三姉妹を育てる母です。
高校大学と美術を学んできました。
私は絵を描くことが好きですが、子どもたちは揃って苦手だと話します。
私には理解しがたい事態です。
原因を考えたとき、思い当たることがいくつか挙げられたのですが、その一つが「水彩絵の具は難しい」でした。
子どもにはアクリル絵の具の方が合うのでは? と思い、子どもに勧めたところやはり喜んでくれたので、その理由をお伝えします。
お絵かきが苦手な理由
小学生の娘二人に、「お絵かきの何が苦手なの?」と聞いてみました。
するとこんな答えが返って来ました。
○水彩絵の具を使うと紙が歪む。
○たくさん重ねると色が汚くなって紙が削れる。思うように描けない。
肌は薄いオレンジを塗る。
髪の毛は黒か茶色を塗る。
海は青、太陽は赤か黄色。
こんな指定をされたら、色に面白みが感じられないでしょう。
しかしいつの間にか子どもたちは「こうするもの」という先入観が植え付けられており、子ども同士で「ここにはこの色を塗るもの」と指摘し合っているのです。
これは由々しき事態です。
海は青ではない。青のように見えても、中には赤も黄も緑も灰も入っている。
感じたままに自由に、好きに色を重ねて行けばいいんだよ。
そう伝えたところ、子どもたちはすっかり混乱しました。
そして夫に、「海が青でもいいじゃん。好きに描かせてあげなよ」と言われる始末。
人に感覚的指導するのは難しいのだと知った一件でした。
私は色の使い方に口を出すのを辞めました。
海が青でもいい。確かに夫の言うように好きにさせるべきだと悟りました。
色は遊びの中で学ぶものです。
表現の仕方は絵の具を触っているうちに、自然と身につくものだと考えました。
しかし子どもたちは絵の具遊びが楽しくないと話します。
その理由が上に挙げた「水彩絵の具を使うと紙が歪む」「たくさん重ねると色が汚くなって紙が削れる。思うように描けない」でした。
これについては子どもたちが絵を描く様子を見ていて、常々感じていました。
私が小学生だった頃は写生会があり、図工の時間によく絵具を触っていたように記憶しています。
しかし私の子どもたちは、絵の具を使う機会がずっと減っていました。
代わりに増えているのが、カラーペンやペットボトル等を使った立体物の作成でした。
立体を作るのはプログラミングに近い要素もあり、空間能力が養われていい試みだと思います。
しかしその製作が増えることで絵具に触れる機会が減り、絵の具の使い方を学ぶ時間と同時に面白みを感じる時間も減っているように感じました。
子どもたちが「絵の具が苦手」と思ってしまうのは寂しいです。
苦手意識を減らせる絵の具に触れさせたいと思いました。
水彩絵の具のデメリット
水彩絵の具の特性とデメリット
小学校で使われる水彩絵の具は、絵の具を水で溶いて紙に載せます。
乾きが遅く、紙に載せた後でも水に濡れると絵の具が溶け出す性質があります。
敢えて紙の上の絵の具を滲ませて色の変化を楽しむ技法が使えますが、色を次々に重ねて深みを出す重ね描きには向きません。
絵の具の扱いに慣れてくれば重ね書きもできるものの、そこに至るまでに絵の具を学ぶ積極性と時間が必要です。
また、濃い濃度で塗りつぶし、マットに仕上げることにも向きません。
そのように塗ることも可能ではありますが、多くの絵具を使うことになります。
水彩絵の具は熟練者向けのマイナスの美術
私は水彩絵の具を「マイナスの絵の具」と捉えています。
水彩絵の具の魅力が少ないという意味ではなく、絵の具の使い方を熟知した絵描きが、出来上がった世界観から厳選した色を抽出してサラっと描くことに向いている絵の具という意味です。
何度も色を重ねる「プラス」ではなく、脳内でイメージした多くの要素を省き厳選するので、「マイナス」と捉えています。
絵が嫌いになる悪循環と水彩絵の具
小学生にマイナスの美術を求めるのは難しいと感じます。
絵の具の扱いこれから知る実験段階にいるからです。
そのため子どもたちは何度も色を重ねようとして紙が歪み、削れてしまいます。
色遊びに到る前に「上手く描けない」という思考に到ってしまいます。
上手く描けるようにと色の指定をする先生が現れたりして、余計に面白くなくなってしまいます。
そして絵の具に触れる機会が減っているために、嫌煙したまま時が進んでしまう悪循環に到ります。
勿体ない!
