私は神奈川県に生まれ、一都三県で育ちました。
そんな私が進学で移り住んだのが関西でした。
大学4年間と卒業後の計5年間を関西で過ごしています。
経験から感じた関西と関東違いと、関西の魅力についてお知らせします。
関西弁と関東弁
子どもの方言
関西に引っ越しの日に、電車に乗っていた時のこと。
子どもがネイティブな関西弁を使っていて驚きました。
当然と言えば当然なのですが、テレビで見る関西の方は大人が殆どですので、「子どもが関西弁を話す」というイメージがありませんでした。
私が育った環境には「土地の言葉」がありませんでしたので、新鮮でした。
関西人は生まれながらに関西人なのだと、実感しました。
関西弁と関東弁
大学で友人がたくさん出来ました。
出身地はまちまちで、北海道から関東、関西、四国、中国地方、九州とバラエティに富んでいました。
やはり一番多いのは関西出身者でした。
関西でも府や県によって言葉が違うことを知りました。
関西出身者たちがそれぞれの言葉をテーマに、違いを挙げて楽しんでいました。
「~しいひん」といった語尾の使い方から、関西弁が強い地域、神戸のように関東弁に近い地域など様々あるようでした。
私は一都三県なので「標準語」地域だと思っていましたが、「標準語という言い方は驕りだ。関東は関東弁だ」と言われました。
確かに、首都が東京だからと言って東京の言葉が“標準”と決めつけるのはおかしいのかもしれないと思いました。
よく言われたのが、「京都が都だったんだぞ!」です。
「それがぽっと出の東京に移っただけで、京都の方が古いんだ」と意気揚々と話されました。
それについては何度も言われるうちに面倒になり、「今は東京だから」とシャットアウトして冗談を言い合うようになっていきます。
死語とじゃんじゃん
関西出身の友人たちができてすぐのころ、私が普通に話していただけなのに、一人が突然吹き出して笑いました。
笑う会話ではありませんでしたのでどうしたのかと思ったら「関東は本当にじゃんじゃん言うんだなって思って面白かった」と腹を抱えて笑っていました。「~じゃん」の語尾がおかしかったようです。
多用している意識はありませんでしたし、「なんて失礼なんだ!」とイラっとしましたが、私が関西弁を話す子どもに違和感を感じたのと同じだったのだと思います。その子は今でもとても仲のいい友人です。
そして私もある時吹き出してしまいました。
関西出身者たちが話しているときに、死語が普通に使われていたからです。
ウケ狙いで死語を使っているのだと思って笑ったのですが、「今の、どこか面白かった?」という顔で皆に振り返られました。
その時に「死語が死語になっていない」ことを知りました。現役で使われている言葉だったのです。
当時は関東の流行りと関西の流行りに少しタイムラグがありました。
今から20年近く前のことですので、今は違うかもしれませんね。
関東弁の男
「関東弁の男はきしょい」という話しをよく聞きました。
男で関東弁は男らしくないように感じるようです。
怒っても迫力がない。はっきりしない、優柔不断に見えるのだとか。
確かに関西弁で怒ってまくしたてられると迫力がありました。
発音
関西に住んで年月が経ってくると、関西弁に釣られることが増えてきました。
すると「発音が違う!」とよく注意されました。
「エセ関西弁」を使われると「寒イボ立つねん」と言われます。
友人たちが紙に会話を書き出し、「この言葉のこの部分にイントネーションをつけると良い。やってみて」と関西弁の稽古をつけてくれました。
最終的には関西弁実習で合格をもらいましたが、完璧なのはほんの一部のワードに限りました。
関東に戻ってしばらく経ちますが、ドラマで役者が喋る関西弁が「なんだか妙」と言うのはわかっても、正しい発音はできません。
関西弁の道は一日にしてならず。難しいです。
天王寺・難波の発音
天王寺や難波といった地名の発音は特に直されました。
関東で天王寺を発音すると、天の発音が強くなりますが、関西では王が強くなります。
難波は関東ではどこにも強弱をつけない言い方になりますが、関西では難の「な」が強くなります。
難波の発音が違うと、「もはやそれは難波ではない」と注意され、直されました。
今でも関東弁の難波の発音を聞くと、かつて友人に言われたように「違う名称」と思うほど定着しています。
関西ならではの食事
