「小さい頃に手がかかった子は、大きくなると手がかからなくなるわよ。」
子育ての悩みを相談した方から、この言葉を何度聞いたことでしょう。これは本当ですか。期待してもいいですか?
私は三姉妹を育てています。
上二人が小学生、末っ子が幼稚園児です。
長女の気性が激しく、非常に苦労しました。私の接し方が悪いのか、どうしたらいいのか悩みました。しかし次女三女が生まれて、生後間もなくから反応が違うことを実感しました。
育児に不慣れな“第一子だから”だけではない、持って産まれた性質の違いがありました。
苦労したエピソードと、落ち着いていく過程。同じ親の遺伝子を継いでいても、異なった性質を持って産まれてくる子どもについてお知らせします。
子育てに悩んでいる方の参考になりますように。
子どもの性質・長女
長女は産まれた時から激しい泣き方をする子どもでした。
3500gで大きく産まれ、体力がありました。午前中は割と機嫌がいいのですが、午後から夜9時くらいまでは授乳時間以外は常に泣き続けました。授乳で口を塞がない限り、あやしてもオムツを替えても、心地よい室温にしても泣き止むことはありませんでした。泣きつかれて眠ることも一度もありません。
泣き方が激しかったため、近所の方が心配して声をかけてきました。
そのため授乳が頻回となりました。長女の出産時に1800mlの出血をしていたことや、頻回授乳により乳頭の出血が繰り返され、乳腺トラブルによる痛みや発熱、長女の夜泣きで睡眠が少なかったこともあって、辛い日々が続きました。
育児書にある、授乳は三時間置き。新生児はよく眠る、は全くの嘘で理想を書いているのだと思いました。
毎朝6時に夫の出勤を見送ると、長女が起き出します。夜中は一時間から二時間おきに泣いて添い乳をしたり、30分から一時間程度かけてあやして寝かしつけるを繰り返しても、早朝に起きます。寝不足の目を擦りながら抱っこをしたり、気を紛らそうと遊びに付き合いました。
生後半年くらいになると、親子広場を利用するようになりました。
そこでは滅多に泣くことはありませんでしたが、行き帰りのバスではよく泣いたため、途中下車して歩いて帰りました。
喋ったのは一歳頃からでしたが、0歳時から私の言葉を理解しているのがわかりました。
だからといって、言うことを聞いてくれるわけではないのですが。
一歳半くらいになるとママ友と遊ぶことが増えました。
長女はお友達の前では泣きません。おもちゃを取ることはありましたが譲ることもありました。
しかしお友達とさよならをして、姿が見えなくなったのを確認すると、途端に道路に突っ伏して泣き出すことがよくありました。
ママ友とあるショッピングセンターに行き、目的の店が違ったために15分後に落ち合う約束をして自由行動をしたことがありました。
友達が見えなくなった瞬間から倒れて泣き出し、あやしても何をしても起き上がらなくなりました。無理やり抱えようとすると仰け反って頭から落ちそうになったので、諦めてその場で言い聞かせを続けました。行き交う客がたまに長女に声をかけてくれたのですが、全くの無視でした。
ところがママ友が戻ってきたのが見えて、「お友達が帰って来たよ」と言うとスッと立ち上がり、何食わぬ顔で出迎えました。
「長女ちゃんのそんな姿が想像できない」とママ友が言うほど、外面がよかったのです。
しかし頻繁に会っていた仲のいいママ友の前では、癇癪を見せることがありました。
その時もショッピングモールに出かけていたのですが、「帰りたくない」と20分も逃げ回った長女を私とママ友の二人ががかりで抱え、運んだことがありました。
長女はショッピングカートには乗りたがらず、抱っこや手をつなぐのも、歩くのも嫌だと拒否することが多くあったため、買い物に行けなくなりました。
どうしても必要なものがあって買い物に連れて行ったときは、床に突っ伏して大泣きをし続けます。それも20分から30分と長いのです。
