美容院で髪を染めていたときのことです。
鏡に映る自分は母親によく似ていました。
幼い頃は父によく似ていたのですが、年齢を重ねるにつれて母によく似てきていることに気が付いていました。
「母に似ている」と私が呟くと、美容師が「素敵ですね」と言いました。
「母に似るの嫌だな」と冗談ぽく笑うと、「そうなんですか? 素敵なのに」と美容師は笑いました。
親に似るのが嫌だと思うのは、毒親育ちの特徴でしょうか。
この記事は、夫に「母と似ている」と言われ離婚を考えたことを書いています。
毒親が子どもに与える影響
私は両親との関係に悩んで育ちました。
幼少期にスキンシップをとった記憶はなく、幼い頃はどちらかと言うと放置されて育ちました。怒りに任せて感情を振り回す両親を見て、「逆らったら生きていけない」と学んだ私は、非常に扱いやすい子ども(母談)として育ちます。
言うことを聞くようになった私を、母は束縛するようになりました。
家では支離滅裂な母のヒステリーを聞き続けることになり、あんたの言っていることはおかしい、あんたの記憶はおかしい、頭がおかしい、あんたの言葉は人を不幸にすると言われ続けて日々を過ごしました。
理屈が通らず矛盾していて、何に対しても文句しかない母の話を聞いていると頭が混乱しました。毎日何時間も母の怒号に耐えていると、そのうち視界が白く抜けるようになりました。本当に自分の頭がおかしいのだと思うようになります。
父は癇癪と妄想が激しく、朝食を食べながら家に仕掛けられていると思い込んでいる盗聴器に「お前(盗聴器の仕掛け人)をぶっ殺してやるからな」と本気で言う人でした。また、近所から家が覗かれていると言い、狭い敷地に高く頑丈な塀を建ててカーテンを閉め切りました。
しかし匂いに敏感な両親は、カーテンを閉め切りながらも真冬でも家の多くの窓を全開にするという生活をしていました。
両親の喧嘩は非常に激しく、暴力沙汰になることも多くありました。
父が娘である私に手をあげなかったので、母は私一人がいい思いをしているとストレスをぶつけ続けました。
母は私が学校やバイト以外で外出することを嫌うようになりました。
多くの時間を私に当たって過ごすので、私は自分を消すことばかりを考えるようになります。
このままでは私はおかしくなってしまう。
そう思い、大学進学と共に家を出ました。
弟を置いて出ることに抵抗がありましたが、これ以上耐えられない状況でした。
詳しくはこちらに書いています☟
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アダルトチルドレンの恐怖心
ある時、ふと夫に「麒麟(私)と母親は似ているところがあるよね」と言われました。
私と夫の過去の記憶が食い違う際に私が夫に譲らないことがあり、その頑固さが母親に似ているのではないかということでした。
記憶が食い違う時は大抵夫の方が正しいことが多いので私が引くのですが、私の記憶が正しいことも2割から3割程度ありました。
その時は私の記憶が鮮明だったので、つい主張してしまったのです。その結果夫に「似ている」と言われたのでした。
夫は真実を言ったまでですが、私は他ならぬ夫に指摘されたことでどうしようもない不安感に襲われました。
母のようにはなりたくないと常々思ってきました。
言動に気を付けながらも、自分でも「母の言い方に似ている」「母のように子どもに怒ってしまってはいないか」と気が付くことがありました。
だから夫の言っていることは私も感じてきたことなのです。
しかし自分でただ感じていたことと、指摘されたことでは衝撃の度合いが違いました。
母のようになってしまったら、夫婦仲が悪くなる。
母のようになってしまったら、子どもたちが辛い思いをする。
そうならないために日々気を付けて努力しているのに、それでも似てしまう。
虐待は連鎖するという。
やはりどれだけ努力しても連鎖は止められないのだろうか。
そんな恐怖心に包まれました。
ゼロか百の破壊衝動
以前夫に「麒麟は俺とじゃないと結婚生活は上手く行かないと思う。麒麟みたいな性格が苦手な男性は多いから」と言われたことがありました。
これまで異性とそれなりに付き合いを重ねてきましたが、好かれる人には好かれますが、全く好かれないタイプとはっきり分かれるように感じていました。
「私を苦手と思う男性がいるのはその通りだね」と笑いました。
「それなら夫も辛いんじゃないの?」と聞くと「俺は全然大丈夫」と言いました。
そんな中「母に似ている」と言われたので、やはり母に似ている部分があるのが、付き合う人を選ぶ原因かと思いました。
