都内で電車通勤をしている女性の多くが、痴漢を経験しています。
そして実は、男性も痴漢被害に遭うことがあります。
男性被害者の実例と、加害者の認知傾向と警察の取り組み。
冤罪にも関わらず疑われた場合の対処法について、お知らせします。
痴漢は男女問わず遭う!男性被害者の実例
ある朝、知人男性が暗い顔をして「通勤の電車で痴漢に遭った」と言いました。
男性Bは面白がって一頻り笑った後、「マジかよ。女に間違えられたんじゃねーの!?」と言いました。
Aは細身で、お洒落なジャケットとパンツを履きこなすサラリーマンです。
日常的に混雑する電車に乗って通勤しています。
男性Aは「怖くて声が出せなかった。スゲー気持ち悪かったし、最悪な気分。あんな気持ちになるなんて知らなかった。女性は本当に大変だな」と落ち込んでいました。
私は数えきれないほど痴漢に遭ってきました。
混雑する交通機関や、逆に発車待ちの人気のないバスの車内でも経験があります。
最高に幸せな気分の日でも、痴漢に遭ったら吐き気がするほど最悪な日に一瞬で変わる。そんな経験を何度もしてきました。
男性Aは「嫌なものとわかってはいたけど、ここまで最悪な気分になるとは知らなかった。俺、男なのに何で触られたんだろう」と不思議がりました。
近年では子どもを狙った性犯罪で、より警戒心の薄い男児を狙う加害者が増えていると言われています。
つまり男女ともに痴漢に遭うという事です。それは大人でも変わらなくなってきているのかもしれません。或いは公にならないだけで昔からあったのかもしれません。
男性Aは、触られていると自覚した当初、意味が分からなくて混乱したそうです。
“触れてしまった”と言い逃れできないような露骨な触り方だったとか。
痴漢加害者は被害者が被害を訴えると、「満員電車内で誤って触れてしまっただけ」と言い訳をする場合があるようです。
しかし触られた側はその不自然さから、明らかに故意であることを確信します。
初めは反応を探るように指や手の甲を触れさせ、声をあげないことがわかると弾力を試すような触り方をしたり、手のひら滑れを尻や胸にフィットさせたり、酷い場合には股に触れたり下着に指を入れてくることもあります。
私の友人が実際に遭った被害では、電車の降車時のどさくさに紛れて、両胸を鷲掴みにされることもありました。
男性Aは「声をあげようと思ったけど、怖くて声が出なかった」と言いました。
声をあげるにはとてつもない勇気が必要です。
満員電車には多くの人が乗っています。
被害を訴えるという事は、その人たちに『私は加害者に性の対象にされた』と知らせることなのです。性がタブー視されている日本において、公に訴える行為はとても抵抗があります。
「なぜお前が痴漢被害者になるのか。自意識過剰ではないか」と好奇の目にさらされることがありますが、被害者が男性であれば尚更偏見の目で見られることや「情けない」とみられることに恐怖心を抱くかもしれません。また、痴漢加害者について「冤罪じゃないか」と擁護の目が色濃いのも事実です。
落ち込むAに対し男性Bは「お前も触り返してやったらよかったんじゃないの!? あー、でも男触っても仕方ないか! あはは!」と笑いました。
Aは「不倫を軽く考えすぎ!」とBの発言に怒りました。
被害経験者と、被害を被ったことのない男性の温度差を感じました。被害に遭ったことがない男性の中には、痴漢を「ちょっと嫌なだけでしょ」程度に捉えている方が少なくありません。
痴漢加害者の認知の歪み
痴漢や強姦加害者の多くは認知の歪みを抱えていると言われています。
性犯罪の矯正プログラムに携わる方によると、加害者にも罪悪感はあるのだとか。
心の底では「いけないこと」とわかっているけれど、欲求を満たしたいがために、自分の都合のいいように物事を解釈しようとします。 それが認知の歪みです。
代表的な認知の歪みは、
〇 声を上げないのは受け入れている証拠
〇 被害者も気持ちがいいはず、喜んでいるはずだ(痴漢、強姦共に)
〇 逃げようとしないのは喜んでいるからだ(ナイフで脅していてもそう解釈)
〇 仕事を頑張ったのだから、体を触っても許される
こういったものが挙げられます。
成人向けの漫画に痴漢をされて喜ぶ女性が描かれていたり、痴漢仲間を呼び掛けるサイトがあることに恐怖を感じます。
痴漢サイトでは、「痴漢されるのを待っている子がいるから、その子を探す」と躍起になり、盛り上がっていることもあります。
酷く拒絶されたり、警察に突き出されそうになると、「相手を間違った」と改めて探そうとするのだとか。
鳥肌が立つほど気持ちの悪い思考ですが、これが認知の歪みです。
痴漢加害者の動機
