性的少数者(セクシャルマイノリティ)の理解が呼びかけられて久しい現在。
メディアで多く取り上げられ、親子間や友人間でも少しずつ理解が浸透してきているように感じられます。
しかしセクシャルマジョリティである私には、よくわからないことが多いです。
「だんだんと理解が進んでいる気がするが、当人達が望む形なのかがわからない。私に何ができるかもわからない」
正直な気持ちが、これなのです。
「いろいろな人がいる。それが普通」と受けとり、これまでと変わらず、接していくことしかできません。
そんな中、BL好きの友人の発言に驚くことがありました。
志向とは難しいものだと感じましたので、記します。
なおこの記事は、ゲイの方が不快に思われるであろう表現が含まれています。
予めご承知おきください。
BL好き腐女子の様々
BLとはboys’ loveという和製英語の頭文字をとったもので、男性同士の同性愛をテーマに描かれた作品を指します。
BL好きのオタク女子を腐女子と呼ぶのですが、私の実感では“隠れ”腐女子を含めると、潜在的腐女子人口が非常に多い印象です。
なぜなら、私の友人に複数人いるからです。
とてもお洒落で今どきな女性や、アイドルの追っかけをしている女性が実は腐女子であることも。
BLの幻想
私が初めてBL作品を読んだのは、多感な中学生の時でした。
隠れ腐女子の友人Aに「これ読んでみて」と、BLの同人誌を半ば無理やり勧められて読んだのです。
性描写がしっかり描かれていたので、とても刺激が強かったです。
因みに初めてアダルトビデオを見たのは、小学校2年生の時でした。
フィリピンから引っ越してきた同級生の女の子Bが、早熟で、遊びがてら見せてきたのです。
その時は驚きのあまり逃げ出しました。(後日、Bは謝ってくれ、以降仲の良い友人になりました)
AVに比べたらBL同人誌は不快感が少なく、刺激が強いものの「読める」と思いました。
BLとゲイ
親に見つかったらなんと言われるかわからないので、鍵がかかる引き出しに隠して、読み終えたらすぐに返しました。
すると友人Aは、「次はこれ読んで!」と私が受け入れやすいソフト描写の作品をつぎからつぎへと貸してくれました。
BL好きを隠していた彼女は、BLについて語れる相手が少なかったため、ここぞとばかりに私に魅力を語ったのです。
私はBLにハマることはありませんでしたが、それほど抵抗も感じませんでした。
私とは別世界の話で、感情移入をすることもなければ、特別何かを思うこともないという印象でした。
「ゲイはキレイ。その人自身がむさくるしくても、全然いい。ゲイの友達ができたら色んな相談できるし、最高の友達になれると思う」
Aは嬉々としてそう語りました。
同性愛者に好かれたら
ある時、女友達Cが、「(別の)女友達に愛の告白をされて気持ち悪かった」と話しました。
同性愛者がいるのはいい。でも自分が好かれるとは思っていなかった。普通に仲がいい女友達だったのに、友達を失ってしまった。
何かわからないけど気持ちが悪い。
気持ち悪いなんて表現は酷い。どんな愛も認めるべきという人がいるけど、それは自分と関係ないところで起きていると思うから言えること。
実際に自分が対象になったら、感じ方が変わると思う。
そう、Cは言いました。
好きではない人に好かれる居心地の悪さ
私は女性が女性に惚れる気持ちが、少しわかります。
憧れなのか性愛なのかわかりませんが、特別感のある感情をほんの数日でしたが、女性に感じた経験がありました。
しかし体の目合い(まぐわい)を考えると、抵抗を感じます。
私は小学校高学年の時に、同級生の女の子Dに服を脱がされて体を触られたことがあります。
Dをただの友人としか思っていなかったので、驚きました。
後にDは複数の男性と付き合い、結婚してよい家庭を築いています。
私を誘ったのは、単に性への興味だったのでしょう。
当時感じたのは驚きと、柔らかな「気持ち悪さ」でした。
同性相手だから「気持ち悪い」と感じたのでしょうか?
