの家で、経年劣化が殆どありません。
向こう100年は手入れが必要ない素材です。

大昔のレンガを積み立てた施工とは違い、鉄筋を通して積み立てていて、耐震性能が高いものです。
外壁タイルのように劣化で剥がれて落ちることはありません。

屋根の軒先の木工の部分や屋根(30年保証があるものの)は定期的な手入れが必要ですが、外壁の大部分の手入れが不要です。

家の中の設備は20年から30年で交換が必要です。

トイレ、キッチン設備(コンロなど。特に食洗器を導入されている家では、20年程度で交換が必要になるでしょう)、風呂場やガス給湯器などは古くなると危険な場合があり、どうしても交換が必要になってきます。

お金持ちになっていれば問題ないのですが、子どもの教育費にごっそり金をかけた後、或いはお金がかかる真っ最中に、果たしてどれだけお金をかけられるかが問題です。

かけるべき時に手をかけないと、劣化は進みやすくなります

古家に住み、手入れに年間数十万(修理を最小限に抑えた金額)が飛んでいくのを体験した我が家は、新しい家を建てるにあたり、将来どれだけ金をかけずに平穏に暮らせるかを重視してホームメーカーを選びました。

坪単価の高い大手ホームメーカーで、外壁50年もつとうたっているところがありましたが、詳しく聞くと定期的に数十万から百万円台の予算をかけて手入れが必要だと言っていて、そりゃそうだ、と思ったものでした。

そういった理由から、好みのデザインだったBESSの家も諦めました。

年を取ったら金額的にも労力的にも大変で、手に負えなくなると思ったからです。

夫はDIYが苦手で、私の担当です。年を取ったら一人では無理だと思いました。
手がかけられる人なら大丈夫!

優先順位・何を重要視するか

マンションなら手入れ費用がかからないかと言えばそうではありません。

修繕積立費は年々上がり、ローンの支払いが終わっても管理費と修繕積立費で毎月数万円の支払いが続くことが珍しくありません。

修繕積立費を上げないマンションもありますが、築40年を超えてから雨漏りや配管関係の問題が続出し、積み立て費用に限りがあるために役員会議で揉めている所を知っています。

どこに住むにしてもお金はかかるものです。
我が家は戸建てにしたことに後悔はありません。

後は老後をどうやって快適に過ごすかを考えます。

優先順位は人によって様々です。

もっとお金を稼げるように頑張れば問題がないと思う方もいるでしょうし、先々お金がかかったとしても、今便利なもの、好きなものに囲まれて楽しく暮らしたいと思う方もいるでしょう。

きちんと手入れをして、長く使えば問題ないと考える方もいます。

家に大金がかかるころ子どもたちが独立していれば、家を売り(築年数が古くなると家の価値はない、或いは古家がない方が売りやすくなるので、土地の価値が重要です)、夫婦だけで暮らせるマンションに引っ越しするなどもできます。

何が正しくて間違っているかは、人によって変わります。

もっと言えば、家を買っても離婚して家を出る可能性がありますし、新型コロナのように突如現れた未曽有うの事態によって職を失い、家を手放す可能性もありますので、どこまで想像するかの問題もありますね。

色々な心配を突き詰めていくと何もできなくなってしまいますし、先々を考えすぎて好みから外れてしまい、せっかく家を建てたのに生活が楽しくなくなってしまっては意味がありません。

我が家は当初、古家つきの土地ではなく、初めから新築を購入する予定でした。
しかしいい物件に出会えませんでした。

義両親の勧めで古家つきの土地を買い、ゆくゆくはリフォーム、或いは建て替える予定で住み始めました。

不便が多く、最初はストレスで仕方なかったのですが、今となっては古家の不便を知ってから建替えられてよかったと思っています。
知らないまま建てていたら、将来の心構えもなく、とても不便な老後だったろうから。

何を優先するにしても、将来「家の管理にお金がかかる」ことを知っているかどうかが重要です

新築を考えられている方は、将来のお金の計画を見直し、家の設備と照らし合わせてみるといいのではないでしょうか。

木造住宅30年後にかかる費用目算

木造住宅35坪程度として仮定。

修繕費費用目算

屋根、外壁塗装      ¥1500000~2500000
基礎周り補修       ¥800000~1500000
ガス給湯器交換      ¥350000~700000
汚水管清掃・補修     ¥50000~80000
ガスコンロ交換      ¥100000~200000
食洗器交換(同規格製品がある場合。ない場合はキッチンごとの交換の可能性有)
             ¥150000~400000
ユニット洗面台交換    ¥150000~300000
雨漏り補修        ¥50000~300000
雨どい補修・交換     ¥20000~300000


40年後以降かかってくるのは、風呂の交換、外構ブロックや塀の補修、コンクリートの補修、フラットな形状の屋根やバルコニーは落ちる可能性がありますので手入れが必要です。

痺れる金額ですね。
これにビビって、外壁にお金をかけた我が家です。

以上、我が家が考える、新築するにあたり注意するべきこと、でした。
どなたかの参考になれば幸いです。

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