客に「うるさい。躾がなってない」と言われることがありました。「子どもは泣くものだから。お母さん頑張ってるね」と声をかけられて泣きそうになることもありました。
何も買わずに帰ったこともありますし、何とかレジまで漕ぎつけても、財布から現金を出すときに足で逃げないようにガードしていたのに振り払われ、逃走して迷子になって、店員と一緒に探したことも数回ありました。
それは祖父母と買い物に行っても起こりました。「見捨てられないのがわかっている。追いかけて来るのを確認しながら遊びで逃げたり、甘えから癇癪を起しているように見える」と言われました。
三歳前くらいから五歳くらいまで、家での癇癪が酷くなりました。
睡眠時間を抜いた半分くらいの時間、酷い癇癪を起して泣いていました。
虐待を疑われるのではないかと心配しましたが、抱っこしても話しかけても他に目を向けさせようとしても泣き続けるので、泣かせ続けることにしました。そうしないと、私の神経がもちませんでした。
友達と公園で遊んだ帰りは、友達の姿が見えなくなると途端に座り込んだり、突っ伏して泣き出しました。そばの家から奥さんが出てきて「尋常じゃない泣き声だったから、事故かと思った」と出て来られたことが3、4回ありました。
家では癇癪を起してない時の多くを走り回っており、柱やドアにぶつかって初めて止まりました。
掃除機をかければ興奮して大騒ぎして走り回り、やはり何かにぶつかって怪我をして止まりました。
一時期youtubeに動画をあげていた時期がありました。癇癪を起しているときの動画は省いていたのですが、そこでも同年代のお子さんを持つ方に、「かなり活発ですね」と言われていました。
トイレトレーニングでは「パンツを履きたいけど、トイレは行きたくない」と、一日に7~8回漏らす時期が半年から10ヶ月ほどあり、参りました。
出先のトイレに入ったものの、パンツもズボンも履きたくないと大泣きして、20分以上大騒ぎしたために、男性店員が事故を疑って入ってきたこともありました。
二歳を超えると夜泣きはなくなりましたが、夜驚症が現れました。深夜に一度から二度、突然腹から声を出して泣いて叫ぶので、本人以外は皆起きてしまいます。
夜驚症は小学校に入っても続きましたが、二年生頃にはごくたまに起こる程度まで落ち着きました。
次女が産まれてからはより行動が激しくなりました。
次女を可愛がっていましたが、怪我をさせることも多く、注意をしてみていました。
折り畳み式のテーブルを二脚壊し、カーテンレールを二本曲げ、障子を6枚格子から壊し、襖も6枚穴を空けました。2リットルの水を居間に撒かれたこともあります。
親の愛情が不足している子どもに見られる試し行動に、水を撒くことがあると聞いたことがありましたので、悩みました。本人は「楽しかったから撒いた」とあっけらかんと応えていました。
幼稚園に通うようになっても、降園したくないと泣いてうずくまり、公園に連れて行くと夜になっても帰りたくないと泣いて動かなくなり、出かけるのが辛くなりました。
長女が一人遊びを始めたのは5歳頃でした。私の側を離れるのを嫌がり、幼い次女が一人遊びをする中、6歳近くまで私の後追いをしていました。酷い癇癪は5歳くらいから徐々に落ち着いていきました。
発達障害の可能性が高いのではないかと思い、幼稚園の先生や小児科医に相談しましたが、違うだろうと否定されました。
小学生の男の子でも怖がって登らない林の崖を、幼稚園生で簡単に駆け上がり泥だらけになって戻ってきたことがありました。公園でも常に走りまわっていたため、友達に「もう走りたくない」と遊びを断られることが度々ありました。
小学生になって落ち着いてきたものの、よそ見をしながら走ってぶつかったり、感情のまま勢いで蹴ったり殴ったりと、相変わらず次女や三女に怪我をさせました。
幼稚園や小学校では先生の話をよく聞いていると言います。他の子と喧嘩をすることがあったり、思い込むと人の言葉を聞き入れない傾向はあるが、特別問題はないと言われています。