水彩絵の具のメリット
水彩絵の具は流通数が多いため、メーカーが安価で販売しています。そのため多くの子どもが手にしやすい画材です。
(天然の顔料を使っている水彩絵の具は高価です)
絵の勉強をしている学生は、ホルベイン以上のものを使用していることが多いのではないでしょうか。
それでもそれほど高価ではありませんね。
絵が苦手な子どもにこそ、アクリル絵の具の勧め
水彩絵の具に苦手意識を持つ子どもに勧めるのが、アクリル絵の具です。
アクリル絵の具は水彩絵の具同様に水で溶いて使いますが、乾くと耐水となります。
つまり重ね塗りができます。
乾くのが早いため、描きながら重ね塗りができます。
乾くまでは水彩絵の具と同様の感覚で描けます。
筆も水彩絵の具と同じものを使用できます。
紙の上で絵具同士を滲ませることもできますし、乾けば色を重ねられるので、これから絵の具の楽しさを学ぶ子どもに向いています。
アクリル絵の具に手持ちの水彩絵の具を混ぜながら、色を作ることもできます。
アクリル絵の具は水彩絵の具と一緒に使ったり、油絵具と使ったりと、汎用性が高い絵の具となっています。
価格は水彩絵の具の安いものと比べ、12色セットあたり+¥200~¥300程度ではないでしょうか。
100円均一ショップでも一色ずつ販売されています。
アクリル絵の具でできること
水彩絵の具は優しい色合いが魅力の画材ですが、小学生が扱うと本意ではないモヤっとした色合いに落ち着くことがあります。
対してアクリル絵の具場合は、このようにはっきりとした色合いを出すことができます。
☝青を先に塗り、赤を塗り、黄を最後に塗りました。
青が乾く前に赤を塗ったので、滲んでいます。
対して赤が乾いてから塗った黄は滲んでいませんが、しっかりと色が重なって見えています。
このように、紙の上で色を重ねる面白さを感じられたり、水彩絵の具のように滲ませる表現をすることができます。
アクリル絵の具はベタ塗りでマットな仕上がりにすることができますが、水で薄めると水彩絵の具と似た表現をすることができます。
こちら☟は平筆で水を多く含ませ、縦に色を塗っただけです。
水彩絵の具のような発色です。
乾いた上に白いアクリル絵の具を塗ったのがこちらです。
白をベタ塗りしているわけでもないのに、しっかり描けています。
一分もかからず乾きます。
この白が乾いた後に、さらに色を載せたのがこちらです。
淡い色も濃い色も載せられます。
或いは背景と同化させるように、薄く塗り足すこともできます。
アクリル絵の具は黒く塗りつぶした上に、花火の火の粉を点々で描いて、花火の光を映えさせる絵などにも向いています。
濃淡がつけやすくなり、インパクトが増します。
実際に小学生の子どもがアクリル絵の具を使ってみた図がこちらです。
何かを描いているわけではなく、色遊びをしています。
これまで淡い色でしか塗れなかったのが、容易に望んだ濃い色で塗れたと喜んでいました。
「これなら好きなものが描ける」と言って、今は夏休みの絵画の宿題に何を描こうか楽しそうに考えています。
アクリル絵の具の注意点
アクリル絵の具は乾くと耐水性を持ち、固まる特性があります。
そのため、特に片付けに注意が必要です。
パレットや水バケツについた絵の具が乾いてしまうと、取れにくくなります。
汚れが落ち切らないのが嫌な方は、汚れてもいいものを使用しましょう。
水バケツ
わが家では、水バケツは水彩絵の具と同じものを使っています。
ふちについた絵の具はバケツの「味」になるので気になりません。
気になる方は、プリンの空き容器などを使ってもいいですし、使い捨ての塗料カップを代用するなどお勧めします。
パレット
パレットはほぼ確実に色が残ります。
水彩絵の具のパレットとは別に、アクリル絵の具専用のものを用意することをお勧めします。
アクリル絵の具が残っているパレットで水彩絵の具を使うと、水彩は透過性が高いため色が見にくくなってしまいます。
わが家で使っているのは、シャーレ型の溶き皿とペーパーパレットです。
溶き皿
プラスチック製、陶器製と種類があります。
陶器製の方が色移りがしにくく、長持ちしますが重いです。
持ち運びをしたり小学生くらいの子どもが使う場合は、プラスチック製がお勧めです。
乾くと色が残りますが、その上で絵具を混ぜることができます。
☟以前の色が残っている、わが家のプラスチック製溶き皿。
十分使えます。
ペーパーパレット
洗う必要がなく、ぺらっと剥がして捨てられる紙パレットもお勧めです。
その名の通り、紙のパレットです。
台紙から剥がさずに使えば、手に持って使えます。
一枚で使用しても、下に染みません。
そのためテーブルに置いて使いました。
絵の具が苦手な子どもの夏休みの宿題にアクリル絵の具を
子どもの宿題に、絵の具を使った絵が出されることがあります。
絵が好きではない子どもは「めんどくさい」と言って益々絵を嫌煙する傾向があります。
もし少しでも絵の面白さを知ってほしい! と思うなら、アクリル絵の具を試してみてはいかがでしょうか。
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