失敗や批評を恐れて挑戦を怖がる子どもがいます。
このまま大人になって大丈夫だろうか?
親ができることはある?
持って産まれた性質もありますが、環境が子どもの成長を助けることがあります。
実際の例と親ができることについてお知らせします。
今時の子は失敗を恐れる?
今時の子は失敗を恐れ、主張をしないと言われています。
当然皆に当てはまるわけではありませんが、確かに周囲にも引っ込み思案の子どもが多いようです。
核家族化
理由の一つとして核家族化と近所付き合いが減ったことが挙げられます。
昔は両親だけでなく祖父母や親戚と同居や近居が多かったのですが、今は珍しくなりました。
特に都市部で近所付き合いが希薄になり、子どもを犯罪から守るために、知らない人とは挨拶や会話をしないようにと教えるようになりました。
そのため、両親以外の人から褒められたり、叱られる経験が少なくなりました。
知らない人から怒られることがあれば、「危険な人物」と捉え、避ける対象となります。
両親から叱られた時に祖父母や近所の人たちに慰めてもらって自己肯定感を養ったり、逆に叱られることで免疫を育てることができなくなりました。
子どもは周囲の人間の真似をして学んでいきますが、そのサンプルも少なくなり、「怒られても愛されている、失敗してもまた頑張れば大丈夫。」という意識が育ちにくくなっていると言えます。
過保護傾向
出生率の低下で子どもの数が少なくなりました。
親や祖父母が子どもに手をかけやすい環境になり、先回りをして子どもを危険から守ったり、失敗しないように道を整えるようになりました。
失敗経験がない子どもは挑戦心が育つように感じますが、実は失敗を人一倍恐れるようになる傾向があります。
叱られずに褒められて育った子が、叱られる免疫がないばかりに失敗を恐れ、引っ込み思案になって意見を言えなくなることが珍しくありません。
褒めると叱るの一貫性
心理学者のマーティン・セリグマンの行った動物実験に「学習性無力感」というものがあります。
ある行動を起こせば罰を回避できる犬に対し、何をしても罰を与えられる犬は結果的に「何をしても意味がない」と学び、罰から逃げる努力さえしなくなるというものです。(参考)
子どもが何かをしようとしたときに、その時の親の都合で「ダメ」と制止をしていたり、叱るなどしていると、子どもが「何をしても意味がない」と学んでしまう可能性があります。
なぜダメなのか、どうしたらいいのか、理由を子どもに説明すること。親の気分で変わることがない、一貫性を持つことが大切です。
いつも否定されたりダメだと言われているのに、突然挑戦してみようと言われても、できないのは自然なことです。
萎んだ挑戦心を復活させるのに効果的だったこと
長女が小学校一年生のころ、担任の教師と上手くいかず、失敗を怖がるようになって挑戦心を失い、塞ぎ込んだ時期がありました。
長女はもともと挑戦心が少ない子ではありませんでした。
しかし担任の先生が「答えを間違えると怒る」「失敗すると怒る」「怒って生徒に言うことをきかせる」タイプだったために、失敗すると怒られるという恐怖心を抱くようになりました。
失敗する可能性があるなら挑戦したくない、と縮こまった長女は、劇でもほとんど声を出せないまでに変わってしまいました。
自分の世界が学校だけでないことを知ってほしくて、習い事をすることにしました。
長女の希望はダンスでした。
数々のダンススクールを調べた結果、長女が好みそうなカリキュラムがあるスクールの存在を知ります。しかしそこは自己PRや志望動機、ステップ、歌のオーディションを通らなければ入れませんでした。
落ちたら嫌だから受けたくない。
学校で上手くいかず落ち込んでいた時でしたので、落ちたら心に大きな傷を負ってしまうかも、という心配がありました。しかし近所にある他のスクールは評判があまりよくなく、スクール選びが難航します。
改めて調べてみると、オーディションのあるスクールは教育を目的としている団体のため、合格率が高いことがわかります。
挑戦して報われる経験をしてほしいと考え、合格率が高いことは言わずに、長女に改めて勧めてみることにしました。
長女はオーディションのあるスクールに惹かれていました。
入りたい。でも落ちたら嫌だ。恥ずかしいし。
失敗することは恥ずかしいことだと言います。失敗すれば先生が怒り、他の子に笑われることがあるから嫌だと言いました。
小学校低学年は、生徒間にからかいが始まるころでした。
長女は、他の子が失敗したら笑うの? と問うと、笑わないけど恥ずかしいだろうと想像するのだそうです。
挑戦して失敗することは恥ずかしいことじゃないよ。
本当はやりたいのに縮こまってたら、新しいことが何もできなくてもったいない。長女は何にだってなれる可能性があるのに、と説得を重ねました。
ドキドキして緊張しちゃうから嫌なのもある。
新しいことをするときって、緊張するよね。
緊張するのって、悪いことじゃないんだよ。緊張が全くないと結果が出せないって言ってる有名なスポーツ選手がいるんだよ。
私緊張してるー! って緊張している自分を面白がっちゃえば、ちょっと楽になるよ。
ママも緊張したことあるの?