当時はよくわかりませんでしたが、今思うと相手が同性でも異性でも変わらなかったように思います。
小学校6年生という若さで、事態が把握できなかった気持ち悪さ。
そして性愛という意味で、好きではない相手に触られることの「気持ち悪さ」だったように思います。
好きではない異性の友人に告白されると、居心地が悪いという意味の気持ち悪さを感じます。それと同じように、好きではない女性に触られるのも「気持ち悪い」ことでした。
性のファンタジーと現実
BLに抵抗がないのに、女性同士の性描写(レズ)に抵抗がある理由はなんなのか、考えました。
BLは自分に起こり得ないファンタジー。
女性同士の場合は、「自分に関わることがある」という違いがありました。
かつて、レズは綺麗だけどゲイは好まないと言った知人男性がいました。
当時は偏見だと感じましたが、それと同じ感覚が、私にもあったのです。
未知の世界への不安のようなものが、「気持ち悪い」という言葉に込められていました。
BL好き腐女子がゲイ理解者とは限らない
夫との関係が上手く行かず、アーティストの追っかけをしたり、BLにハマっている友人Eがいます。
独身時代からBLが好きだったそうですが、結婚を機に下火となっていました。
夫との関係が悪化し、離婚がチラつくようになると、気を紛らすようにBL熱を再燃させました。
関係悪化と比例して、熱は盛り上がっていきます。
BLがテーマのドラマとその役者、漫画が主な対象です。
EはSNS上でそれらについて発信するようになり、ネット上の仲間ができて盛り上がるようになりました。
すると、ゲイの男性にフォローされるようになりました。
男性はBL好きなゲイで、ゲイの実情を赤裸々に語る方でもありました。
私は、ゲイを知るうえで自ら語ってくれる方がいることは、理解が進むきっかけとなり良いことだと思いながら、Eの話を聞いていました。
しかしEは、男性が積極的に絡んでくることに酷く抵抗を感じたと言います。
EにとってBLはファンタジーでした。
現実を知りたかったわけではないEにとって、男性の発言は夢を壊すものだったのです。
Eは男性をブロックしました。
「ゲイも腐女子も関係なく、一緒にBLについて盛り上がれないの?」と聞くと、Eは「BLは腐女子の夢なの。生々しさは要らないの。本物のゲイに用はない」と言い切りました。
実際BLは女性向けに描かれていることが多く、男性同士でありながら、男女の性愛に当てはめるような描写が多くなっているのだそうです。(参考:LGBTの今)
そもそもが、現実とはかけ離れた世界なのですよね。
Eが夫との不仲から目を逸らすようにのめり込んでいる、BL。
のめり込む先がBLであることに意味があるのか、ないのか。
BL好きがLGBTへの理解に繋がっているとは限らないことがわかり、少し寂しさを感じました。
性的マイノリティLGBT理解の難しさ
性的マイノリティへの関心が高まるなか、興味本位で当人たちに性行為等の質問を重ねる事例があるようです。
私も一歩間違えば、そうなりかねないと思います。
性行為については、気心知れた間柄とならない限り聞かないと思いますが、性的マイノリティの方には、どんなことを言われたら不快なのか、どうしてほしいのか、予め聞きたいと思ってしまいます。
感覚がわからないからこそ、気を使い過ぎて疲れる付き合いにならないために、知りたいのですよね。
探り合って疑心暗鬼にならないために。
それも失礼に当たってしまうのでしょうか。
知る。受け入れるとは、どんな状態を指すのでしょう。
この記事を書いていてわかったことは、まず「気持ち悪い」という漠然とした表現を、「戸惑った」と正しく表現するべきだと学びました。
性的マイノリティの方に、そう思うのではありません。
無知であることの不安に感じる気持ち悪さを、そのまま言葉にしているのです。
誤解を招きかねない言葉は、改める。
そうやって少しずつ、誰も傷つかない社会になるよう願います。
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