納豆
関西出身の彼氏と付き合っていた時の話しです。
数日彼の家に泊まっていましたので、食材を買っていきました。
その時に私の好物の納豆を買っていったのですが、非情ーーーにキレられました。
関西は納豆が嫌いな人が多いことは知っていましたが、食べられないだけだと思っていました。
発酵しているだけなのですが「腐っている」と、納豆がいかにイカれた食べ物なのかを切々と語られました。
食べたことがないというので勧めてみましたが、全力で拒否されました。
食べるのもダメ、冷蔵庫にしまうのもダメだと言われたので、仕方なく袋を二重にして破棄しました。
「そんなに拒否反応があるとは……。美味しいのにな」と思いました。
関西出身者でも「好き」という人もいるので、食べ慣れているかどうかや、単純に好みがあるようです。
汁の色
洋食は問題ないのですが、和食の汁物を作ると「濃い」とよく言われました。
飲んでもいないのに「色からして濃い」と言われるのです。
京都で食事をするときは出汁の味が殆どで、薄味だと感じましたが、それ以外で頂く汁物が薄いと感じたことはありませんでした。むしろ塩分を強く感じていました。
しかし確かに関西の汁物は色が薄いのです。
なぜだろう? と思っていましたが、理由を知るのは10年ほど経ってからでした。
私は関東で薄口醤油を使ったことがなかったので、関西でも醤油を購入していました。
醤油と薄口醤油の違いは、「色」にあります。薄口醤油は醤油の色を薄くするために、醤油より塩分を多く含ませて作られています。
つまり、「薄口」と名前がついていますが、実際は「色が薄い」だけで、味は薄口醤油の方が濃いのです。
「濃い濃い」と言われることに腹が立ちましたが、当時は醤油の違いだと知らず、首を傾げるだけでした。
そして、もう一つ濃いと言われる理由は、「糖分」でした。
関東ではうどんの汁物などに、みりんや砂糖を入れます。
その割合が関西より多いようでした。
商いが主流だった関西に比べ、関東は発展するまで肉体労働者が多い土地だったため、疲労を回復させるためにそのような味付けになったと言われています。
色の濃さに比べて甘みが強かったために、より「濃い」と印象づいたのかもしれません。
わらび餅
関西では「わらび餅を自宅で作る」のが普通と知り驚きました。
一家に一台たこ焼き器があるとか、家ごとにこだわりのたこ焼きやお好み焼きレシピがあることは知っていましたが、わらび餅については知りませんでした。
関西ではわらび餅粉がスーパーマーケットで普通に売られています。
ホットケーキミックスや、お好み焼き粉と変わらない扱いです。
関東では置いているスーパーもありますが、少ないです。
粉に水を混ぜて火にかけ、練って作ります。
私はわらび餅が好きなので、新しい発見でした。
お好み焼きにご飯
住んでいたマンションの近くに、とても美味しいお好み焼き屋がありました。
チェーン店ではなく、個人のお店でした。
関西の観光地に行くとお好み焼き屋がたくさんありますが、チェーン店より個人店の方がリーズナブルでボリュームたっぷり、なにより美味しかったです。
初めてお好み焼き屋に入った時、注文しても中々出て来ずにヤキモキしました。
テーブルに備え付けられている鉄板だけが温められていたのです。
注文を忘れられているのかと思いましたが、出来上がったものがテーブルに届けられたので驚きました。
関東にあるお好み焼き屋は、テーブルの鉄板が温まると同時にお好み焼きの生地が届けられる店が多いです。
自分で混ぜて、自分で鉄板で焼きます。
しかし関西は店員が焼いたものが届けられるのです。
それならテーブルの鉄板は要らないのでは? と思いましたが、冷めないように温めながら食べるのだそうです。
店員が焼いている様子を見ると、単純に生地を混ぜて焼くだけではなく、蓋をかぶせて蒸らしたり、麺やキャベツを乗せるタイミングを計りながら作っているのがわかりました。
関西で食べるお好み焼きは非常に美味しかったです。
関東で食べるのと関西では雲泥の差だと感じました。
また、お好み焼きを食べながら白米やみそ汁を食べるのも、この時初めて知りました。
ソースは味が濃いのでおかずになるのでしょう。
食欲旺盛な年代の方が白米のセットで頼むことが多く、皆が皆、白米と一緒に食べているわけではないようでした。
砂ずり
