裁判の傍聴をしてみたいと思いながら、実現できていない方に向けた記事です。
私は横浜地方裁判所でのみ傍聴を経験しています。
横浜地方裁判所以外の裁判所では様子が異なる可能性がありますので、ご注意ください。
裁判の傍聴に興味を抱いたきっかけ
私は気性が激しい両親の元で育ちました。
小学生の高学年になったころには、「私の両親は精神が幼い」と思いながら、日々を耐えていました。
生活が困窮するにつれて両親の精神的な不安定さが熾烈を極め、この家にいたら生きていけないと考えるようになりました。
同時に、なぜ両親の気性が激しいのか、どういう思考で暴力に走るのかを知りたいと思い、虐待のノンフィクション本や精神科医の本を読み漁るようになります。
進学と共に家を出ると精神的に解放されましたが、それまで抑圧されていた反動なのか、様々な精神的症状が現れるようになり、長く戦うことになりました。
本で得た知識を元に両親の精神分析を進める行為は、私自身を振り返ることにも繋がりました。
自身を幼少期から振り返る中で、ある事実を思い出しました。「この家では生きていけない」と一人で抱え込んでいたころ、私に懐いている飼い猫を傷つけたいという衝動に駆られていた記憶です。
もちろん、衝動はありながらも、世話をしたり撫でたり一緒に眠るなど、それまでと同じように可愛がることしかしていません。私がこの子(猫)を傷つけてしまったら、この子はきっと困惑し悲しむだろうと想像して毎度思いとどまっていたからです。
なぜそんな思考になったのかと、過去の自分が恐ろしくなりました。動物虐待はゆくゆく人間へ向かうと言われており、世界で相関性が認められています。私はサイコパスなのかもしれない、とんでもない怪物なのかもしれないと考えるようになりました。
実家を出てから20年以上が経っていますが、あれ以来生き物を傷つけたいと思ったことはありません。むしろ生き物を傷つけるくらいなら自分が消えるべきだと確信しています。今となっては、当時はそんな恐ろしい衝動に駆られるほど精神的に追い詰められていたのだと考えています。
虐待のノンフィクション本を読み漁った後は、世間を騒がせた事件のノンフィクション本を読むようになりました。事件を起こす人の狂気がどこから来るのかを、知りたかったからです。
それは私が40歳を超えた今でも続いています。
非常に興味深かったのは、児童精神科医の本でした。発達障がいと知的障がいを持つ子の問題行動と、親の親まで遡る生育環境の影響について綴られていました。
私は未婚のときに、知的障害のある方に酷い痴漢を受けたことがあります。自分が汚くなったように感じられ、この記憶が消せないのなら自分が消えてしまいたいと考えるほどでした。
障がいがあるから罪に問えないというのなら、自由に行動させるべきではないと強い怒りが湧きました。
被害者は私なのに、痴漢行為をやめさせることができなかった私が悪いような責められ方をしたことも納得がいきませんでした。
この記事は、知的障がいのある男性から性被害を受けた経験と、今親になって思うことを記しています。性被害については、当時の感情のまま表現しています。ご了承ください。知的障がい者から痴漢をされる私が大学生のとき[…]
でも結婚して出産すると、誰でも障がいを持つ子の親になることがあるのだと身をもって知りました。
私の子どもが幼稚園で、発達障がいと知的障がいを抱える子に集中的に加害されたのです(加害してしまった子には加害の意識がない)。
次女が通う幼稚園には、数人の発達障がい児がいました。そのうちの一人の男児に気に入られ、次女は日常的に暴力を振るわれるようになりました。なぜ娘が痛い思いをしなければならないのか、という憤りと共に、男児の母親が気に病んでいること[…]
