救急車を呼ぶ前に電話相談(#7119)に相談して危険に陥った話

救急自動車の出動要請が増え、現場到着時間が遅れていることが問題視されています。

救急車を呼ぶ前に救急安心センター(#7119)に連絡し相談するよう呼びかけられ始めたころ、我が家でも救急車を呼ぶべきか悩んだことがありました。

何度も#7119に電話をかけて症状を伝えましたが、毎回「救急車は必要なし」との返答でした。

「死ぬのではないか」と不安なまま看病を続け、日が明けるのを待って朝一で総合病院にかかったところ、危険な状態だったことがわかります。
即入院措置となり、手術となる可能性も伝えられました。

#7119の相談は一つの目安に過ぎないと痛感した経験と、救急車の利用状況についてお知らせします。

救急自動車の出動回数と軽症者の割合

救急自動車の出動回数が2008年には510万件だったものが、2015年には605万件、2018年は661万件、2019年は663万9751件と増加しています。(参考:総務省♯7119関連資料

現場到着時間が2008年に7.7分だったのに対し、2018年には8.7分に。
病院収容時間は2008年に35分だったのに対し、2018年には39.5分と伸びています。

増加の背景には高齢者の増加が挙げられていますが、軽症患者の利用と、一部の頻回利用者が問題視されています。

年に10回から50回以上利用した頻回利用者は2014年の統計で2796人に上ります。
頻回利用者の出動回数総計が52799回、平均で年に18.9回利用している状況があります。(参考:ニッセイ基礎研究所)

出動要請全体の軽症者の割合は2006年に60.3%だったのに対し、2018年には54.4%と減少しています。

出動回数の増加が問題視され、救急車を呼ぶべきか悩んだ場合に相談する窓口「救急安心センター事業(#7119)」が設けられました。
この認知が進んだことが、軽症患者の減少に影響していると見られています。

救急安心センター事業(#7119)とは

救急安心センター事業(#7119)とは、必要な方に円滑に救急自動車を急行させるため、出動を要請するか迷う場合の相談窓口として設けられました。
実施都道府県、或いは市区町村が限られていますが、対応地域は#7119に電話をかけて相談することができます。

お住いの地域が対応しているか知りたい方は#7119対応地域か、役所にお問い合わせください。

#7119に対応している地域では、全日24時間または病院の診療時間外に相談窓口が開かれています。

#7119に寄せられた相談は、医師、看護師、トレーニングを受けた相談員等が電話口で症状などを聞き取り、「緊急性のある症状か」や「すぐに病院を受診する必要性があるか」等を判断します。
相談内容から緊急性が高いと判断された場合は、迅速な救急出動につなぎ、緊急性が高くないと判断された場合は、受診可能な医療機関や受診のタイミングについてアドバイスを行います。

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html

我が家では子どもが高熱を出したり、原因がわからないまま足を痛がり泣き続けるなどしたときに相談しました。
指南を受けて自力で病院に行き、救急でかかるなどお世話になりました。

相談窓口の必要性をとても感じました。存在に感謝しています。
しかし対応は電話に限られており、患者本人を見ていません。

あくまで参考に捉えるべきであると痛感した出来事をお伝えします。

#7119に頼りすぎ危険に陥ったはなし

救急車を呼んではいけないと思っていた

2016年ころ、救急自動車の不必要な出動が増えていることがニュースで頻繁に報じられていました。
救急車は余程のことがない限り呼んではいけないと思っていました。

ちょうどそのころ、夫が体調を崩しました。
夫は皮膚の難病を抱えていますが、体調を崩すことは滅多になく、30代後半で体力がありました。

数日咳や喉の痛み、発熱などの風邪と見られる症状が続きました。
市販薬を飲み熱が下がり、薬が切れて発熱、を繰り返します。

食欲はままあり、元気もありました。
徐々に咳が酷くなり、腹筋が鍛えられると笑っていました。

咳が酷いと仕事に支障が出るため、数日休むことにしました。

珍しいことでしたので、

麒麟
麒麟
病院で診てもらったら?

