ダンスミュージカルスクールのオーディションに、小学一年生の娘が挑んだ話

長女が小学一年生の時、学校生活がストレスになり、体調不良を訴えた時期がありました。
学校以外に自信をもっていられる場所が必要だと考え、長女が希望したダンスを習うことにしました。

どこのダンススクールに入るか悩んだ末に、あるダンスミュージカルスクールの存在を知ります。
入団するにはオーディションに合格しなければなりませんでした。

オーディションとは言うけど、まぁ軽いものだろうと油断して行ったところ、非常にしっかりとしたオーディションで圧倒されました。
その時の様子です。

ダンススクール選びに悩む

長女は体力を持て余していたので、とにかく発散させたいと思っていました。「ダンスを習ってる!」と実感できる程度の運動量と技術量を求め、ダンススクールを探しました。

近所にいくつかダンススクールがあり、子どもを通わせているママ友達に話しを聞いてみました。

すると、
週に一回、正味一時間弱で体力を発散するには足りていない。
毎年先生が変わるが、先生によって能力の差が大きく、スクールとして微妙。
幼稚園時代に通わせていた時には可愛らしく、発表会に感動したけど、小学校の上のクラスを見るとレベルが上がっておらず、続けるか微妙。

と、何とも微妙な意見を多く聞くことになりました。

……どうしよう。

数日悩んでいると、インターネット上でダンスミュージカルスクールのオーディション広告を見つけます。

ダンスと歌、バレエもちょっと齧れる。
車で送迎が必要だけど、無理な距離ではない。
スポンサーがついているため、レッスン代が高くない。
レッスン時間も二時間以上。

通わせるのに送迎が必要なこと以外は、マイナス点がありませんでした。

ほうほう。これはいいじゃないの。

長女にスクールのホームページを見せて活動内容を説明してみると、やりたい! と目を輝かせました。

オーディション挑戦へ

オーディションがあるんだって。

えー……。落ちるかもしれないの嫌だなあ。

担任の先生と合わず傷ついて、やっと復活してきたころでしたので、「頑張ったけど報われなかった。」という経験はできるだけ避けたいと思っていました。
反面、挑戦して報われる経験も必要だと考えていました。縮こまっていた挑戦心を盛り立てられたら、というのが理想でした。

長女に話しをする前に、スクールのオーディションについてインターネットで調べました。
幼稚園生や小学校低学年頃であれば、オーディション中に走り回ったりふざけない限り大方受かるようだと経験者達が書いていました。

長女はそういう場では非常に素直に行動しますので、恐らく受かるだろうと想像し、合格する確率は高いと考えました。

ダメだったら近所のスクールに通おう。オーディションなんて中々体験できないことだし、挑戦するっていう心意気が格好いいと思うよ。

入りたいけど、落ちるの嫌だし、どうしようかな。

ちょうどそのころ、長女がよく見ていたyoutuberの女の子が、中学受験で第一志望校に落ちたことを知ります。

どんな子でも、希望通りにならないことはあるんだよ。それがいい経験になって、新たな挑戦をするときに活きる。挑戦しなければ報われることはないよ。入りたい気持ちがあるなら、ダメもとで受けてみたら?

うん。やってみようかな。落ちたら恥ずかしいかな?

挑戦したことが凄いんだから、恥ずかしいことなんて全くないよ!

やってみる!

長女がやる気になり、書類審査に応募しました。
全身写真と顔写真を自宅で撮り、添付して送ります。
暫くして書類審査通過と、二次審査のオーディションの詳細についてメールにて知らせをもらいました。

オーディション準備

オーディションは自己PRと質疑応答、歌とステップの審査があると書かれていました。

小学一年生の自己PR?
7歳の自己PRってどんなの?

長女と内容を考えますが、7歳なだけあって、まず自己PRの意味が分かっていません。
自分のいいところをアピールするんだよ、と教えると、

わかんない。

……そうだよね。

運動が得意だし、跳び箱も一年生なのに6段まで飛べたんでしょ?
そういうことを言ってみたら?

長女と相談し、体育で得意なことを中心に一分間程度の文を考え、覚えました。

歌はなんでもいいらしいし、歌いやすい曲でいいんじゃない?

じゃあ、歌えバンバンにするー!

自己PRと歌を大きな声ではっきり言えるといいね。

オーディション当日、会場前には時間前からたくさんの親子が集まっていました。
おおー、こんなに受ける人がいるのか。と初めての体験に私がウキウキしてしまいます。
長女は、

ちょっと緊張してきた。

と言いながら笑っていました。
周囲は両親揃ってきている親子が多くいました。
我が家は夫が仕事のため、私が次女と三女も連れて行っていました。

おや、スーツを着ている親も結構いるな。そうでなくても、割とかしこまった格好? 私、普段着で、しかも柄シャツだけど……。もしややばい?