その子の母親とは、もともと付き合いがありました。子どもへの接し方で悩んでいたことを知っていましたので、どうすることが家族や社会にとって良いのだろうとその母親と相談をしたり、幼稚園に対応を求めるなどしました。大変難しい問題でした。
発達障がいについての本を読むようになり、そこから派生して、刑務所、少年刑務所の精神科医の本も読むようになります。
彼らの本に共通しているのは、問題行動が多い子(明らかな発達障がいによる加害を除く)は「幼少期の環境が悪いことが多い」「親に問題があるケースが少なくない」という事でした。また、罪を犯して刑務所に収容される人は「知的な問題を抱えているケースが非常に多い」というのです。
裁判による判決は、日本の「価値観」の指標です。
例えば私は不同意性交等罪について、客観的に疑いようがない状況で前科があるのなら、無期懲役以上が課せられるべきと考えています。「命を奪ったわけではないのだし、体は減らないのだから重い罪ではない」との意見があることは知っていますが、凌辱は内臓を傷つけて精神的な支配をする卑劣な行為であり、精神的に重い後遺症を負わせて間接的に死に追いやることが少なくない上に再犯率も高い重罪である、と疑いません。
しかし日本の性犯罪の量刑は軽いです。アメリカ等と違って刑務所の環境も良く、刑務所内では食事にも医療にも困らないにも関わらず、刑期も短いのです。罪を償うとはどういう事なのでしょう。これらをひっくるめて、日本の価値観なのです。
欲と衝動を優先することで罪を犯す彼らは、理性が働いていないという意味で、確かに思考(知的)に問題があるように感じられます。
では彼らはどう裁かれて、刑に服すことでどう変わるのかを知りたいと思い、裁判の傍聴に興味を抱くようになりました。
横浜地方裁判所・傍聴の流れ
傍聴をしてみたいと思いながら何年も実現できませんでした。
なぜなら、平日の昼間しか裁判が行われていないので、時間的な制約があること。
傍聴の流れをインターネットで調べてみても文字だけのザックリとした説明しかなく、裁判の内容をどこでどう調べられるのかがわからず、不安があったからです。
そんなある日。学校の行事の振り替え休日で平日休みとなった中学生の娘が、「傍聴行ってみたい!!」と前のめりの返答だったため、挑戦することにしました。
傍聴に年齢制限はない
裁判の傍聴に年齢制限はありません。
赤ん坊でも幼児でも可能です。
しかし裁判を妨害するような声や物音を発すると、退廷を命じられることがあります。
従わなかった場合は罪に問われる可能性がありますので、注意が必要です。
横浜地方裁判所
私が向かったのは横浜地方裁判所です。
私は神奈川県の横浜市民です。
神奈川県は横浜地方裁判所(横浜地裁)を本庁とし、相模原、川崎、横須賀、小田原に支部があります。相模原、川崎、横須賀、小田原は家庭裁判所と簡易裁判所とを兼ねていて、簡易裁判所はこれら以外も含めた11箇所が設置されています。
地裁に限らず、家庭裁判所、簡易裁判所の裁判は原則傍聴することができます。
一部公開されていない裁判は、傍聴することができません。
地裁の支部や家庭裁判所、簡易裁判所は地裁に比べて扱っている件数が少ないそうなので(インターネット情報。神奈川県は人口が多いのでそれなりの件数がありそうですが、傍聴をしたことがないので実際はわかりません)、横浜地裁に向かいました。
裁判は基本10時から開始するとの情報を見て、9時45分頃に現地に着きました。
この正面玄関から入りました。
裏口は出口限定となっていて、入ることができません。(2025年6月現在)
横浜地裁の手荷物検査
入口には「所持品検査実施中」の表示がありました。
建物に入ると、空港の手荷物検査に似た検査場があります。
裁判所の関係者以外は手荷物検査や身体検査を受けなければなりません。
まさにこんな感じ☟でした。
検査官が3人程居り、手荷物をカゴに入れるよう指示されます。
