2019年夏。
幹線道路で停車中に、後ろから追突されました。
私は被害者。
追突してきた車の運転手が加害者となりました。
通院と車の修理で手間がかかりましたが、加害者への遺恨は全くありません。
理由は、加害側の完璧な対応にありました。
日常的に車の運転をしている私は、気を付けていてもいつ加害者になるとも限りません。
もし今後加害者になってしまった時の参考にさせてもらおうと思いましたので、備忘録もかねて記します。
- 1 交通事故の加害者の対応に感心した話
- 1.1 渋滞で停車中追突される
- 1.2 加害者がすぐに謝る
- 1.3 警察を呼ぶ
- 1.4 加害男性が車の誘導をする
- 1.5 自動車保険会社に連絡する
- 1.6 加害男性から自己紹介を受ける
- 1.7 車の損傷を確認
- 1.8 警察を待つ間、再度加害男性が謝罪
- 1.9 加害男性が、病院受診を勧めてくる
- 1.10 代車の手配を申し出る加害男性
- 1.11 保険会社と連絡先の交換
- 1.12 警察の事故聴取と物損、人身事故
- 1.13 保険会社と修理見積予約の電話が忙しい
- 1.14 体に異変
- 1.15 翌日から代車に乗り換える
- 1.16 整形外科を受診・損傷確認
- 1.17 物損から人身事故に切り替えるか否か
- 1.18 体の損傷について改めて謝罪の連絡
- 1.19 無傷の子ども三人の示談と私の3か月の通院
- 1.20 私の示談
- 1.21 加害男性からの十分な謝罪
- 2 車の追突対応・模範例
交通事故の加害者の対応に感心した話
2019年の夏の日の午前9時頃。
関東のある幹線道路で渋滞にハマり、停車していました。
運転席には私。
助手席には当時小学校2年生の長女と、二列目のシートに幼稚園児の次女と2歳の三女が乗っていました。
子どもたちと談笑しているときに、ドン! という衝撃が走りました。
渋滞で停車中追突される
次女と三女はチャイルドシートをしていましたし、私も助手席の長女もしっかりとシートベルトをしていましたが、衝撃で体が前に一瞬押され、戻りました。
おや? と一瞬事態が飲み込めずにいると、助手席の長女が「ぶつかった!?」と言いました。
慌てて後部座席を見ると、次女も三女もキョトンとした顔をして座っています。
子どもたちが一見無事であることにホッとしていると、運転席の窓を、スーツを着た年配の男性が叩きました。
加害者がすぐに謝る
ウインドウを開けると、「すみません。大丈夫ですか?」と男性が言いました。
男性は追突してきた車の運転手でした。
その日私は、メッシュが入ったロングヘアにゴールドのアクセサリー、ビビットな青いロング丈の柄シャツにハットと大きいサングラスという、派手目な格好をしていました。
私の格好を見て一瞬「お……」とたじろぐ男性。
私は加害者に牽制するため「まだ大丈夫かはわかりません」と答えました。
「そうですよね……」と男性。
「警察を呼んでください」と言うと、「はい」と男性が答えました。
強めの対応をしたのには理由があります。
仕事の同僚が、会社の車で移動中に軽微な接触事故を起こしたことがありました。
被害は擦れる程度の傷でした。
相手方が「警察を呼ぶほどではない」といったため、個人で連絡先を交換して終えたそうです。
被害が軽く済んだことに安堵して会社に報告していましたが、その後相手から高額な修理費を何度かに分けて請求され、揉めていました。
仮に自分が加害者で軽微な事故であっても、警察は必ず呼ばなければならないと学んでいました。
何より、これだけしっかりぶつかっていたら確実に警察案件だと思い、呼ぶように頼みました。
警察を呼ぶ
男性は車外でスマホをのぞき込んでいました。
私も渋滞で混雑する道路に出て、警察を呼んだか確認をすると、まだ呼んでいないといいます。
遅い!! と思ったら、どうやらスマホの操作に慣れていないようでした。
「私が呼びますね」と声をかけ、110番に電話をかけました。
「渋滞で停車中に後ろから追突されました」というと、事故現場の住所を聞かれました。
移動中のことだったのではっきりした住所がわからず困っていたら、男性が「〇〇街道の〇〇交差点の近く。○○方面と言えばわかります」と教えてくれました。
加害男性が車の誘導をする
通報の電話を切った後、男性は車を脇道に移動しました。
その後すぐに私の車に来て、自走できるか確認してきました。
自走には問題がないことがわかると、「こちらにバックして入って下さい」と言って誘導をしてくれました。
幹線道路は渋滞でごった返していました。
そんなところで事故が起きたので、益々混乱が生じて、クラクションが複数個所で鳴っていました。
車同士が接近している、混雑した中でのバック異動でしたので、緊張して「怖いー!」を連発しながら動かしました。
自動車保険会社に連絡する
路肩に移動し終えて車を降り、後部を確認すると、ベッコリと凹んでいました。