一抹の不安を覚えます。
オーディションて、入り口で子どもだけ送り出して、

いってらっしゃーい! 頑張ってね。

と言うだけだと思っていました。

オーディション開始

受付開始時間になり、扉が開かれました。
受付で番号札を着けます。

長女は持参した室内履きに履き替えました。

会場内は広いダンススタジオでした。
正面奥には大きなスクリーンが下げられ、団体の紹介動画が流されています。
スクリーンをバックに審査員と思われる男女が5、6人ほど長テーブルに着席していました。

審査員席前にはスポットライトが存在感を持って落とされていて、現役メンバーと思われる子どもたちが数名姿勢よく立っていました。

スポットライトのスペースを挟み、審査員席と向かい合う形で保護者や受験者がパイプ椅子に座ります。

めちゃくちゃオーディションじゃん!

と内心焦ります。

近くに座っている親子は、母親が子供に「いつも通りやれば大丈夫だからね。」と言い聞かせています。
慌てて私も長女に何か声をかけようとしますが、いつもと違う雰囲気に三女が若干ぐずり始めます。
長女に声をかけるどころじゃない!! 焦りながらも、

めっちゃオーディションて感じだね。面白い。
結果はどうでもいいから、楽しんでおいで。

と、とんちんかんなことを言ってしまいます。

緊張してきた。

と苦笑いする長女に、

大丈夫大丈夫。楽しんで。終わったら何か美味しいものを食べよう。

我ながら気の利いたことが言えないまま、受験者が呼び出され、スポットライトの下に集められました。

司会者の挨拶と代表の挨拶、審査員の挨拶に続き、現役メンバーの見本を見ながら受験者のストレッチが始まりました。

音楽に合わせて現役メンバーのステップの真似をしていきます。
体をひとしきり動かした後、質疑応答や歌の審査のため、審査員と共に別室に移っていきました。
子どもだから、ギャラリーが多いと声が出なくなる子もいるのかしら? と想像します。

受験者が親の待つパイプ椅子に戻ったらオーディションは終了で、随時解散の流れでした。

長女は若干の苦笑いで戻ってきました。

感想

長女の苦笑いを見て、緊張していたことがよくわかりました。
挑戦する楽しみを知ってもらいたかったけど、荒療治だったろうかと振り返ります。

どうだった?

楽しかった! 特にステップが。

長女が笑い、本当に楽しかったことが伝わりました。

よかった。いい経験になったね。挑戦しなかったら体験できなかったことだよ。よく頑張ったね。

すごく楽しかったから受かりたい。入りたい!

帰りに美味しそうなパンを買って帰りました。
帰路の車内で、

自己PRと歌、緊張してあんまり大きい声で歌えなかった。

そっか。頑張ったんだからいいんじゃない?
緊張しながらやり遂げたことが凄いよ。

習い事をしてるか聞かれたけど、習い事したことないの私だけだった。

マジで。

ピアノとかバレエとか英語、水泳やってる子が多かった。

みんな凄いな。オーディションを受ける子は習い事をして地盤がある子が多いのでしょうか。

ほぼ受かるだろうと思って受けたのですが、終わったころにはすっかり自信を無くしていました。私が。
何せスーツで来る保護者がいる中、私、柄シャツだったし。普段着の保護者もいましたけどね。ごめん、こんな母で。と心で謝ります。落ちた時に本当に謝ろうと思いました。

合格発表

受かる! はず。でも柄シャツ!! と不安が付きまといます。

できれば子どもに悲しい思いはさせたくないものです。
どんな経験も子どもの糧になる! とわかっちゃいるのです。悔しい経験は、もしかしたら報われるより大事な経験になることも知っています。

しかしできれば喜ぶ姿を見たい!
そして柄シャツのせいで落ちたら長女になんて謝ればいいのか!!

まだ審査結果来ない? と長女に聞かれても、まだだよー、そんなすぐに来ないでしょ。と、気にしてないよー的な態度を作りつつ、逐一メールをチェックしていました。

そしてついに来ました、合否通知。

めでたく合格しました。

柄シャツ関係なかったー!! ばんざーい!!

長女も私も夫も大喜びしました。

他にもオーディション受けてみたいな。落ちても平気だよ。楽しいもん!

え。何のオーディション受けるのヨ。

その後

しょんぼり時期が続いていた長女にはいい刺激になったようでした。
合格し「認められた。」という経験が自信に繋がったようです。狙い通り。

家族以外に認められるという経験は、子どもであっても大きく影響するのだと感じました。

その後はスクールで楽しく活動しています。
長女にとても合っていたようで、めきめきと上達を感じます。

ダンスでも、そうでなくてもいいのですが、子どもにとって自信を持てる場所ができるよう願っています。

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