加害者は性的衝動のために痴漢や強姦をするのだと思われがちですが、更生プログラムの担当者は必ずしもそうではないと話します。
〇 痴漢や強姦の中毒に陥っている
〇 支配欲、独占欲の発散方法
性的欲求でない証拠として、勃起をしていないことが多くあるのだそうです。
ストレスの発散方法は人それぞれです。
酒やギャンブルなど、中毒症状を起こすものもあります。
痴漢などの性犯罪も性依存症に含まれます。
例えばギャンブル依存症の場合、ギャンブルができないことによって溜まるストレスを、ギャンブルをすることで発散するものです。
仕事のストレスや家庭のストレスをギャンブルで発散することはできないと言われています。 つまりよく言われる「仕事のストレスが溜まっていた」という言い訳は、本来は理屈が通っていないのです。
捕まるリスクは生活を失うリスクを伴っています。
それでも「触りたい。スリルを味わいたい」という欲求が先立つのですから、異常です。
痴漢更生プログラム
人の体を使ってしか満たせない中毒は、非常に厄介です。
加害者はごくごく普通の見た目や勤め先(学校)であることが多く、四大卒が多いという統計もあります。妻子持ちやモテる外見の人もいて、一見して判断することはできません。
認知の歪みから自身の行動を正当化している場合が多くあるため、再犯率が高く自力での更生困難です。
更生プログラムの利用が勧められます。
性犯罪をやめられた理由として以下が挙げられています。
〇 職場を失いたくない
〇 周囲に迷惑をかけたくない
“被害に遭う人を増やしたくない”という理由は挙げられていません。
加害者は被害者の精神的、肉体的ダメージをあまりに軽視しているからです。
抵抗しなかった → 俺を受け入れていた → 彼女も楽しんだ → 痴漢されたがっていたのだからいいことをした → 利害の一致 → 謝る必要はない(形式上謝ったとしても謝罪の気持ちはない)
更生プログラムに参加し、更生したと言われていても、被害者への加害意識が著しく欠如していることがわかります。
結局は痴漢で得られる快楽と、捕まった時に被る自分への害を天秤にかけて、実行するかどうかを判断しているのです。
写真家にのみやさをりさんの勇気ある活動
写真家にのみやさをりさんは、かつて職場の上司からレイプされました。
周囲に被害を訴えても理解されず、被害者が責められる構図を経験されています。
被害から25年経つ今もPTSDや解離性障害に苦しみ、通院と服薬が続いています。
加害者に都合のいい認知の歪みを取り除くため、被害の実態を認識させる必要があると、更生プログラムに参加する加害者たちに被害者の苦しみを伝える活動をされています。(参考)
被害者の実態を知って初めて、被害者への贖罪の気持ちを生むことがあるとにのみやさんは語っています。
PTSDを抱えるにのみやさんが加害者の前で語るのは、言葉にはできないほどの苦悩があると思います。
敬意を表します。
痴漢の対処法
痴漢に遭った際の撃退法についてお知らせします。
行動で示す
私の例です。痴漢には何度遭ったかわかりません。
毎日ではありませんでしたので、電車通学や通勤をしている友人たちの中では少ない方でしたが、やはり毎回最悪な気持ちになりました。
高校生時代は泣き寝入りしかできませんでした。
高校の先輩が痴漢を捕まえて駅員に突き出したと聞いて、憧れるくらい、勇気のいる行動でした。
痴漢は地味で騒がなそうな子を好むといいます。
実際私は地味でしたが、アフロにしていた派手な子が私よりよく痴漢に遭っていましたので、容姿だけで安心はできません。
学生時代に地方の大学に進学し、その後都内に戻ってくると、また痴漢に遭うようになりました。
年齢を重ねたせいか以前より度胸が据わるようになり、泣き寝入りしてなるものか! と思うようになります。
しかしいざとなると怖くて声を上げられず、痴漢の腕を掴む勇気もない(痴漢に触れたくないのもある)自分がイヤになりました。
痴漢をされたある日、意を決して行動を起こしました。
「5,4,3,2,1」と心の中でカウントダウンをして、一気に顔を振り向きました。
手の伸びている方向はわかっています。
大体の目星がついていました。
私が一気に振り向いたことに痴漢が驚き、即座に顔を背けました。
こいつだ! と確信を持ちました。
しかし声が出てきません。
顔をそむけた痴漢を睨む以外にできることがなく、数秒経つと、私と痴漢の不自然な行動に周囲が騒ぎ出しました。
「痴漢じゃない?」
「痴漢だろ。あの顔を背けている男が痴漢?」
周囲がざわつき始めました。
車内の混雑で、簡単に体の向きを変えられる状態ではありませんでした。
そのため痴漢は体を私に向けたまま、顔だけ背けているという、不自然な状態で固まっていました。