と勧めたのですが、

病院にかかるほどではない。
夫

と自宅で過ごしていました。

病院を受診

金曜の晩に39度程度の発熱をします。

朝方少し下がり、市販薬を飲むと平熱まで下がりました。
夕方になってまた39度を軽く超える発熱をします。

夫は

寒い寒い
夫

と繰り返し、土曜の夜に診療をしているクリニックを探し受診しました。

処方薬が効かない

血液検査の結果、気管支炎と診断され、解熱剤等を処方されます。

しかし解熱剤を含め薬の効果が全く見られないまま、夜には40度まで上がりました。
布団で仰向けになれず、横になったまま体を丸めてゼイゼイと息をしています。

辛うじて水分は少しとれるものの、

胸が痛い。動悸がする。苦しい
夫

顔色は白く、冷や汗をかいていました。
それまではごくたまに発熱しても、一晩寝ればケロッと治ってきた夫です。

麒麟
麒麟
おかしい

本人の様子からも、命に係わるのではと怖くなりました。

#7119に相談すると

夫はまともに立てない。幼い子供たちがいて、深夜に預け先もない。救急車を呼ぶべきか。しかし安易に救急車を呼ぶべきではいと言われているし、と迷いが続きました。そこで#7119に電話をしました。

事細かに状況を伝えると、受け入れ体制のある病院を紹介されました。
病院に電話をかけ、また一から説明をしました。

電話口の担当者が医師か看護士に確認をし、返答をくれます。

「胸の痛みや動悸、息苦しさは熱の高さから来ているものです。救急にかかっても大した処置はできずに帰宅することになるでしょう。
夕方クリニックにかかっているとのことですので、自宅で様子を見てください。」と言われただけでした。

……自宅で大丈夫なんだろうか 。無理に動かして病院に連れて行っても何もしてもらえないなら仕方ないのか。
尋常じゃない状態に思えるけど、医師の判断がそうなら、心配のし過ぎなのかもしれないと自分を落ち着けました。

脇や股にアイスノンを挟ませたり背中を擦ったりして、夫も私も夜明けを待ちました。

翌朝の日曜日。
土曜の晩にかかったクリニックが日曜にも診療をしていたので、夫を抱えながら再度受診しました。

再診・肺炎

血液検査をしレントゲンを撮ったところ、肺炎を起こしていることがわかります。
追加の解熱剤と肺炎の薬を処方されました。

「月曜は休診だから、何かあれば総合病院にかかるように」医師からそう言われ、紹介状を出してもらいました。

依然として40度の熱が続きました。
やはり解熱剤は効かず、水分を少しずつとるのが精一杯でした。

晩に脱水

計11枚のシャツと、8枚のタオル、シーツを交換し、大量の汗と共に少し熱が下ったものの、明らかに水分をとれていませんでした。
飲むと嘔吐するようになり、下痢もあります。

麒麟
麒麟
脱水症状だ

酷い胸の痛みと苦しさも訴えていました。

再度#7119に相談

また#7119に電話をするも、「朝方クリニックにかかっているなら大丈夫でしょう。呼吸ができなければ救急車を呼んでもいいラインなのですが、横になれているなら呼吸ができているということです。」と言われます。

麒麟
麒麟
夫は横向きでうずくまるように寝ていて、肩でゼイゼイと息をし、とても苦しんでいます。
普段は体が強い人なんです。こんなことこれまでありませんでした。明らかにおかしいです。

そう伝えてもなお、「体を寝かせることができるなら息はできています」という返答でした。食い下がっても「呼吸ができない時というのは、肺が潰れるので横たわることができないんです。様子を見てください」と言われるだけでした。

息が完全にできなくなってからでは遅いのでは……。不安でいっぱいでした。

胸が痛くても、40度の熱が続いていても、水分がほぼとれていなくてまともに歩けなくても、顔色が土気色でも、苦しいと本人が訴えていても、救急車案件ではないという返答でした。

この晩、2度電話をかけています。二度とも同様の返答でした。

麒麟
麒麟
医療従事者が言うなら、そうなのか……。
でも本当に?

恐怖で夜を過ごす

夜通し着替えさせ、背中をさすり、大丈夫大丈夫と声をかけ、口に含むだけでもと水を運びました。
夜が長く、非常に怖かった記憶があります。

朝が来て、

麒麟
麒麟
これで病院に行ける!!

助かる! そう思いました。

総合病院を受診・入院

月曜の朝が来て、朝一番で紹介状を出された総合病院にかかるため、子どもたちをママ友に頼み、夫を抱え車に乗せて病院に向かいました。
夫は相変わらず顔色が土気色で胸の痛みを訴え、まともに座ることも難しく危なっかしかったです。