ポケットに入っている金属類もカゴに入れて預け、自身はゲートを通って、検査を終えた手荷物を受け取ります。
検査場には裁判所に持ち込めないものを説明する看板がありました。
裁判を脅かす可能性があるものが禁止されているようです。刃物等の凶器はもちろん、スプレーやカメラ、長い傘、襷、ハチマキ、のぼり、拡声器など、主義主張を表すものの持ち込みが禁止されています。
持って入れないものは、ロッカーや傘立てに預ければ入ることができます。
法廷での飲食は禁止されていますが、手荷物の中に飲み物を持って入ることはできました。
空港の検査官より優しい対応でした。
禁止物を何も持っていないのに、検査時に緊張するのはなぜなのでしょうね。
因みに私は空港の手荷物検査で絵の具で引っかかったことがあります。
当時私は美大に通っていましたので、ちょっと良い素材の絵の具を使っていました。
顔料には天然由来の毒物が含まれていることがあり、高価な絵具ほど含まれている確率は高くなります。
毒物を含む絵具は恐らく法廷にも持ち込めないと思われます。絵の具を持ち込む方はご注意ください。
裁判の予定表=開廷表
手荷物検査を終えるとその奥の壁に、開廷表が掲示されていました。
行けばすぐにわかります。
☟こちらで横浜地裁の開廷表の掲示板の様子が見られます。
裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。…
向かって左手が民事裁判。右手が刑事裁判で、「民事」「刑事」と掲示されているのでわかりやすかったです。
開廷表は「撮影禁止」と大きく表示されていました。
事前にインターネットで裁判の予定を調べられたら良いのですが、一般の裁判の予定は現地に行かなければわかりません。
一方、裁判員裁判の予定は裁判員裁判開廷期日情報(横浜地方裁判所本庁)で確認することができます。
民事裁判は資料のやり取りが主となり、争点がわかりにくいと聞きましたので、刑事裁判を傍聴したいと思っていました。
開廷表には開始時間と終了時間、法廷番号(法廷の部屋番号)と事件番号、被告人名、罪名が書かれていました。
開廷表に書かれている内容は、裁判所により違うようです。
「どれが初回の裁判なのだろう」と娘と小さな声で話していると、傍聴常連者らしき(雰囲気的に)男性が教えてくれました。「新件」(確か)と書かれているものが第一回目の裁判でした。
何回目かの裁判を見ても全貌がわからないと聞いていましたので、その日「新件」と書かれていた2件を傍聴することにしました。
10時から10時半まで予定されている新件と、10時半から数時間かけて行われる裁判員裁判の新件を傍聴することにしました。
撮影が禁止なので、時間や罪名、法廷番号等をメモに書いてその場を離れました。
初めて傍聴をした日の新件は2件のみで、どちらも午前中の開始でした。
判決案件は午後遅い時間でしたので、新件が午前中、判決は午後が基本なのかと思いましたが、違う日に訪れると、新件が5件近くあり、開始時間は朝から午後までまちまち。判決も朝一で行われるケースがありましたので、法則はないようです。
因みに裁判は10時開始が多いようですが、9時50分に始まる裁判もあります。
それに間に合うためには、遅くても9時40分までには地裁に着いておくことをお勧めします。
また、開廷表の被告人名が空欄の場合は、特定少年事件です。
エレベータで法廷のある階へ
開廷表が貼られた掲示板の壁の向こうに、エレベータがあります。
法廷番号は401や402などと書かれていましたので4階だろうと思いましたが、その通りでした。
法廷入口付近にあるランプが点くと、入廷できる
各法廷の「傍聴人入口」と書かれたドア付近には、その日その法廷で行われる裁判の開廷表が貼られています。
開廷表の上には黒い小窓があり、小窓が暗いうちは傍聴席に入ることができません。
