公衆の面前で夫に怒る妻を見た話。怒りの理由を主婦二人が想像した結果

小さな男の子二人を連れた家族が、周囲の注目を集めていました。
妻が大声で夫に「あなたも教育しなさいよ!! なんでわたしばっかりなのよ!」と怒りをぶつけていたのです。

周囲を歩く男性の中には、怪訝そうな表情の方がいました。「みっともない」とでも言いたそうな顔でした。

それらについて勝手な想像を膨らませた話です。

妻の怒り

それは連休半ばの、大型公園で起こりました。

友人親子と遊びに来ていた私は、子どもたちを友人に任せ、末っ子を連れてお手洗いに向かいました。
用を済ませ外に出ると、誰かが大声をあげていることに気が付きました。

「あなたも教育しなさいよ!! なんでわたしばっかりなのよ!」

声の方向を見ると、3~4歳の男児と、1~2歳くらいの男児二人を連れた家族連れが目に入りました。
声を上げているのは母親で、その横に上の男児が佇んでいます。

下の子がえびぞりになって癇癪を起しており、父親と見られる男性がしゃがんだ状態でえびぞりになった男児を捕獲しようとしていました。

母親は夫に視線を向けて叫び、父親は周囲の目を気にしているのがわかりました。

公園は混雑しており、多くの往来がありました。来園者の多くは家族連れでした。
妻の大声により、多くの視線を集めています。

周囲を歩く男性の中には、その家族を見て怪訝そうな表情をしている方がいました。

まるで「みっともない」とでも言いたそうな顔に見えました。

公衆の面前で爆発する怒り

母親はずっと声を荒げていたのではなく、叫んだのは「あなたも教育しなさいよ!! なんでわたしばっかりなのよ!」というこの一言だけでした。

友人の元に戻った私は、夫に怒っている妻がいたことを話しました。

友人は、私と同様の主婦です。
フルで働きながら二人の子どもの世話をしています。

友人の夫は家事や育児に口を出しますが、手を貸しません。その上少し前に無職になり、妻である友人が全ての面で一家を支えていました。
夫はかなりの曲者で、発達障がいがあるせいもあり話が通じにくく、借金や女性関係の問題を度々起こしている人です。

それでも彼女はシングルマザーになる勇気はなく、延々と夫婦生活に不満を持ち続けている人でした。

そのせいもあってか友人は、

それってさ、絶対夫がいらんこと言ったよね。
と切り出しました。
話しの切り口を聴いただけで、私は「同感!!」と盛り上がります。
友人は続けます。
上の子が3歳前後、下の子が0歳から2歳程度の時が一番大変じゃん。
二人とも手がかかってさ。話しが通じないし感情ですべてを示してくる子どもの相手をしながら、家族の食事を三食作るのがどれだけ大変か。正直仕事だけしてればいいなら、そっちの方が数倍楽だから。連休中家に閉じこもるのに疲れて、子どもたちのエネルギーを発散させようと大型公園に来てみたけど、この混雑。
しかも支度するのは全て母親だったりするわけよ。それでも時間に追われながら用意してさ、公園に来て子どもが癇癪起こした時に、夫に「ちゃんと躾けとけよ」とでも言われたんじゃないの?
注:私と友人の想像です。
想像なんだけど、それが本当な気がして仕方ない!!

我慢の限界

普通はさ、外では人目があるし、夫にムカつくことがあってもある程度我慢するものなのよ。
それがこれだけ人が多い公園で、人目を集めまくるとわかっているのに大声出して怒ったわけでしょ。しかも叫んだ言葉が「なんでわたしばっかりなのよ!」でしょ。よっぽど溜まってるんだよ。
うちの旦那もあったもん。せっかく家族でディズニーランド行って楽しむ予定だったのに、子どもが疲れてぐずり気味になって夫が機嫌損ねちゃって、「(子どもを)どうにかしろ」って言いだしてさ。
お前は父親じゃないのか!? 父親は子どもをあやさないのか!? 家事も育児もしないなら、金だけ送って帰ってくんなって話だよ。
〇んでくれないかなって思うもん。夢の国が台無しだよ~。
彼女は自分の夫の愚痴を話しだしました。
相当夫への不満を溜め続けているので、愚痴も過激です。
彼女の夫は教育の知識があるので、妻に意見しますが自分では何もしません。妻は一人で奮闘していて、新たな道に踏み出す余裕がありません。変化しているのは夫への恨み、憎しみが募り続けていることだけです。積もった恨みの塵で自分を生き埋めにして、動けなくなっています。

彼女に限らず、外ではいい父親の素振りを見せながら家では育児にノータッチの夫の話しを、これまで腐るほど聞いてきました。(もちろんちゃんと育児をする父親もいますが、まだ3~4割程度の印象です)

あの夫婦もまた、そういうパターンだったのでしょうか。

取り繕う夫

気になったのは、怒鳴られた夫が周囲の目線を気にしていたことでした。

妻が叫んだ言葉の真意は、「もう限界だ」です。
「教育しなさい~私ばかり~」というのは極一端の話しであって、積もり積もった多くの感情のほんの上澄みに過ぎません。

私一人の責任にしないで。あなたは父親なのに、子どもに何を教えられているの?
私に負担を押し付けるだけなら、私を助ける気はないということ。そんな人をどうして愛せるのか。私はもうあなたを愛せない。もう限界。
公衆の面前でも抑えられないほど追い詰められている妻の言葉には、このような意味が含まれているように思いました。
ここで夫が妻の気持ちに寄り添わなければ、妻の気持ちは取り戻せないでしょう。
しかしそこで夫が気にしたのは、妻の心ではなく、周囲の目でした。
ここで「ごめん、ちゃんと話聞くから」と一言いえば、妻も感情をぶつけたことを反省し「大声出してゴメン」と言えただろうと想像しました。
人の目ばかり気にして、外面だけいい旦那なんていっぱいいるよ。
家族に愛されなかったら、何の実にもならないのにね。虚構だよ。稼がなくなったらお荷物だから捨てられるんだよ。絶望的だな。

友人の言葉には夫への恨みつらみがひしひしと感じられました。

しかも友人の夫は無職になったというのに、離婚していない矛盾……。

注:しつこいようですがこれは私と友人の全くの想像です。

妻に同情する主婦

色んな人がいますから、普段からどこでもかしこでも怒鳴る人はいます。
妻が情緒不安定である可能性もあります。

しかし私は旦那さんに同情できなかったんですよね。
ついつい自分や周囲の夫婦に当てはめて見てしまいます。

旦那さんの視線や態度を見る限り、普段子どもの世話を奥さんに任せっきりにしているんじゃないかと思える家族でした。

怪訝そうな非難の目

わずかではありましたが、叫んだ妻に怪訝そうな視線を送る男性がいたことが気になりました。

「みっともない」とでも言いたそうな表情が残念でした。

何がみっともないんでしょうかね。

公衆の面前で叫んだこと?
怒りを爆発させたこと?
子どもの前で夫を𠮟責したこと?

みっともない人がいるとすれば、そこまで妻を追い詰めた夫が「みっともない」と私は思います。

本当に「みっともない」と思っていたかも、その夫婦が普段どんな生活をしているのかも、何もかも想像でしかありませんが、ついつい邪推してしまう一件でした。

 

 

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