大いに悩まされましたが、子どもはこういうものかと思っていました。
しかし次女が産まれてから、やはり長女は手がかかるタイプだったことがわかります。
子どもの性質・次女
次女は授乳をすると2、3時間寝てくれました。泣きつかれて眠ることもあります。後追いは二歳くらいになると徐々におさまっていきました。また、親と一緒に遊ぶこともあれば、一人遊びをすることもあり、育児書通りの育児ができました。
何て手がかからず楽なんだ!! と感動しました。
店に行くたびに突っ伏して泣くこともありません。ぐずったり癇癪を起した時は、抱っこして言い聞かせると落ち着きました。
走り回っても何度か注意すれば怪我をする前に止まることができます。トイトレはスムーズではありませんでしたが、長女のように垂れ流したまま遊ぶことはありませんでした。
長女の巻き添えを食って怪我をしないために注意をしましたが、それ以外は順調そのものでした。
小学校に上がってからは外で私と手を繋いで歩くことを「恥ずかしい」と嫌がりました。
自立心が高いようです。
子どもの性質・三女
三女は次女より活発でしたが、長女には遠く及びませんでした。
長女が三女を可愛がったので、三女は長女に懐きました。長女の言うことをよく聞くようになり、私の話しを聞かない時も、長女が改めて言うことで聞き入れてくれることがあり、子育てを助けてくれています。
性質の違いと子育てのしやすさ
三姉妹を育てて思うのは、子どもの性質は産まれた時に決まっているということでした。
もちろんその後の対応でも変わっていきますが、産まれた時から激しい子もいる。ということを身に染みて感じています。
幸運だったのは、親として大変な子が一人目に生まれたことでした。一人目であれば、上の子の世話がない分、時間や手間をかけられます。
一人目の男の子が大人しかったので、二人目の女の子は楽勝だろう(男児の方が大変だと聞いていたから)と思っていたママ友が、「娘の泣きが酷くて気が狂いそう」とSOSを出してきて手助けに行ったことがあります。
第一子が男の子、第二子が女の子と順調に育ててきた両親が、第三子の女の子の泣きや癇癪が酷くて苦労している例もありました。
もちろん活発な男の子も多くいます。つまりは性別は関係なく、同じ両親から生まれても性質はその子によって異なることがわかります。
私は長女が第二子や三子として生まれていたら、耐えられていたかわかりません。長女の行動には本当に悩まされましたから。
子育てに悩んだら
私の対応の仕方が間違っていたから、長女の癇癪が酷いのではないかと悩んだ時期もありました。次女が産まれて個人の性質だとはっきりと感じました。少し安心もしました。
親の努力だけではどうにもならないことがあると、知ったからです。
長女は手がかかりますが、いいところもあります。
ダンスを習い始めてからは家で延々ダンスや歌を練習しており、打ち込む情熱があります。
小学校中学年になる今でも私と手を繋ごうとしたり、隙あれば抱っこをせがむ甘えん坊です。そして風呂やトイレに一人で入るのを嫌がり、次女や三女を引き連れようとする寂しがりでもあります。
三女を可愛がり、私を助けてくれる優しい側面も持っています。
私と同じように子どもの性質に悩んでいる方にお伝えしたいのは、親の努力だけじゃどうにもならない場合があるということです。
子どもへの伝え方やアプローチ方法の検討、環境について考えることは大切ですが、「この子の性格だから」と割り切って見守ることも必要だと思います。
親の心子知らず。
子どもは親の思うようには育たない。
その通りだと思います。
また、「子どもは親の思うようには育たないが、親のように育つ」と言われることがあります。
子どもに恥じないよう実直に誠実な姿勢は持っていきたいものです。
子育てって難しいですね。
どなたかの参考になりますように。