数分後に停車駅でドアが開くと、痴漢は逃げるように去って行きました。
私の最初で最後の抵抗でした。
なぜなら、それ以来痴漢に遭わなくなったからです。
会社のすぐ近くに引っ越しをして、電車に乗らなくなりました。
その後再度引っ越しをして電車通勤になった時期がありますが、路線が変わったためか痴漢に遭うことはありませんでした。
どうしても声が出せない時には、首だけ振り返る撃退法がお勧めです。
痴漢抑止バッジ
痴漢抑止バッジをご存じでしょうか。
痴漢を許さない、見逃さないぞ! とアピールすることを目的に作られたバッジです。
「こちらは泣き寝入りしない。だから手を出すなよ。」とけん制するのです。
痴漢バッジをつけたところで、性的興奮の前には意味がないのでは? と思われる方もいるようですが、前に述べたように、「痴漢されたがっているはず」という認知の歪みをもつ痴漢常習犯たちには有効です。
☟痴漢NOバッジの例
痴漢撃退アプリ
近日話題になっているのが、警視庁が作成し使用を呼び掛けている「Digi Police(デジポリス)」です。
アプリが許可を求める写真の使用を拒否し、活動地域を登録しなくても使用が可能です。
声が出せない時に、画面に痴漢です! と表示をすることで、周囲に知らせることができます。
☝ホーム画面はこのようになっています。
ホーム画面右下の「痴漢撃退」をタップすると、☟このような画面になります。
画面をタップすると、マナーモードであっても「やめてください」と大きい音を発します。
これは非常に効果があると思います。
周囲を味方につければ捕まえられる可能性が高くなりますし、捕まえられなかったとしてもその場では痴漢被害から解放されます。
痴漢は再犯を繰り返しますから捕まえたいところですが、中々難しいのが現状です。
痴漢が冤罪前提?
一時期、痴漢を疑われた男性が命がけで線路を走って逃げる例が相次ぎ、ニュースとなりました。
冤罪で人生を狂わされる例が本や映画になり、それを恐れて逃げるのだと取りざたされました。
その報道は、線路を逃げた人すべてが「冤罪」と決めつけるような世論を呼びました。
個人的な意見ですが、私は少なくとも最初に線路に降りて逃げた男性は、冤罪ではなかったと考えています。
命をかけてまで線路を疾走して逃げるのは、異常な判断です。
命を天秤にかけてまで隠したいことがあったのだと考える方が自然です。
それ以降の方については、ニュースに影響されて「線路に逃げるまでしないと冤罪にされてしまう」と思い込んだ方が含まれている可能性があると思いますが、どうでしょうかね。
私がこう思うのは理由があります。
ある男性が道行く女性を盗撮していました。
妻がデータを発見し問い詰めると、あの手この手で妻の口を塞ごうとしました。
盗撮は妻と出会う前から続けていたにも関わらず、妻に与えられたストレスが原因だと責め立てました。
認知の歪みです。
男性は妻に口外しないことを約束させ、離婚に至っています。(私は妻の友人です)
妻は衝撃的な事件が次々と起こったことで精神的に追い詰められ、何年にも渡って非常に苦しい思いをしました。
男性の異常な疾走感と豹変ぶりは、「危険な線路を走ってまで自分を守る」行動と重なりました。
確かに示談金を狙った痴漢のでっち上げや、痴漢の手を取り違えた冤罪があったのは非常に問題です。
あってはならないことです。
しかし痴漢の罪を冤罪前提で見る風潮には、大きな危険を感じます。
痴漢が非常に多いことは、紛れもない事実だからです。
痴漢を疑われたら取るべき行動
現行犯が基本の痴漢では、被害者が痴漢を捕まえた時点で私人逮捕となり、現行犯逮捕が成立します。
駅員室に行くと警察を呼ばれ、引き渡されます。
冤罪の場合ははっきり住所や氏名を述べ、「痴漢をしていない」と主張し、身分証明を見せて立ち去るよう勧められています。
会社の名刺を渡してしまうと会社に連絡された時に社内で誤解を招くことがあるため、個人の証明ができるものがよいとか。
痴漢加害者は身元を知られることを恐れるため、身分証明を躊躇います。
何度も痴漢を疑われている場合は、本物の痴漢ではと疑われやすくなるからです。
今どき身分証明を全く持っていないのは不自然です。
痴漢をしていないのであれば、公然と身分証を提示してその場を去ることが得策なのです。
痴漢を疑われるなんて、腹立たしい限りですが、全ては痴漢の犯人が原因です。
痴漢を訴える被害者がいたら、どちらかに肩入れし過ぎず、公平な立場で証言のご協力をお願いします。
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