実際の写真です☟ちょっとわかりにくいですかね。
全面的にベッコリ凹んでいます。
一旦車に戻って、保険会社に電話をしました。
保険会社への電話は、意外と時間がかかりました。
加害男性から自己紹介を受ける
保険会社と電話をしている間に、男性が再度窓を叩きました。
ウインドウを開けると、「私はこういう者です」と名刺を差し出しました。
何と加害者男性は弁護士でした。
様々なジャンルを扱っているようですが、交通事故案件も得意とする一つなようでした。
弁護士を多数抱える事務所の所長でしたので、身分を隠したいのが本音ではないかと思いましたが、しっかりと明かしたことに好感が持てました。
車の損傷を確認
保険会社との電話がいったん終わり、車外に出ると、男性も保険会社への電話をしているところでした。
ベッコリ凹んだ後部を改めて見て、三列目のシートに子どもを乗せていなくてよかったと思いました。
乗せていたら衝撃を大きく受けたはずです。
対して男性の車は高級な4WDでした。
見た目には、傷や凹みがわかりません。
高級車と、車体を軽く作ったハイブリッド車との違いを感じました。
警察を待つ間、再度加害男性が謝罪
男性が電話を終えると私に近づき、「本当にすみませんでした」と改めて謝りました。
「なんでこんなことになったのか。自分でもよくわからない。初めてのこと」と言います。
その日は一気に気温が上がり暑くなったので、「暑いからボーっとしちゃったんですかね。この程度で済んでよかったですね」と私が言いました。
加害男性が、病院受診を勧めてくる
「今は何ともなくても、今後何かあるといけないので、お子さんも含めて皆さん病院にかかって下さい。初診は支払いが生じますが、後に保険会社から支払われます。時間が経ってからだと認められなくなる場合があるので、早めに受けてもらった方がいいですから……」と男性は言いました。
「でも今は何ともないですよ」と答えました。いい人だと感じました。
「本当に、あとから出ると大変ですから」という問答が続きます。
「もし異変が出たらすぐに受診するから」と答えて一息つくと、男性は「実は今日、2歳の孫をわが家で預かる予定なんです。それなのに、2歳の子も同乗する車に追突するなんて」と話しだしました。
仕事で事故の対応をしていても、自分が起こしたことには戸惑っているようでした。
代車の手配を申し出る加害男性
トランクがつぶれていたので、開くかどうか試そうと手をかけると、開きませんでした。
「どうしよう。週末から旅行なのに荷物が載せられない」と呟くと「代車を用意します。保険会社に伝えるので、すぐに用意できるはずです」と男性が言いました。
保険会社と連絡先の交換
男性は自身が加入している保険会社名を私に伝えると、私の連絡先と保険会社を教えてほしいと言いました。
私は男性の弁護士事務所の連絡先が書かれた名刺をもらっていましたが、職場の連絡先だけでは心配があったので、携帯電話の連絡先を教えてほしいと頼みました。
男性は「裁判所に詰めていると携帯に電話をもらっても出られないことが多いから、事務所に電話をもらう方が確実に応対できる」と言って若干の抵抗を示していましたが、すぐに番号を教えてくれました。
“交通事故の被害者から職場に電話が来ても問題ない。むしろその方が円滑に連絡が取れる”と言う男性に感心しました。
警察の事故聴取と物損、人身事故
10分から15分程度で警察が到着しました。
事故の様子や体の異変がないか、同乗者の氏名や年齢の確認をされました。
過失の割合に影響するのが怖かったので、加害男性の前で、
・渋滞で完全に停車中だったこと
・停車して少し経ってから追突されたこと
を強調して話しました。
男性は黙って聞いていました。
その後男性は警察にも弁護士の名刺を出し、さらに警察の前でも私に「皆さん是非病院で診察を受けてください」と言いました。
警察からは、以下の説明をされました。
・今後体に異変を生じた場合は、人身事故扱いに切り替える。
・人身事故扱いになる場合は、他の刑事事件と近い扱いとなり、加害者被害者双方が立ち合いのもと、事故現場で現場検証(?)を行うことになる。
人身事故に切り替える場合の連絡先を受け取り、警察とのやり取りが終わりました。
保険会社と修理見積予約の電話が忙しい
男性と挨拶をした後、潰れた車に乗って、当初の予定だった子どもの歯列矯正のクリニックに向かいました。
子どもが歯の調整をしている間に、世話になっているディーラーに電話をして、即日見積もりを作ってほしいと依頼しました。
その最中にも自分の保険会社から電話がかかってくるなどして、電話の対応が忙しくなりました。
クリニックが終わると、その足でディーラーに向かいました。
体に異変
ディーラーでは担当者が「大変でしたね」と言って迎えてくれました。
そして車の状態を見て、「このレベルだと身体に異常が出る方が多いんですが、大丈夫ですか?」と確認されました。
……え?
