妻の不倫で自暴自棄になった夫と、周囲の男達の反応・男の逃げ場はどこにあるのか

離婚する理由

私は結婚12年を超えた主婦です。

かつて夫の不貞が発覚して、離婚を求めて大暴れしたことがありました。

夫は離婚を望まず、生活を改めました。身を切るような痛みを感じながら話し合いを重ねて、7年。
今は新婚当時よりずっと愛情が深まり、良好な関係を築いています。

夫婦とは面白いものです。
関係が良好だと思っていても、ある日突然壊れることがあります。

心や体の裏切り、金銭的問題、日ごろ溜めていた不満が爆発、子どもについての考え方、今後の展望のすれ違い。モラハラを含めたDV(精神的経済的DV含む)。

破綻する理由は様々ですが、私の身近にいる離婚経験者たちの離婚理由は「不倫」がとても多い印象です。
不倫が始まる前か、始まったころからモラハラが始まっていて、おかしいと思って問い詰めたところ精神的なDVが増えた例もありました。

不倫や浮気の罪は“不貞”という裏切りに留まりません。
不倫や浮気をするために嘘を重ねたことで、信頼が失われます。再構築に挑みたくても、嘘をつかれた事実が邪魔をして信じられなくなります。裏切りの副産物として「信じたいのに信じられない苦しみ」が生まれるのです。

また、女性は身体より精神的な結びつきを重視する傾向があると言われています。(もちろん身体の結びつきも深く深く傷つきますが)夫が他の女性に興味を持つことで自尊心が傷つけられ、精神の安定が図れなくなり、夫婦の関係に大きく影響することがあります。

次いで離婚理由として多いのはDV、そして借金問題です。

これらは私が個人的に、妻の立場の方から聞いた話の統計です。

私は主婦なので、自然と妻側の話を聞く機会が多い環境にあります。男性から聞くこともありますが、機会はあまり多くありません。
そのため、このサイトの記事は女性目線の話が大半となっています。

そんな中、私の夫から、妻の不倫で離婚したある男性の話しを聞きました。

私の夫は男性ばかりの職場に勤めています。
その男性も、同じ会社に勤める同僚でした。

離婚自体は珍しい話ではありません。
妻の散財などにより離婚になるケースもありますが、やはり多くの離婚理由は、「不倫」です。

夫が不倫をして離婚になるのと同じくらい、妻の不倫により離婚に至る話しをよく聞くようになりました。

夫が不倫をした場合は夫が離婚を拒み、妻が離婚を強行するか再構築に挑むケースが多いようですが、妻が不倫をした場合は、妻の希望により離婚に至るケースが多いようです。

妻の不倫で、妻子を失った夫

私の夫は約一年前のある晩、夜勤勤務についていました。

本来仮眠をとるべき休憩時間に、同僚数人が集まって一息つきました。
その日はたまたま、談笑で盛り上がります。

いろはさん(仮名)も、その場にいました。

いろはさんはしばらく顔色がよくありませんでした。
周囲はいろはさんが元気がないことに気が付いていましたが、本人が何も言わないので、誰も触れずに毎日を過ごしていました。

(男性同士だと敢えて触れないことがあるようです。私が男性ばかりの会社に勤めていた時も、同様の反応を度々見ていました)

いろはさんは夜中の独特な空気に触発されたのか、最近にしては珍しく、ぽつりぽつりと話しだしました。

その内容は周囲を大いに驚かせます。

いろはさんの妻がパートタイマーとして働きに出た先で男と知り合い、不倫に発展。
離婚したという内容だったのです。

いろはさんは不倫が発覚当時、傷つき、当然怒りましたが、妻は詫びれることなく離婚を求めてきました。

妻は不倫に到った理由をいろはさんのせいだと主張。
そのため不倫の慰謝料は相殺、養育費も不要なので、二人の子どもを連れて出て行きたいと言われました。

いろはさんは納得がいきませんでした。
いろはさんへの不満のせいで不倫をしたというなら、不倫をする前に不満を言ってほしかったと話しましたが、妻は「言っても聞き入れられなかった」と言います。

いろはさんは仕事が忙しく、また不規則な勤務体制でしたので、家庭の中心は妻が担っていました。
妻から何かと小言を言われることがありましたが、大きな問題だとは思っていませんでした。

不倫発覚後の妻は、何を言っても取り付く島もない状態。

妻がどう思っていたかはわかりませんが、いろはさんなりに妻と子どもを大切に思っていました。
そんな妻の裏切りは、いろはさんを深く傷つけました。それなのに、なぜか妻は強気です。

妻を責めると、妻の心がどんどんと離れていくのがわかりました。
いろはさんは納得が行きませんでした。しかしその理不尽さえ、ぶつける先がありませんでした。

妻が子どもたちを連れて行ってしまったら、「何も残らない」と、絶望感が襲いました。

日本では親権は母親が有利とされています。忙しい仕事に就いているいろはさんは、妻に比べて子どもたちと過ごす時間が圧倒的に少ない状態でしたので、親権が取れるとは思えませんでした。仮に親権が取れたとしても、子どもたちに寂しい思いをさせてしまうだろうと思い、あきらめざるを得ませんでした。