「開廷中」のランプが点くと入口が開錠されているというサインになり、入廷して傍聴席に座ることができます。
私は傍聴常連者に教えてもらいましたが、こちら☟でもその写真を見ることができます。
ディスクリプション…
10時から開始の新件は、その日その法廷で最初の裁判でしたので、開始時間の10分ほど前には法廷に入ることができました。
書記官と検事、弁護士が静かに作業をしていました。
傍聴席の選び方
傍聴席のいくつかの背もたれには「報道専用」と書かれた白いカバーがかかっている席がいくつかあり、何も書かれていない白いカバーがかかる席もありました。
どの席に座るべきかと迷っていると、「カバーがかかっている席には座らないでください」と説明がありました。
傍聴席に座ってから裁判が始まるまでの数分、誰も何も言葉を発しませんでした。
非常ーーーーーに静かな空間です。弁護人や検察官が資料の確認をする際に出る紙の擦れた音がクリアに聴こえるほど、静かなのです。
通信機器の使用が禁止されていますので、皆、ただ裁判が開始されるのを待ちます。私のスマートフォンも電源を切って鞄にしまっていました。
私はスマートフォンを使うようになってから、時計を持ち歩かなくなっていました。
シンとした空間で、「あと何分で始まるのだろう」と疑問に思いました。
法廷には時計がありますが、傍聴席の真後ろの中心に壁時計が掲げられているので、傍聴人が時計を見ようと思ったら思い切り体を捻って見なければなりません。(私はど真ん中に座っていました)
静かな空間で、傍聴人も含めて殆ど動くことなく開廷を待っている方達の中で大きく体を捻ると目立つので、時計を持参するべきだったと後悔しました。
注目裁判以外の傍聴席の様子
無地の白いカバーがかかった席は、関係者が座るようです。
報道陣専用は報道陣用に確保された席です。
私が傍聴した新件の裁判に報道陣はいませんでした。
ではなぜ報道陣席があったのだろうと思っていたら、傍聴常連者が教えてくれました。
新件の次にその法廷で予定されている裁判が、世間を騒がせた強盗事件の関係者が被告だというのです。
逮捕された時に顔写真が報道されていて、そういう被告人は「有名人」となります。世間を騒がせた事件だったこともあり、報道陣席が多く用意されたようでした。
どんな人が傍聴するのだろうと見渡してみると、傍聴常連者と思われる男性数人がいました。その他に、ぶ厚い傍聴ノートらしきものを広げて何かを書いているらしい男性もいました。
私と同じように、傍聴に慣れていなそうな30代から40代程度の女性二人組がいましたが、その他は男性でした。罪状を聞いてすぐに出て行く傍聴人や、途中から入ってくる傍聴人もいました。
他の裁判では、複数の司法修士生や、高校生以上と思われる学生らしき男性の団体が傍聴していたこともあります。いずれも男性が圧倒的に多かったです。
立ち見による傍聴はできません。
注目裁判でなければ傍聴席が埋まることはないと思われますが、裁判の途中で傍聴席に入る際に空席があるか知りたい場合は、傍聴人入口のドアにあるのぞき窓を開けて様子を見ることができます。
被告人の手錠と腰縄
裁判の開始時間直前に、刑務官と刑事に付き添われた被告人が入廷します。
手錠と腰縄を外して、刑務官と警察官に挟まれる形で被告人が座り、開廷を待ちます。(特定少年の場合は流れが異なります)
因みに手錠と腰縄は逃走を防ぐためと思われますが、裁判の判決を受けるまでは罪が確定していないにも関わらず罪人である印象を与えるため、弁護士会が発信元となり物議が醸されているようです。確かに……。
開廷時間ピッタリに現れる裁判長に礼
裁判長は開廷時間ちょうどに現れました。
傍聴人を含めた全員が立ち上がりましたので、私と娘も合わせて起立しました。
初めて傍聴した裁判の裁判長は、すぐに手のジェスチャーと言葉で「どうぞ座って下さい」と声をかけたので、礼をせずに一同が座りました。