電話の対応で忙しくて気づかなかったけど、そう言えば腰のあたりが何だか痛い気がしないでもない……。
翌日から代車に乗り換える
相手方の保険会社の担当から電話がかかってきたのは、その日の夕方でした。
見積もりを頼んだディーラーと直接連絡を取ってもらい、相手の保険会社からディーラーが依頼を受ける形で、翌日から車の修理が終わるまで代車となるレンタカーを手配してもらえることになりました。
また、相手の保険担当に身体に異変を感じたことを伝えると、すぐに病院にかかってほしいと言われます。
整形外科を受診・損傷確認
子どもたちは「大丈夫。なんともない」と言いましたので、翌日私一人で整形外科にかかり、診察を受けました。
すると腰と首の骨にダメージがあることがわかります。
リハビリが必要な状態でした。
相手の保険担当に診断結果を知らせると、同乗していた子どもにもダメージがあるかもしれないから、診察を受けて欲しいと言われました。
翌日、子どもたちを連れて整形外科を受診。
2歳の末っ子は抵抗しまくりだったので、3人で羽交い絞めにしてなんとかレントゲンを撮りました。
結果は問題ないとのこと。
私だけがダメージを負っていました。
子どもは骨や筋肉が柔らかいため、大人の方が影響が出やすいのだそうです。
結果を相手保険担当に伝えると、子ども三人分については先に示談をしたいと言われました。
物損から人身事故に切り替えるか否か
体に異変が出ているので、本来なら人身事故扱いとなります。
人身事故扱いになれば、加害者は刑事罰を受けます。(この程度の事故であれば大した刑事罰ではないものの、記録が残るのだとか)
加害男性の対応に不満はありませんでした。物損事故扱いであっても、すぐに病院にかかったことで事故との因果関係が認められて、慰謝料が発生すると相手の保険担当から聞いていました。人身事故にする必要はないと考え、警察に届け出ませんでした。
(他の弁護士事務所のHP等では、体に異変が生じた場合は速やかに人身事故扱いに切り替えるよう指南されています。物損事故では慰謝料が支払われなかったり治療費が支払われない場合があるからだとか。私の場合は物損扱いでも、事故と体の不調の因果関係が証明されているということで、問題なく支払われました)
体の損傷について改めて謝罪の連絡
翌日は以前から予定していた旅行に行きました。
腰に痛みがありましたが、動けないほどではありませんでしたので、代車で目的地に向かいました。
道中、加害男性から電話がありました。
事故を起こしたことを改めて詫びるとともに、体に異変が出ていることを保険会社から聞いたと言って、改めて謝罪を受けました。
無傷の子ども三人の示談と私の3か月の通院
相手の保険会社から、三人の子どもたちの診察代と慰謝料額が書いた書類が届きました。電話で言われていたとおりサインをして返送すると、暫く経って口座に振り込まれました。
私のリハビリは3か月続きました。
保険会社から医療費の支払いを受けるには、リハビリに加えて毎回必ず医師の診察が必要になります。待ち時間が長くなり、くたびれました。
途中2回ほど加害男性が電話をかけてきました。
体の具合を心配する内容でした。
電話をかけても謝るしかできない男性に同情しました。
3、4週間程度だったでしょうか。車の修理が終わり代車を返しました。当初ディーラーではトランクの床部分も損傷し、電気系統も影響があるのではと見られていましたが、電気系統までは及ばずに済んでいました。
通院を開始して3か月で、通院が終わりました。
この手の治療は3か月が目途なのだそうです。
レントゲンでは異常がなくなっていましたが、腰に痛みが残っていたので「まだ通院したい」と医師と相手の保険担当に言いました。しかし保険会社からの支払いも3か月が目途という事で、ここで半ば強制的に終わりとなりました。
痛いのに……と若干の不満がありましたが、2週間もすると痛みが消えて全快しました。
あの痛みは何だったのでしょう。痛みの残像?
私の示談
私の通院が終わり、相手の保険担当者と慰謝料やその他の交渉に入りました。
担当者は真摯で嫌味がない人でしたので、何度もやり取りをするうちに悪くない関係を築けていたと思います。
車が事故車扱いとなり査定が下がったことや、通院のために子どもを時間外保育に預けることになった分の増額をしてもらうことができました。(弁護士特約を付けていたので、通らないなら弁護士に依頼することも考えていると遠回しに匂わせました)
加害男性からの十分な謝罪
最後に、改めて加害男性が連絡を入れてくるだろうことが予想されました。
私は保険担当者に「加害男性からの電話は必要ないと伝えてほしい」と頼みました。
・私もいつ加害者になるとも限らない。加害者男性には、真摯な謝罪と対応をしてもらった。・満足していて遺恨はない。
・今後弁護士が必要になった時には、是非お願いします。
という伝言を頼み、連絡を終えました。
車の追突対応・模範例
過失を犯してしまった時、自分を擁護したり、相手を負かそうという思考に走る人が少なくありません。
そこで争いになると、泥沼化することも。
しかし保身を無くして真摯に対応すると、被害者の心が満足するんですよね。
弁護士なので、その点を十分に心得ていたのだと思います。
この程度の事故だったこと。
加害と被害側がハッキリしていたことも、良かったのかもしれません。
事故対応は心が大切だなと実感する一件でした。
どなたかの参考になりますように。
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