大学時代は生活費や活動費を自分で稼がねばならず、生活に余裕がありませんでした。
そのため、安くて有名な「スーパーたまで」をよく利用しました。
スーパーたまではなぜこんなに安くできるのか? と怖くなるほど安かったです。
そこで「砂ずり」を知りました。
砂ずりとは鳥の内臓です。
塩コショウで焼くと美味しくて、酒のつまみになりました。
関東に戻った後、砂ずりが食べたくてスーパーに買いに行きましたが、どれだけ店を回っても置いていませんでした。
関西でしか食べないものなのかと残念に思っていたある日、「砂ずり」は「砂ぎも」と一緒だよと関西出身者が教えてくれました。
関西では鶏肉を「かしわ」と呼び、スーパーでもそう表記されていました。それと同じように、呼び方が違うだけでした。
それからは砂肝を好んで買い、酒のつまみにしました。
関西と関東の街の違い
車の運転
細い道に歩行者がいる時、関東では車を徐行させ、恐る恐るすり抜けます。
しかし関西では、人の動きを見て、「ここだ!」というタイミングで加速してすり抜けます。
生活するうちに慣れていきましたが、初めは「なんて危険な土地なんだ」とドキドキしました。
京都で運転免許を取りましたが、関東で言う「マニュアル」を「ミッション」と呼んでいました。
関東では「ミッション」が通じず、関東に戻った時に最初は戸惑いました。
ヤバい人の格好
関西では、危険な人種が見た目でわかります。
服装ではっきり見て取れるのです。
具体的に言うと……体つきやサングラス、取り巻く空気、服の柄です。
スマートと言うよりは、「いかにも」な雰囲気がありました。
関東では一般の人に紛れているのでわかりません。
関西はわかりやすいので避けやすく、助かりました。
街が変わる
昼間は観光客でにぎわう明るい街であっても、夜に人種が一変する街がありました。
観光客やビジネス客が油断して深夜にうろつき、危険な目に遭ったりぼったくりに遭うことが少なくありませんでした。
今はまた変わっているかもしれませんね。
関西の繁華街で深夜のフロントバイトをしていた時の記事です☟
「嘘でしょ?」と度々疑われた、本当の話しを書いています。危険な話も載っているので参考まで。
服装が個性豊か
関西のおばちゃんはヒョウ柄を着て派手だと知られていますが、若い子も派手です。
様々な色や形の服を、個性豊かに着こなしています。
関東ですと代々木や原宿あたりで個性豊かな服装が見られますが、関西はそこまでごてごてとはしていません。さらっと楽しく着こなしています。
変わった服を着ていても、それを笑う人はいません。「それいいなぁ」と褒めます。
関東に戻ると、特に冬は高確率で黒っぽい恰好をしている人ばかりなので、街が暗く感じました。
関東の古着屋はブランド物が主流ですが、関西の古着屋はブランド物に限らず、個性豊かな柄や形のものが多く面白いです。
関西に行ったときは古着屋を回るのもお勧めです。
笑顔
関西の街は、にやけた顔で歩く人の割合が多く感じました。
なぜだかわからないけど、幸せそうな顔をしています。
関東では無表情で歩く人が多いです。
にやけていると、危ない人だと思われるからです。
私は関東育ちなので関東人の気持ちや習慣がよくわかりますが、関西でにやけて歩く人の顔を見ると幸せな気持ちになりました。
関東もにやけ顔が増えたらいいのに、と思っています。
誰でもナンパされる
これは特に、大阪難波から心斎橋の引っ掛け橋やアメ村の話しです。
女の子ならだれでもいいのかな? と思えるほど、誰でもナンパされます。客引きもありますね。今は規制が厳しくなってなくなっているかもしれません。
関東でもナンパはありますが、ギャルや今どきな子がナンパされやすいように感じます。
恐らく関西は服装やメイクがバラエティに富んでいて、見た目で判断できないからだと想像しました。
用事があって引っ掛け橋に行ったとき、ナンパだけでなくキャバクラで働かないかと声をかけられたこともありました。
私は見た目も中身も、キャバ嬢になれる器にありません。
一体どういう基準で選んでいるのか、誰でもいいのか? と思った記憶があります。面白かったです。
関西の魅力のまとめ
私が知っているのは15年ほど前までの関西です。
「話に落ちをつけろ」「関東人は話し方が遅すぎる」とよく突っ込まれましたが、「落ちを着けるの苦手。早く話すのも苦手」という生粋の関西人もいました。