しかしそうする裁判長の方が少ないようです。
他の裁判では、裁判長が入廷すると同時に法廷内の全ての人が起立し、一礼をして座るのが普通でした。
検察官による起訴状の朗読は流れ作業
裁判が始まると、まず被告人が裁判の被告に間違いがないかの確認がされます。
その後、証拠を記した資料(多分)を見ながら検察官が起訴状を朗読します。この朗読が、長いです。
いくつも罪を重ねている場合は、延々と検察官が話し続けることになります。
早口の棒読みで読み上げます。ドラマのような抑揚はありません。長いと20分以上話し続けることになるので、とにかく早く終わらせたいのでしょう。早口で話し続けてこの時間がかかるわけですから、気持ちはわかります。
傍聴人はこの起訴状の朗読を聞くことで、被告人がいつどこで何をしたかを知ることができます。
裁判の様子がニュース記事になることがありますが、カメラや録音機器の使用は禁止されているので、メディア関係の傍聴人があの早口をメモするなどして記録しているのでしょう。(PCは持ち込めますので、速記しているのかもしれません)
傍聴人にも聞き取る能力が必要です。
私は大体の概要は理解できましたが、被告人(5つくらい罪を重ねていた)の罪の全ての発生日時や場所、詳しい罪状すべてをメモすることはできませんでした。修業が必要です。
裁判長の物言いは優しい
続いて裁判長は、被告人に黙秘権があることを説明します。
この説明が、どの裁判長もとても優しいのです。
語彙がない被告人にもわかるように、という事なのでしょうか。非常にかみ砕いた言葉で伝えます。
どの裁判長も同じ言葉を同じ順番で用いて説明をするのでマニュアルがあるのかと思いましたが、調べた限りではないようです。
と言うことは、「お、その言い方いいね」的な流れで自然発生的にマニュアル化していったという事でしょうか。面白いです。
裁判の流れ
法廷ドラマのようなドラマチックな展開はありませんが、フィクションよりずっと無常な光景が見られることがあります。
当然ですが、フィクションよりずっと人間的で、悪い言い方をすれば、人間の……というより被告人のどうしようもない(呆れの意味)様子と、なんとか再犯しないよう言い聞かせても全く通じない様子に苛立ちを見せる検察官の姿などを見ることができます。
裁判官も検察官も弁護士も、日本で一番難しいと言われる国家試験を通ってその座についているのに、思考が浅く視野が狭い上に理屈が通じない被告人を相手に、何とか説得できないかと向き合っては撃沈している様子を見ると、大変な仕事だと感じます。
酒を飲みながら彼らの本音を聞いてみたいものです。日本の司法がどうなって行くべきかという理想も……。
裁判の流れは、こんな感じです☟(素人なので間違っていたらごめんなさい)
冒頭陳述
検察官の証拠提出
弁護人の証拠提出
被告人質問
検察官による求刑
弁護人による弁論
被告人の最終陳述
次回裁判の日程調整
私が初めて傍聴した裁判は複数の罪を重ねていたので、裁判は複数回にわたるものでした。一度で終わる裁判もあるようですが、私は短くても二回で終わるものしか経験していません。
裁判の終盤に裁判長と検察、弁護士が次回裁判の日時の打ち合わせをします。
「この日、空いてる?」というフランク(に感じる)なものです。次回裁判を傍聴したい場合は、この日時をメモして訪れます。
5月の中旬に傍聴し、次回裁判は7月になりました。
殺人等の重罪でなくても、複数罪を重ねると裁判の間が空くものなのだと知りました。
裁判員裁判は一般市民が裁判に参加しているため、予め結審までの日程が決まっています。連日裁判があることも珍しくありません。証人尋問等もどんどんと裁判が進みますし、進行の合間で検察官等がかみ砕いた説明をします。予定が合えば傍聴する裁判としてお勧めです。
裁判の傍聴は危険?