これまで何のために頑張って仕事をしてきたのか、わからなくなりました。
家庭を支えるプレッシャーや、仕事の辛さにも耐えて来ました。足りないところはあったかもしれないけれど、いろはさんなりに家族に尽くしてきたつもりでした。

一生共にいるはずの妻に裏切られ、子どもを連れていかれ、男としての価値もないと言われ、自分の存在価値を失いました。

いろはさんは孤独感にさいなまれて塞ぎ込み、親にも友人にも、誰にも辛さを吐き出せませんでした。
逃げ場もありませんでした。

いろはさんは生きている意味がないと思い、自死願望を抱きました。
実行しようとしたこともありました。しかし実際はできませんでした。

いろはさんは深夜の会社で、静かに話しながら泣きました。

私の夫や同僚たちは、静かにいろはさんの話しを聞き、それぞれが不器用な言葉で励ましました。

妻の不倫で自暴自棄になった夫と、周囲の男達の反応

いろはさんが初めて弱音を語った夜以降、誰もいろはさんにその後の話しを聞きませんでした。
それがいろはさんへの配慮だと思ったのです。

私の夫は、いろはさんに気持ちを吐き出す場が必要だと思い、度々「飲みに誘いたい」と口にしていましたが、感染予防が叫ばれているころでしたので叶いませんでした。

そうこうするうちに、いろはさんの妻は子どもを連れて出て行きました。

いろはさんの元妻は「養育費は受け取らない」と言いました。それほどまでにいろはさんと関係を断ちたかったのか、不倫相手の男性とすぐに生活を共にするからなのか、理由はわかりません。

いろはさんは子どもにも会えなくなったようでした。

何カ月もの月日が過ぎた、つい先日。
いろはさんが「仕事を辞める」と言い出しました。

友人に誘われて、職を変えることにしたのだと言います。しかしよくよく聞いてみると、決して素行の良い友人ではないようです。仕事の内容も良いとは言えず、詐欺ではないかと疑われるものでした。

夫といろはさんが勤める会社は業界では手堅い会社で、日本の平均を上回る収入が得られます。いろはさんは友人から勧められた職について、「月に100万近い収入が得られる」と聞いたようですが、仕事の内容や会社の体制を聞く限り、その保証は全くありません。

会社を辞めるのはもったいないと同僚たちが引き止めました。いろはさんの家庭の事情を知る上司も説得を試みましたが、いろはさんは退職の決意を固めており、応じません。会社が退職願を拒否することもできず、ほどなくして有給消化が始まりました。

「いろはさんは自暴自棄になっているように見えた」
夫はそう話しました。

いろはさんが自暴自棄になったのは、いろはさんの責任でしょうか。

妻の不倫による心の傷が、いろはさんを盲目にしたように感じられました。

妻が不倫をする理由

夫が不倫をするときは、妻の存在に安心感を得ている時。
妻が不倫をするときは、夫の愛情を感じられなかったリ粗末に扱われたりといった、寂しさや不安感が募った時に多いと言われています。

私の夫が不義理をした時も、「妻が離れていくことはない」と安心しきっていたときですので、当てはまっていました。
そして夫の不義理がわかって夫に失望した時、私にも少なからず不倫願望が生まれました。

いえ、不倫願望というより、夫によりボロボロにされた自尊心を満たしてくれる相手が欲しかった、というのが正しいかもしれません。
実際に実行はしませんでしたが、「妻が不倫をするときは、夫の態度により寂しさや不安感が募ったとき」と言われる理由を身をもって体感しました。

夫に不倫をされたことにより、報復感情も相まって不倫したくなってしまう気持ちはわかるものの(実行すると自分のプライドも傷つけますし、子どもも傷つけますのでダメですが)、夫と相容れず、寂しいから不倫をする。というのは順番が違います。

女性は社会的に収入が少なく、先々の生活に見通しが立たない限りは我慢をしてしまうことがあります。
不倫により新たに、精神的にも経済的にも支えてくれる人を見つけ、「この人とならやっていける」と見通しが立って初めて、夫に強く主張できるようになるケースもあります。

しかしその見通しが正しいとは限りません。
ただ恋という熱に浮かされて、「強くなった気」になっているだけのケースも多々あるのではないでしょうか。

いろはさんの元妻がどうだったのかは、わかりません。

いろはさんの元妻や子ども、いろはさんは、今後どうなっていくのでしょうか。

男の逃げ場はどこにあるのか

不倫は、伴侶に深い傷を負わせます。
何年経てば癒えるのかわからないほど、大きくて深い傷です。

理不尽な目に遭い塞ぎ込んでいるときは、視野が狭くなり、悪い想像が膨らみやすくなります。誰かに辛い気持ちを話したり、運動して体を動かすことで少しずつ思考が整理されていくのですが、会話によるコミュニケーションを好む女性に比べて、男性は吐き出せる場が少ないように感じます。

最近はyoutubeやTwitterで男性の体験談を知れるようになってきました。
孤独感を募らせているサレ夫(妻)にとって、一人じゃないと思える場は大切です。

いろはさんがグレーとも思える職に転職を希望したのは、なぜなのでしょうか。

夫に傷つけられた妻が別の男性に好かれることで自尊心を補おうとするように、妻に傷つけられた夫は、賃金などの成果で自分の価値を再確認しようとしているのでしょうか。

いろはさんは藻掻いています。

 

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