診察を受けるとすぐに点滴を受けることになり、車いすでCTスキャン、血液検査、尿検査と続きました。
診断はやはり肺炎でした。

通院で対処できる状態ではなく、即入院措置となりました。
服薬が効く状態をとっくに過ぎているとのことで、クリニックで処方されていた薬は破棄することになりました。

先ずは点滴で様子をみつつ回復をはかることになりました。
最低一週間の入院、開胸手術をすることになるかもと説明されました。

助かるという安堵

その時の私は、とにかくホッとしました

点滴で少し回復した夫がこう言いました。

俺はこれで死ぬんだと思った
夫

私も口には出さないようにしていましたが、夫が死んでしまうと思い、怖くて仕方ありませんでした。

ホッとして、どっと疲れが出てきました。
思えば丸2日の間殆ど寝ていませんでした。

#7119相談を利用するときの注意点

#7119利用時の注意

私は自分に知識がなさ過ぎて、どうしていいか分からず、#7119に頼り過ぎました。

○ 市販薬は症状を分からなくさせてしまうので多用してはいけません
○ 早く病院にかかるべきでした
○ 救急医療相談は救急車を呼ぶ前に相談する場所として設けられているけど、実際に診察をしている訳ではないので、正しいとは限りません
○ 本当に危険だと思ったら、自分の判断で救急車を呼ぶべきです

土日の状態、特に日曜はかなり危険な状態だったのだと思います。
救急車を呼んで処置を受けていれば、ここまで悪化することはなかったでしょう。

若く体力のある男性でも、肺炎で命を落とすことがあります。

実際を見ている自分の感覚を信じること

救急車を呼ぶか2日に渡って迷い、#7119に何度も電話をしましたが答えは全て「救急車は必要なし」でした。
救急車の利用がなければ病院に自力で行こうとしても、診察を断られることがあることを知りました。

結果、夫は危険な状態に陥りました。

#7119の対応がいけなかったとか、病院の救急窓口に断られたことを非難したいのではありません。

それぞれに対応の限界があるということを知り、あくまで参考に捉えること。
最後は自分の判断を信じて行動をしなければならないということです。

救急車を呼ぶことを躊躇わない

見舞いに来た姑に「麒麟さん、そういう時は自分を信じて、躊躇わなくていいのよ。誰に何と言われたって、死んでしまったらどうにもならないんだから。」と教えられました。

救急自動車要請の半数は軽症患者ですが、軽症=救急自動車の搬送対象外ではないと言い切れないことも指摘されています。

軽症での利用について、救急搬送の必要はなかったのではないかと指摘されることがある。
しかしその中には、骨折等のため緊急に搬送を行い、直ちに治療を行う必要があったが、搬送先の医療機関において適切な治療を行うことで、入院せずに通院で治療することになった事例も含まれている。つまり軽症の傷病者でも、救急搬送が必要な場合がある。傷病の程度について、素人目には軽症に見えたとしても、医師の精密検査の結果、中等症以上と診断される場合もある。このような場合に、救急搬送をしなければ、症状が悪化する恐れも出てこよう。

ニッセイ基礎研究所

不安だからという理由で無暗に要請することがあってはなりません。
しかし危険だと判断したら、電話先の相談相手より、自分を信じて要請することをお勧めします。

救急自動車の有料化

救急要請の有料化について一部で議論されています。

我が家は夫の一件以降、有料化に一部賛成です。

紹介料なしで総合病院にかかる時のように、¥3000~¥5000程度であれば、安易な要請が少なくなり、必要なのに躊躇って危険な状況に陥るケースが減るように思います。

健康であれば、救急車を呼ぶ機会は数年に一度もありません。

しかし持病があり、危険な状態に陥りやすい体質の方がいます。
要請費用を負担に感じ、救急要請を躊躇えば命に関わります。

所得により医療格差が生じることも問題視されています。

有料化する場合、生活困窮者が救急要請を躊躇する懸念がある。有料化によって救急車の要請をためらった結果、救命に支障が生じれば、裕福な者と生活困窮者の間で、医療格差が生じることにもつながりかねない。その他、実務では、料金徴収の事務負担の検討も必要となろう。

ニッセイ基礎研究所

また第三者が要請をする場合に混乱が予想されます。

バイク事故が起きた現場に居合わせたことがあります。

バイクの運転手は混乱しているようで、往来の激しい道路を彷徨い歩きながら、腕を非常に痛がっていました。
歩道から声をかけて呼び寄せ、居合わせた通行人と私で壊れたバイクを歩道に寄せました。
混乱が続いている当人の意思を確認したうえで、救急車を呼びました。

しかし当人は混乱したまま自力で病院に行った方が早いと、バイクを置いたまま歩いてどこかへ行ってしまいました。
間もなく救急隊と警察が到着し、当人が不在のまま聴取を受けました。

麒麟
麒麟
この場合も有料化していたら、
私が払わなくてはいけなくなるのかな?

救急車を必要とする当人が意識を失っていたり冷静でない場合、要請費用の支払いの責任が誰にあるのか難しくなり、呼ぶことを躊躇う可能性が出てきます。

麒麟
麒麟
難しい問題だ

何が正解か、一口では言えない問題です。

私が言えるのは、電話先の相談はあくまで参考とし、危険と判断したら救急車の利用を厭わないことです。

 

以上、我が家の教訓でした。

 

 

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