どれだけ努力しても自分を変えられないのなら、私が家族にいてはいけないのではないかと考えるようになりました。
私と結婚していたら夫は苦しむかもしれない。
そうなれば子どもたちにもストレスを与えてしまう。
負担になる家庭ならない方がいい。
離婚したいと思うようになりました。
夫は朝も夜も愛情を言葉や態度で表してくれます。
「麒麟が大事。いなくなったら生きていけない」とまで言います。
私はそれを聞くたびに必要とされていることに安心しています。
それなのに母と似ている部分があると言われただけで離婚したいと思うなんて、思考がゼロか百の短絡的な子どもだと思いました。
アダルトチルドレンの承認欲求
一つ気に食わないことを言われたくらいで、“要らない”というなんて、ただの駄々っ子です。
離婚したいと思いつつ、離婚したらきっと寂しくてまともに生きていけないでしょう。
本当は離婚なんてしたくない。でも……と幼い感情が渦巻きました。
私は何がしたいの?
甘えにもほどがある。
そうか、これは夫への甘えなのだと気が付きました。
夫に受け入れられていると安心しているから、さらに夫に「嫌なことを言わないで」と求めているに過ぎないのです。
承認欲求を満たす対象が、全て夫に向けられているようでした。
「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という願望であり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれる。(参考)
私は夫と出会うまで「甘える」ということがわかりませんでした。
自分の問題は自分で解決する以外ありませんでした。
自己完結が問題の解決に至っていなくても、理不尽な環境で生きていくためにはそうせざるを得ませんでした。
そのため、不満を誰かのせいにできる人を羨ましくも、無責任だと腹立たしくも思っていました。
それなのに万人に好かれない理由を母親のせいにしている自分がいました。
母との問題を知っているのに、母と似ていると言った夫を非難する気持ちがあることに気が付きました。
私を傷つけるために言ったのかもしれないと、被害妄想も掻き立てられました。
反面、夫はただ思ったことを言っただけ。被害者ぶった自分を俯瞰している私もいました。
承認欲求の満たし方
数日後のある晩、子どもたちがベッドに入ったころ、私と夫はリビングにいました。
夫は笑顔で両手を広げ、ハグを誘ってきました。
私はそこに収まりました。
愛情を言葉で伝えてくれる夫に安心して、「母と似ていると言われたことが引っかかってるんだ」と言いました。
夫は驚いて私の顔を見ようとしました。
私は俯いたまま、「夫は何も悪くないの。でも心に引っかかってしまって。一人で考えてると良くないことを考えちゃうから、聞いてほしかった」と言いながら涙が出てきました。
夫はティッシュを差し出して「そんなに……。ごめんね。でも親に似ることはいけないことじゃないよ」と言いました。
夫は私が両親を反面教師にしていることを知っていますが、嫌悪する対象だとは思っていなかったのです。
「両親に容姿が似るとか、そういうのはいいの。仕方がないことだから。でもどうしても親の言動に似たくない。これ以上どう努力したらいいかわからない。夫や子どもたちを不幸にしてしまうかもしれない」
自分の言葉を聞いて、母親から「あんたの言葉は人を不幸にする」と言われてきたことを思い出しました。
心に根付いていたのかもしれません。
「親に少なからず似るのは自然なことだよ。俺が麒麟を好きなんだからいいんだよ。麒麟がいなくなったら生きていける気がしないんだから」と夫が言いました。
あぁ、確かに私は夫が相手でなければ結婚生活が上手く行かないかもしれないと思いました。
アダルトチルドレンが自分の家庭を持った時、やっと甘えられる相手を得たことで求めすぎ、夫婦間のバランスが保てなくなると聞いたことがありました。
親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。
機能不全家族の下で育ったことが原因で深いトラウマ(外傷体験)を持つという考え方、現象、または人のこと。(参考)
夫と対等でいるために、荷物にならないために。
適度にガス抜きをして、適度に感情を制御する。そのバランスが大切です。
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