「妻が子どもを連れて出ていった。それから子どもに会わせてもらえない」
大事な子どもを連れて行かれた夫側の嘆きが、取りざたされるようになりました。
それまで住んでいた家から子どもを連れだすことは、実の母親であっても「誘拐・連れ去り」として問題視されています。
確かに妻の身勝手による連れ去りがあるものの、そうせざるを得なかったケースがあることも忘れてはいけません。
連れ去り、誘拐と決めつける危険について個人的意見を述べます。
家事育児の協力がないモラハラDV夫
無意識に妻や子供に息苦しさを与えているモラハラ夫がいます。
離婚も辞さないと真剣さを伝えても「どうせ離婚なんてできるわけがない」と高をくくって取り合わない。
不満を訴えても通じないのでヒートアップすると、無視をしたり、物を投げたり手をあげてくる。
結婚後に突如態度を変えて妻に辛く当たる夫もいれば、出産後余裕をなくした妻が夫の世話をしなくなり、夫が怒りで豹変することもあります。
産後は全治6ヶ月から10ヶ月の重傷を負っているのと同等と言われます。それにもかかわらず、仕事があるからというだけで家事育児にノータッチ、自分の食事や洗濯まで妻に任せる夫の話しを周囲の出産経験者から散々聞いてきました。
夫の親に訴えても「男はそういうもの」と擁護されることが多く、妻は悩みます。
ある例では、産後一か月の妻が実家から自宅に戻ると、不在の間一度も自宅を掃除した形跡がないなんてことも。妻はボロボロの体で掃除と溜まった洗濯から始めることになりました。
夫は妻が不在の間は外食ばかりだったので手作りの食事を望み、夫の帰りに合わせて温かい食事が用意されてないと怒りました。食事中に手元の酒がなくなると冷蔵庫から持ってくるように頼み、まるで小間使いでした。
妻は絶望し怒りましたが、「産後だからってカリカリ怒るなよ」と夫は笑い、「俺は産後の妻に理解がある夫だ」と自分を評価しました。そんなことが続き、夫への失望が重なって行きました。妻は怒ることが増え、夫は逆ギレするようになっていきます。
激しい夫婦喧嘩が増え、夫は妻に手をあげました。妻はストレスで母乳が止まりました。
わかってもらえないなら行動で表すしかない。夫がいない時間に家を出るしかない。幼い子どもを一人置いていくわけにはいかない。
世話をしたことがない夫が子どもの面倒を見られるとは思えない。命を危険にさらしたくない。
夫婦のすれ違いと男尊女卑
家庭において、夫が妻を都合のいい存在と見なしてしまうことが少なくありません。男尊女卑の文化が意識に深く根付いているからです。(男性全てではないですよ。中にはそういう人もいるということです。女性にも同様に根付いていますね)
妻にした=俺のものという意識が強く、「離れていくわけがない」と思い込んでいるため、妻の心が離れていることに気付かず、事態の把握が遅れます。
子どもを連れて家を出て離婚の意思があることを伝えて初めて、夫はマズイと気が付き話し合いに応じることがあります。
そんな例を、私の実親の例を含め複数知っています。
※因みに夫を試すための家出や別居は逆効果です。別居は離婚の意思を固めてからすることをお勧めします。
子連れの家出が連れ去りや誘拐と言われてしまっては、DV被害者(証明が難しい経済DV、精神的DV、性的DV等)は逃げ場を失い危険です。
母親が仕方なく子どもを置いて家を出たら、子どもが次の被害者になりかねません。
婚姻による姓の変更と支配
夫が妻を都合よく扱う背景には、婚姻による苗字の変更も深く関わっていると想像します。
名前を変えるのはアイデンティティを変えるのと同等の意味があります。日本では約9割(2018年統計では96%)が夫の姓を選んでいますが、「そういうものだから」と無理やり納得して夫の姓になる人が少なくありません。
多くの手間と違和感をもって変えられた姓によって、夫は妻を「自分のものにした」という感覚を強めます。
自分のものになった妻を気遣わなくなる夫に、妻は激怒し失望して、離れられるタイミングを見計らうことがあります。
連れ去り、誘拐と決めつける危険
自分の所有物だったはずの妻が離れていこうとすることに、夫はまず怒ります。夫が機嫌を損ねると家庭が重苦しい空気になるので、妻が夫の機嫌を取ってきたからです。
夫は怒って見せると妻が自分の思い通りに動くことを知っています。それは幼い子供が母親に癇癪を起し、母親を根負けさせて思い通りに動かそうとする姿と似ています。
妻は子どもっぽい夫の姿を見て、益々呆れます。夫は妻の離婚の意思が固いことを実感し、引き留めようと思索します。
そこで出てくるのが、妻のウイークポイントである「子ども」なのです。
母親として失格だ。
金も満足に稼げていないくせに。
お前は子どもを不幸にする。
勝手に子どもを連れ去るなんて、誘拐、連れ去りだ。
正当な理由がない離婚なんだから、慰謝料を払え。
妻を蔑ろにしてきた結果であると理解せず、妻を責めるのがモラハラ、DV夫の常套手段です。
そこでよく使われるようになったのが「連れ去りは不当だ」という主張。
夫婦の合意なき子連れ別居
