歯列矯正は自粛対象
私は生まれつき反対咬合でした。受け口と言われ、上の歯より下の歯が前に出ている噛み合わせのことです。
外見上異常がないように見えましたが、肉などを噛み切ることができず、ずっと咀嚼を続けていました。母は食べるのが遅いといつも怒っていましたが、小学校の歯科検診で矯正を勧められたことで初めて反対咬合に気が付いたそうです。
歯並びの悪さは父の遺伝でした。歯列矯正は必要か否かで両親が喧嘩を繰り返したものの、母が推し進める形で小学一年生から高校二年生まで矯正に通いました。
私には三人の娘がいますが、長女にのみ遺伝しました。結婚前から歯並びが遺伝するかもと夫に伝えており、そうなったら歯列矯正をしてあげたいと話していました。
色々な歯科で説明を受けましたが、歯列矯正の経験者として突っ込んだ質問をすると答えられなかったり、専門の歯科医が週に一度しか来ないなど、対応が十分と思えないクリニックもありました。歯列矯正は高額だけど失敗することがあり、訴訟になることもあると聞きます。
どうしようかと悩んでいたところ、知り合いの勧めで歯科大学付属のクリニックに相談することにしました。
結果、他のクリニックより断然詳細に、そして根拠のある説明をされ、費用も一般的でしたので、そこにかかることにしました。
6歳の後半から通いだしましたので、反対咬合の矯正としては決して早い方ではありませんでしたが、あっという間に綺麗な歯並びになりました。
骨の形状などから手術が必要ない程度だったことや、長女の反応が良かったのもありますが、手腕もあるのではないかと思っています。
常時装着する装置を定期的にメンテナンスしたり、新しいものに交換するなどしてきました。
しかしこの新型コロナウイルスで緊急事態宣言が発令され、しばらく休館すると連絡がありました。
歯列矯正は緊急性が低いということで、自粛対象となったようです。
歯列矯正は装置に異常が起きない限り1、2か月先延ばしにすることができます。
口の中の処置は感染のリスクが高いので、こちらからキャンセルをしようかと思っていたところでの連絡でした。
暫く休館し、再開は未定です。装置に不具合が出るなどの急を要するときのみ急患として受け入れが可能です。申し訳ありませんと連絡をもらいました。
謝ることではありません。こちらこそ、さっさと予約をキャンセルせずすみませんと話していました。
そして緊急事態宣言が予定を繰り上げて撤廃され、営業が再開されました。
6月に入ると長女と次女の小学校や三女の幼稚園、長女の習い事などが再開し、何がどうなるか見通しが立たなかったため、休校である5月中に診察を受けるべく、行ってきました。
導線
いつも入れる駐車場からの入館を禁止されていました。
必ず正面玄関から回り、建物に入る前にパネルを見せられ、マスクをしているか、体調不良がないか等のチェックを受けます。そして検温に協力できるかの意思を確認され、初めて建物に入ることができます。
入ってすぐに消毒効果のある青いマットに立ちます。そしておでこで測る体温測定を受け、体温を教えてもらいます。
次に手の消毒をします。
その際、消毒ボトルに手を触れることはありません。係の方が足で踏み、操作してくれます。
やっと二枚目の扉をくぐり、ロビーに入ることができました。
そこで書類を書きます。まず診察を受ける長女と、付き添いである私と次女、三女の計3枚です。
診察券番号や連絡先、先ほど測った体温と体調不良がないかを選択制で答えるものです。
記入が終わると、消毒済みと表示のあるファイルに入れられ手渡されます。
そして私や子どもたちが座った椅子やテーブル、ペンなどを消毒していました。
緊急事態宣言下の我が家は、出勤しなければならない夫以外、1週間から10日に一度私が買い出しに出るだけでした。
長時間ではありませんでしたので、子どもたちは9歳を目前にした長女に任せていました。
歯列矯正は長女を連れださねばならず、時間も移動時間を含めると数時間かかるため、6歳と3歳児を置いていくのは危険だと思い、久しぶりに連れだしていました。
入館のための処置や管理にたくさんの人が対応していました。
やはり留守番をさせるべきだったのか。子どもを3人も連れてきて申し訳なく思いました。
その方たちはそのクリニックに勤務している方達だそうです。
いつまでこういった処置をするか未定だけれども、7月いっぱいまでは続けるだろうと言われていました。
エレベータに担当の係が立ち、逐一ボタンを拭いていました。
診察開始
歯列矯正の待合室は全ての窓が開いており、ベンチは間隔をあけて座るように椅子に張り紙がされていました。
子どもの遊ぶスペースのおもちゃや絵本はすべて撤去され、感染防止のためと張り紙がされています。
担当の先生はいつもの出で立ちでしたので、入館をクリアしたら割といつも通りなのかと思いました。
長女だけ処置エリアに入り、しばらく待っていたところ、処置の説明があると呼ばれ、私も処置エリアに入りました。
すると、先ほどまでいつもと同じ白衣とマスク姿だと思った先生が、頭に不織布の帽子をかぶり、フェイスシールドとマスクを着け、白衣は脱いでおり、不織布の布のようなものを着た上に、厚手のゴミ袋に切り込みを入れ頭を通し、首や腕などの部分を弱粘テープで留めていました。
酷い絵ですが、こんな感じです。
診察の終わりにはまた白衣で現れましたので、やはり患者ごとに替えているのだと思います。
予約者も絞っているのでしょう。いつもよりかなり少なかったです。
先生たちは移されるのも移すのも恐れ、最大限の注意をしていました。
次回の予約をしビニールに囲まれた会計窓口にファイルを出すと、帰りは正面玄関ではなく、駐車場に通じる裏口から出るようにお願いをされました。
導線を確保し、戻って検査前の人と会わないようにしているようでした。
裏口を出る前と出た屋外にも消毒装置が置いてあり、利用しました。
医療関係者の心労は計り知れない
医療関係者の負担があまりに大きいものだと、しばらく前から報道されていました。
NHKのクローズアップ現代なども欠かさず見ていて、どれだけ大変な対応を迫られているかわかっていたつもりでした。
大変な話を聞くたびに、申し訳ない気持ちになり、そして感謝で一杯になっていたのに、実際の対応を目の前にすると、自分の認識の甘さを痛感しました。
すでに感染が収まってきていますが、第二派は必ず来ると言われています。
警戒心を持ち続けていなければならないと反省しました。
医療関係者の皆様、改めてありがとうございます。