たくさんあるよ。
受験や面接に挑戦して、凄く緊張した。就職面接は落ちまくったし、思い込みでダメだしされて落ち込んだこともある。でも回数重ねていくと段々慣れてくるんだよね。
へー。ママもあるんだね。
ちょうどそのころ小学生に人気のyoutuberが中学受験をし、第一志望に落ちました。
あのyoutuberも挑戦してダメだったけど、格好悪いとか、恥ずかしいことだって思う?
思わない。
ママも思わないよ。努力して挑戦したことがすごいと思う。あの子も緊張したと思うよ。挑戦した経験って、次に何かに挑戦するときに必ず活きるんだよね。
そうなんだ。受けてみようかな。
この後長女はやる気を出し、挑戦することになりました。
この時話していて効果的だったのは、親である私の失敗談でした。
長女と同じように緊張するし、失敗が嫌だという気持ちもある。それでも挑戦して成功したこと、失敗して嫌だったけど得られたことなどを具体的に話すと「ママも一緒だから大丈夫」と安心感を感じるようでした。
長女はオーディションに合格しました。
他にもオーディション受けたい! もう落ちるのも怖くないよ!!
別のオーディションに落ちたとしても、成功体験が長女の支えになったようでした。
批評が怖い
長女が楽しくダンスに通っているのを見て、次女も習いたいと言い出し、オーディションを受けて通い出しました。
オーディションの時は緊張するし嫌だと言っていましたが、長女をみていたこともあり、それほど抵抗がなかったようです。
しかしある時、次女を迎えに行くと、表情が曇っていました。
ダンスのフリが小さいって言われた。
と声を震わせて言いました。
そうなんだ。それじゃあ、手足を大きく動かす練習したらいいね。
私だけ動きが小さいって言われた。
他のクラスとダンスを見せ合い、いいところや悪いところを言い合うカリキュラムの中で指摘されました。
次女のクラスでは次女だけが新入りで、まだ通って3日目でした。ついていくのも必死な中で言われ、ショックが大きかったようです。
もうヤダ……。
言われたところを直したら、絶対に今より上手くなるってことだよ。
スタジオの鏡で見てたから、フリが小さいことはちょっと気づいてた。
自分をちゃんと見られてて、凄いね。
……うん。
次女の自尊心が傷ついていることがわかりました。
こういった時にどう話をするべきなのか、悩む親は多いのではないでしょうか。
効果的な声掛け
私はどう勇気づけるか考え、会社勤めでよくあるケースを思い出しました。
悩んだり、失敗して落ち込んでいる後輩に対し、こんな言い方をする先輩が少なくありませんでした。
〇 後ろ向きなことを言っても意味がない、と叱る。
〇 俺はこんな成功体験がある、成功するためにもっと頑張れと叱咤激励する。
〇 俺はこんなに大変だったと苦労話のマウントをとる。
〇 凹んでいる時間が無駄と突き放し、自分で立ち上がるのを待つ。
こんな言い方をしている先輩についていく後輩は稀でした。
尊敬される先輩は、こんな失敗をして、こんなことを学んだ。それによってどんな成功に繋がった。と具体的な経験を話し、落ち込んだ気持ちにも寄り添っていました。
そして最後に、叱咤激励をしていました。
大人も子供も、気持ちに届く話し方は大きく変わらないのかもしれないと考えました。
長女の時も、私の経験話が響いていましたので、次女にも私の話しをすることにしました。
ママも、学生時代に作品を作ってたから、講評会で先生やで生徒がいいところや悪いところをが言う授業がたくさんあったよ。最初は悪いことを言われると傷つくね。
でも段々慣れて来るし、自分で気づけなかったことを知れるから、どんどん教えて! って思うようになる。
「上手になる可能性がある」から言ってくれるんだよ。悪いところを教えてくれるって、実はすごく優しいことなんだよ。
ママも嫌だった?
最初は凄く嫌だったよ。でもそのお陰でわかることがあるから、凄くありがたいって思うようになった。
そうなんだ。私もそうなるかなぁ。
このあたりから、表情が明るくなってきました。
続いて長女も経験を話しました。
悪いところ、何度も言われたことあるよー!! 直すために練習したよ。
長女も言われたことあるんだ!!
みんなあるんだよ。
次女はすっかり気持ちを持ち直しました。
まとめ
〇 共感
〇 自分以外の経験サンプルを知る
☝この二点が挑戦心を養ったり、批判を恐れなくなるのに役立ちました。
これは私と子どもたちのサンプルです。
悩まれている方の参考になれば幸いです。