「俺は夫として父として自覚をもって仕事という義務を果たしていた」と、「仕事」だけを大義名分に突破してこようとします。
夫として父としての努めは仕事だけではないにも関わらず、日本は未だそれを容認する風潮があるからです。
家で話し合いを求めたら、物を投げられたり手をあげられた。
夫婦の諍いを子どもに目の当たりにさせたくない。
DVが加速する前に逃げないと、精神的経済的に身動きが取れなくなる。
普段ろくに家事育児をしてこなかった夫がまともに世話をできるほど、子育ては簡単ではありません。子どもに危険が及ぶ可能性があります。
或いは夫が自分の母親を呼んで世話をさせるのでしょう。父親がいるのに世話を丸投げ。それが健全な育児環境と言えるのでしょうか。
そんな図が容易に想像できるから、母親は子どもを連れて家を出るのです。
それを誘拐だというのなら、妻はただ我慢して過ごさなければならなくなります。
子どもを材料に妻を引き留める
子どもを武器として使っていた証拠として、以下の例があります。
夫は、散財と女性へのプレゼントで借金を重ねました。不貞も分かっています。
夫は職が安定せず、妻の稼ぎは生活費に消え、借金ばかりが膨らんでいきました。
取っ組み合いの激しい喧嘩を繰り返し、度々妻は怪我をしました。
我慢がきかず反省のない夫に離婚を申し出ましたが、「父親がいない子にするのか、それでも母親かと」責められ、応じてくれません。
収入源であり、世話をしてくれる妻を手放すのは惜しいのでしょう。
子どもを連れて家出をしようとしましたが、世間で「妻が子どもを連れて出ていくのは、連れ去りであり誘拐だ」と言われるようになったことを知っていた夫は、「誘拐だ。子どもを連れて出ていくなら警察に通報する」と脅しました。
出ていくなら子どもを置いていけ。俺が育てると言います。
自分勝手な行動をし続けている夫が子どもを育てられるとは思えませんでした。
母親が子どもを置いて家を出ると、育児放棄とみなされて親権を取りにくいと聞いたことがあり、自分だけ家を出ることは考えられませんでした。結局妻は我慢の日々を過ごしました。喧嘩による怪我が続き、それを子どもが目の当たりにして育っています。
悩んだあげく、試しに親権を諦めると伝えてみると、夫は怒り狂いました。
子どもを見捨てるのか。
最低な人間だ。
子どもには母親が必要に決まっているだろう
と責め、「どうしても離婚するなら子どもはお前が連れていけ」と言い捨てました。
夫にとって子どもは妻を攻撃する武器であり、道具でしかないことがよくわかりました。
連れ去りの正当性はどう確認するのか
男女の収入には格差があります。
女性は妊娠、出産で仕事に影響が出ることが多く、収入にも直結しています。
住宅ローンを組んだり、賃貸住宅を契約する際も収入が多い夫の名義になる例が多くあります。
すると離婚の際に家を出ていくのは妻となります。
一時的にも子どもを置いていくと女性が育児放棄したとみなされ、離婚調停や親権争いで不利になるとも言われています。(以下参考)
原則として家出した親が不利になる
子供を置いて家出してしまうと、それが監護権の放棄に捉えられてしまう可能性があります。家出した際の子供の年齢が低ければ低いほど、また、家出の期間が長ければ長いほど、不利に働く可能性が高まります。ただし、ひと晩程度の家出であれば、その事情によって判断されることになるでしょう。
DVなどの事情があれば、家出が不問に処されることも
配偶者から重大なDVやモラハラを受けていた場合は、子供を置いて家出したこともやむなしとされるケースもあります。
子供を置いて家出しなければならないような原因が配偶者側にあった場合、慰謝料請求ができる可能性が出てきます。いずれも証拠が必要となりますので、弁護士に相談してください。また、配偶者の監護状況が良好とはいえない場合、あなたが子供の監護を十分に行っている、または今後可能ならば、あなたが家出した場合であっても親権を獲得できる可能性があります。
DVの証拠と言っても、証明が難しい場合が多くあります。上に挙げていた例では夫が暴れる音声や暴力の証拠をスマホに残したところ、見つかってスマホを奪われ、消去の上さらに暴力をふるわれています。それ以降彼女は証拠を残すことを極端に怖がり、やらなくなりました。
こうなってくると、強引に子連れで家を出るしかないと思うのは自然です。
子連れでの強引な別居を連れ去りと決めつけてはいけない
妻に子どもを連れ去られて、辛い思いをしている夫の声が取りざたされるようになりました。
妻が子どもを連れだすのを咎めてはいけない! と言いたいわけではないのです。
おかしな妻もいますからね。
ただ、夫が外面がいい場合、訴えが虚偽である可能性もあり、子どもの一生に深い傷を負わせかねず危険です。
子連れで家出をする妻を、事情を知らない社会が責めることがないよう、切に願います。
因みに今回取り上げた二組の夫婦は、結局今も離婚には至らず、ずっと同じことを繰り返しています。
……夫婦って何なんでしょうね。
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