「裁判を傍聴したいけれど、親族から『危険だ』と止められている」という方と出会いました。
裁判が危険な場になるなら、日本の司法は崩壊しています。
しかし裁判官や弁護士、法廷に立つ証言人が逆恨みされる事件は確かにあります。
傍聴人がその対象になる話は、聞いたことがありません。
ただ一度、「勘違いされたらどうしよう」と少しだけ焦ったことがあります。
あるホスト系男性である被告人が起こした、傷害事件の裁判を傍聴した時のことです。
金髪でロングヘア、露出の大きい派手な服装をした女性が傍聴席の最前列に座りました。
被告人席のすぐ後ろの席です。
傍聴席に入ってきた時から、その動作の大きさに威圧感がありました。被告人の風貌と釣り合っていましたので、彼女かな? と思っていたら、その通りでした。
裁判で検察官が目撃者の証言を取り上げて尋問をした時のことです。落ち度がない被害者に「慰謝料を払え」と因縁をつけたという証言について、被告人が、「それは僕ではなく、一緒にいた彼女が言いました」と否定しました。
彼女の存在は起訴状の朗読でも明らかにされていましたが、検察官が「彼女?」と呟いたところ、被告人が「はい。そこに座ってます」と明確に証言したため、「やはり彼女だった」とわかったのです。
この裁判から、被告人が頭に血が上りやすく厄介な性質があることがわかりましたが、彼女も同類の性質を持っていることが分かるエピソードが多分にありました。
・「喧嘩が強そうな彼女だ」(見た目による憶測)
・「冷静な話し合いをするのが難しそうな彼女だ」(調書、証言による憶測)
・「敵に回したら相当粘着質な性質だと想像してしまう」(目撃者証言による憶測)
・「被告人と話しをしただけで『私の男に色目を使うな』と怒られそうだ」(憶測の積み重ねで行きついたイメージ)
などと思っていたら、前述したとおり微動だにしない傍聴人ばかりの傍聴席で彼女は大きく振り返りました。
険しい顔で傍聴席をゆっくり見渡すように、観察し始めたのです。「どんな奴が何の目的で傍聴席に座ってんの?」と思っている表情に見えました。(完全なる憶測)
咄嗟に、「マズイ!! 何かわからんが、何かしら勘違いされそう!」と少々焦りました。目を合わせてはいけないと、法廷から目線を逸らさないよう努めました。
「人の裁判を面白がって見てんじゃねーよ」とか、私が傍聴席の中で数少ない女性でしたので、「人の彼氏に興味持ってんじゃねーよ」と思われそうだと心配になりましたが、ふと我に返り、
「そういや、私は40を超えたオバサンなので、女性としては心配されなそうだ」(事実)
と気づき、すこし安心しました。
閉廷後、私は違う裁判の傍聴をしましたので、その後彼女がどう帰路についたのかわかりません。
傍聴人が危険な目に遭うことはまずないと思われますが、少しでも心配を減らしたいのであれば、着飾ったり目立つ格好はせず、マスクなどをして顔を隠すのが良いように思います。効果のほどは保証できませんけどね。気休めです。
横浜地裁は横浜中華街のすぐそばにあります。中華街は常に混雑していますので、万が一尾行された時は中華街に入れば簡単に撒けるのではないでしょうか。(冗談です)
裁判の傍聴は子育てに良い
中学生の娘と傍聴できたのは、よい経験でした。
特に2件目に見た裁判では被告人の生育環境に大きな問題がありました。また当人が知的な問題を抱えていることから、弁護士がまだ若い被告人の更生のために強く主張したことがありました。
(ちなみに若い被告人の裁判では、高い確率で知的な問題を抱えているという主張がありました。知的問題が犯罪を招きやすいのは確かなのでしょう)
それらについて私と娘でじっくりと考えて話ができたことは、良い経験でした。
ニュースに興味を持つようになりますし、ニュースでは報じられない事実があることも学べます。
母娘で「こういう判決だったら更生に繋がるのかも」と話し合ったことが判決と正反対だったことも、良い勉強となりました。
子育て中の方で、お子さんが裁判に興味があるのなら、一緒に傍聴することをお勧めします。
参考になりますように。
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